「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

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1章

19話 vsゴブリンジェネラル②

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「【タコ化:クラーケン】」
「ゲギャギャ!?」

 僕は触手に1本に絞って力を解放させる。

「ぐぅ……ぐぬぅ!」

 やばい。
 今回のクラーケンの力が前回よりも圧倒的に強い。
 それは前回使った時は人間形態だったけれど、今回はタコの形態なのが影響しているかもしれない。

 いけない。
 分析をするよりも先にゴブリンジェネラルを殺さなければ。

 僕はクラーケン化した触手を持ち上げ、残る2本の触手を使ってゆっくりとゴブリンジェネラルに近付いて行く。

 奴は俺の雰囲気が変わったことに気が付いたのか、ガクガクと震えて座り込んでいる。

 俺はそのままゆっくりと近付き、そっと、クラーケンの触手を奴の首筋に近付けた。

 キュッ……コロリ

 クラーケンの触手を使い、奴の首を綿の様に握りつぶす。

 奴の首はそのまま転がり落ち、微動だにしない。

「やった……ぐぅ!」

 俺は更に多くの獲物を食らおうとする触手を抑えるのに必死になる。
 触手の向きからしてレイラに向かうつもりのようだ。

 そうしていると、頭の中で声が聞こえて来た。

『なぜこの力を拒む? 貴様の大切な者は誰だ。この力、なぜ望んだのか忘れたのか?』
「うるさい……。余計な事をしゃべるな……!」
『我に寄越せ。あの眷属もいずれ邪魔になる。我が消してくれる』
「そんな事をする必要はない!」

 僕はその声を聞かないようにする為に大声を出す。
 そうして、何とか頭から追い出そうとした。

「クトー……? どうしたの?」
「ごめんレイラ。ちょっと……スキルが……抑えられそうになくって……」
「はぁ? どういうことよ」
「そのままの意味……。スキルに……意識が……」

 こうやって話している間もずっと頭の中で声が聞こえ続けるのだ。

『目の前の奴を殺せ』『全て殺せば安住を得られる』

 この声に耳を貸した方がいいのかもしれない。

 この声を聞き続けているとそんな気分にすらなってくる。

「スキルに意識が持って行かれる……? まぁいいわ。歯を食いしばりなさい」
「……?」

 レイラはそう言って、俺に向かって魔法を放つ。

「『聖なる光で浄化せよホーリー』」
「がっ……あぁ……!」
『ぐぬぅあああああああああ! これは……白の神の!』

 僕にも勿論ダメージは入る。
 だけれど、それ以上に頭の中にいる何かが消えて行くのが分かった。

 そして、数秒もすると、僕のクラーケンの触手はただの触手に戻り、軽くあぶられているような感覚におちいる。

「レイラ……ありがとう……もう……大丈夫……」
「本当……でしょうね……」
「うん。ありがと……」
「いいわよ……約束……忘れないでよね」
「勿論……」

 僕たちはお互いに重なるように意識を失った。

******

「素晴らしい! 素晴らしい素晴らしい素晴らしい! まさか私が放った強化ゴブリンジェネラルが殺されてしまうとは! Cランク冒険者程度であれば問題なく倒せる様にしていたんですがねぇ。まさか倒されるとは……でも、大きな収穫もありました」

 彼はクトーがゴブリンジェネラルを倒すのを知覚していたのだ。
 都合があって全てを知っている訳ではないけれど、ある程度のことは把握していた。

 強化ゴブリンジェネラル。
 それは彼のスキルで強い装備を与え、反射神経等も特別に強化された魔物だ。

 そして、最近手に入れた練習台……もとい実験台よりも素晴らしい物の可能性を考える。

「これは……これはこれはこれは欲しい。まさかクラーケンの力を使えるのですか? 本当に? そうであれば我々に相応しい。我々が大いに前に進めるのに違いない」

 彼はそう考えて直ぐに行動に移そうとしたけれど、近くで聞こえた声の方を向き、思い直す。

「うぅ……」
「おっと……貴方が実験中でしたね? どうですか? 調子は」
「痛い……です。どうか……もう……止めて……」
「何を言っているのですか。1日に8回まで死んでもいい。素晴らしいスキルです。そして、そのスキルは出来うる限り使って行くのがより良くなるのです。分かりますか? グレーデン君?」

 彼は台の上で仰向けになっているグレーデンに優しく微笑みかける。

 グレーデンの彼を見る目は恐怖そのもので、逆らう気配は一切感じない。

 それもそのはず。
 グレーデンは彼に捕らえられてから、毎日死ぬほどの拷問や実験を繰り返し行なわれて来たのだから。

 1日に8回まで死ねる。
 それは奴隷などが持っていたら一生涯実験動物として使われる。
 グレーデンは次期公爵という地位があったためにそうはなっていなかったに過ぎない。
 けれど、今、この場ではそれは関係ない。

「わ、わかります……わかりますから……これを……外して下さい……」

 グレーデンは今、体に動物の力を入れて強化する実験をされていた。
 様々な動物をキメラ様にくっつけられ、体内にも訳の分からない薬品をこれでもかと投薬される。
 そして、何度苦痛を味わって死んだのか。
 グレーデンは覚えていなかった。

「ダメに決まっているでしょう? 君のスキルはとても素晴らしいけれど弱い……。そのままでは私の求める物になることもありません。ですので、まだまだ、続けて行きますよ」
「ゆ……許し……」
「ダメです。まぁ、クトー君がこちらに来るまでの辛抱ですかね? 今は警備が固いのですぐに……とは言いませんが。それでも、彼がこちらに来たら……その時は……」

 彼はそう言ってグレーデンの実験に戻るのだった。
 その部屋では、グレーデンの悲鳴が響き続ける。
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