「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

文字の大きさ
11 / 67
第1章 帝国へ

11話 裁いた側(追放サイド)

しおりを挟む
「トリアス師団長が言ってきたことは以上です」
「ご苦労」

 そこはダイードの執務室。机の上には山と仕事が溜まっている。

 机を挟んでダイードとトリアスを牢屋に入れた兵士が話していた。

「ダイード様」
「なんだ?」
「セレット様はそれほどにすごかったのですか? さっさとあの愚かな師団長を処刑して民に見せつけるべきでは?」

 彼がそう思うのも自然なこと。セレットはそれほどに自分がなした成果を他者にひけらかすことをせず、ただ黙々と龍を狩り続けていた。

「そうだとしても、万が一にでもセレットを国に戻せねば大変なことになるかもしれん」
「それほどの男なのですか? 聞いたことが無い名前だったのですが……」
「ああ、お前は知らんか……。あの男の働きを知っているのは前国王と龍脈衆の愚か者達しかいなかったからな。後は本当に少数くらいか。あの男はたった一人で龍脈の小道に入り龍を狩るのだ」
「それは……すごいことなのですか?」

 龍脈衆ではなくただの兵士である彼にとってはそれがどれ程のことなのかを知ることはなかった。

「そうか、普通はそういう反応になるからな。龍脈の小道に一人で行って無傷で帰って来れるものなど、この国には存在しない。それどころか、帝国にすらいるかどうか怪しい」
「そこまでの男だと言うのですか!?」
「ああ、龍脈の広間で龍が出てくるのは対して問題にはならん。勿論被害はあるが、それでも戦うことは出来るようになっている。しかし、小道は別だ。細い場所でどこから龍の攻撃が来るか分からない。そして、休むこともできずに死角から攻撃されるか、強力な龍の一撃で避けられずに殺されるか。そのどちらかだ。だから普通の龍脈衆は小道には入らずに広間で戦う」
「そんな……。それほどの者であればなぜ追放など……」

 兵士の顔には信じられない。そういった表情がありありと浮かんでいた。

「愚か者の考えなど俺が分かるものか……。と言いたい所だが、セレットは龍力を使い過ぎない様に様々な場所で調整していた。この国の為を思っての行動だったが、それが奴らにとって邪魔だったのだろう」
「そんな理由で……」
「ともかく、お前もトリアスと一緒に行き、何としてでもセレットに帰ってきて貰え、その為であれば侯爵の地位でも約束してやる」
「そこまで……陛下が頷きますか?」
「しなければ王が首を吊られる可能性がある。それほどに民の不満は高まっているのだ。どれ程の被害が出たのか忘れたとは言わせんぞ?」

 そういうダイードの顔は本気だった。

 長年彼の部下として働いてきた彼にはそれがわかる。

「分かりました。何としてでも連れ帰って見せます」
「頼んだぞ。トリアスはセレットの望むように処理させて良い。使えるものは何でも使え」
「畏まりました」

 兵士は敬礼をして部屋から出ていく。

「はぁ……。しかし、一度帝国に行った者が帰ってくるだろうか……」

 ダイードはそう言って書類の山を片付けに戻る。

 そして、翌日にはトリアスはカイン帝国の皇都目指して出発した。

 勿論、セレットと同じような待遇でだったが。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

奈落を封印する聖女ですが、可愛い妹が追放されたので、国を見捨てる事にしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 ファンケン公爵家の長女クラリスは本来家を継ぐ立場だった。だが奈落の底に住む魔族を封印する奈落の聖女に選ばれてしまった。聖なる役目を果たすため、クラリスは聖女となり、次女のエレノアが後継者となった。それから五年、両親が相次いで亡くなり、エレノアは女性ながら公爵となり莫大な資産を引き継いだ。その財産に目をつけたのが、日頃から素行の悪い王太子アキーレヌだった。愛人のキアナと結託し、罠を仕掛けた。まず国王を動かし、エレノアを王太子の婚約者とした。その上で強引に婚前交渉を迫り、エレノアが王太子を叩くように仕向け、不敬罪でお家断絶・私財没収・国外追放刑とした。それを奈落を封じる神殿で聞いたクラリスは激怒して、国を見捨てエレノアと一緒に隣国に行くことにしたのだった。

婚約者を奪った妹と縁を切り、辺境領を継いだら勇者一行がついてきました

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

処理中です...