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5章
108話 幕間 ロベルトの交渉
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***ロベルト視点***
数週間前、ヴィクトリアがレストラリアに旅立ってから、俺はゴルーニ侯爵に掛け合っていた。
「ゴルーニ侯爵様! 俺に少しでいいので、運動する時間を作ってくださいませんか!」
「どうした突然……。勉強もあるのだろう」
俺は面倒そうに言って来る侯爵に何とか食い下がる。
「勉強もあります! 確かにありますが、1日中机にかじりついていては気がめいってしまいます! なので、どうか、どうか1時間だけでも剣を振ったりして、運動する時間が欲しいのです!」
「はぁ……確かに男にとって剣の腕は大事だ。戦場に出ることもあるからな。しかし、お前はそこまでの実力は必要ないだろう?」
「あります! 何かあった時に、エミリオやエカチェリーナを守らないといけません!」
「それは……立派な志だが……」
「どうかお願いします! 俺に……大事な人を守る力欲しいのです!」
ヴィクトリアがいない今しか出来ないのだ。
以前、彼女にも同じように言ったけれど、そんな事は貴族としての行動が正しく出来るようになってから、と一蹴されてしまった。
でも、流石に毎日机と向き合っていると、本当に気がめいってくる。
だから、なんとしてもゴルーニ侯爵を説得して、1時間でもいいので運動をさせてもらう時間が欲しかった。
俺のそんな思いが通じたのか、侯爵は頷いてくれた。
「……仕方ない。1時間だけだぞ」
「ありがとうございます!」
俺は侯爵に頭を下げる。
「話は以上か? こちらも鉱山の人材不足の件でまた補充が必要になっていて忙しいんだ。行くか?」
「すいません! 遠慮させて頂きます! それでは失礼します!」
俺はスキップしたくなる気持ちを抑えて部屋を出る。
良かった。
これで多少は気が晴れる。
俺に剣の才能はないけれど、少し振るったりする事が出来るのは楽しいのだ。
この日から、俺は剣を振り始める。
睡眠時間はちょっと少ないけれど、それでも、俺は……こうやって剣を振っている時がとても楽しい。
すべてを忘れて無心でやっていける。
こんなひと時が俺にとっての救いだった。
俺が素振りをするのは昼の1時から。
食事が終わり、肌寒い風と少し暖かい日の下で心いくまで素振りをする。
時折屋敷の騎士がもっとこうした方がいい。
もっとこっちの振り方をするべきだと教えてくれたりもするので、俺の剣の腕も少しずつ上がっているような気がする。
そんな時に、想定外の事が起きた。
俺が屋敷で剣を振っていると、門の方がかなり慌ただしくなる。
一体何が起きたのだろうか。
でもきっと俺には関係ないだろう。
だって屋敷からほとんど出ていないのだから。
そう思って素振りを続けていた。
色々と心を無にして振っていると、護衛を多数引き連れた1台の豪華な馬車がゴルーニ侯爵家に入って来るところだった。
「どこの馬車だろう……。あんなに豪華な馬車は見たことがないけど……」
のんきに考えながら剣を振っていると、屋敷の執事が現れた。
「ロベルト様。急ぎ屋敷の中にお戻りを」
「なぜだ? まだ時間は半分も経っていないだろう。俺は振り続けるぞ」
折角ゴルーニ侯爵を説得して勝ち取った権利だ。
そうそう邪魔されてなるものか。
俺にとって、こうやって剣を振っている時とベッドの中が唯一の癒やし。
これくらいは許して欲しい。
「いえ、今はタイミングが悪いのです! どうか。どうかお聞き入れください!」
「断る。俺はこうやって剣を振る為に生まれて来たんだ……」
「どうしてそこまで強情に……仕方ない。お前達!」
「はっ!」
「え?」
執事の合図で、いつも俺に剣を教えてくれている騎士たちが数人現れる。
「ロベルト様。失礼いたします」
