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第一章「静かな甲羅谷」
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甲羅谷――それは、山々に囲まれ、湧き水が流れる静かな谷。そこには、カメたちが甲羅を磨きながら慎ましく暮らす、小さな村があった。
その村のはずれに、ポンとミクという二匹の兄弟カメがいた。兄のポンは少し無口で力持ち。弟のミクは陽気で素早く、兄のことを心から慕っていた。二匹は両親と、まだ幼い妹クララと共に、小さな工房で甲羅磨きの仕事をしていた。
「ねぇ、ミク!こっちの甲羅、ピカピカにできたよ!」
妹のクララが、嬉しそうに甲羅を掲げて見せる。
「すごいじゃないか!もう職人の仲間入りだね!」
ミクが笑って褒めると、クララは照れくさそうに笑った。
ポンは、そんな二人のやりとりを静かに見守りながら、黙々と甲羅を磨き続けていた。
平和だった。何一つ不自由のない、幸せな日々。
その日、ポンとミクは、仕事の依頼で隣の谷にあるウズマ村へ出かけていた。急ぎの甲羅磨きの注文だったが、二匹は手際よく仕事を終わらせた。
夕方、帰ろうとすると、村の長老がカメ兄弟を呼び止めた。
「今日は……嫌な風が吹いておる。兎(うさぎ)の鬼が出るかもしれん。今夜は泊まっていきなさい。」
「でも、妹が待ってるんです!」
ミクが心配そうに言うと、長老は険しい顔で首を振った。
「命のほうが大事じゃ。夜道は危険じゃぞ。」
仕方なく、ポンとミクはその夜をウズマ村で過ごすことにした。
翌朝。太陽が昇ると同時に、二匹は甲羅谷へ向かった。
しかし――
谷にたどり着いたとき、目に飛び込んできたのは、焼け落ちた家々と、崩れた橋、そして――
誰もいない、沈黙だけの村だった。
両親の姿はなく、妹のクララの小さな甲羅の欠片だけが、灰の中に転がっていた。
ポンは黙ってその場に膝をつき、拳を握り締めた。
ミクは泣き叫びながら、妹の名を何度も呼んだ。
「これは……うさぎ一族の仕業だ……!」
かつて甲羅谷と争っていた、あの兎たち。
彼らがまた動き出したのか……。
その日を境に、兄弟カメの復讐の旅が始まった――
その村のはずれに、ポンとミクという二匹の兄弟カメがいた。兄のポンは少し無口で力持ち。弟のミクは陽気で素早く、兄のことを心から慕っていた。二匹は両親と、まだ幼い妹クララと共に、小さな工房で甲羅磨きの仕事をしていた。
「ねぇ、ミク!こっちの甲羅、ピカピカにできたよ!」
妹のクララが、嬉しそうに甲羅を掲げて見せる。
「すごいじゃないか!もう職人の仲間入りだね!」
ミクが笑って褒めると、クララは照れくさそうに笑った。
ポンは、そんな二人のやりとりを静かに見守りながら、黙々と甲羅を磨き続けていた。
平和だった。何一つ不自由のない、幸せな日々。
その日、ポンとミクは、仕事の依頼で隣の谷にあるウズマ村へ出かけていた。急ぎの甲羅磨きの注文だったが、二匹は手際よく仕事を終わらせた。
夕方、帰ろうとすると、村の長老がカメ兄弟を呼び止めた。
「今日は……嫌な風が吹いておる。兎(うさぎ)の鬼が出るかもしれん。今夜は泊まっていきなさい。」
「でも、妹が待ってるんです!」
ミクが心配そうに言うと、長老は険しい顔で首を振った。
「命のほうが大事じゃ。夜道は危険じゃぞ。」
仕方なく、ポンとミクはその夜をウズマ村で過ごすことにした。
翌朝。太陽が昇ると同時に、二匹は甲羅谷へ向かった。
しかし――
谷にたどり着いたとき、目に飛び込んできたのは、焼け落ちた家々と、崩れた橋、そして――
誰もいない、沈黙だけの村だった。
両親の姿はなく、妹のクララの小さな甲羅の欠片だけが、灰の中に転がっていた。
ポンは黙ってその場に膝をつき、拳を握り締めた。
ミクは泣き叫びながら、妹の名を何度も呼んだ。
「これは……うさぎ一族の仕業だ……!」
かつて甲羅谷と争っていた、あの兎たち。
彼らがまた動き出したのか……。
その日を境に、兄弟カメの復讐の旅が始まった――
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