最強すぎて追放された【最強】スキル持ちの最強魔剣士、〈最強〉を目指して最強に険しい道を進み真の最強に至る

土偶の友

文字の大きさ
97 / 137
4章

97話 考えていたこと

しおりを挟む
「ふぅ。もうちょっと歯ごたえが欲しかったな……」

 真っ黒に染まる空に、星が散りばめられている。

 俺はそんな空を背に、【魔陣】の死体を見つめた。

 奴は強かった。
 スキルをコピーしてくるなんて事があるとは思わなかった。
 しかし、しょせんはコピー等付け焼刃、使いこなすための熟練度じゅくれんどが全く足りていない。

「もう一回生き返らせてやるか……?」

 そんな気持ちが頭をめぐる。
 最強を目指すためにはこれだけ歯ごたえのある敵と戦い続けることだ。
 それに今回、あるていど充実した戦闘をすることが出来た。

「……やめておくか」

 少し考えたけれど、街にはまだ被害が出ている事を考えるとそれを受け入れることは出来ないだろう。
 それに、アストリアやリュミエールの事が心配だ。
 まだ……彼らの事を考えると、俺がやりたいことだけをやっている訳にはいかない。

 俺は急いで戻った。




 街では各所で火がかれ、街には多くの人が警戒をしていた。
 そんな中で、多くの者に指示を出すアストリアとリュミエールを見つける。

「魔物は無理に倒さなくてもいい! まずは囲んで! 傷つかないことを優先して!」
「魔族は勇者様と私で倒します! 見つけたら上空に合図を送って下さい! すぐに向かいます!」
「畏まりました! 勇者様! 光の巫女様!」

 伝令の冒険者が他の場所に走り去っていき、2人はその背を見た後にそれぞれ動く。

 リュミエールは周囲にいる人の治療を始め、アストリアは武器の手入れをしつつ集中力を高めていた。

 俺はそんな2人の所に降りていく。

「2人とも、成長したな」
「シュタル!」
「シュタルさん! ご無事でしたか!?」
「ああ、【魔陣】は討ち取った。【剛腕】は……」
「ボクが討ち取ったよ!」
「そうか。よくやったな。アストリア」

 俺はそう言って彼の頭をでる。

 しかし、彼は顔を真っ赤にしてすぐに払いのけた。

「もう! 子供扱いしないでよ! ボクだって強くなったんだよ!?」
「それでも俺からしたら子供だよ。後は俺に任せろ」

 2人の様子を見ていて、疲れているようだ。
 何とかして労ってやりたいと思う。
 でもその前に、この街の安全を確保することが先だ。

「『広域探知サーチ』」

 俺は索敵をして、この街にいる魔族と魔物を全てあばきだした。

「よし。残っているのは魔族が2人と魔物が5体だな。狩ってくる」
「え? そんなすぐに!?」
「ああ、簡単だぞ。お前達は宴の準備をさせておけ」

 俺は2人にそう残して街中に残っている魔族を倒しに行く。
 その時に、1人の魔族を尋問して必要な情報を聞き出した。

 片づけを終えて、俺は2人の元に戻ってくる。

「よし。全部狩ったぞ」
「もう? まだ宴の準備なんか全然だけど……」
「仕方ない。俺も暇だからな。食材を取ってくる」
「取ってくる?」
「ああ」

 俺はアストリアにそう告げると、近くの魔物が居そうな場所に足を向けた。
 そして、適当に美味そうな魔物を狩って街に戻る。

 すると、アストリアとリュミエールは先ほどの場所にいた。

「よう。そこそこの量を取ってきたぞ」
「え? もう?」
「さっきと同じ反応だな」
「だって、まだ1時間も経って……」
「俺にかかればこれくらい余裕だ。さて、リュミエール」
「はい!」
「食事は任せたぞ」
「分かりました! 任せてください!」

 リュミエールは俺のそんな無茶振りにも簡単に対応する。
 そんな彼女の成長に、俺は少し嬉しくなった。

 彼女には食材を全て渡し、俺はアストリアに向き直る。

「アストリア。暇か?」
「え? まぁ……もう敵はいないんでしょう? ならまぁ……暇だけど?」
「模擬戦をするぞ」
「え……ボク……今日【剛腕】と戦ったばっかりなんだけど……」
「関係ない。敵は待ってくれないんだ。それは……今回のことで分かった事だろう?」
「……分かった。やろう」
「よし」

 俺はアストリアを連れて、街の外に出る。

「終わりの合図は俺がする。それまで全力で来い。勇者の力を見せつけてみろ」
「……うん。ボクは……殺す気で行くよ」
「ああ、それくらいでいい」
「はぁ!」

 開始の合図など要らない。
 アストリアは俺に牽制けんせいの攻撃を仕掛けてくる。

 俺はそれを受け流し、彼の思惑おもわくに乗った。
 こちらから鋭い攻撃をさせ、それをアストリアがかわして更にカウンターを決めるという思惑に。

「はぁ!」

 俺はそれなりの速度で彼に拳を打ち込む。

「っ!?」

 しかし、俺の一撃は彼にかわされる。
 さらに、彼はその隙を突くように俺の腹に手刀を差し込む。

 トス

 俺の体にアストリアの攻撃は効かない。
 でも、彼の成長を感じられて、俺としては……満足だ。

「よくやったな」
「……本気じゃない癖に」
「それでも、お前は……もう十分強くなったよ。俺が保証してやる。魔王を倒せるのかは分からないが……。お前より強い者はほとんどいないだろう」
「ね、ねぇ。なんでそんな……別れ際みたいなことを……」
「決まっている。俺は……これから1人で行動する。リュミエールのこと。しっかりと守ってやれよ」

 俺は、アストリアとリュミエールの成長を見て、考えていたことを伝える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

俺が追放した役立たずスキルの無能女どもが一流冒険者になって次々と出戻りを希望してくるんだが……

立沢るうど
ファンタジー
 誰もが憧れる勇者を目指す天才冒険者『バクス』は、冒険者パーティーのメンバーである無能少女三人に愛想を尽かせ、ある日、パーティーリーダーとして追放を決意する。  一方、なぜ自分が追放されるのかを全く自覚していない彼女達は、大好きなバクスと離れたくないと訴えるも、彼にあっさりと追放されてしまう。  そんな中、バクスのパーティーへの加入を希望する三人が、入れ替わりで彼の前に現れ、その実力を見るために四人でモンスター討伐の洞窟に向かう。  その結果、バクスは三人の実力を認め、パーティーへの加入で合意。  しかし、それも長くは続かなかった。モンスター討伐を続ける日々の中、新加入三人の内の一人の少女『ディーズ』が、バクスとの冒険に不安を訴えたその翌日、なぜか三人共々、バクスの前から忽然と姿を消してしまう。  いつの間にかディーズに好意を寄せていたことに気が付いたバクス。逆に自分が追放された気分になってしまい、失意に暮れる彼の元に、追放したはずの『コミュ』が出戻り希望で再アタック(物理)。  彼女の成長を確認するため、自分の気持ちを切り替えるためにも、バクスが彼女と一緒にモンスター討伐に向かうと、彼女は短期間でとんでもない一流冒険者に成長していた……。  それを皮切りに他の二人と、かつての『仲間』も次々と出戻ってきて……。  天才冒険者の苦悩と憂鬱、そして彼を取り巻く魅力的な女の子達との笑顔の日常を描くハートフル冒険者コメディ。是非、ご一読ください!

処理中です...