「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

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3章

71話 防衛機構

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 僕達戦闘員は今、敵の軍勢が迫っている城壁の上に立っていた。

 周囲にはレイラやアルセラ等もいて、緊張した面持ちで外の敵を睨みつけている。

「それにしても学園長の魔法ってどんなものなの? そんな物があるとは知らなかったんだけど」

 そう言って一番詳しそうなアルセラに視線を向けると、彼女はチラリとこちらを見た後に口を開く。

「私も詳しいことは知らない。というか、そんな話は聞いた事がないんだ」
「え?」
「この学園には防衛機構自体は確かに備わっている。許可の無いものが入ったり、強力な魔法を放とうとしたりしたら介入される事もある。だが、学園長が自信を持つような魔法の話は聞いた事がない」
「それは……」

 僕は心配になり、学園の方と敵の方を交互に見る。

 学園はいつもの様子と変わらずそこに存在しているけれど、敵はドンドンと近付いて来て、その軍勢の凄さが見て取れる。

「これは……小国が落ちる程には凄い戦力だな……」
「小国が?」

 アルセラのつぶやきに耳を疑った。
 それほどの戦力がこの学園に……?

「ああ、まずは兵士だが……2000人位だが、誰もがかなりの練度を感じさせる。近衛騎士団とは言わないが、普通の騎士程度の実力はあるだろう。それが2000」
「そんなに……」
「しかも、〈選ばれし者ギフターズ〉の中枢に近いメンバー。あの〈殲滅者〉を筆頭に強力な奴らがいるのだろう? ローバーですら苦戦していたのに、それ以上の者が3人はいる。他にもあの魔物達」

 アルセラの視線の先には、彼らの上空で飛び回っているAランクの魔物、ファイアードラゴンを見ていた。

「Aランクの魔物が10体に、今は姿を隠しているがSランクの魔物を発見されたのだろう? これほどの戦力、小国であれば確実に落ちる」
「そんな……でも、学園長は大丈夫そうだったけど……」
「その自信はどこから出てくるのかわからんが、まぁ……何かあるのだろう。今は合図があるまで待つだけだ。そら、敵さんも挨拶に来てくれたぞ」

 敵の方に視線を向けると、10体のファイアードラゴンが迫って来ていた。
 軍勢はまだ500mは離れた所で、こちらに攻撃を仕掛けてくる様子はない。
 ただし、ゆっくりと近付いてくる。

 ファイアードラゴン達は近付いて来て、城壁の上に向かってブレスや火球を放ってくる。

 ボアアアアアアアアアアア!!!

 しかし、それを見て怖気ずく人はいても、怪我をする人は誰もいない。

「流石だな……」
「これが……防衛機構の1つ?」
「ああ」

 僕たちの前には水色の薄い幕の様な物が張られ、敵の攻撃を完璧にシャットアウトしていた。

 奴らはそれでも攻撃の手を緩める様な事はしない。
 
「ちょっと……いつまでこうしてればいいのよ……」

 近くにいたレイラがそう弱音を吐いてくる。
 戦うとは言ってくれたけれど、それでも、こうして攻撃をされているのを見ると不安になるのかもしれない。

「大丈夫だよ。学園長を信じよう」
「クトーの言う通りです。我々の出番はもう少し先。今は落ち着きましょう」
「でも……」
「!?」

 レイラが何か言おうとした時、僕たちの足元に大きな、いや、学園だけでなく、街全体を飲み込む程の大きな白い魔法陣が現れた。

「これは……?」
「魔力が……吸われてる?」
「何を放つのだ……?」

 ここにいる3人とも何も分からない。
 けれど、凄い事が起きる。
 そんな予感がした。

 魔法陣が現れてから数秒後、それは現れる。
 それと同時に何処からか、学園長の声で魔法を唱える声が聞こえた。

「『究極の一撃アルティメット・ストライク』」

******

 この時、ロード・バルバロイは豪華な装備をつけた馬にまたがって、ファイアードラゴン達の様子を見ていた。

 彼の側には他の〈選ばれし者ギフターズ〉のメンバーが側についている。

「流石学園だな。伊達ではない守りだ」
「そうですわね。このままではただ力を消耗しょうもうしてしまうだけですし、下がらせては?」
「構わん。いずれあの防壁も破れる。攻撃を続けさせろ」
「は」

 暫く見ていると、学園を覆いつくす程の巨大な魔法陣が現れる。

 ロード・バルバロイは怪訝けげんな顔をして、魔法が得意なメンバー、チェルシーに目を向ける。
 彼女は美しい紫色の髪を背中に伸ばした妖艶な女性だ。
 露出の多い服を着ているけれど、それは少しでも動く速度を速くする為の工夫でもあった。