「え? 待ってくれ! 俺は……俺はまだ剣を振りたいんだ!」
俺の唯一の癒やしの時間を邪魔するのは許さない。
厳しい授業にも耐えてちゃんとやっているのに、これくらいの時間を邪魔される訳にはいかない。
俺は暴れて騎士たちの拘束から解かれようとする。
けれど、騎士たちはとても強く、簡単に逃れられない。
俺はそうやって騎士たちに連れられて、屋敷の中に連れ戻された。
ただその時、豪華な馬車の中から、ニヤリと笑うちょび髭の生えたおっさんと目があったような気がした。
「はぁ……」
屋敷の中に裏口から連れ戻されて、ひとまず自室待機という事でぼんやりとしていた。
「どうして……素振りくらいさせてくれてもいいのに……」
そんな事を思っていると、部屋がノックされる。
コンコン
「どうぞー」
気の抜けた返事をすると、入って来たのはさっき俺を連れ戻した執事だ。
「ロベルト様。旦那様がお呼びです」
「ゴルーニ侯爵様が?」
「はい。それと……来客の方もご一緒です」
「来客?」
「はい。失礼のないように……との事です」
「分かりました」
「ではこちらへ」
執事について行くと、そこはこの屋敷の中でもっとも豪華な客室へ向かっていた。
一体どんな人がいるのだろうか。
部屋に入る前に、執事さんがきつく……きつく言って来る。
「ロベルト様。いいですか? 決して、決して気を抜いてはいけませんよ。失礼な事をしてはならない。分かりましたね?」
「え? は、はぁ……」
そんな事は言いつつも、俺を呼ぶと言うことはそこまでの人ではないだろう。
俺は中央に知り合いなどいないしな。
「……」
コンコン
「入れ」
執事がノックをして、返事がすぐに返ってきた。
「ロベルト様をお連れしました」
ガチャリ。
執事は扉を開けて、俺に入る様に促す。
俺は一応背筋を伸ばして貴族らしい振舞いで部屋に入る。
伊達に毎日教育を受けている訳ではない。
この程度朝飯前だ。
というか、朝飯の前にいつもやらされている。
出来ないと食事が出来ないので必死で出来るようにした。
「やぁやぁ。よく来てくれたね。ロベルト君?」
そう言ってくるのは、先ほど馬車の中から俺を見ていたちょび髭のおっさんだ。
しかし、俺は分かっている。
ゴルーニ侯爵がこの豪華な部屋に誰かを入れたということは、このちょび髭のオーラのないおっさんは偉い人なのだ。
だから決して油断はしない。
そう、俺はもうミスを犯さない。
「初めまして、バルトラン子爵家が長男、ロベルトです」
俺は王冠を被った様に見えるおっさんにそう挨拶をする。
なぜ俺を呼んだのかは分からない。
でも、ここで急に用事が出来た等と言って逃げる事が出来るわけがない。
「ロベルトは元気そうだな?」
「? はい。そう……かもしれませんね」
「うむうむ。先ほども剣の訓練をしていたようだし、そちらの才能があるのかな?」
何か先ほどから探る様な事を聞いてくる。
ただし、口調や表情はいたって普通だ。
「それ……」
「うおっほん。ロベルト、先ほどは剣の振りすぎで疲れているだろう。少し休んだ方がいいんじゃないのか?」
俺が答えようとしたら、ゴルーニ侯爵に止められてしまう。
でもなぜだろうか。
考えがまとまる前にちょび髭が答える。
「そんな事はないだろう? 先ほど元気と言っていたではないか。ワシはもう少し君と話してみたいんだ。どうだね?」
「何を言っているのですか。ロベルト、疲れたままの状況でここにいる必要はない。戻るといい」
来客のちょび髭は残れと言うし、ゴルーニ侯爵は帰れと言う。
俺は考える。
2人の意見が対立している。
とても……とても重要な場面だ。
正直、ちょび髭の言うことは分からなくもない。
俺と話したいと言ってくれるのは嬉しいし、俺も家族の為に話した方がいいと思っている。
中央で偉い人と話し、コネクションを作る、これが俺がやらなければならない事だからだ。
けれど、それは、きっとゴルーニ侯爵が賛成してくれていたらやるべきだと思う。
そう。
俺はもう間違えない!
