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2章
40話 フェリスに相談
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レイラから黒蛇病についての事を聞いた日の放課後。
僕たちは一緒にフェリスの元に向かう。
1年生の教室に行くのはちょっと恥ずかしいけれど、行かないという選択肢はない。
サナと同じ授業をとっているだろうと思い、彼女の近くを探すとサナしかいない。
「サナ」
「兄さん? 一体どうしたの?」
サナは1人だったようで、僕達はサナに話しかける。
「サナ。フェリスがどこに行ったのか知らない?」
「フェリス? フェリスなら貴族用の授業に行ってるよ。確か……あっちの方のクラスだったと思う」
「分かった。ありがとうサナ!」
「え? 兄さん!?」
「今ちょっと急いでるから!」
「またね。サナちゃん」
「どちら様ですか!?」
そうか。
サナとレイラが会った事は無かったのか。
思い返すとそうかもしれない。
今までずっとサナの素晴らしさを語って来たけれど、サナと会ってもらった事はないのだ。
本当はサナに紹介したいけれど、今はフェリスと会わなければ。
「こっちの方だって?」
「そうだと思うけど……」
レイラ達と一緒に校舎を進み、フェリスの居場所を探す。
しかし、人が減るばかりで全然どこに人がいるか分からない。
そんな時に、鋭い怒鳴るような声が聞こえた。
「何時になったらこの学園から出ていくのよ!」
「呪われた体で迷惑になると思っていないの?」
「いい加減にしてよね! あんたのせいで教室にいけないじゃない!」
僕はレイラの方を見ると、彼女も僕の方を見て頷く。
一緒になってその声の方に行くと、角っこの教室の中で、フェリスが3人の女生徒に囲まれていた。
「わ、わたくしは……この手袋をしていれば問題ありません。ですから……そんなことを言われる事はないのです!」
「はぁ? 存在を消されかけてる王女が良くいうわね!」
「王族とは名ばかりの捨てられた王女の分際で」
「いつになったら適当な貴族に払い下げられるのかしらね? ま、そんな体で貰ってくれる所があれば……だけど?」
「……」
フェリスは3人に寄ってたかって言われて涙ぐんでいる。
王女様だと聞いていたけれど、貴族の少女達に色々と言われる位には立場は低いものなのだろうか。
まぁいい。
僕は彼女達に向かって歩き出す。
「ちょっと君たち、1年だよね。何やってるのかな?」
僕がそう言って近付くと、きっと鋭い目を向けてくる。
「なんですの? わたくしをベルン公爵家令嬢と知っての事かしら?」
「へぇ、ベルン公爵」
「な、何よ。貴方。わたくしに盾突く気なんですの?」
そう凄んでいる鋭い目の少女。
本当に嫌になる。
どうしてこうも公爵家の関係者は皆酷い性格をしているのか。
そう思っていると、フェリスが僕をちらりとうかがう。
「クトー様……」
その言葉を聞いたベルン公爵家令嬢は目をむいて僕を見つめる。
「あ、貴方……あ、あのクトー?」
「どのクトーか知らないけど、僕はクトーで間違いないよ」
「た……タコになれる?」
「これ?」
僕は右手をタコに変えて見せる。
「ひぃい! も、もしかして……グレーデン様を……追い落とした……?」
「あれは学園長がやったことだよ。僕は何もしていない」
一応、建前はそうなっているので人前ではそうやって説明している。
そう言いながら手は普通の手に戻す。
「そ、そうよね。貴方なんかがグレーデン様に何か出来る訳……」
「試してみる? 君が追い落とされないかどうか……さ?」
少し気持ちがイラつき、脅すように言う。
僕がグレーデンを追い落とした。
そんな噂が広まっているなら使わない手はない。
案の定ベルン公爵家令嬢には効果は抜群だったようだ。
「……きょ、今日はこれくらいにしておいてあげますわ!」
そう言って3人は逃げるように部屋の外に向かう。
でも、そこにはレイラと取り巻きの騎士たちがいた。
「あ、貴方は……」
「私は教会所属の聖女候補、レイラ・ウェスター。貴方がたの行動は神がご覧になっているでしょう。その事……ゆめゆめ忘れないように」
「っ! 行くわよ!」
そう言ってもはや走っているという速度で彼女たちは逃げ去っていく。
でも、僕はそんな彼女たちを見るよりも、フェリスに駆け寄る。
「フェリス! 大丈夫? 酷いことはされなかった?」
「あ……ありがとう……ございます……。だい……じょう……ぶです……」
「そっか。良かった……。でも、王女様に向かってあんなことして来る人もいるんだね。びっくりしたよ」
いくら貴族だからってあそこまで言ったら普通……処罰されても何も言えないと思うんだけれど……。
フェリスは、悲しい表情をしたまま話し始める。
「いえ……彼女達の言う通り、わたくしがいけないのです。この両手のせいで、王城でも隔離されて生活していましたから……」
「隔離……?」
