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3章
66話 天国と地獄
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リャーチェを倒してから数日。
僕は普通に学園生活に戻っていた。
本当であれば教会本部のベネディラに行きたいと思っていたのだけれど、サナを置いて行くわけにはいかない。
それに、もしもそれが陽動で、その間にサナが連れ去られたら目も当てられないからだ。
本当は確認に行きたい気持ちを抑え、レイラと一緒に授業を受ける。
授業中はレイラがチラチラと僕の事を見ていた気がするけれど、どうしたのだろうか。
その答えは、授業後に分かった。
「クトー。あたしに隠し事してない?」
「か、かか、隠し事? 僕がする訳ないでしょ?」
完璧に取り繕えたと思う。
けれど、レイラはじとっとした目のまま僕を見つめてくる。
「そんなバレバレの演技で騙される訳ないでしょ……。それで、一体どうしたのよ」
レイラは呆れかえった様に聞いてくる。
僕は諦めて彼女に正直に話すことにした。
「それが……ちょっと……ここでは言いにくくって」
「アンタ……またそんな秘密を知っちゃったの?」
「うん……」
僕は正直に彼女に白状することにした。
彼女のことは信頼しているし、彼女の為なら、僕は命をかけて守る覚悟がある。
「隣の空き教室でいい?」
「そうしてくれると助かる」
僕たちは一緒に隣の空き教室に移動して、そこで向かい合う。
扉の外ではアルセラ達が守ってくれているので、問題はない。
「それで、一体何を聞いたのよ」
「それが……」
僕は、彼女にリャーチェから聞いた事を包み隠さず話した。
〈黒神の祝福〉の本部が教会本部……ベネディラに存在するかもしれないこと。
そして、〈黒神の祝福〉の目的が、神の降臨であること。
「嘘……でしょう?」
僕の話を聞き終わったレイラは信じられないのか、口に手を当てて首を横に振っている。
それほどに、信じられず、驚くべき目的なのだ。
「本部がある場所はちょっと怪しいけど、目的は本当だと思う」
「どうして言えるの?」
「それは……」
僕はリャーチェから聞いた話、そして、自分が知っている情報をレイラに話す。
「サナちゃんが……【器】スキル持ち?」
「うん。どんなスキルか分からないし、人には言わない方がいい。っていうのを聞いていたから、誰にも言わなかったんだ」
「それじゃあ、学園に入る時のスキルはなんて答えたの?」
「適当に【闇魔法】って答えてもらったよ。サナは使えるから」
「そう……。でも、それだったら……どうしようかしら。今からでも本部に行く? あたしがつき添えばすぐにでも入れるわよ」
「ありがとう。でも、それは今はしないでおこうって学園長と話してなったんだ」
「どうして?」
「サナを置いて行くわけにはいかないし、それが本当か分からないから。今は学園長に任せているんだ」
「なるほどね。それなら仕方ないわね」
レイラも納得はしてくれたようだ。
「うん。他にも、強い人を仲間に引き入れてたんだけれど、誰か知らない? 学園長にこの国のSランク冒険者の事とか聞いたんだけど、ダメそうなんだよね」
「ああ……あの……」
「知ってるの?」
レイラはその人の事を思いだしたのか、苦々しい顔をしていた。
そして、思いだしたくもないと言うように話す。
「ええ、あたしに教会なんか抜けて俺の手駒になれって堂々と言って来るような奴よ。好きになれる訳ないじゃない」
「そんなこと言ってきたの?」
「ええ、言って来たわよ。しかも、基本的に偉そうで……人を常に見下している様な奴だったわ」
「それは……ちょっと難しいね」
「まぁ……それだけの実力もあるからしょうがないと言えばしょうがないんだけど。そいつと戦えるって言われているのが近衛騎士団長位じゃ無かったかしら?」
「近衛騎士団長?」
「そうよ。常に王の側で守り、今まであらゆる暗殺や謀略から国王を守り続けている人ね。こっちは礼儀正しいらしくて、アルセラが尊敬しているって言っている人よ」
「そんな人がいるんだ」
「ああ……王都には行ったこと無かったんだっけ?」
「うん。そんな所に行くならずっと勉強してたからね」
「もう……それは……。まぁいいけど、たまには息抜きをしないとダメよ?」
レイラはこうやって心配してくれる優しい人だ。
自分だって、常に護衛の人を側に置いているのにも関わらず。
「ありがとうレイラ。また今度一緒に町に出掛けよう」
「! そ、そうね。それがいいわ。あたしの護衛に付き合わせてあげる」
レイラは僕から目を逸らし、顔を赤らめた。
そこまで緊張する事だろうか?
もう大分仲が良くなったと思ったけれど、そう思っているのは僕だけ……?
