「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

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3章

67話 選ばれし者

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 薄暗い円卓の会議室。
 そこには、8人の者達が座っている。

 いずれも自身の力……とりわけスキルに自信を持っており、その表情は堂々とした物ばかりだ。

 ここにいるのは〈選ばれし者ギフターズ〉と名乗る者達の上位8人が集まっていた。

 その中の赤髪の獅子の見た目をした男が口を開く。

「さて、全員集まったようだな。これからの我々の行動について会議を開く」

 他の者達は彼の言葉を邪魔することなく待つ。
 ここにいる者達は皆実力者ではあるけれど、口を開いた者には決して勝てない事を知っているからだ。

 口を開いた者の名はロード・バルバロイ。
 〈選ばれし者ギフターズ〉の第1席として、この組織を作った者。
 【破壊者デストロイヤー】と呼ばれる超強力なスキルを使いこなし、他者を実力で従えている。
 そんな彼の2つ名は〈殲滅者〉、圧倒的な力で敵を滅ぼして行くことからつけられた名前だ。

 彼は異論を挟んで来る者がいないことを確認した後に言葉を続ける。

「今回の議題は我らが第3席と、第5席を潰した者達への報復をいかにするかだ。丁度、3席をやった〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉は、運のいいことか悪いことに5席を捕らえているルインドワーズ高等学園にいる」
「……」
「そして、俺はこれからこの学園を潰す気でいる。反対の者は意見を述べよ」

 ロードは他の者達に発言を許可すると、それぞれは口を開く。

「私は反対よ。手を出して来た奴らを報復する事に反対はしないけれど、その相手を同時にするのは荷が重すぎるわ。負けることはないと思うけれど、こちらの被害がバカにならない」
「僕もそう思いますね。幾らなんでも厳しいかと。学園にはあの学園長がいますからね。殺しきれない場合。こちらが不利になることは確実です」

 2人から意見が上がるけれど、それはどちらもロードの発言を抑えるものだ。

 ロードは淡々と彼らを見つめて聞く。

「では、俺が間違っていると?」
「そ、そうは言っていないわ。でも、なにも同時に相手をする必要はないでしょう。そう言っているのよ」
「そうです。丁度いいかもしれませんが、最初に〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉をやって。その後に学園を攻めれば良いかと」
「ふむ……。だが、俺が勝てば問題ないだろう?」

 そう話すロードは負けることなどあり得ない。
 彼の自信はそれだけ彼の戦績で知ることが出来る。

 幼い頃から強力なスキルを行使し戦闘で無敗を誇る。
 しかも貴族としての力も存分に発揮し、こうして独自の組織を作りあげる程に彼は優秀だった。

「我々が減ってしまえばそれではロード様の野望まで遠のいてしまいます。ロード様が強いのは知っていますが、3席と5席が敗北する程度には強い相手だと理解して頂きたい」
「フム……。確かに、我々の野望の為には確かに戦力は減らせんか。ではどうしたらいいと思う?」

 ロードは彼らの意見を聞き、先ほど発言したもう一人の男に聞く。

「僕は1人ずつ消して行けばいいかと思います。〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉と、学園長もどこかで1人になるタイミングがあるはず。その時に複数でかかれば比較的安全に消せるでしょう」
「なるほど。ではそうしよう」

 彼らの話し合いは思いのほか早く終わり、次の話に移ろうとした所で足音が聞こえる。

 コツコツコツコツ

 その場にいた者全員が足音のする方を見つめてると、そこには司教の服をまとった優男がいた。

「誰だ貴様」

 ロードは招いた覚えのない客に不快感と共に苛立った目線を送る。

 しかし、目線を送られた男は涼しい顔でゆっくりと頭を下げた。

「これはこれは、会議中に失礼致します。今回、貴方がたに少々お願いがあって参りました」
「お願い? 何だ」

 ロードはもし仮に戦闘になっても自信が敗北すること等あり得ない。
 その余裕があるからか、入って来た者に対しても会話を続ける。

「皆様にルインドワーズ高等学園を攻め落として頂けないかと思いまして」
「ほう……その理由は?」
「特にありません。強いて言うなら、それが面白いからでしょうか」
「面白い?」

 ロードの眉がピクリと上がる。

 彼は自分が他者をおもちゃにすることをよしとはしても、自身がおもちゃにされる事は決して許さない。

 優男はロードの機嫌など考えることなく言葉を続けた。

「ええ、その通りです。ああ、もちろんタダとは言いません。Aランクの魔物10体とSランクの魔物を1体お渡ししましょう。いかがですか?」
「ほう……そこまでの高ランクを……」

 Sランクの魔物。
 それはクラーケン等の伝説にうたわれる程の怪物ではないが、人里に降りればそれだけで甚大な被害をもたらすと言われるある種の災害と同一視される存在。
 優男はそれほどの魔物を渡すと言っているのだ。

