「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

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第2章 姫

32話 ロネスティリア姫

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 翌日。

「それにしてもすごいな」

 俺は周囲を見ながら、ウテナに話しかける。

 俺とウテナは今、ロネ姫の部屋に向かって歩いている。皇族の住む場所ということでウテナの様に親衛隊に属している等、特別な任務を任されていなければ入ることはできない。

 歩いていく先は高そうな美術品や壊したら確実に怒られそうな物が、少し歩いている間にかなりの数が置いてある。

「皇族のお住まいになる場所だからな。ここにはそれなりの信頼が無ければ入ることが出来ない」
「そんな場所に俺を入れてもいいのか? 流石に早すぎる気も……」

 俺がこの城に来てまだ1か月も経っていないが……。

「セレットなら大丈夫と判断されたんだろう。流石だな」
「それはそれで恐縮なんだがなぁ……」
「さ、着いたぞ。中にロネ姫様がいらっしゃる。失礼のないようにな」
「分かった」

 コンコン

 ウテナが豪華で白く、大きな扉をノックした。

「4騎士が一人、ウテナ、セレットを連れて参りました!」
「入っていいわよ」
「失礼します!」

 扉を開けると、部屋はまるで別世界の様に感じた。白と金色で統一され、これが姫の部屋かと納得させられる。

 ロネ姫は部屋の中央、2m以上のある大きなイスに足を組んで腰掛けていた。後ろにはメイドが2人立っている。

 彼女は10才を少し過ぎたくらいだろうか? いや、もう少し大きいかもしれない。絹のように美しい長い金髪を結び、肌は透き通るような白。触れれば壊れてしまいそうな儚さがあった。

「ようこそいらっしゃいました。貴方がセレットさんですね? よろしくお願いします」

 彼女はそう言って俺に優しく微笑みかけてくれる。その笑顔を見ただけで彼女に全てを捧げる。そう言う者がいてもおかしくないような印象を抱いてしまう。

「いかがなさいました?」
「失礼しました。ロネスティリア殿下。御美しさのあまり目を奪われてしまいました。どうかご容赦を」

 目を奪われていた俺は急いで片膝をついて頭を下げる。

「まぁお上手ですこと。そこまで言って下さったら許さない訳にはいかないわね。それにセレットさんの武名は聞き及んでいます。その様な方に殿下と言われるのは恥ずかしいですわ。わたくしのことはロネとお呼びください」
「それは……」

 幾らなんでもダメだろう。龍騎士の称号がどこまで偉いのかを知らないが、幾らなんでも皇族を呼び捨ては間違っている。

 俺は助けを求めてウテナを見ると、彼女の顔も少し困っていた。

「姫様。セレットが困るようなことは言わないでください」
「そうかしら? わたくしはその方が嬉しいのだけれど……」
「もしそんな話が聞かれたらセレットの評判が落ちてしまいます。ですのでおやめください」
「もう……仕方ないわね」
(っほ。良かった)

 俺はウテナの方を見ると、彼女も俺の方を見ていて笑いかけてくれる。

 俺も彼女に返す様に笑いかけた。

「ん?」

 俺は殺気のようなものをロネ姫の方から感じ、そちらを見るがロネ姫は笑っているし、その後ろにいるメイドも無表情で立っているだけだ。

 気のせいか? 流石にここは皇城の最も厳重と言ってもいい部屋。心配のし過ぎかもしれない。

「いかがされました?」
「いえ、何でもありません」
「そうですか。早速護衛のお話をさせて頂いても?」
「勿論です。しかし、ロネ殿下自らご説明して頂けるのですか?」
「ええ、龍騎士を護衛にするのです。それくらいは致します」
「ありがとうございます」
「それでは説明を……と言いたいのですが、わたくしはそこまで護衛の内情については知りません。ですので、話せることはルート位でしょうか。まずはグレンゴイルを目指し、その後、ガンプノスに行きます。その周辺を見て回り、帝都に戻ります。それ以上のことついては感知しないので、詳しいことはウテナに聞いてください」
「畏まりました」

 俺がそう言うと、ウテナは俺に話しかける。

「といってもほとんどの行動というかシフトは決まっている。セレットは出来るだけ姫様の近くにいていざという時に守って欲しい」
「分かった……いや、分かりました」
「いつも通りでいいんだぞ?」
「こういう時はちゃんと上下の関係をハッキリとさせなきゃならない。ウテナが今回の指揮をとっているんだろう? ならそれに従うようにしなければダメだ」
「セレット……」
「出来る限りのことはするから任せてくれ」
「頼む」

 俺とウテナはお互いを見て笑い合う。

「ん?」
「いかがされました?」

 まただ、またしても殺気をロネ姫の方から感じてしまう。何なんだ? 何かいるのか? 

 そう思っても今は全く感じない。感覚を研ぎ澄ませて、誰かいるのではと探ってみるが、そちらの方向にはいない。

 俺の後ろの方には姫の護衛かいざという時の戦闘員か2名ほど息をひそめているが、それ以上はいるようには感じない。

「いえ……。ロネ殿下にこうしてお会いできて、心が少し高ぶっているのかもしれません。お許しください」
「その様な必要はありません。出発は1時間後。よろしくお願いしますね?」
「はい。畏まりました」

 こうして、俺達はロネ姫の部屋から出る。

 すると、ウテナが話しかけてきた。

「どうだ? 姫様は素晴らしい方だろう?」
「ああ、流石に皇族は違うな。あそこまでの何と言うか……雰囲気というかオーラと言うか。一緒にいるだけで背筋が伸びそうだ」
「そうだろう。そうだろう。さて、セレットは自身の荷物は準備出来ているのか。何分、時間が迫っているからな」
「俺は問題ない。馬車に準備もしてあるし、今すぐにでもいける」
「分かった。それでは先に下に行って待っていてくれ」
「分かった」

 俺達は別れた。

 下に行くと護衛団はそこまでおらず、割と閑散としていた。

 1時間ほど待つと、ロネ殿下が降りてきて、馬車に乗り込む。その際に俺の方に手を振ってくれたと思ったのは思い過ごしだろうか。

 そして、ロネ姫を乗せた馬車一向は出発する。

「しかし、知り合いがほとんどいないのはちょっと辛いか……?」

 ウテナはロネの最後の砦ということで同じ馬車に乗り込んでいる。

「セレット殿。今回はよろしくお願いします」

 一人だと思っていたら、一度ウテナの代役で礼儀を教えてくれた女騎士が近づいて来た。

「えーっとオリーブさんだったよね? よろしく」
「もし何かあれば私からお話させて頂いてもよろしいですか?」
「戦闘なら任せてくれていい」
「頼りにしています。あの龍騎士殿の戦いを拝見出来ると嬉しいのですが」
「そうならないと俺としてはいいんだがな」

 ここに来る前にフリッツのいる灼熱の龍脈で龍力も少し分けてもらったし、いざという時はこれで大丈夫だと思う。

 こうして俺達の旅は始まったが、特に何事もなく隣街のグレンゴイルに到着した。魔物が出てくることも一度もなく、正直拍子抜けしてしまった位だ。
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