「ええ、この白い手袋は高名な冒険者の方が特別に作って下さったもの。それが出来るまでは、不慮の事故で死んでしまうメイドもいましたから……」
「それは……」
なんと言ったらいいか。
「そんな事があったので、わたくしは人前に出ることもほとんどなく……。そして、その時の事があったので、わたくしは家族とはもう何年も会っておりません。この呪われた手さえ無ければ……。それまでは父上とも仲が良かったのに……。この両手のせいで……」
彼女はそう言って悲し気に自分の両手を見つめる。
「フェリス……もし……もしも治る方法がわかったら教えて、僕に……出来る事があったらするから」
「ありがとうございます。クトー様。そのお気持ちだけで嬉しいです」
そう言って笑う彼女の笑顔はきっと叶うはずがないと、そう思っている儚い笑顔だった。
「それで、クトー様とレイラ様方はどうされたのですか?」
彼女がこの話題はこれ以上したくない。
そう言うように話題を変える。
僕も、これ以上何か出来るわけじゃないのでそれに乗る。
「フェリス。サナが黒蛇病にかかっている事は知っている?」
「……ええ。本人から聞きました」
「なら話は早い。サナの黒蛇病は15歳まで生きられないと聞いた。サナは14歳。残り時間はそう多くない。だから、フェリスが王城とかで得られる知識を……黒蛇病についての知識を教えて欲しい」
僕は彼女に大きく頭を下げる。
「……」
「……」
僕は何も言わない。
ただ、彼女の返事を待つ。
「……顔を上げて下さい」
僕はゆっくりと顔を上げる。
「クトー様にも……サナにも大変お世話になっています。ですので、力になって差し上げたい」
「じゃあ……」
僕の言葉を遮って、彼女が首を振る。
「しかし、わたくしは力がないのです。今から王城に帰っても、王都の門すらくぐれないでしょう」
「そんな……」
「事実です。わたくしは、王族から捨てられた王女……なのですから……」
「……」
その場を重たい沈黙が支配する。
僕は一切の手がかりを無くしたショックから立ち直る事が出来ない。
「でも、1つだけ、1つだけもしかしたら……という心当たりがあります」
「心……当たり?」
期待しない目で彼女を見ると、悩むように彼女はゆっくりと話す。
「わたくしは……王城にはいけない……と言いました」
「うん」
「でも、ここの……この学園に存在する禁書庫であれば案内をすることが出来ます」
「きん……しょこ……?」
「はい。そこは……世間には出すことが禁じられた知識が記載された本が貯蔵されている書庫。通称禁書庫と呼ばれています」
「そんな……所が……この学園に?」
「はい。あります」
フェリスは迷いながらも、ハッキリと言い切った。
僕たちは一緒にフェリスの元に向かう。
1年生の教室に行くのはちょっと恥ずかしいけれど、行かないという選択肢はない。
サナと同じ授業をとっているだろうと思い、彼女の近くを探すとサナしかいない。
「サナ」
「兄さん? 一体どうしたの?」
サナは1人だったようで、僕達はサナに話しかける。
「サナ。フェリスがどこに行ったのか知らない?」
「フェリス? フェリスなら貴族用の授業に行ってるよ。確か……あっちの方のクラスだったと思う」
「分かった。ありがとうサナ!」
「え? 兄さん!?」
「今ちょっと急いでるから!」
「またね。サナちゃん」
「どちら様ですか!?」
そうか。
サナとレイラが会った事は無かったのか。
思い返すとそうかもしれない。
今までずっとサナの素晴らしさを語って来たけれど、サナと会ってもらった事はないのだ。
本当はサナに紹介したいけれど、今はフェリスと会わなければ。
「こっちの方だって?」
「そうだと思うけど……」
レイラ達と一緒に校舎を進み、フェリスの居場所を探す。
しかし、人が減るばかりで全然どこに人がいるか分からない。
そんな時に、鋭い怒鳴るような声が聞こえた。
「何時になったらこの学園から出ていくのよ!」
「呪われた体で迷惑になると思っていないの?」
「いい加減にしてよね! あんたのせいで教室にいけないじゃない!」
僕はレイラの方を見ると、彼女も僕の方を見て頷く。
一緒になってその声の方に行くと、角っこの教室の中で、フェリスが3人の女生徒に囲まれていた。
「わ、わたくしは……この手袋をしていれば問題ありません。ですから……そんなことを言われる事はないのです!」
「はぁ? 存在を消されかけてる王女が良くいうわね!」
「王族とは名ばかりの捨てられた王女の分際で」
「いつになったら適当な貴族に払い下げられるのかしらね? ま、そんな体で貰ってくれる所があれば……だけど?」
「……」
フェリスは3人に寄ってたかって言われて涙ぐんでいる。
王女様だと聞いていたけれど、貴族の少女達に色々と言われる位には立場は低いものなのだろうか。
まぁいい。
僕は彼女達に向かって歩き出す。
「ちょっと君たち、1年だよね。何やってるのかな?」
僕がそう言って近付くと、きっと鋭い目を向けてくる。
「なんですの? わたくしをベルン公爵家令嬢と知っての事かしら?」