「申し訳ありません。私は少々疲れておりますので、これで失礼しようと思っております」
「ふむ……そうか。残念だ」
「……(ほっ)」
よし!
ちょび髭は少し残念そうにし、ゴルーニ侯爵は分かりやすくホッとした表情を浮かべている。
俺はあっていたようだ。
「それでは失礼いたします」
俺が彼らに頭を下げて、帰ろうとした時に、ちょび髭がそれを止める。
「まぁ待ちたまえよ。バルトラン子爵家の嫡男ロベルトよ」
「はい?」
「貴様、もしかしてゴルーニ侯爵に捕らえられているのではないのか?」
「はい?」
俺は何言っているんだこのおっさん。
という目で思わず見てしまった。
ちょび髭は更に続ける。
「先ほどもそうだ。剣を振っていたのを、まるで拘束されるように連れられていっていたな?」
「……」
実際そうだった為何も言えない。
「黙るという事はそういう事か? ゴルーニ侯爵、ここで彼を帰す事は……やましい事があるという事と何が違う?」
「……では後日会うという事でいかがでしょうか」
「それまでに何か吹き込まれたら大変だ。今やろうではないか。なぁ?」
「……いいか?」
「……はい」
ゴルーニ侯爵に言われて、俺は仕方なく諦めてゴルーニ侯爵の隣に座る。
しかし、このちょび髭は一体何なんだ。
というかどこの誰だ。
侯爵にやたら上から話しかけているし。
「それで陛下、一体何の御用があって来られたのですか?」
「それはな婚約を結ばんか?」
「は……?」
彼の言葉を聞いた俺は、思わず目玉が飛び出るかと思った。
「陛下……それは流石に……」
「は!?」
俺は、続けてゴルーニ侯爵の口から陛下と漏れた言葉に耳に大きな穴をあけたくなった。
数週間前、ヴィクトリアがレストラリアに旅立ってから、俺はゴルーニ侯爵に掛け合っていた。
「ゴルーニ侯爵様! 俺に少しでいいので、運動する時間を作ってくださいませんか!」
「どうした突然……。勉強もあるのだろう」
俺は面倒そうに言って来る侯爵に何とか食い下がる。
「勉強もあります! 確かにありますが、1日中机にかじりついていては気がめいってしまいます! なので、どうか、どうか1時間だけでも剣を振ったりして、運動する時間が欲しいのです!」
「はぁ……確かに男にとって剣の腕は大事だ。戦場に出ることもあるからな。しかし、お前はそこまでの実力は必要ないだろう?」
「あります! 何かあった時に、エミリオやエカチェリーナを守らないといけません!」
「それは……立派な志だが……」
「どうかお願いします! 俺に……大事な人を守る力欲しいのです!」
ヴィクトリアがいない今しか出来ないのだ。
以前、彼女にも同じように言ったけれど、そんな事は貴族としての行動が正しく出来るようになってから、と一蹴されてしまった。
でも、流石に毎日机と向き合っていると、本当に気がめいってくる。
だから、なんとしてもゴルーニ侯爵を説得して、1時間でもいいので運動をさせてもらう時間が欲しかった。
俺のそんな思いが通じたのか、侯爵は頷いてくれた。
「……仕方ない。1時間だけだぞ」
「ありがとうございます!」
俺は侯爵に頭を下げる。
「話は以上か? こちらも鉱山の人材不足の件でまた補充が必要になっていて忙しいんだ。行くか?」
「すいません! 遠慮させて頂きます! それでは失礼します!」
俺はスキップしたくなる気持ちを抑えて部屋を出る。
良かった。
これで多少は気が晴れる。
俺に剣の才能はないけれど、少し振るったりする事が出来るのは楽しいのだ。
この日から、俺は剣を振り始める。
睡眠時間はちょっと少ないけれど、それでも、俺は……こうやって剣を振っている時がとても楽しい。
すべてを忘れて無心でやっていける。
