「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

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3章

79話 血とスキル

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 僕と……フェリス達を囲うようにして、半透明の城が一瞬にして築かれた。

 次の瞬間、ロードのスキルが炸裂さくれつする。

 ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!

 ロード・バルバロイのいる場所を中心にして爆風が起きる。
 砂塵が城壁に物凄い勢いでぶつかってきていた。

 だが、城壁を境い目にしてこちら側には一切の影響がない。
 爆風は当然として、ロードの放った最強の技すらも防ぎ切って見せた。

「これは……」

 僕は暫く何も言えずに、ただ砂塵が吹き荒れる向こう側を見続けることしか出来なかった。

 フェリス達も皆が手を止め、じっと城壁の向こう側を見つめている。

 暫くして、砂塵が晴れた先にあったのは、ロード以外全てが吹き飛ばされた空間だった。

 ロードは地面にスキルを叩きつけたままで止まってる。
 彼の奥には多少離れた所に彼の味方がいたはずだけれど、ほとんどが吹き飛び消え去っていた。

「使わなかったら……僕も……フェリスも……」

 そう思うと、どうして聞こえたのかは分からないけれど、サナの声が聞こえて助かった。
 彼女の声が聞こえなかったら確実に僕とフェリスは木端微塵こっぱみじんになっていただろう。

 僕はスキルを消して、ロードに近付いて行く。
 その時に、サナとは違った声が聞こえた気がする。

『あの技は卑怯だよね。封じさせてもらうよ。これで力が見せつけられるね?』
「?」

 雰囲気でなんとなく優しそうな声が聞こえた。
 誰に対して言った言葉だろうか?
 もしかして……僕?

 流石にそれはないか。

 そんな事を思っていたら、ロードが立ち上がってゆるりと向かって来る。
 彼の顔は真っ赤だったのが真っ青に変わり、今にも倒れそうな病人のようだ。

「やっぱり……かなりの代償が必要だったんだね」
「……この程度は代償は言わん」
「そんな……」
「この程度の疲労がダメージ? あり得ぬ。俺は……これよりも厳しい戦いを何度も乗り越えて来た」

 彼はそう言って一歩……また一歩僕の方に向かって踏み出して来る。
 足取りに力はなくても、彼の瞳には力強い光が宿っていた。

「俺はこの国を作り変える。血で権力の座につくのではなく、スキルという才能によってのみ決められるべきであると」
「それでグレーデンみたいな奴を勧誘しようとしたの?」
「奴は捨て駒だ。公爵家の力は捨てがたいからな」
「でも、僕はそれを認めないよ」
「貴様に認められるまでもないわ! 【破壊者デストロイヤー】」

 彼は近付いて来てスキルを使って来る。

 僕には届かなかったけれど、彼の怒りは伝わって来た。
 流石に怖いので盾を張っておこう。

「【次元の城塞ディメンジョンフォートレス】」

 僕は先ほどのスキルをイメージして発動しようとした。

「あれ?」
「なんだ? スキルが発動出来んのか?」
「そ、そんなバカな。【次元の城塞ディメンジョンフォートレス】……【次元の門ディメンジョンゲート!」
「……」

 僕のスキルはうんともすんとも言わない。

 ズバァッ!!!

「ぐぅ!」

 僕の触手はまとめて蹴り飛ばされ、ボク個人もかなりのダメージを負う。

 ロードは汗を大量に流しながらも、笑顔になった。

「やっと食らったな。どうだ。俺のスキルは」
「確かに……効くね」
「分かったのなら諦めろ。貴様を手駒に加えればこの国をとれる」
「それは……嫌かな。【自己再生オートリペア】」

 小声でつぶやいたこちらのスキルは発動出来るらしい。
 そして、発動出来ないのは次元系統のスキルであるようだ。

 そんな僕には構わず、ロードは乾いた笑いを堪えるように話す。

「く……くくく。あの男も多少はやるではないか。参戦しない等ふざけておると思ったが……。貴様の次元系のスキルを消すのであればそれで十分だ。俺が貴様を消すだけの時間は十分にある!」

