「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

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2章

52話 思い違い

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 僕は1日かけて〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉について調べた。
 その事を伝えに、今は学園長の部屋に来ている。

 今日はスキルの練習をする日ではないけれど、学園長に話さなければいけない事があるのだ。

「学園長」
「なんじゃね? クトー」

 僕たちはソファで対面になるように座っていた。

「〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉の方々と森の探索に行くのを止めて頂きたいのです」
「……理由を聞こうか」

 学園長の顔はしぶい。
 賛同できないようだった。

「先ほど……禁書庫に行って来て、彼ら〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉のことについて調べて来たんです。それで、分かったことが、彼らは20年以上前から活動している。しかも、Aランクダンジョンも攻略している。違いますか?」
「その通りじゃが?」
「では、どのダンジョンか分かっていますか?」
「そこまでは覚えておらん」
「では、彼らは一体どんなことをして来たんですか? Aランクになるということは、それだけの事をしないとなれないはず。なのに、禁書庫で調べて来た情報には、具体的な功績はほとんど残ってないのです」

 そう。
 それが〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉のおかしな点の1つだった。

 彼らがあの見た目で20年以上も活動している理由も分かっていない。
 多少の討伐の話はあったようだし、辺境に行くこともあったという話だ。
 だとしても、具体的な行動が出ないのはおかしい。

「それは……どこかの貴族の依頼であまり出していないだけじゃろう?」
「だとしても20年間もAランク冒険者パーティを縛り続けられますか? 第一、彼らは王都で活動をしています。そんな彼らがずっと何もしないのはおかしいのでは?」
「だが……今まで彼らは問題も起こしていない。何かしていないだけで処罰することは出来ん」
「ですが、彼らの見た目も……。どう考えても20年以上活動している人達の顔ではないと思います。彼らは……本当に人なのですか?」
「……」

 僕の言葉に学園長は俯き、考え込む。

 どうして迷うのだろうか。
 絶対に怪しいという事は分かっているはずなのだ。

 なのに、決断できない理由が分からない。

 暫く待っていると、彼は重たい口を開く。

「それについて……昨日ジェレから相談があった」
「ジェレ?」
「サナ嬢につけている白い仮面を被った女だ」
「あの人ですか」
「ああ。ジェレも〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉の事を怪しい。そう言って来た。だから、今日ワシは彼らの事を探っていたのだ。直接話すこともしたし、彼らの行動も逐一確認させた。その結果、問題ない。そう判断したのじゃ」
「ですが……」
「くどい」

 僕が更に言おうとすると、学園長は魔力を出しながら否定して来る。
 彼らは決して裏切らない。
 信じるに値する味方なのだと。

「……」
「クトーよ。ローバーの時は申し訳なかったと思っておる。が、彼らはそれだけ信頼してもいい者達じゃ。じゃからワシの顔を立てて信用してくれんか?」
「……分かりました」

 学園長にそこまで言われてしまったらこれ以上言うことは出来ない。

 というよりも、学園長との仲がこじれることは嬉しいことではないのだ。

「大切なお時間を頂いてありがとうございます」
「ああ、サナ嬢を心配する気持ちは分かる。明日は一緒について行くがいい。彼らにもそれくらいの事は話してある」
「分かりました。失礼します」
「気を付けての」
「はい」