こんなひと時が俺にとっての救いだった。
俺が素振りをするのは昼の1時から。
食事が終わり、肌寒い風と少し暖かい日の下で心いくまで素振りをする。
時折屋敷の騎士がもっとこうした方がいい。
もっとこっちの振り方をするべきだと教えてくれたりもするので、俺の剣の腕も少しずつ上がっているような気がする。
そんな時に、想定外の事が起きた。
俺が屋敷で剣を振っていると、門の方がかなり慌ただしくなる。
一体何が起きたのだろうか。
でもきっと俺には関係ないだろう。
だって屋敷からほとんど出ていないのだから。
そう思って素振りを続けていた。
色々と心を無にして振っていると、護衛を多数引き連れた1台の豪華な馬車がゴルーニ侯爵家に入って来るところだった。
「どこの馬車だろう……。あんなに豪華な馬車は見たことがないけど……」
のんきに考えながら剣を振っていると、屋敷の執事が現れた。
「ロベルト様。急ぎ屋敷の中にお戻りを」
「なぜだ? まだ時間は半分も経っていないだろう。俺は振り続けるぞ」
折角ゴルーニ侯爵を説得して勝ち取った権利だ。
そうそう邪魔されてなるものか。
俺にとって、こうやって剣を振っている時とベッドの中が唯一の癒やし。
これくらいは許して欲しい。
「いえ、今はタイミングが悪いのです! どうか。どうかお聞き入れください!」
「断る。俺はこうやって剣を振る為に生まれて来たんだ……」
「どうしてそこまで強情に……仕方ない。お前達!」
「はっ!」
「え?」
執事の合図で、いつも俺に剣を教えてくれている騎士たちが数人現れる。
「ロベルト様。失礼いたします」
「え? 待ってくれ! 俺は……俺はまだ剣を振りたいんだ!」
俺の唯一の癒やしの時間を邪魔するのは許さない。
厳しい授業にも耐えてちゃんとやっているのに、これくらいの時間を邪魔される訳にはいかない。
俺は暴れて騎士たちの拘束から解かれようとする。
けれど、騎士たちはとても強く、簡単に逃れられない。
俺はそうやって騎士たちに連れられて、屋敷の中に連れ戻された。
ただその時、豪華な馬車の中から、ニヤリと笑うちょび髭の生えたおっさんと目があったような気がした。
「はぁ……」
屋敷の中に裏口から連れ戻されて、ひとまず自室待機という事でぼんやりとしていた。
「どうして……素振りくらいさせてくれてもいいのに……」
そんな事を思っていると、部屋がノックされる。
コンコン
「どうぞー」
気の抜けた返事をすると、入って来たのはさっき俺を連れ戻した執事だ。
「ロベルト様。旦那様がお呼びです」
「ゴルーニ侯爵様が?」
「はい。それと……来客の方もご一緒です」
「来客?」
「はい。失礼のないように……との事です」
「分かりました」
「ではこちらへ」
執事について行くと、そこはこの屋敷の中でもっとも豪華な客室へ向かっていた。
一体どんな人がいるのだろうか。
部屋に入る前に、執事さんがきつく……きつく言って来る。
「ロベルト様。いいですか? 決して、決して気を抜いてはいけませんよ。失礼な事をしてはならない。分かりましたね?」
「え? は、はぁ……」
そんな事は言いつつも、俺を呼ぶと言うことはそこまでの人ではないだろう。
俺は中央に知り合いなどいないしな。
「……」
コンコン
「入れ」
執事がノックをして、返事がすぐに返ってきた。
「ロベルト様をお連れしました」
ガチャリ。
執事は扉を開けて、俺に入る様に促す。
俺は一応背筋を伸ばして貴族らしい振舞いで部屋に入る。
伊達に毎日教育を受けている訳ではない。
この程度朝飯前だ。
というか、朝飯の前にいつもやらされている。
出来ないと食事が出来ないので必死で出来るようにした。
