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2章

42話 王都炎上

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 王都の更には数多くの魔族が浮かび、王城を目指している。

「俺は先に行く! 急いで来いよ!」
「分かった!」
「ワシもすぐに行く!」

 俺達は別れてそれぞれのやるべきことをやるために行動する。

 俺は寝ているリュミエールを『結界魔法シールド』の中に入れて行く。

 王城には既に多くの魔族が取り付き、中に侵入していた。

 俺も追いつかねば。
 そう思ったけれど、看過かんか出来ないことが発生した。

 ドオオオン!!!

 魔族の中には、街に対して攻撃を始める連中が現れたのだ。

「きゃあああああああ!!!」
「助けてくれー!」

 町には人々の叫び声があふれ、混沌がバラまかれていく。

「『飛行魔法フライ』」

 俺はそんな街に攻撃をしている魔族の1人に近付いた。

「くははは! 人間の様なゴミ共は死ぬがいい!」

 そう言いながら魔法で街を火の海に変えている奴の首を飛ばす。

「貴様が死ね」
「は?」

 スパッ

 そのまま次の魔族の所に向かう。
 しかし、次の所にいた奴はもっと非道な事をしていた。

「ひゃははははは!!! 燃えろ燃えろ! 邪魔な雑魚は消し炭になれ!」
「そこまでして人を殺したいのか?」
「あん? なんだてめぇは」
「最強の魔剣士、シュタルだ」
「ほう……てめぇがあのシュタルか。それで、この俺様を殺せるのかな?」
「助けて……助けてよ……」
「怖いよ……痛いよ……」
「……」

 奴はそういいながら、自慢するように自身の体に下げた者を見せつけてくる。
 奴の体には、小さな子供が2人、くくりつけられていた。

「お前が攻撃したらこいつらはどうなっちまうのかなぁ!? 俺と戦ってみるか? その拍子に死んじまうかもしれないよなぁ!」
「良くそこまで酷い事を考えるな」
「これも全てミリアム様の策よ! 貴様は強い。だが、同時にお人好しで子供を殺す事は出来ない甘ちゃんだろうってなぁ!」

 以前会った時にそこまで考えていたとは、確かに、中々頭の切れる奴なのかもしれない。

「だが、甘いのは貴様らだ」
「は? この状態でどうやって……が!?」

 俺は奴に気付かれない速度で近付き、奴の首を切り飛ばす。
 それと同時に括りつけられている子供を奪い返した。

「おい。大丈夫か?」
「うん。ありがとうお兄ちゃん」
「助かったよ。死ね」

 ヒュン

 ガッ

 助けたと思った子供の内の1人は、手刀で俺の首を突いてくる。

 しかし、俺の体はその程度で傷つくほど弱くはない。

「なるほど、助けた中にもダミーがいるという訳か。面倒だな……」
「な……貴様……どうやぐぼ」

 俺は片方の首を切り落とし、そのまま地面に向かって投げ捨てる。
 問題ないと思うけれど、確認はしなければならないのは面倒だな。

「『看破』」

 俺はもう一人の子供を見ると、そちらは特に怪しい様子はない。
 なので、彼を抱いたまま下に降りる。

「騒動が終わるまでは隠れていろ。いいな?」
「う、うん……お兄ちゃん……さっきのは大丈夫?」
「俺は最強だ。この程度では傷一つつかんよ」
「すごい……かっこいい」
「ふっ。終わったらサインくらいはしてやろう」

 俺はそう言って空に再び上がる。

「これは……酷いな」

 少しやっている間に街は燃え上がっていた。
 空には他に魔族が10人以上居て、熱心に街を燃やしている。

 まとめて倒そうにも子供を抱えている奴もいるので出来そうにない。
 1人ずつ確実に潰して行かないと。

「きさっ! ごは」
「てめ! あぶ」
「何奴! べふ」

 面倒なので話を聞く時間も勿体もったいない。
 さっさと処理をしていく。

 子供達の中にまた数人魔族がいたり、今度は操られている子供も居てかなりの手の込みようだ。
 そんな事をやっている間に火はより燃え広がり、街を焼き払おうとしていた。

「う……ううん。え!? 何ココ!? どうなってるの!?」
「やっと起きたか」

 俺がやっている間に、リュミエールがようやく起きてきた。

「なんでこんな空に……?」
「話は後だ。先に……街の火を消す」
「街の……」

 彼女は視線を落とし、街の様子を見る。

「うわ! これ……一体何が……というか大丈夫なんですか!?」
「大丈夫じゃないから今からなんとかするんだ」

 俺は少し集中して、魔法を使う。

「『滝創造魔法ウォーターフォール』」
「へ?」

 俺が魔法を唱えると、王都の上空に巨大な水の塊が降ってくる。

「うわあああああああ!!!???」

 リュミエールが叫んで目をつむっている。
 彼女は俺の魔法の中にいるので安心だが、怖いものは怖いのかもしれない。

 まぁすぐに終わる。

 水の塊が街に当たる直前、俺はそれを分裂させた。
 そうすることによって、街に被害を出にくい様にしたのだ。

 ザッバアアアアアン!!!

 王都中が水浸しになり、それと同時に至る所にあった火は消え失せる。

「よし。これでもう大丈夫だな」
「へ……シュタルさん……でたらめですよ……」
「最強はこれくらいするんだよ」
「最強の意味が分かんなくなって来ました。でも……ありがとうございます」
「……よし。王城に行くぞ」
「え?」

 彼女が分からない顔をしているけれど、とりあえず急いで行かなければならない。
 アルマやラジェル公爵が行っているのだから。

 俺は速度を上げて、王城に突っ込んでいく。
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