異世界ボタンのその先に・・・・・

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罪人どもを運び終えて、謁見の間は少しだけ静かになった。リーンハルトが陛下に騎士の礼をする。
「良い。リーンハルト。よく、帰ってきた。」陛下が笑みを見せた。「ありがたきお言葉。ですが、まだ罪人が残っています故。」そう言うと罪人の親たちに向き直った。罪人の親は、腰を抜かし立ち上がれない。

それはとても美しい極上の笑顔で、「私の裁きなら、受け入れるのですよね。我が屋敷の立て直し、我が番の捜索費用も全てまかなっていただきましょう。ああ。もしかしたら資産が無くなるかも知れませんが、仕方ありませんね。後は資産が無くなって、領民に迷惑をかけても困ります。国の監視下にして差し上げますよ。後は私の身辺に二度と現れないよう。」そう話すと、衛兵達が城の外に連れて行った。宰相が聞く「良いのか？あのままならば、財産など隠しに行くぞ。」首を振り「ダドとギルドが動きました。かなり 絞り取られるでしょう。」頭をさげる。
「あぁ。それと幽閉塔が、崩れ落ちました。ドワーフ王とエルフ王に、連絡してください。ただ働きは、我が屋敷と幽閉塔の建築を、彼ら持ちでしてください。」そう言うと静かに息を吐く。陛下がうなずき「あい分かった。リーンハルトよ、しばし休め。退出を許可する」騎士の礼で静かに謁見の間を後にする。

「あれの番がいち早く戻ることを、祈ろう。そして二度とこのようなことが無きよう。皆　肝に銘ずるよう。」そう言うと臣下達が頭を下げ退出していく。

リーンハルト様の執務室では、執事やメイド達とダドが悪巧みをしていた。「もっと。取るニャ。領民には迷惑かけない程度に財産絞るとるニャ」とそろばんをパチパチと鳴らしていた。「屋敷は　スズネ様がいつ帰ってきても言いように、可愛く揃えましょうか？」とメイド長が話す。皆うなずいてる。執事とダドのそろばんが、パチパチともの凄い早さで響いてる。「捜索費用はこれで、見付かった報酬はこれにしましょう。」とせわしなく動いてる。
「良いのかニャ。勝手に屋敷に部屋を作って。まだスズネ見付かっていニャイニャ。」ネイドがお茶を飲みながら「そんなに長くは、かからんだろう。あのスズネだ。どこかで新しい物を、知らず知らず出す。そこから足が着く。2年辺りだ」とうなずく。「そうニャ。あのスズネニャ。また、いらないことをするニャ。1年半ニャ」ニヤと笑う。不謹慎に賭に出た2人だ。
「お屋敷でも、スズネ様は何かしらしていましたから・・・・・」と執事が笑って話す。

屋敷でもスズネなりに見付からないよう分からないように、自分では行動してると思っていたスズネだった。

パンを薄く切りチーズ肉をはさみ、変なフライパンでクラフトに火魔法で焼かせ、厩舎の裏でご飯（ホットサンド）をこっそり食べていた。屋敷で道に迷うので、こっそりドアに落書きしてた。厩舎の犬に餌を持って行き、手なずけようとしたり。妖精と部屋で何かを食べていたり。厩舎の裏で、薬草を取っていたり。隣の屋敷の（テオバルト様）ネリアをなで回っていたり。穴にいる、動物を見ようと手を突っ込んだり。お風呂に何かを入れて良い匂いをしていたり。洗濯があり得ない魔法だったり。と屋敷に滞在中でも数え切れない事をやっていたスズネだった。

「見ろ、数日でも数え切れないほど、失敗してるんだぞ。すぐ見付かりそうだ。」皆がうなずく。
「でも、今は探しても見付からないニャ。」とうなだれる。「大丈夫にゃ。ちゃんと帰って来るニャ。駄目なら。クラフトを死刑にするとお触れを出すニャ。すぐ見付かるニャ。」と悪い笑顔で話す。

クラフトが、青ざめ首を振る。「安心しろ。それならすぐ見付かる。でも今は少しだけそっとしといてやれ。女には必要だそうだ。」だからニャね。ネイドの頬に叩かれた後があるのは、ルディさん恐るべし。

「分かったニャ。ニャは家で待つニャ」ため息を吐く。
「何を言ってるのですか？貴方は当屋敷で働いて貰いますよ」ハーやれやれと首を振られた。クラフトがダド兄さんを見るが、そろばんをパチパチされて。「お前の弁償金額ニャ。裁きは間逃れたのでありがたいと思えニャ。」とネイドと二人に肩を叩かれる。
執事を見ると「貴方のせいですよ。」と言われる「ニャは、命令に従ったニャ」と屋敷のジジイ達を指さすが、皆に睨まれ口をつぐむしか無かった。「安心してください。リーンハルト様を正気に戻した分は、引いて差し上げます」そろばんをパチとはじいた。全然引いてニャイニャ。執事を見ると、目が笑ってない笑顔でした。

「お世話にニャりますニャ。」嫌だけど、頭下げたくニャイ。（スズネ。やっぱり恨むニャ。そして一刻も早く帰って来るニャ）

廊下では、リーンハルト様がテオバルト様に呼び止められていた。「良いのか。罪が軽い」と話された。
「ああ。かまわない。今は、あれ以上すると、スズネに叱られそうだ。それに、帰ってくると手紙に書いてあった。今は待つ。その為にも、帰ってくる場所を、整えたい。何も憂い無きようにな。今はただそれだけだ。それに正気になり、絆が教えてくれている。そんなに長くはかからない。と・・・・」テオバルトの肩を叩きその場を後にし、自分の執務室の戻っていく。これから、屋敷などを整えなければならない。それにクラフトと本妖精を屋敷に連れて帰らないと、スズネが会いに来るならば、手元に置いておかないとな・・・
ゆっくり、目を閉じ番に想いを馳せる。