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第1章 帝国へ
11話 裁いた側(追放サイド)
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「トリアス師団長が言ってきたことは以上です」
「ご苦労」
そこはダイードの執務室。机の上には山と仕事が溜まっている。
机を挟んでダイードとトリアスを牢屋に入れた兵士が話していた。
「ダイード様」
「なんだ?」
「セレット様はそれほどにすごかったのですか? さっさとあの愚かな師団長を処刑して民に見せつけるべきでは?」
彼がそう思うのも自然なこと。セレットはそれほどに自分がなした成果を他者にひけらかすことをせず、ただ黙々と龍を狩り続けていた。
「そうだとしても、万が一にでもセレットを国に戻せねば大変なことになるかもしれん」
「それほどの男なのですか? 聞いたことが無い名前だったのですが……」
「ああ、お前は知らんか……。あの男の働きを知っているのは前国王と龍脈衆の愚か者達しかいなかったからな。後は本当に少数くらいか。あの男はたった一人で龍脈の小道に入り龍を狩るのだ」
「それは……すごいことなのですか?」
龍脈衆ではなくただの兵士である彼にとってはそれがどれ程のことなのかを知ることはなかった。
「そうか、普通はそういう反応になるからな。龍脈の小道に一人で行って無傷で帰って来れるものなど、この国には存在しない。それどころか、帝国にすらいるかどうか怪しい」
「そこまでの男だと言うのですか!?」
「ああ、龍脈の広間で龍が出てくるのは対して問題にはならん。勿論被害はあるが、それでも戦うことは出来るようになっている。しかし、小道は別だ。細い場所でどこから龍の攻撃が来るか分からない。そして、休むこともできずに死角から攻撃されるか、強力な龍の一撃で避けられずに殺されるか。そのどちらかだ。だから普通の龍脈衆は小道には入らずに広間で戦う」
「そんな……。それほどの者であればなぜ追放など……」
兵士の顔には信じられない。そういった表情がありありと浮かんでいた。
「愚か者の考えなど俺が分かるものか……。と言いたい所だが、セレットは龍力を使い過ぎない様に様々な場所で調整していた。この国の為を思っての行動だったが、それが奴らにとって邪魔だったのだろう」
「そんな理由で……」
「ともかく、お前もトリアスと一緒に行き、何としてでもセレットに帰ってきて貰え、その為であれば侯爵の地位でも約束してやる」
「そこまで……陛下が頷きますか?」
「しなければ王が首を吊られる可能性がある。それほどに民の不満は高まっているのだ。どれ程の被害が出たのか忘れたとは言わせんぞ?」
そういうダイードの顔は本気だった。
長年彼の部下として働いてきた彼にはそれがわかる。
「分かりました。何としてでも連れ帰って見せます」
「頼んだぞ。トリアスはセレットの望むように処理させて良い。使えるものは何でも使え」
「畏まりました」
兵士は敬礼をして部屋から出ていく。
「はぁ……。しかし、一度帝国に行った者が帰ってくるだろうか……」
ダイードはそう言って書類の山を片付けに戻る。
そして、翌日にはトリアスはカイン帝国の皇都目指して出発した。
勿論、セレットと同じような待遇でだったが。
「ご苦労」
そこはダイードの執務室。机の上には山と仕事が溜まっている。
机を挟んでダイードとトリアスを牢屋に入れた兵士が話していた。
「ダイード様」
「なんだ?」
「セレット様はそれほどにすごかったのですか? さっさとあの愚かな師団長を処刑して民に見せつけるべきでは?」
彼がそう思うのも自然なこと。セレットはそれほどに自分がなした成果を他者にひけらかすことをせず、ただ黙々と龍を狩り続けていた。
「そうだとしても、万が一にでもセレットを国に戻せねば大変なことになるかもしれん」
「それほどの男なのですか? 聞いたことが無い名前だったのですが……」
「ああ、お前は知らんか……。あの男の働きを知っているのは前国王と龍脈衆の愚か者達しかいなかったからな。後は本当に少数くらいか。あの男はたった一人で龍脈の小道に入り龍を狩るのだ」
「それは……すごいことなのですか?」
龍脈衆ではなくただの兵士である彼にとってはそれがどれ程のことなのかを知ることはなかった。
「そうか、普通はそういう反応になるからな。龍脈の小道に一人で行って無傷で帰って来れるものなど、この国には存在しない。それどころか、帝国にすらいるかどうか怪しい」
「そこまでの男だと言うのですか!?」
「ああ、龍脈の広間で龍が出てくるのは対して問題にはならん。勿論被害はあるが、それでも戦うことは出来るようになっている。しかし、小道は別だ。細い場所でどこから龍の攻撃が来るか分からない。そして、休むこともできずに死角から攻撃されるか、強力な龍の一撃で避けられずに殺されるか。そのどちらかだ。だから普通の龍脈衆は小道には入らずに広間で戦う」
「そんな……。それほどの者であればなぜ追放など……」
兵士の顔には信じられない。そういった表情がありありと浮かんでいた。
「愚か者の考えなど俺が分かるものか……。と言いたい所だが、セレットは龍力を使い過ぎない様に様々な場所で調整していた。この国の為を思っての行動だったが、それが奴らにとって邪魔だったのだろう」
「そんな理由で……」
「ともかく、お前もトリアスと一緒に行き、何としてでもセレットに帰ってきて貰え、その為であれば侯爵の地位でも約束してやる」
「そこまで……陛下が頷きますか?」
「しなければ王が首を吊られる可能性がある。それほどに民の不満は高まっているのだ。どれ程の被害が出たのか忘れたとは言わせんぞ?」
そういうダイードの顔は本気だった。
長年彼の部下として働いてきた彼にはそれがわかる。
「分かりました。何としてでも連れ帰って見せます」
「頼んだぞ。トリアスはセレットの望むように処理させて良い。使えるものは何でも使え」
「畏まりました」
兵士は敬礼をして部屋から出ていく。
「はぁ……。しかし、一度帝国に行った者が帰ってくるだろうか……」
ダイードはそう言って書類の山を片付けに戻る。
そして、翌日にはトリアスはカイン帝国の皇都目指して出発した。
勿論、セレットと同じような待遇でだったが。
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