World Creature Online~私はイノシシになって全てのモンスターをぶっ飛ばす~

土偶の友

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36話 ジャイアントサイクロンマグロ

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アキは『瞑想』に入ってしまったけど、大分やってくれたのだ。任せるわけにはいかない。

「仕方ないね! 私たちだけでケリをつけるよ!」
「ええ! アキさんが起きるのを待たないんですか!?」

 フユカは驚くが、ナツキは賛同してくれる。

「何言ってるのよ! 今が絶好のチャンスよ! ハル! 行きなさい!」
「当然だよ!」

 私は『突進』した勢いのまま奴を追う。

「ギョギョギョギョギョ!!!???」

 奴はよろよろしているから隙だらけだ。

「『牙で突く』!」
「ギョギョギョギョ!!!???」

 私はさっきの弱点を牙で攻撃する。これで決まったんじゃないだろうか。

「ギョギョギョーーーーー!!!」
「え?」
「ちょっと!?」
「うわーーー!?」

 私たちは突然吹き飛ばされる。

 何が起きたのか分かったのは、海底について少ししてからだった。

「これは……?」
「水流が巻き起こされてる?」
「水流?」
「きっと、アイツが最後の力を絞って出したのかもしれない。それでこの水流に乗って逃げたのよ! 私たちもこの水流に乗って奴を追うわよ!」

 そう、奴は竜巻の横向きとでもいうものを発生させ、かなりの距離を稼いでいたのだ。私たちが追いつくには、同じように水流に乗るしかない。

「待ってください!」

 私が足を向けようとしたら、フユカが止めてくる。

「どうしたの?」
「危険すぎます! アキさんが起きてからにした方がいいと思います!」

 フユカは怖がっている様な感じだ。でも、そんな言葉は聞き入れられない。

「フユカ。敵を倒すのに、危険のない選択肢なんてないのよ」
「そうだよ。マグロがこんなことをやっているのは、それだけ追い詰められているから。ここで突撃して、アイツが体勢を整える前に倒すのが一番いいと思う」
「でも……」
「私達を信じなさい。ハルが駆け抜ける先にはちゃんと勝利があるから」
「そこまで言ってもらえるとはね。でも、進まなきゃ未来は見えてこないよ!」

 私は彼女の返事を待たずに走り出す。

「本当に……。本当に勝てるんですか?」
「さぁ? でも、進まなきゃ勝てるかどうか分からないからね!」
「……分かりました。僕も。覚悟を決めます!」
「ええ! いい言葉ね! 私たちは一緒に前に進むのよ!」

 私たちは心を一つにして、一緒に前に進む。

「アキさんが目を覚ますまで取っておこうと思ったんですが、ここで使ってしまいますね!」
「何するの?」
「『共有』です!」

 フユカがスキル? を唱えると、私の視界がサーモグラフィーを見た時のように、青色や赤色で表示される。

「これは?」
「これは僕の『ソナー』で帰ってきた情報を近くの味方と共有する事が出来るスキルです! あんまり長い時間使っていることは出来ないし、距離もかなり近くにいないと使えないんですけど、この距離なら使えるんです!」
「こんなに私達向きのスキルはないね! ありがとう! これで水流の流れも良く見える!」

 私は目の前から返ってくる情報を元に、水流に入って駆け抜ける。水流には走れるような小さな道があるみたいで、それを上手い事走って行くと速度が出せるようだ。

 よろよろとした動きのマグロには直ぐに追いつける!

「後少しだね!」
「ギョギョギョギョギョ!!!」

 バウウウウウウウウン!!!

「こっちか!」

 私の目に、マグロがこちらを向いて口から何かを吐き出すのが見えた。

 その何かを躱す様に横に逸れると、直ぐ傍を衝撃波が通り抜け、浮かんでいた小石を消し炭にした。

「すごいよフユカ!」

 私は奴目掛けて走り出す。

「気を付けてください! まだ奴の攻撃は続きます!」
「ギョギョギョギョギョ!!!」

 バウ、バウ、バウ、バウウウウウウウン!

