「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

文字の大きさ
70 / 100
3章

70話 抜ける

しおりを挟む
「それが、かなりの軍勢と、その近くにAランクの魔物、ファイアードラゴンと、Sランクの……ヴォルカニックウルフがここに向かって来ているらしいんだ!」
「なんだって!?」

 僕たちの元に走って来た彼はそう言うと、僕の方に向かって走ってくる。

「それと……クトー先輩。学園長が……至急部屋に来るように……と。あ、聖女様も一緒にという事でした。はぁはぁ」

 彼は森から逃げてくる時に事情を聞いた彼で、今も急いで来たのか額に汗を浮かべている。

 僕はレイラの方を向くと直ぐに頷いてくれた。

「今すぐ行くよ」
「ええ」

 僕たちは走り出し、学園長室を目指す。
 後ろからは当然の様にアルセラ達も付いてくる。

「学園長!」

 僕は学園長の部屋に蹴破らんばかりの勢いで飛び込む。
 中には、数名の教師が難しそうにして学園の周囲の地図を睨みつけている。
 教師の中にはピュリー先生もいた。

 ただ、僕が飛び込むと驚いた顔を向けてくる。

 そんな中、学園長は受け入れてくれた。

「クトー。待っておったぞ。話は聞いておるか?」
「はい。学園に攻めて来ている軍勢があると」

 部屋の中に入りながら皆がいる側に行く。

「レイラ嬢達も来たか。詳しい話をする事になる。落ちついて聞いてくれ」
「はい」

 学園長はそう言って少し溜めた後、攻めて来ている奴らの事について話始める。

「ここを攻めて来ているのは〈選ばれし者ギフターズ〉あのローバーが属していた組織の者達じゃ」
「あの!? もしかして……ローバーを……取り返しに?」
「そうかもしれんし、そうでないかもしれん」
「というと?」
「〈選ばれし者ギフターズ〉の中に、あのロード・バルバロイを確認した」
「Sランク冒険者のですか……」

 世界最強をうたうあのSランク冒険者が敵にいるだなんて……。信じたくない。
 けれど、国に反旗を翻そうという思想を持っていたという話を聞いたことがあったので、それも仕方ないかと思ってしまった。

 学園長が重々しく言うが、その言葉を聞く教師達の顔色も暗い。
 彼は続けて言う。

「奴の場合はただの報復……という事もある。それに、少し前までにいた〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉は〈選ばれし者ギフターズ〉の第3席を始末したという報告を聞いておる。丁度いいと思ったのかもしれん」
「そんな事が……」

 僕がローバーを倒さなければ……。
 でも、そうしなければ僕や……サナは実験台として酷い事をされていたはずだ。

 学園長は僕を真っすぐに見て話す。

「クトー。危険な事は百も承知じゃ。生徒を巻き込む事はするべきでない事は分かっている。じゃが、この学園を守るために共に戦ってはくれんじゃろうか」

 学園長が頭を下げて来るけれど、僕は慌ててそれを止める。

「頭をあげてください! 僕も戦うのは当然ですよ。ローバーを倒したのは僕ですからね。その報復かもしれませんし。僕の方こそ巻き込んでしまって申し訳ないです」

 僕は学園長や教師達に向かって頭を下げる。

 学園を巻き込んでしまったのは僕のせいでもあるかもしれないのだ。
 一緒に戦ってもらえるなら協力するのは当たり前だと思う。

「そうか……手伝ってくれるか」
「はい」
「感謝する……。作戦会議を開きたいが……その前にレイラ嬢。貴方は逃げられよ」

 学園長が言った意味が僕は分からなかった。
 レイラも同じようで、聞き返す。

「もう一回言って頂けるかしら?」
「レイラ嬢。貴方の身柄は教会から絶対に守るように言われておる。危険があってはならないのじゃ。だから逃がす」
「断るわ」
「じゃが……」
「あたしも戦う。学園が危機なんでしょう? 回復役がいて困ることは無いと思うけど?」
「そうじゃが……」

 学園長が困っていると、レイラはため息をついて首に下げた白い白鳥の聖印を外す。

「じゃああたし教会から抜けるわ。元々入りたくて入っていた訳じゃないし。丁度いいわ」
「レイラ様!?」
「お考え直しください!」
「嫌よ。もううんざりだわ。あたしは別に教会の為のこまになる気はないの。困っている人を見つけたら助けてあげたい。教会にいるとそれが出来ない様だから。アルセラ、今までありがとう。これを持って教会に向かって頂戴。それでいいでしょう?」
「レイラ様……」

 レイラはどうでもいいようだ。

 でも、アルセラがそれを許してくれなかった。

「レイラ様。では私も共に教会を抜けましょう」
「何言っているのよ。貴方はやることあるんでしょう?」
「レイラ様をお守りする以外の事は小さな事。我が忠誠は貴方にのみ捧げられるのです。教会等おまけでしかありません」
「アルセラ……」

 レイラはそう言われて困ったような顔を浮かべている。

 そこに、他の護衛の子達も声をかける。

「レイラ様が抜けるのであれば私も抜けます!」
「そうです! この学園の為に戦います!」
「貴方達……。学園長。いいでしょ?」
「後悔しても知らぬぞ?」
「大丈夫よ。あたし達は勝つからね?」

 レイラは僕に向かってそうでしょう? という視線を向けて来るので、大きく頷き返した。

「うん。僕たちは勝つ。絶対に勝つよ」
「全く……近頃の生徒は血の気が多いの」
「学園を守りたいと言ってくれているんですから。いいではないですか」

 ピュリー先生が優しく笑いかけてくれる。
 流石ずっと授業で話しているだけあって分かってくれている。

 学園長もゆっくりと頷いて、これからの事を話し始めてくれた。

「よかろう。では、これからの作戦について話す。といってもそこまで作戦を練っている時間はないし、単刀直入に言う。我々は打って出る」
「打って出る……。ということは、籠城はしないですか?」

 学園には確かに城壁等はないのだけれど、街自体にはそれなりの物が存在している。
 なので、それを使って持久戦をするのかな?
 という事を思っていたのだけれど、それはダメらしい。

「最初はそれでもいいと思っていたんじゃが……相手にはあの〈殲滅者〉がいる。城壁等数分も経たずに崩れ去ってしまうかもしれない。そうなってしまえば最悪じゃ。市民や生徒を盾に取られればどうする事もできん」
「そこまで強力なスキルですか……」
「ああ、ワシの魔法でも抑え込めるかどうかといったレベルじゃ」
「そこまで……」

 学園長の渋い顔に僕は戦慄せんりつする。

 学園長の魔法で僕のスキルすら抑え込んだのだ。
 それでも抑え込めない程のスキル……。
 考えるだけでもヤバい。

 しかし、学園長はそこからニヤリと笑う。

「じゃが、どうしてこの学園がそこまで兵士を置いていないのに、問題ないかを知っているかのう?」
「え? それは……学園長が強いから……とかですか?」
「当然それもある。が、この学園には防衛用の魔法がこれでもかと仕込まれておるんじゃよ」
「防衛用の魔法?」
「ああ、それをまず使い、その後、戦闘員は前線に向かう。それで良いかのう?」
「あの……どれくらいの威力なんでしょうか?」

 僕は少しドキドキしながら聞く。
 それほどに、学園長の顔には自信がみなぎっていた。

「それは見てからのお楽しみじゃ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

処理中です...