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第二章 「灰の谷、血の決意」
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焼け焦げた甲羅谷の村には、もはや生きとし生ける者の気配はなかった。
煙が立ち上り、焦げた木々と砕けた甲羅が、あちこちに転がっている。
「……父ちゃん……母ちゃん……」
ミクの声は震えていた。まだ小さな彼の目にも、現実が焼きついて離れなかった。
ポンは無言のまま、焦げた地面にひざをついた。
その手には、家の跡から見つけた、妹の甲羅の欠片が握られていた。
「全部……全部、うさぎの奴らが……!!」
怒りと絶望、そして悲しみが甲羅の奥底から湧き上がる。
ポンの甲羅にひびが入り、ひとすじの涙が流れた。
「ミク、行くぞ」
「どこへ……?」
「仇を討つ。俺たちで……兎一族を全滅させる!」
小さな兄弟の甲羅が、太陽の光を浴びてかすかに輝く。
かつて柔らかく輝いていたその甲羅は、今や復讐の決意に黒く染まりつつあった。
そのとき、谷の向こうから足音が近づいてくる。
――パチン、パチン、と甲羅を叩くような音。
現れたのは、見覚えのある甲羅職人だった。
父の友人であり、かつて「甲羅の剣術」を教えていた老亀・ゲンドウである。
「……来たか、ポン、ミク。あの日の約束を覚えておるな?」
「……あの日?」
「“甲羅は守るためのものだ。しかし、守るべきものを失ったとき、それは刃にもなる”」
ポンの目が鋭くなる。ミクは唇を噛み締めた。
「修行を始めるぞ。お前たちはもう子供じゃない。甲羅を――刃に変えるんだ」
こうして、復讐のための修行が始まった。
兄弟は、悲しみと怒りを背負いながら、“戦う甲羅”への道を歩み出す――。
煙が立ち上り、焦げた木々と砕けた甲羅が、あちこちに転がっている。
「……父ちゃん……母ちゃん……」
ミクの声は震えていた。まだ小さな彼の目にも、現実が焼きついて離れなかった。
ポンは無言のまま、焦げた地面にひざをついた。
その手には、家の跡から見つけた、妹の甲羅の欠片が握られていた。
「全部……全部、うさぎの奴らが……!!」
怒りと絶望、そして悲しみが甲羅の奥底から湧き上がる。
ポンの甲羅にひびが入り、ひとすじの涙が流れた。
「ミク、行くぞ」
「どこへ……?」
「仇を討つ。俺たちで……兎一族を全滅させる!」
小さな兄弟の甲羅が、太陽の光を浴びてかすかに輝く。
かつて柔らかく輝いていたその甲羅は、今や復讐の決意に黒く染まりつつあった。
そのとき、谷の向こうから足音が近づいてくる。
――パチン、パチン、と甲羅を叩くような音。
現れたのは、見覚えのある甲羅職人だった。
父の友人であり、かつて「甲羅の剣術」を教えていた老亀・ゲンドウである。
「……来たか、ポン、ミク。あの日の約束を覚えておるな?」
「……あの日?」
「“甲羅は守るためのものだ。しかし、守るべきものを失ったとき、それは刃にもなる”」
ポンの目が鋭くなる。ミクは唇を噛み締めた。
「修行を始めるぞ。お前たちはもう子供じゃない。甲羅を――刃に変えるんだ」
こうして、復讐のための修行が始まった。
兄弟は、悲しみと怒りを背負いながら、“戦う甲羅”への道を歩み出す――。
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