「これは躱せない!」

 さっきは横に避けることが出来たけど、今はどこに避けても当たる。奴までの距離が近いからこそそれが分かってしまう。

「そんな時こそ私の出番でしょう! 『胞子シールド』! 『守れプロテクト』! 『抗えレジスト』! 効くか分からないけど『水の加護をアンチウォーター』!」

 私の目の前に緑色の胞子が生まれ、壁の様に張られる。ただし、その数が3枚もあり今までとは違った感じだ。

「こうすることも出来るのよね!使い方はそれぞれよ!」

 ガ、ガ、バリン、ガイン!!!

「1枚割られてもまだあんのよ!」
「すごい! 流石ナツキ!」
「後はアンタの番よ! 見せてやんなさい!」
「分かったよ!」
「ギョギョギョギョギョ!!!???」

 奴は私のすぐ目の前で振り向こうとしている。でも遅い。もう私の射程だ!

「『牙で切り裂く』! 『ぶちかまし』!」

 ドカアアアアアアアアアン!!!

「きゃあああああ!!!」
「何で毎回飛ぶのかしら!?」
「目が回りますぅ!!!」
「まだ半分だけど起きた何これえええええ!!!???」
「あ、アキ。おはよー」

 私達は吹き飛びながら、水流に揉まれ、海底につく。

 スク。

 戦闘はまだ終わってないかもしれない。

「皆、大丈夫?」
「流石にこんなに暗い所で水流に揉まれながらは初めてよ」
「すごい目覚ましだよー」
「ちょっとメリーゴーランドが恐怖症になりそうです」

『ハル はレベルアップしました。Lv37→Lv38になりました。ステータスが上昇しました。スキルポイントを10取得しました』

「おお、勝ったー!」
「すごい……本当に勝てるなんて……」
「私たちにかかればこんなもんよ!」
「瞑想中に倒されるのびっくりするわー」
「ねぇ。なんかすごく明るくなってない?」

 ナツキが言う通り、周囲が少しずつ明るくなっていく。それに合わせてどんな場所で戦っていたのかが分かる。

 基本的には平らな場所だけど、岩が何個もあってかなりごつごつした場所だ。

「奥で光ってるのがさっきのマグロかな?」
「そうみたいね」
「どうして光ってるんだろー?」
「一度行ってみるのがいいんじゃないでしょうか? 敵もいませんし、罠もないみたいです」
「それじゃあ行くね」

 私はのしのしと歩き、その光輝く場所に向かう。

 そこには、眩い光を放つマグロが横たわっている。他にもマグロの体の側に、マグロと同じぐらい輝く30cm位の玉が存在していた。

「これは……?」
「取ってみましょう」
「分かった」

 私はその光る玉をアイテムボックスに入れる。

『ハルは輝く光の玉を入手しました。海底の輝きダンジョンをクリアしました。称号輝きを導くものの称号を取得しました』

「え? っていうことはもしかして」
「ナツキ?」

『ハルは海底の輝きダンジョンをクリアをクリアする際、ジャイアントサイクロンマグロを倒しました。称号一本釣りの名人を取得しました』

「一本釣り……?」

 どういうことだろうか? その疑問にはアキが教えてくれる。

「あー。マグロって言うのは一本釣りっていうやり方で吊り上げるのが割と一般的だったりするんだよー」
「え? 5mもあったわよ?」
「流石にリアルのはあんなに大きくないよー? で、マグロの一本釣りっていう言葉とかがあるんだー」
「そうだったんですね」
「アキ物知りー」
「ほんとね。寝ながら辞書でも引いているのかしら?」
「寝ながらまで勉強はしないよー」
「それで、この後はどうすればいいのかな?」
「街に戻りませんか?」
「「「街???」」」

 私達の声が重なる。
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