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5章
107話 グンドラ
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こいつらは全員殺す。
それは既に決定事項だ。
だが、最後の言葉を聞くくらいの慈悲は俺にだってある。
奴は最期に吠える。
「貴様……何を言っている? おれの実力を知らないのか?」
「知る訳ないだろう。貴様の様な地方の3流兵士のことなど。うぬぼれるな」
「魔族の分際で……よくもおれにそんな口の聞き方をしてくれたな」
「……まぁいい。これ以上言葉を重ねても無駄だろう。いいからかかってこい。少し位は遊んでやる」
オークの姿を見ている気にはなれないし、これ以上話しているとこいつの側にいる魔族の者達が死んでしまうかもしれない。
一応……生きている事は『広域探知』で確認しているが。
「いいだろう……そこまでいうのであれば殺してやる。死ね!」
奴は戦斧を振りかぶり、俺に向かって叩きつけてくる。
俺はそれを片手で受け止めて、奴の腹に拳を叩き込む。
ドムン!
奴の腹の脂肪が波の様に揺れ、そのまま真後ろに吹き飛んでいった。
ドゴォン!
そしてそのまま壁にめり込み、こちらをにらみつけてきた。
「ほう。流石オーク。頑丈さだけはあるようだな?」
「貴様……何者……」
「言っただろう? 俺はシュタル。最強の魔剣士だ」
「さい……きょう……」
「そうだ。弱い者は奪われる。それを体現してきたお前だ。今更奪われることに対して文句は言うまい?」
俺は剣を抜き放ちながら奴に向かって近づいて行く。
「ひぃ! ま、待て! 分かった! 分かったから! もう二度と魔族には手を出さない! だから見逃してくれ!」
奴は今までしてきた事はなかった事のように懇願してくる。
元々醜い表情を浮かべていたが、今は見るに耐えない。
「見逃す……か。なるほどな。では……こうしたらどうする? 貴様の部下……それを全て貴様の手で殺せ」
俺は試すように言ってみた。
すると、奴は乾いた笑いを浮かべながら言う。
「わかった! 分かった! すぐにやる! だから待っていてくれ!」
「……そうか。では枷をハメさせてもらうぞ」
「枷……?」
「当然だ。お前が嘘をつかない理由などないからな。その証明の為だ」
俺は『収納』から、呪われた魔道具を取り出す。
見た目はいかついトゲのついた首輪だ。
「そ、それは……」
「これは俺の命令を正しく聞き終わるまで決して外れない。そして、命令を実行してくなれば首を絞められる」
俺はこの魔道具の全てを言わず、一部分だけを話す。
「ほ、本当に……それをつければ助けてくれるんだな?」
「ああ。俺の名に誓って約束しよう」
「分かった。つける」
「言ったな」
俺は奴の首に魔道具を投げつけると、首輪は意思を持ったようにグンドラの首に巻きつく。
「ひ」
「グンドラ。貴様に命じる。貴様の部下も全て殺せ。因みに、関係ない者を殺傷することは許さない」
「こんな奴に……」
奴は口を開くが、俺はそれを冷たい目で見る。
「本当に全員殺したら解放してくれるんだろうな?」
「それはその首輪が教えてくれるだろう」
「な! そんな勝手な……ぐえぇ」
俺に歯向かってくる奴の首が徐々に絞められていく。
「いいのか? 早く殺しに行かないと首が絞め続けられるぞ?」
「く、くそう……」
奴は悪態をつきながらも、1人走り去っていく。
俺はその姿を見送り、倒れている女性たちにポーションを飲ませて地下2階に連れていく。
地下2階に入ると、服は着ていないけれど、それぞれが何とか立ち上がっているところだった。
その中にいる最初に助けた女性を見つけ、近づいて話しかける。
「調子はどうだ?」
「あ! 貴方は! ありがとうございます! ここにいる者達は皆助ける事が出来ました!」
「そうか。上にいる残っている者達を連れてくる。ポーションは足りるか?」
「はい! まだ十分な量があります!」
「よし。ではこの女たちをおいていく。介抱してくれ」
「分かりました!」
俺は女性たちをおいて、他の階にいる人も助けていった。
そして、全ての女性を助けた後に、この後の事を話す。
「よし。この砦はもう終わりだ。さっさと脱出するぞ」
「脱出……ですか? しかし……グンドラは……」
「奴は今自分の部下を狩ることしか出来なくなっている。だから気にするな」
「え? ど、どういう……ことですか?」
「奴には……死ぬまで……いや、死ぬほどの思いをしても苦しみ続ける呪いをかけた」
「どういうことですか!?」
彼女は驚きに目を見開いていた。
それは既に決定事項だ。
だが、最後の言葉を聞くくらいの慈悲は俺にだってある。
奴は最期に吠える。
「貴様……何を言っている? おれの実力を知らないのか?」
「知る訳ないだろう。貴様の様な地方の3流兵士のことなど。うぬぼれるな」
「魔族の分際で……よくもおれにそんな口の聞き方をしてくれたな」
「……まぁいい。これ以上言葉を重ねても無駄だろう。いいからかかってこい。少し位は遊んでやる」
オークの姿を見ている気にはなれないし、これ以上話しているとこいつの側にいる魔族の者達が死んでしまうかもしれない。
一応……生きている事は『広域探知』で確認しているが。
「いいだろう……そこまでいうのであれば殺してやる。死ね!」
奴は戦斧を振りかぶり、俺に向かって叩きつけてくる。
俺はそれを片手で受け止めて、奴の腹に拳を叩き込む。
ドムン!
