邪神の恩返し

白南井 誰勿

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第2.5章 一方その頃、〇〇は

折華

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 地球のヒルくんにぶっ飛ばされて、次に目が覚めたとき、わたしはベッドの上で寝かされていた。天井には電気がついているから、ここはまだ地球だ。右翼には白い包帯が巻いてあって、着ていた服も質素なパジャマに変わっている。ヒルくんが治療してくれたのかな。

 生まれ変わったみたいにスッキリしている。今まで休んだことが無かったからかな?

 なんでわたし、邪神を倒そうとするためにヒルくんを拐おうとしたんだろう……。ヒルくんが来たら謝らなきゃ! 初めて横になったことで、今までの自分の所業を改めて再確認することができたのは良かった。ヒルくんに感謝しないと。

 と、そんなことを考えていたら、部屋のドアから知らない男の人が入ってきた。誰だろう?

「お、目が覚めたか? 俺は橘 桜世。異世界の研究をしている物理学者だ。家の前にボロボロのあんたが倒れていたから、助けた。

一応聞いておくが、あんたは?」

 ちょっと待って? わたしは知らない人……つまり一般人に介抱されてたわけだよね? で、背中の羽もバッチリ見られてる!

「実はこの羽はレプリカで……」
「ちゃんと付け根から生えてるの確認したからな?」
「まさかわたしの服を脱がしたのって!」
「確かに俺だが。他の人に正体がバレるよりいいだろう? なぁ、異世界の神・アスティオルカ?」
「ーー?!」

 なんで地球の人間が、わたしのことを……?! 否、固まってる場合じゃない! 頭をはたらかせないと。

 考えられる可能性は2つ。1つ目はタチバナオーセがわたしのステータスを見られるという可能性。2つ目はタチバナオーセがわたしの世界テレストリアに行ったことがある可能性。

 ステータスとは生き物の魂に刻み込まれた情報のことだ。人間が自分のステータスを読み取ることさえも難しいはず。だってステータスは言語でも数字でもない常に移り変わるものだから。だから人間が神のステータスを読み取るなんて不可能ーー

 そういえば、タチバナオーセはわたしのことを、「アスティオルカ」と真名で呼んでいた。まさか本当に……? 幸い相手は人間だから、行動を縛られるようなことにはならないはず。タチバナオーセが畳み掛ける。

「そちらの世界に落ちた『転移者』逢澤尽音を助けたい。その代わり、あんたが力を取り戻せるように、俺はできる限り力を貸そう」

 死にかけであることも見抜かれちゃってるのか……てことはなおのこと、タチバナオーセがステータスを覗く手段をがあるってことだろうなぁ……。まぁそれはおいておいても、タチバナオーセの提案はなぜかとても良い考えに思えた。

「わたしもわたしの世界を守りたいから。こちらこそ、お願いします」
「賢明な判断に感謝する。こちらこそ宜しく頼む」

 タチバナオーセが差し出した手を握り返す。





 邪神ヒルの手から、わたしの創ったテレストリアを守りきるんだ。
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