「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

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第2章 姫

36話 それぞれの思惑

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 グレンゴイル1の宿。そこでロネは地団太を踏んでいた。

「どうしたの! 行方はまだわからないの!?」
「それが、渡した服を着替えてどこかへ身をくらましてしまったようで……。しかも大通りには戻ってきていないようです」
「そんなことありますか!? 何のために色々とやったと思っているんですか! 仕掛けもまだまだあるというのに!」
「服屋には入れない様に客のふりをした者を雇い、屋台や食事処には入店できない様にする。ほんとによくそんなことまで……。しかもまだ……」
「それくらいしなければならないのです! 分かりましたか!」
「はい……」

 ロネは怒鳴るが、メイドはため息をつきながら返すだけだ。

「それにしても何処に行きましたの……!」
「姫様」
「何!?」
「先ほど入った情報によると、この街の若者に絡まれたり、何かを吹き込まれて裏道に入っていったとの情報が入ってきました」
「裏道……!? 前回彼が来た時にはそんな所には行かなかったのよね!?」
「はい、前回は宿と目的地を行き来しただけで、大通り以外は通っていないと。この街の者とも最低限しか話していない。そう聞いています」
「ならなんでそんなことになっているのかしら!?」
「それは何とも……」
「もう~! これじゃあわたくしの作戦が台無しじゃない! あの泥棒猫! わたくしのウテナを一体どこに連れていくつもりなんですの! 裏路地なんて……そんな、まさか『うへへ、ウテナ、ちょっと休めるいい所があるんだ。いかないか?』『いえ、ダメですセレット、そんな所に』『大丈夫だ、今日は1日休んでいいんだ。行くぞ』『アーレー』ってことになっているに決まっています!」
「姫様、本の読み過ぎです」
「そんな白馬の王子様が突然助けてくれるみたいな話はそうそう無いですから」
「そんな! 白馬の王子様も現れるって! 姉上がそういう話を聞いたことがあるって!」
「「ないない」」
「そんな……」

 ロネはイスにぐったりするようにもたれ掛かる。暫くして、思い直したように元に戻る。

「でもそれが本の中だけなら大丈夫ね。ウテナも裏路地の見学だけで終わるでしょう」
「……」
「そうだといいですね……」
「どういうことよ。さっきの話だと無いって」
「言いましたけど、絶対に無いとは言い切れないといいますか……」
「ウテナ様が乗り気だったら、お互い了承の上で行く可能性があると言いますか……」
「う、嘘でしょう? ウテナに限ってそんな……そんな!」
「セレット様はあのパルマさんにまで魔の手を伸ばしているのですよ? あの方に女の顔をさせるご仁として一部で有名なんです」
「こんなに早く手を出されるとは思いませんでしたけどね……」
「ダメもとでやったあれが上手くいっていたのかしら? でもそんな……」
「ハッキリと手は出されたと聞いてはいませんけど、以前も『創製』の部屋に入って行って2,3時間出てこなかったという話も聞いていますし……」
「もしかしたら今頃ウテナ様も……」
「……」

 ロネは黙って立ち上がり扉の方に向かう。

「姫様!?」
「どちらへ!?」
「何、ちょっとセレットさんの棒をへし折って来ようかと」
「ダメに決まっているでしょう!」
「そうですよ! それにこの後代官様の元へ行くんですから! セレットさん達を探している暇なんてありません!」

 そう言ってメイドは2人がかりでロネを押さえる。

 彼女は年齢に相応しい程度の力しか無い為振り払うことはできない。

「放しなさい! 代官など笑顔で取り繕って謝っておけば許されるんですから! だから今はウテナの元に!」
「許されませんから! これも公務なんですよ!?」
「そんな物よりもウテナです! 私の可愛いウテナが!」

 メイド2人がロネを説得するのに1時間かかった。


 そして、翌日にはいつものロネに戻り、何事もなかったかのようにガンプノスに向けて旅立った。

******

 ロネ姫一行の様子を窓の中から覗き見をしながら2人の男が話していた。

「出てきました」
「よし、予定通りだな。これであのメスガキの最期が見れる」
「しかしいいんですか? 本当に殺してしまって」
「構わん。こちらにつくことはないだろうし、奴の手腕は並大抵のものではない。あの程度の年齢でどうやってやるというのか」
「あれでまだ成人していないというのですからね。驚きです」
「ああ、だがこれはチャンスでもある。丁度下らんたくらみをしているみたいだしな。それを利用させてもらおう」
「これでまた一歩近づきますね」
「そうだ。俺達の悲願も近い」
「ではあのセレットという男はどうするのですか? かなりの実力者だと聞いています」

 その名前を聞いた男は、無表情だった顔を困らせる。

「4騎士に勝つほどの龍脈衆。そんな者が仲間になってくれればと思っている。その為、水面下で奴に対する情報収集が目下の目的だ。それ以上は出来ん」
「この街の雑魚を使って少しでも力が見れていれれば良かったのでが……。今回の襲撃もかなりまずいのでは?」
「問題ない。というより、奴ら自身で墓穴を掘ったようなものだ。見て居ればわかる」
「僕の同行は?」
「必要ない。下準備は終わっているからな」
「では僕はここに残って先輩の帰りをお待ちしています」
「ああ、任せた」

 そうして、男たちは別れた。
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