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2章

43話 vsステークス

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 俺は速度を出し、王城に突撃した。

 ドゴオオオオオン!!!

 城の外壁を蹴り破り、中に侵入を果たす。

「シュタルさん! 一体何が起きているんですか!?」
「ああ、お前は寝ていたんだったな。説明しながら行くぞ」

 俺は城の中を走り、玉座を目指す。
 ミリアムの目的は国王の殺害だろう。
 この国を潰すにはそれが一番手っ取り早い。

 ただ、そうする必要があるのか怪しいくらい、城の中は中々に悲惨ひさんなことになっていた。
 魔族は戦闘員であろうがそうで無かろうが関係なく皆殺しにしている。

 そこかしこに殺された貴族やメイド等が転がっていた。

「リュミエール。説明しながら回復させていく」
「え? でもそんなことまでしたらシュタルさんの魔力が」
「なくならない。俺は最強だ。ここに転がっている奴らくらいは全て助ける」

 俺は上を目指しながら、リュミエールに説明をし、更に蘇生そせいほどこしていく。

「シュタルさん! もうそろそろつきます」
「分かった」

 俺は角を曲がり、玉座に近づいて行くと、そこには見知った顔がいた。

「よう。シュタル。おれとも遊んでくれよ」
「ステークス……」

 そこにいたのは、顔の下に根っこでも生えているのか。
 不自然に盛り上がった顔をして、目の焦点もどこをみているのか怪しいSランク冒険者、ステークスがいた。

「シュタルさん。あれ……」
「ああ、恐らくセントロの時と同じで操られているだろうな」
「そんな……Sランク冒険者が相手なんて……。しかも、魔力をあれだけ使ったのに……」
「気にするな。たかが50人蘇生させた程度、俺にとってみればどうってことない」
「そんな事はないでしょう!?」
「リュミエール。下がっておけ」
「……はい」

 俺はリュミエールを後ろの方に送り、彼女の安全を確保する。
 そして、こんなことになっているステークスに話しかけた。

「ステークス。何があった」
「ひはは……ミリアム様の為に、お前を……殺す!」

 奴は会話が出来ない様で、剣を抜き放ちながら俺に突きを放ってくる。
 その一撃は今まで見たどの一撃よりも速く鋭く、流石Sランク冒険者だ。

 しかし、その程度であるのなら、俺は掴む事すら出来る。
 俺は剣で弾こうとすると、奴が二っと笑った。

「【千刃】」
「何!?」

 次の瞬間に奴の刀身が数え切れないほどに増えたのだ。
 そして、それは全方位から俺を取り囲むようにして迫ってくる。

「ひゃはは! 死ね!」
「はぁ!」

 俺は剣を力を少し込めて振り抜き、周囲の剣全てを切り払った。

 ギャリィン!

「何!?」

 しかし、奴のスキルの威力は相当な物であるらしく、少し残してしまった。
 そのまま奴のスキルが俺の全身に突き刺さる。

「ひゃはは! Sランク冒険者を舐めるからだよ!」
「別に舐めて等いない」
「なんで……貴様……おれのスキルを食らって……」
「この程度の威力なら俺の体を切り裂く事は出来んぞ」

 奴のスキルは、俺の体を切り裂くことは出来ず、肌の上で止まっていた。

「ば、バカな……。おれのスキル……だぞ? Sランク冒険者のスキルを直撃して……無傷?」
「別に全て切り払うことも出来たんだがな。それをしたら貴様が死にそうだったからやめたまでだ」
「は……この状況で……おれの心配をした……ふざけているのか?」
「ふざけてなんかいないさ。おまえが本気で俺を殺すつもりだったのなら……俺も殺していた。だが、貴様は操られている。ならばこの俺が、最強であるこのシュタルが助けてやる」
「は……ふざ……ふざけるなぁああああああ!!!」

 奴は怒り狂ったように俺に向かって剣を振ってくる。
 しかも、それの全ての攻撃に、【千刃】が乗っているのか、俺に襲い掛かってきた。

 俺はそれをさっきよりも細かく剣を振って、全てを撃ち落とす。

「なるほど、こうやって行くのがいいのか?」

 俺は奴の動きを見よう見まねで行ない、剣の刃を自身でも出せるようになった。

「はぁ!? スキルのコピーだと!? 貴様! そんなスキルだというのか!?」
「いいや? 俺のスキルは【最強】誰にも負けず、誰にもひざをつかない。常に勝利し続ける事が約束されたスキルだ」
「そんな……どうやって勝てば……」
「そこで諦めるから貴様はそこまでなのだ」
「は……」
「スキル等……乗り越えて見せろ」

 俺はそう言って、奴の腹に掌底を打ち込む。

「ぐっは!?」
「まだだ」

 奴は仮にもSランク。
 この程度で意識を狩り取れるとは思っていない。

 俺は追撃をかけようとするけれど、奴も黙っては居なかった。

「舐めるなぁ! 【千刃】!」

 奴の剣が1本、今度は真っすぐに伸びてくる。

「この程度……違う!」

 俺は軽く切り払おうとしたそれを、力を込めて受け止める。

 ギャリィン!

 奴の放ったそれは想像以上の力で俺を押し返してくる。
 恐らく、奴は追撃の剣を重ねて威力を上げているに違いない。

 俺がいった側から行動を変えてくるとは、やるじゃないか。

 奴は俺の顔を見て笑う。

「ひゃはは、中々いいことを聞いたぜぇ。これでおれはもっと強くなれる」
「そうだな。だが、それは今ではない」
「何?」
「今度、ちゃんとした修行をつけてやろう」
「ごほ!」

 俺は奴に再度掌底を放つ。
 その速度は奴が認識できない速度だ。

 奴が吹き飛ぶ間に先回りをして、そのままアゴに一撃を入れて意識を刈り取る。

 後は万が一がないように奴の頭の種を焼き切った。

「リュミエール。行くぞ」
「すごい……Sランク冒険者を手玉に……」
「操られていて剣の軌道が単調だ。1度見れば大抵の奴は対処出来る」
「そんなはずは……」
「リュミエール。今はこっちだ」
「あ、はい!」

 俺達は、もっとも敵がいるであろう玉座に入った。
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