最強すぎて追放された【最強】スキル持ちの最強魔剣士、〈最強〉を目指して最強に険しい道を進み真の最強に至る

土偶の友

文字の大きさ
69 / 137
3章

69話 最強に相応しい課題

しおりを挟む

 バッシャアアアアアアアアアン!!!

 守り神が叩きつけたかの所の湖は大きく水柱を作り出す。

「『氷結領域アイスゾーン』!」

 俺は瞬時に魔法を使い、水柱と奴を凍らせる。
 これで暴れられることは……。

「ガァァァァアァァメェェエェエェェェ!!!!!」

 バギン!

「何だと!?」

 守り神の暴れる力は恐ろしく強くなり、俺が凍らせた箇所は簡単に砕け散ってしまった。

「く、こうなったら」

 このままでは湖の水が大波となってサラスの街や川沿いを襲ってしまう。
 それを止める為に、少しの間だけでも守り神を氷漬けにしなければ。

 俺はそう考えて守り神に近付くと、アントゥーラに止められてしまう。

「シュタル殿! 氷漬けには絶対にするな!」
「なぜだ!?」
「守り神様の体力が持たない! 暴れる方がまだましだ!」
「そんな事があるのか!?」
「ある! だからこのまま好きにさせるんだ! こちらも出来る限り急ぐ!」
「っち! 仕方ない! 絶対にしくじるなよ!」
「ワシを誰だと思っている!」

 アントゥーラはそう言って魔法陣を消す作業に戻っていく。
 ちなみに、彼らは『結界魔法シールド』でしっかりと守っているので安全だ。

 しかし、これは大変なことになった。
 魔法陣を消す間、どれだけの時間がかかるのかは分からない。
 けれど、その間中……この暴れる亀を凍らせることなく、その余波だけを消さなければならないのだから。

 ゾクリ

 俺はそこまで考えた時に、その難易度で高揚こうようしてしまった。
 最強になり、戦う相手もおらず、いかにして自分にハンデをかけて戦うのか。
 そればかりを考えていた。

 けれど、今回の事は俺が全力で立ち向かわなければ、被害は0には出来ないだろう。
 失敗したら、多くの人が死ぬ。
 だが、俺が成功すれば、多くの人が助かり、守り神も助かり、全ての人が喜ぶ。

 何という二者択一だろうか。
 多くの者は挑戦すらしようとしないだろう。
 だが、これだ。
 これこそ俺が最強になるために挑戦しなければならない課題。
 最強の俺にこそ相応しい課題だ。

 成功させた時、俺はまたしても最強の階段を登るだろう。

「最高だ」

 俺は胸をがすほどの想いを胸に、現状げんじょうを把握する。

「ガァァァァアァァメェェエェエェェェ!!!!!」

 体の半分ほどが未だに凍っているのにも関わらず、守り神は全力で暴れまわっている。
 そして、その巨体が動く度に、湖は波打ち、高さ10m程の津波となって周囲へと襲い掛かっていく。

 その襲い掛かる対象には、Aランク冒険者達が乗っている船もあった。

「最初は仕方ないか。『氷結領域アイスゾーン』」

 パキン……。

 俺は守り神を範囲外にして、その周辺だけを囲むようにして凍らせる。
 だが、これだけでは足りない。
 恐らくこのままでは……。

「ガァァァァアァァメェェエェエェェェ!!!!!」

 守り神は暴れるついでとばかりに水弾をこれでもかと放ちまくって行く。

 それが着弾した氷は崩れ、それが湖に沈むとまた新たな津波を産む。
 やはりこのままでは良くない。

 凍らせた先から新たな津波が発生しているのでは、いずれ終わりが手が回らなくなるだろう。

 ではどうしたらいいのか。
 あまり魔力は使わない方がいいと思うが仕方ない、こうするんだ。

「『体力増強ライフブースト』『速度上昇スピードクロック』」

 俺は体力を向上させ、走る速度を上げる。

 そして、新たに生まれた津波の元へ走って向かう。
 当然、走る速度を上げているので、水面も簡単に走れる。

「はぁ!」

 俺は津波が生まれた場所に行くと、その津波を殴りつける。
 そして、威力に気を付けながら津波を打ち消した。

 シン……。

 俺が拳で1つの津波を消している間、守り神は新たな津波をこれでかと作り出している。
 だから、俺はそれが周囲の船を襲う前に先回りし、守り神にまでダメージがいかないような威力で津波を消して行く。