 僕はそれだけ話すと、自室へと向かいながら考え始める。

 もしかしたら学園長は……何か洗脳に近いことを受けているのかもしれない。
 そんな風に思ってしまった。

 禁書庫でこれだけの情報を集めて、そして持って来た。
 でも、それらが無駄になってしまったのは悲しい。

「サナ。諦めないからな」

 僕は明日、サナを何とか森の探索に行かせない為に、1年生の女子寮に向かう。


「【保護色カラーコート】」

 僕は周囲に誰もいないことを確認して、サナの部屋へと向かう。

 サナの部屋は3階の角部屋だ。
 外からゆっくりと登っていき、木窓を叩く。

 コンコン

 反応はない。
 もう一度だ。

 コンコン

 ガチャ

 木窓が開き、そこにはピンク色の寝巻を着た愛しのサナがいた。

「……?」

 サナは外に何もいない事を確認して、首をかしげている。
 下を見ても誰もいないのだから当然だろう。

 僕はその間にするりと中に入った。

 パタン

 サナが木窓を閉め終わったのを見て、声を出す。

「サナ」
「! 兄さん?」
「うん。姿を見せるね」
「え、ええ」

 僕は姿を見せて、サナの部屋に立つ。

 サナは少し驚きながらも迎え入れてくれた。
 彼女の部屋は女の子らしい物がそれなりに置かれていて可愛らしい部屋だ。

「サナ。率直に言うよ。明日の森の探検。行かないで欲しいんだ」
「どうしたの?」
「詳しい事は聞かないで欲しい。でも、明日……森にはどうしても行かないで欲しい」

 本当はサナに言ってしまいたい。
 〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉の奴らがサナの事を狙っているかもしれないと。

 でも、〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉はフェリスが信頼をおく相手。
 そんな相手が、サナを狙っているなんていうことを彼女は信じてくれるだろうか?

 そして、信じてくれたとして、彼女は……悲しまないだろうか……と。

 サナは絶対に悲しむ。
 断言してもいい。

 だから、この件は僕が1人で片を付ける。
 そのために、サナには安全な場所。
 学園の中にいてもらわなければならないのだ。

「行かないで欲しいって……。でも、フェリスが楽しみにしているし」
「それを何とか! お願い! サナの為なんだ! だから行かないで欲しい! 仮病でもなんでも使って。お願い!」

 僕は誠心誠意せいしんせいいを込めてサナにお願いをする。

 彼女には言えないけれど、僕が彼女の事を思っているのは知ってくれていると信じているから。

 サナはそんな僕の様子を見て、仕方ないと言うように頷いてくれた。

「もう……私も楽しみにしてたのに……。明日は行かずにこの部屋に居ればいいの?」
「サナ……」
「兄さんが私の為を思ってくれているのは知ってる。だから、安全な場所に居ろ。そういうことでしょ?」
「うん。ありがとう……サナ」
「いいのよ。私に出来ることなんて大した事はないから」
「そんなことないよ。サナは僕をいつも幸せにしてくれる」
「ふふ、兄さんたら……。それなら一緒にお風呂入って行くかしら?」
「流石にそれは出来ないよ」
「もう……ケチ」
「それじゃあね。明日は行かないようにするんだよ」
「わかったわ。兄さん。安全な所にいるわ」
「うん。そうして。【保護色カラーコート】」

 僕は彼女にそれだけ大事な事を伝えると、窓から飛び出し、自分の部屋に戻った。

「良かった……本当に……良かった」

 僕は少なくともサナが危険な事から逃れる事が出来たという安心や、禁書庫でずっと調べ物をし続けていた緊張感から解放され、泥の様に眠りについた。

 深夜に、誰かが僕の部屋の前を通り過ぎたのには気付かなかった。

******

 翌日。

 コンコン

「サナ? 起きていますか?」

 サナの部屋をノックする音が響く。
 ノックしたのはフェリスで、サナを迎えに来たのだろう。

 サナはその音に、クトーから言われた事を思いだして返事をした。

「すいませんフェリス。今日は体調が悪いのでいけません」
「サナ!? それは大変です! 少し待っていてください!」

 タタタ。

 とフェリスが走っていく音が部屋にまで聞こえ、サナは不安になる。

 暫くして、その不安は的中した。

「サナ! フルスタ様が丁度近くにいてくださって、治療して下さるそうです! さぁ、開けて下さい!」
「い、いえ、私の事は気にせずに行ってきてください!」
「何を言うのですか! わたくしはサナ、貴方と一緒に行きたいのです! 貴方が居なければ……わたくしは……わたくしは行く意味などないのです!」
「でも、私……」
「大丈夫ですよ。フルスタ様も一緒についていて下さるので、安全・・な場所ですから。一緒に行きましょう?」
「……」

 ガチャリ

「サナ……」

 そういうフェリスの顔は笑顔で、サナはクトーに謝りながら思考する。

「フェリス……本当に……本当に安全なのよね?」

 サナは念入りに確認を取る。

「もちろん。わたくしも守って下さる様ですし、他にも昔からの先生もついてきて下さるそうです」
「そこまで言うなら……」

 安全な場所に居て欲しいというクトーの願い。

 サナは、フェリスや、フルスタ、他の先生がが近くに居てくれるのであれば問題ないと考えた。
 そして、彼女は〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉と共に森へ向かう事になった。
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