「――!!」
その時に、扉の外で騒がしい声が聞こえる。
「なんだろう?」
「行ってみましょう」
「うん」
僕たちは騒がしい声がする方に向かうと、どこか聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「レイラ様とクトーは今大事な話中だ! 終わるまで待て!」
「さっきからそればっかりではありませんか! きっと中で2人で楽しくやっているに決まっています! 学園でハレンチです! わたくしも混ぜてください!」
「……」
「……フェリス?」
僕の耳にはアルセラとフェリスが言い争う……と言っていいのか分からないけれど。
2人の声が聞こえてくるのだ。
レイラもなんだか落胆して、行きたくないという空気をものすごく出している。
でも、アルセラをこのままにしておく訳にはいかない。
「アルセラ。大丈夫?」
僕は扉から顔だけ覗かせて外の様子を伺った。
「クトー様!」
ガバ!
フェリスが顔だけの僕に思い切り自身の体を押し付けてくる。
しかも、抱き締める力は思ったよりも強く、抜け出すことが出来ない。
「ふ……ふるひい(苦しい)」
「もう……クトー様。一体どこを触っているんですか?」
フェリスはそう言っているけれど、正直息が出来ない位に包まれている。
幸せと苦痛を味わう。
これが天国と地獄だろうか。
そう思って苦しんでいると、後ろから何か柔らかいものが押し当てられた様な気がする。
でも、気のせいかと言われると、気のせいの様な気もする。
いけない。
このままでは……。
「ふぁふぉは(【タコ化】)」
「わ!」
「え?」
僕は全身をタコに変えて、フェリスの拘束から逃れた。
直ぐに距離をとり、元に戻る。
一応、直ぐに来られることを考えて教室の中に戻ったのだけれど、何故かレイラも倒れていた。
「レイラ? どうしたの?」
僕はレイラに近付いて聞くけれど、彼女はゆっくりと起き上がるだけだ。
「それよりも……ど、どうだった?」
「何が?」
「!? まさか……気が付かなかった?」
「なんの話?」
レイラが何を言いたいのか正直分からない。
僕は首をかしげて聞く。
「アンタね……まぁいいわ。それで、フェリス様はどうしたの?」
「わたくしはその……クトー様とレイラ様がこう……何かいかがわしいことをしているのではないかとの波動を感じまして……」
どんな波動だ。
「そ、そんなことする訳ないじゃない! ねぇ? クトー?」
「え? う、うん。そうだよね。流石にそれはないよ。僕はただの学生だけど、レイラは聖女候補だよ? 釣り合わないって」
「……」
僕がそう取り繕うと、レイラはまたしてもじとっとした、責めるような目を向けて来る。
そんな僕に対して、フェリスまでもが責めるような視線を向けて来た。
「クトー様。今ここでサナがいたら拳が飛んできていますよ?」
「え?」
「クトー。私からも言わせてもらうが……それは怒られても仕方ないぞ」
「アルセラまで……」
僕はそれから疑問に思ったので聞いたのだけれど、誰も答えてはくれなかった。
僕は普通に学園生活に戻っていた。
本当であれば教会本部のベネディラに行きたいと思っていたのだけれど、サナを置いて行くわけにはいかない。
それに、もしもそれが陽動で、その間にサナが連れ去られたら目も当てられないからだ。
本当は確認に行きたい気持ちを抑え、レイラと一緒に授業を受ける。
授業中はレイラがチラチラと僕の事を見ていた気がするけれど、どうしたのだろうか。
その答えは、授業後に分かった。
「クトー。あたしに隠し事してない?」
「か、かか、隠し事? 僕がする訳ないでしょ?」
完璧に取り繕えたと思う。
けれど、レイラはじとっとした目のまま僕を見つめてくる。
「そんなバレバレの演技で騙される訳ないでしょ……。それで、一体どうしたのよ」
レイラは呆れかえった様に聞いてくる。
僕は諦めて彼女に正直に話すことにした。
「それが……ちょっと……ここでは言いにくくって」
「アンタ……またそんな秘密を知っちゃったの?」
「うん……」
僕は正直に彼女に白状することにした。
彼女のことは信頼しているし、彼女の為なら、僕は命をかけて守る覚悟がある。
「隣の空き教室でいい?」
「そうしてくれると助かる」
僕たちは一緒に隣の空き教室に移動して、そこで向かい合う。
扉の外ではアルセラ達が守ってくれているので、問題はない。
「それで、一体何を聞いたのよ」
「それが……」
僕は、彼女にリャーチェから聞いた事を包み隠さず話した。
〈黒神の祝福〉の本部が教会本部……ベネディラに存在するかもしれないこと。
そして、〈黒神の祝福〉の目的が、神の降臨であること。
「嘘……でしょう?」
僕の話を聞き終わったレイラは信じられないのか、口に手を当てて首を横に振っている。
それほどに、信じられず、驚くべき目的なのだ。
「本部がある場所はちょっと怪しいけど、目的は本当だと思う」
「どうして言えるの?」
「それは……」
僕はリャーチェから聞いた話、そして、自分が知っている情報をレイラに話す。
「サナちゃんが……【器】スキル持ち?」
「うん。どんなスキルか分からないし、人には言わない方がいい。っていうのを聞いていたから、誰にも言わなかったんだ」