 俺は緊張と興奮が入り混じった感情でそれを延々と続けていく。

 失敗出来ない。
 たった一度でも俺が津波の元へ来ることが遅れればそれだけで被害は数百人規模。
 かと言って殴りつける威力を上げ過ぎると、暴れる守り神にもダメージが入って、死んでしまうかもしれない。

 これだけでも大変だが、更に恐ろしい事が起きる。

「ガァァァァアァァメェェエェエェェェ!!!!!」

 守り神が、氷を踏み壊し、それを天高く投げたのだ。
 奴は考えてやったのではないと思う。
 ただ単に足に引っかかり、持ち上げられただけだとは思う。

 けれど、俺はそれも何とかしなければならない。
 それを何とかしなければ、飛んでいった先で被害に遭う者が出るかもしれないからだ。

 俺は水面を走りながら考える。
 どうする? 撃ち落とす為に空を飛べば次の津波は止められない。
 かと言ってこのまま放置する事は出来ない。

 守り神の姿を見て、俺はあることを思いだした。

「簡単じゃないか……」

 俺は走りながら剣を瞬時に抜き放ち、空中を飛ぶ氷塊ひょうかいを真っ二つにする。
 でも、これでは足りない。

 俺は居合いあい要領ようりょうで何発も斬撃を飛ばし、氷塊を米粒こめつぶサイズまで小さくした。
 そして、それと同時に拳で津波をかき消す。

「よし」

 俺はやればやるほどこれが楽しくなっていた。
 もっと難しい事を、もっと厳しい事をして来い。
 そう思っていると、津波が来なくなった。

「なぜだ?」

 そう1人呟いて守り神の方を見ると、守り神はぐったりとしていて、動かなくなっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

俺が追放した役立たずスキルの無能女どもが一流冒険者になって次々と出戻りを希望してくるんだが……

立沢るうど
ファンタジー
 誰もが憧れる勇者を目指す天才冒険者『バクス』は、冒険者パーティーのメンバーである無能少女三人に愛想を尽かせ、ある日、パーティーリーダーとして追放を決意する。  一方、なぜ自分が追放されるのかを全く自覚していない彼女達は、大好きなバクスと離れたくないと訴えるも、彼にあっさりと追放されてしまう。  そんな中、バクスのパーティーへの加入を希望する三人が、入れ替わりで彼の前に現れ、その実力を見るために四人でモンスター討伐の洞窟に向かう。  その結果、バクスは三人の実力を認め、パーティーへの加入で合意。  しかし、それも長くは続かなかった。モンスター討伐を続ける日々の中、新加入三人の内の一人の少女『ディーズ』が、バクスとの冒険に不安を訴えたその翌日、なぜか三人共々、バクスの前から忽然と姿を消してしまう。  いつの間にかディーズに好意を寄せていたことに気が付いたバクス。逆に自分が追放された気分になってしまい、失意に暮れる彼の元に、追放したはずの『コミュ』が出戻り希望で再アタック(物理)。  彼女の成長を確認するため、自分の気持ちを切り替えるためにも、バクスが彼女と一緒にモンスター討伐に向かうと、彼女は短期間でとんでもない一流冒険者に成長していた……。  それを皮切りに他の二人と、かつての『仲間』も次々と出戻ってきて……。  天才冒険者の苦悩と憂鬱、そして彼を取り巻く魅力的な女の子達との笑顔の日常を描くハートフル冒険者コメディ。是非、ご一読ください!

処理中です...