「やぁやぁ。よく来てくれたね。ロベルト君?」
そう言ってくるのは、先ほど馬車の中から俺を見ていたちょび髭のおっさんだ。
しかし、俺は分かっている。
ゴルーニ侯爵がこの豪華な部屋に誰かを入れたということは、このちょび髭のオーラのないおっさんは偉い人なのだ。
だから決して油断はしない。
そう、俺はもうミスを犯さない。
「初めまして、バルトラン子爵家が長男、ロベルトです」
俺は王冠を被った様に見えるおっさんにそう挨拶をする。
なぜ俺を呼んだのかは分からない。
でも、ここで急に用事が出来た等と言って逃げる事が出来るわけがない。
「ロベルトは元気そうだな?」
「? はい。そう……かもしれませんね」
「うむうむ。先ほども剣の訓練をしていたようだし、そちらの才能があるのかな?」
何か先ほどから探る様な事を聞いてくる。
ただし、口調や表情はいたって普通だ。
「それ……」
「うおっほん。ロベルト、先ほどは剣の振りすぎで疲れているだろう。少し休んだ方がいいんじゃないのか?」
俺が答えようとしたら、ゴルーニ侯爵に止められてしまう。
でもなぜだろうか。
考えがまとまる前にちょび髭が答える。
「そんな事はないだろう? 先ほど元気と言っていたではないか。ワシはもう少し君と話してみたいんだ。どうだね?」
「何を言っているのですか。ロベルト、疲れたままの状況でここにいる必要はない。戻るといい」
来客のちょび髭は残れと言うし、ゴルーニ侯爵は帰れと言う。
俺は考える。
2人の意見が対立している。
とても……とても重要な場面だ。
正直、ちょび髭の言うことは分からなくもない。
俺と話したいと言ってくれるのは嬉しいし、俺も家族の為に話した方がいいと思っている。
中央で偉い人と話し、コネクションを作る、これが俺がやらなければならない事だからだ。
けれど、それは、きっとゴルーニ侯爵が賛成してくれていたらやるべきだと思う。
そう。
俺はもう間違えない!
「申し訳ありません。私は少々疲れておりますので、これで失礼しようと思っております」
「ふむ……そうか。残念だ」
「……(ほっ)」
よし!
ちょび髭は少し残念そうにし、ゴルーニ侯爵は分かりやすくホッとした表情を浮かべている。
俺はあっていたようだ。
「それでは失礼いたします」
俺が彼らに頭を下げて、帰ろうとした時に、ちょび髭がそれを止める。
「まぁ待ちたまえよ。バルトラン子爵家の嫡男ロベルトよ」
「はい?」
「貴様、もしかしてゴルーニ侯爵に捕らえられているのではないのか?」
「はい?」
俺は何言っているんだこのおっさん。
という目で思わず見てしまった。
ちょび髭は更に続ける。
「先ほどもそうだ。剣を振っていたのを、まるで拘束されるように連れられていっていたな?」
「……」
実際そうだった為何も言えない。
「黙るという事はそういう事か? ゴルーニ侯爵、ここで彼を帰す事は……やましい事があるという事と何が違う?」
「……では後日会うという事でいかがでしょうか」
「それまでに何か吹き込まれたら大変だ。今やろうではないか。なぁ?」
「……いいか?」
「……はい」
ゴルーニ侯爵に言われて、俺は仕方なく諦めてゴルーニ侯爵の隣に座る。
しかし、このちょび髭は一体何なんだ。
というかどこの誰だ。
侯爵にやたら上から話しかけているし。
「それで陛下、一体何の御用があって来られたのですか?」
「それはな婚約を結ばんか?」
「は……?」
彼の言葉を聞いた俺は、思わず目玉が飛び出るかと思った。
「陛下……それは流石に……」
「は!?」
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