「それじゃあ、学園に入る時のスキルはなんて答えたの?」
「適当に【闇魔法】って答えてもらったよ。サナは使えるから」
「そう……。でも、それだったら……どうしようかしら。今からでも本部に行く? あたしがつき添えばすぐにでも入れるわよ」
「ありがとう。でも、それは今はしないでおこうって学園長と話してなったんだ」
「どうして?」
「サナを置いて行くわけにはいかないし、それが本当か分からないから。今は学園長に任せているんだ」
「なるほどね。それなら仕方ないわね」
レイラも納得はしてくれたようだ。
「うん。他にも、強い人を仲間に引き入れてたんだけれど、誰か知らない? 学園長にこの国のSランク冒険者の事とか聞いたんだけど、ダメそうなんだよね」
「ああ……あの……」
「知ってるの?」
レイラはその人の事を思いだしたのか、苦々しい顔をしていた。
そして、思いだしたくもないと言うように話す。
「ええ、あたしに教会なんか抜けて俺の手駒になれって堂々と言って来るような奴よ。好きになれる訳ないじゃない」
「そんなこと言ってきたの?」
「ええ、言って来たわよ。しかも、基本的に偉そうで……人を常に見下している様な奴だったわ」
「それは……ちょっと難しいね」
「まぁ……それだけの実力もあるからしょうがないと言えばしょうがないんだけど。そいつと戦えるって言われているのが近衛騎士団長位じゃ無かったかしら?」
「近衛騎士団長?」
「そうよ。常に王の側で守り、今まであらゆる暗殺や謀略から国王を守り続けている人ね。こっちは礼儀正しいらしくて、アルセラが尊敬しているって言っている人よ」
「そんな人がいるんだ」
「ああ……王都には行ったこと無かったんだっけ?」
「うん。そんな所に行くならずっと勉強してたからね」
「もう……それは……。まぁいいけど、たまには息抜きをしないとダメよ?」
レイラはこうやって心配してくれる優しい人だ。
自分だって、常に護衛の人を側に置いているのにも関わらず。
「ありがとうレイラ。また今度一緒に町に出掛けよう」
「! そ、そうね。それがいいわ。あたしの護衛に付き合わせてあげる」
レイラは僕から目を逸らし、顔を赤らめた。
そこまで緊張する事だろうか?
もう大分仲が良くなったと思ったけれど、そう思っているのは僕だけ……?
「――!!」
その時に、扉の外で騒がしい声が聞こえる。
「なんだろう?」
「行ってみましょう」
「うん」
僕たちは騒がしい声がする方に向かうと、どこか聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「レイラ様とクトーは今大事な話中だ! 終わるまで待て!」
「さっきからそればっかりではありませんか! きっと中で2人で楽しくやっているに決まっています! 学園でハレンチです! わたくしも混ぜてください!」
「……」
「……フェリス?」
僕の耳にはアルセラとフェリスが言い争う……と言っていいのか分からないけれど。
2人の声が聞こえてくるのだ。
レイラもなんだか落胆して、行きたくないという空気をものすごく出している。
でも、アルセラをこのままにしておく訳にはいかない。
「アルセラ。大丈夫?」
僕は扉から顔だけ覗かせて外の様子を伺った。
「クトー様!」
ガバ!
フェリスが顔だけの僕に思い切り自身の体を押し付けてくる。
しかも、抱き締める力は思ったよりも強く、抜け出すことが出来ない。
「ふ……ふるひい(苦しい)」
「もう……クトー様。一体どこを触っているんですか?」
フェリスはそう言っているけれど、正直息が出来ない位に包まれている。
幸せと苦痛を味わう。
これが天国と地獄だろうか。
そう思って苦しんでいると、後ろから何か柔らかいものが押し当てられた様な気がする。
でも、気のせいかと言われると、気のせいの様な気もする。
いけない。
このままでは……。
「ふぁふぉは(【タコ化】)」
「わ!」
「え?」
僕は全身をタコに変えて、フェリスの拘束から逃れた。
直ぐに距離をとり、元に戻る。
一応、直ぐに来られることを考えて教室の中に戻ったのだけれど、何故かレイラも倒れていた。
「レイラ? どうしたの?」
僕はレイラに近付いて聞くけれど、彼女はゆっくりと起き上がるだけだ。
「それよりも……ど、どうだった?」
「何が?」
「!? まさか……気が付かなかった?」
「なんの話?」
レイラが何を言いたいのか正直分からない。
僕は首をかしげて聞く。
「アンタね……まぁいいわ。それで、フェリス様はどうしたの?」
「わたくしはその……クトー様とレイラ様がこう……何かいかがわしいことをしているのではないかとの波動を感じまして……」
どんな波動だ。
「そ、そんなことする訳ないじゃない! ねぇ? クトー?」
「え? う、うん。そうだよね。流石にそれはないよ。僕はただの学生だけど、レイラは聖女候補だよ? 釣り合わないって」
「……」
僕がそう取り繕うと、レイラはまたしてもじとっとした、責めるような目を向けて来る。
そんな僕に対して、フェリスまでもが責めるような視線を向けて来た。
「クトー様。今ここでサナがいたら拳が飛んできていますよ?」
「え?」
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