「へぇ、ベルン公爵」
「な、何よ。貴方。わたくしに盾突く気なんですの?」
そう凄んでいる鋭い目の少女。
本当に嫌になる。
どうしてこうも公爵家の関係者は皆酷い性格をしているのか。
そう思っていると、フェリスが僕をちらりとうかがう。
「クトー様……」
その言葉を聞いたベルン公爵家令嬢は目をむいて僕を見つめる。
「あ、貴方……あ、あのクトー?」
「どのクトーか知らないけど、僕はクトーで間違いないよ」
「た……タコになれる?」
「これ?」
僕は右手をタコに変えて見せる。
「ひぃい! も、もしかして……グレーデン様を……追い落とした……?」
「あれは学園長がやったことだよ。僕は何もしていない」
一応、建前はそうなっているので人前ではそうやって説明している。
そう言いながら手は普通の手に戻す。
「そ、そうよね。貴方なんかがグレーデン様に何か出来る訳……」
「試してみる? 君が追い落とされないかどうか……さ?」
少し気持ちがイラつき、脅すように言う。
僕がグレーデンを追い落とした。
そんな噂が広まっているなら使わない手はない。
案の定ベルン公爵家令嬢には効果は抜群だったようだ。
「……きょ、今日はこれくらいにしておいてあげますわ!」
そう言って3人は逃げるように部屋の外に向かう。
でも、そこにはレイラと取り巻きの騎士たちがいた。
「あ、貴方は……」
「私は教会所属の聖女候補、レイラ・ウェスター。貴方がたの行動は神がご覧になっているでしょう。その事……ゆめゆめ忘れないように」
「っ! 行くわよ!」
そう言ってもはや走っているという速度で彼女たちは逃げ去っていく。
でも、僕はそんな彼女たちを見るよりも、フェリスに駆け寄る。
「フェリス! 大丈夫? 酷いことはされなかった?」
「あ……ありがとう……ございます……。だい……じょう……ぶです……」
「そっか。良かった……。でも、王女様に向かってあんなことして来る人もいるんだね。びっくりしたよ」
いくら貴族だからってあそこまで言ったら普通……処罰されても何も言えないと思うんだけれど……。
フェリスは、悲しい表情をしたまま話し始める。
「いえ……彼女達の言う通り、わたくしがいけないのです。この両手のせいで、王城でも隔離されて生活していましたから……」
「隔離……?」
「ええ、この白い手袋は高名な冒険者の方が特別に作って下さったもの。それが出来るまでは、不慮の事故で死んでしまうメイドもいましたから……」
「それは……」
なんと言ったらいいか。
「そんな事があったので、わたくしは人前に出ることもほとんどなく……。そして、その時の事があったので、わたくしは家族とはもう何年も会っておりません。この呪われた手さえ無ければ……。それまでは父上とも仲が良かったのに……。この両手のせいで……」
彼女はそう言って悲し気に自分の両手を見つめる。
「フェリス……もし……もしも治る方法がわかったら教えて、僕に……出来る事があったらするから」
「ありがとうございます。クトー様。そのお気持ちだけで嬉しいです」
そう言って笑う彼女の笑顔はきっと叶うはずがないと、そう思っている儚い笑顔だった。
「それで、クトー様とレイラ様方はどうされたのですか?」
彼女がこの話題はこれ以上したくない。
そう言うように話題を変える。
僕も、これ以上何か出来るわけじゃないのでそれに乗る。
「フェリス。サナが黒蛇病にかかっている事は知っている?」
「……ええ。本人から聞きました」
「なら話は早い。サナの黒蛇病は15歳まで生きられないと聞いた。サナは14歳。残り時間はそう多くない。だから、フェリスが王城とかで得られる知識を……黒蛇病についての知識を教えて欲しい」
僕は彼女に大きく頭を下げる。
「……」
「……」
僕は何も言わない。
ただ、彼女の返事を待つ。
「……顔を上げて下さい」
僕はゆっくりと顔を上げる。
「クトー様にも……サナにも大変お世話になっています。ですので、力になって差し上げたい」
「じゃあ……」
僕の言葉を遮って、彼女が首を振る。
「しかし、わたくしは力がないのです。今から王城に帰っても、王都の門すらくぐれないでしょう」
「そんな……」
「事実です。わたくしは、王族から捨てられた王女……なのですから……」
「……」
その場を重たい沈黙が支配する。
僕は一切の手がかりを無くしたショックから立ち直る事が出来ない。
「でも、1つだけ、1つだけもしかしたら……という心当たりがあります」
「心……当たり?」
期待しない目で彼女を見ると、悩むように彼女はゆっくりと話す。
「わたくしは……王城にはいけない……と言いました」
「うん」
「でも、ここの……この学園に存在する禁書庫であれば案内をすることが出来ます」
「きん……しょこ……?」
「はい。そこは……世間には出すことが禁じられた知識が記載された本が貯蔵されている書庫。通称禁書庫と呼ばれています」
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