「ええ、お約束致します。必要であれば、明日にでもこちらにお連れ致しましょう」
「ほう……それほどの戦力か。ならば問題ないか?」

 問われた2人は渋々といったように頷く。

「流石にそれだけの戦力があれば……」
「まぁ……いけると思います」
「よし。では……それで話とさせて頂こう」

 ロードは席を立ち、優男に向かって手を伸ばす。

 彼もロードの求めに応じて手を差し出した。
 その瞬間。

「――!」

 ロードは腰に下げた剣を引き抜き、優男の喉元のどもとに突きつける。

 優男は気分を害した様子もなく問う。

「どういうことですか? 話はまとまったと思ったのですが?」

 そんな優男のものいいに、ロードは怒りをにじませて答える。

「貴様に俺と組むに相応しい実力があるとは思えんのでな。貴様が個人でやっているのか、組織でやっているのか知ったことではないが……。俺を利用しようとする魂胆こんたんは許せん。俺がお前を使ってやろう」

 ロードは鼻を鳴らしながら優男に言う。

 優男は、苦笑して言葉を返した。

「あはは、わたしの事を知らないんですか……。そうですか。いえ……まぁ……今の方々であれば仕方ないのかも知れませんね」

 優男はそう言ってロードを見下した目を向ける。

 ロードはその目を見て激昂し、スキルを発動させた。

「貴様! 俺に向かってその態度! 万死に値する! 【破壊者デストロイヤー】」
「ロード様!? ここでは!?」
「逃げろ! 巻き込まれるぞ!」

 円卓を囲んでいた者達は蜘蛛くもの子を散らすように逃げ始める。

 ロードはスキルをまとわせた剣を振り下ろし、それで優男を殺そうとした。
 けれど、彼の剣は優男の頭に当たる前で止まってしまう。

「な!」

 ロードのスキルをまとった剣を受ける事が出来たものは今まで誰一人として存在しない。
 この彼の攻撃に触れた者は全てが死んでいったのだ。

 しかし、ここにそれを覆す事が出来る者がいた。

「この程度ですか?」
「な! く……クソが! 【残すは瓦礫のみロード・デストロイ】!!!」

 ロードは己が使える最も威力の高い技を放った。
 その技が完成した時には、試し打ちで打たれた山が丸々一つ消え去った過去を持つ。
 彼が放てる最強の技。

 彼が剣を振り下ろそうとするその余波だけで周囲の壁や地面が崩壊していく。
 それが優男に振り下ろされた時、勝利を確信した。

「バ……バカな……」

 しかし、その剣は彼に傷一つつける事が出来ていなかった。
 その事実はロードを驚愕させるには難しくなかった。

「その程度ですか……。この程度でSランク冒険者……。はぁ。正直ここまで楽だとは思いませんでした。これで、貴方の攻撃がわたしに通用しないということが分かって頂けました?」
「ふ、ふざけるな! お前の攻撃は俺にふぐっ!」

 まだ抵抗しようとするロードに対し、優男は彼の首を掴み締め上げる。

「本当に頭が悪いのですね。貴方の代わり等幾らでもいます。ここで死にたいのですか?」
「(フルフル)」

 ロードがギリギリで首を振った時、優男はパッと手を放す。

「ごほっ! がはっがは……。お、お前は一体……」

 ロードはギリギリ残っている闘争心を燃やし、彼に対して問う。

 優男は、聞かれた道を教えるように彼に答えた。

「わたしは〈黒神の祝福ブラックブレス〉の盟主であるギーシュ。丁度いいので貴方がたを吸収しに来ました。そうそう。【時の流れは我が手中に《タイム・イン・マイハンド》】」

 すると、ロードのスキルで壊れていた周囲の建物が元に戻って行き、逃げて行ったはずの他の〈選ばれし者ギフターズ〉は全員が席に座っていた。

「???」

 その者達も、ロードすら何が起きたのか理解できずにまばたきすることしか出来ない。

「さて、これから貴方方〈選ばれし者ギフターズ〉はわたしの配下です。異論は?」
「そ、そんなふざけたこ……」

 ドシャ

 ギーシュに反対しようとした者は一瞬にして何かに食いちぎられた様にして上半身が消え去った。

「え……」
「反対の者は?」
「……」

 今の一瞬で何が起きたのか理解できる者はそこにはいなかった。
 ただ、どういうことが起きたかは理解出来ていた。
 ギーシュに反対意見を言えばそれだけで殺される。
 一瞬でその場にいた者達は実力差を把握した。
 そのため、ギーシュに反対する者はいない。

 確認したギーシュは改めて宣言する。

「それでは〈選ばれし者ギフターズ〉の全戦力を持ってルインドワーズ高等学園を滅ぼします」

 そう言う彼に反対する者はその場には誰もいなかった。
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