 ロードはそんな彼女に今起きている事を問う。

「あれはなんだ?」
「……分かりません。私では……ただ、あの魔法陣の中にいる者から魔力を吸い取っている様に感じます。もしかしたら……とてつもない魔法が放たれるかも知れません」
「なに? そんな話は聞いていないぞ?」
「申し訳ありません。私も聞いた事が無く……ただ……」
「ただ?」

 ロードはそこで止まったチェルシーに続きを促そうと見ると、彼女は真上をじっと……自分の目が信じられないように見つめていた。
 彼はつられて上を見ると、何か大きな物が空から自分たちに向かって落ちて来ているのが見える。
 まるで巨大な隕石いんせきのようだった。

 それは時間が経てば経つほどに大きく、詳細に見えるようになってくる。
 
「あれは……なんだ?」
「分かりません……ですが、攻撃であることには違いありません! ファイアードラゴンに今すぐに迎撃させるように!」

 チェルシーは叫ぶように伝令を出すと、それを聞いた魔物を操っている者は直ぐに指示通りに動かす。
 しかし、それは焼け石に水。
 ファイアードラゴンは下からブレスや火球で攻撃をするけれど、隕石は速度を落とすことすらせずに、そのままの姿で近付いて来る。

 その異様な様は恐ろしく、熟練の騎士たちもある者は逃げ、ある者は迎撃し、ある者はただ立ち尽くすしか出来ない。

 隕石は止まらずに、そのままの勢いで軍勢の中央に落ちるのかといった時、ロード・バルバロイは剣を抜いて隕石に真っ向から向かっていく。
 剣に持てる力全てを注ぎ、スキルを放つ。

「【残すは瓦礫のみロード・デストロイ】!!!!!!」

 一度は破れた技。
 だが、これが彼にとっての心の支えでもあったのだ。
 彼はそれを使い、隕石の破壊を試みた。

 シュパっ!!! バッガアアアアアアアン!!!

 ロードのスキルは正常に発動し、彼の目の前にあった隕石を真っ二つに切り裂いた。

「ふっ」

 自信を取り戻したロードであったが、この学園長の放った魔法の恐ろしさはこれで終わりではない。

 砕かれた隕石は小さな破片となって彼の軍勢の上に降り注いだのだ。

「『氷の盾よアイスシールド』」
「『土の壁よロックウォール』」

 魔法が使える者は自分の身を守るように魔法を発動し、

「『炎の礫よファイアーバレット』」
「『旋風よ巻き起これサイクロン』」

 力のある者は自分の周囲も守ろうと、降り注いでくる破片の迎撃に努めた。

 それによって多少の被害は防ぐ事は出来た。
 しかし、大半はそれらの盾を打ち壊し、壁を突き抜け、軍勢を貫いた。

「ぎゃあああああああああ!!!」
「痛い……痛いいいいいいいいい!!!」
「腕が、俺の腕があああああ!!!」

 その場は阿鼻叫喚あびきょうかん。既にまともな軍勢を保つ事も出来なくなっていた。

 しかも、飛び散った破片はファイアードラゴンにも襲い掛かり、半数は既に息絶えている。

 残った5体も瀕死の状態で、これから攻め入ろうというのが不可能な状態になっていた。

 チェルシーは叫ぶ。

「なんなのよ。なんなのよこれ!」
「敵が打って出て来たぞ!?」
「なんですって!? ど、どうすれば……」

 チェルシーは慌てる事しか出来ない。

 彼女は魔法の研究とスキルが認められてはいたけれど、軍勢を指揮するような器では無かったからだ。

「指揮は僕が取ります。いいですね?」
「ロビン……」

 チェルシーが呼んだ先にいたのはロビン。
 長く王宮で軍事顧問等を努めて来た頭脳派だ。
 〈選ばれし者ギフターズ〉がここまで大きくなったのも彼の力に寄る所が大きい。

 彼は冷静になる様に周囲に指示を出す。

「まずはヴォルカニックウルフを出せ! 前線で暴れさせてこちらの体勢を立て直させるのだ! その間に戦える者は前線に集中! 傷を負った者達は今はそこに置いておけ! 救護班が行く!」

 ロビンの迷いない指示に、最初は慌てていた者達も次第に落ち着きを取り戻す。

 チェルシーはそんな彼に感謝する。

「助かったわ」
「まだ終わってない。でも、やられっぱなしは良くないよね」

 そう言葉を言う彼の目には暗い影が宿っていた。
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