奴の腹の脂肪が波の様に揺れ、そのまま真後ろに吹き飛んでいった。
ドゴォン!
そしてそのまま壁にめり込み、こちらをにらみつけてきた。
「ほう。流石オーク。頑丈さだけはあるようだな?」
「貴様……何者……」
「言っただろう? 俺はシュタル。最強の魔剣士だ」
「さい……きょう……」
「そうだ。弱い者は奪われる。それを体現してきたお前だ。今更奪われることに対して文句は言うまい?」
俺は剣を抜き放ちながら奴に向かって近づいて行く。
「ひぃ! ま、待て! 分かった! 分かったから! もう二度と魔族には手を出さない! だから見逃してくれ!」
奴は今までしてきた事はなかった事のように懇願してくる。
元々醜い表情を浮かべていたが、今は見るに耐えない。
「見逃す……か。なるほどな。では……こうしたらどうする? 貴様の部下……それを全て貴様の手で殺せ」
俺は試すように言ってみた。
すると、奴は乾いた笑いを浮かべながら言う。
「わかった! 分かった! すぐにやる! だから待っていてくれ!」
「……そうか。では枷をハメさせてもらうぞ」
「枷……?」
「当然だ。お前が嘘をつかない理由などないからな。その証明の為だ」
俺は『収納』から、呪われた魔道具を取り出す。
見た目はいかついトゲのついた首輪だ。
「そ、それは……」
「これは俺の命令を正しく聞き終わるまで決して外れない。そして、命令を実行してくなれば首を絞められる」
俺はこの魔道具の全てを言わず、一部分だけを話す。
「ほ、本当に……それをつければ助けてくれるんだな?」
「ああ。俺の名に誓って約束しよう」
「分かった。つける」
「言ったな」
俺は奴の首に魔道具を投げつけると、首輪は意思を持ったようにグンドラの首に巻きつく。
「ひ」
「グンドラ。貴様に命じる。貴様の部下も全て殺せ。因みに、関係ない者を殺傷することは許さない」
「こんな奴に……」
奴は口を開くが、俺はそれを冷たい目で見る。
「本当に全員殺したら解放してくれるんだろうな?」
「それはその首輪が教えてくれるだろう」
「な! そんな勝手な……ぐえぇ」
俺に歯向かってくる奴の首が徐々に絞められていく。
「いいのか? 早く殺しに行かないと首が絞め続けられるぞ?」
「く、くそう……」
奴は悪態をつきながらも、1人走り去っていく。
俺はその姿を見送り、倒れている女性たちにポーションを飲ませて地下2階に連れていく。
地下2階に入ると、服は着ていないけれど、それぞれが何とか立ち上がっているところだった。
その中にいる最初に助けた女性を見つけ、近づいて話しかける。
「調子はどうだ?」
「あ! 貴方は! ありがとうございます! ここにいる者達は皆助ける事が出来ました!」
「そうか。上にいる残っている者達を連れてくる。ポーションは足りるか?」
「はい! まだ十分な量があります!」
「よし。ではこの女たちをおいていく。介抱してくれ」
「分かりました!」
俺は女性たちをおいて、他の階にいる人も助けていった。
そして、全ての女性を助けた後に、この後の事を話す。
「よし。この砦はもう終わりだ。さっさと脱出するぞ」
「脱出……ですか? しかし……グンドラは……」
「奴は今自分の部下を狩ることしか出来なくなっている。だから気にするな」
「え? ど、どういう……ことですか?」
「奴には……死ぬまで……いや、死ぬほどの思いをしても苦しみ続ける呪いをかけた」
「どういうことですか!?」
彼女は驚きに目を見開いていた。
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