 彼はそう言って飛びかかってくる。

「【次元の城塞ディメンジョンフォートレス】! 【次元の門ディメンジョンゲート】! やっぱりダメだ!」

 僕は痛む体を押さえ、彼から下がりながらスキルを発動させようとするけれど、やはり発動しない。
 なぜなんだろうか。

 いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
 彼は疲れているはずなのにかなりの速度で追いかけてくる。

 いずれ追いつかれれば、彼の攻撃をかわすしかなくなる。
 けれど、それでは……。

「死ねい! 【破壊者デストロイヤー】!」
「っく!」

 僕は体を前に出し、彼の剣ではなく、突っ込んで来る腕を止めた。
 触手を伸ばし、力を込めれば何とかなる。

 糸の鎧をまとっていたら出来なかっただろうけれど。

「離れろ!」
「断る!」

 僕はそのまま彼の右手を握り潰す。

「くそが!」

 しかし、ロードの右手は動いて、僕はそれを回避するように飛びのいた。

「なんで動いて……」

 彼の右手を見ると、そこには糸が体の中に入って動かしている。
 かなり痛々しい見た目だけれど、彼は薬のせいか感じていないようだった。

「貴様……俺が……俺がここに来るまで……どれだけ苦労したと思っている……。俺の覇道の邪魔をするなぁ!」

 彼は切りかかってくるけれど、僕はそれを回避しながら彼に言葉を返す。

「スキルが優秀な人が国を操るなんてさせる訳にはいかないよ!」
「なぜだ!」
「人はスキルで差別されるべきじゃない!」
「違う! スキルこそもっとも神に決められたことなのだ! それは、スキルが優秀な者が人を導くように神に作られているからだ! 現に、貴様も強いスキルを持っているだろう!?」
「……だからって、スキルで強制的に決めるのは良くない!」
「何を今更なことを言っている! 今だって血で……同じ血族というだけで勝手に身分が決められているではないか! 優秀でない者が不要な権力を握った時の事を、貴様は見てきたのだろうが!」
「それは……」

 彼は感情に任せて剣を振り下ろして来る。
 その太刀筋は片腕を潰しているからか先ほどまでのキレはなく、僕でも何とか躱せた。

 ロードの攻撃を躱しながら、彼の言っている事を考える。
 フェリスが公爵家令嬢にいじめられていたことや、グレーデン等が平民の子達にやっていた事を思えば彼の言葉を否定する事もできない。

「あったのだろう!? 学園ですらある! 外の世界でない訳がない!」
「それでも、僕たちを実験に使ったりなんて許せない!」
「それは仕方ない事だ! 変革には犠牲がつき物だからだ!」
「だからって」
「それを躊躇っていたから俺の父は死んだのだ!」
「!?」
「俺の父はスキルも平凡な心優しい父だった! 40年前の魔物の大量発生の時、父は自ら軍を率いて魔物達の討伐に出た! しかし、優しいだけだった父は死んだ。スキルもない。ただただ優しかった父は死んだのだ! 上に立つものは血の繋がりで継続させられるという悪習の末路まつろに! それでも、貴様は今のままを望むか!」
「……」
「違うであろう! 俺達が……俺が変えるのだ! 才能を正しく評価し、多くの国民を救う国を作って見せる!」

 彼の言葉に、僕は言い返せない。
 上に立つものは確かに責任が伴う。
 そして、その責任を血に背負わせ続ける事を止めるべきだ。
 責任を持つのは、スキルで判定された優秀な者達。
 彼はそう言いたのだろう。

 彼の父の件しかり、多少は納得出来る気もする。
 けれど、だからってこんな今の彼のやり方は間違っている。
 その思想は素晴らしいかもしれない。
 でも、この学園を狙うことの正当性は存在しないのだ。

「ロード・バルバロイ。貴方の言っている事はあるのかもしれない」
「では!」
「でも、この学園を狙う事に一体何の意味があるんですか。この学園に、あんな魔物達を差し向け、何が救うだ。言っていることとやっている事が違っているでしょう! この学園の教師が何をした? この学園の生徒が一体なんの悪事を働いた! 貴方はこの学園を攻める口実にさっきの言葉を使っただけではないのか!」
「それは違う!」
「ではなぜ攻めた!」
「それは……それは……」

 彼の攻撃は弱々しくなり、手を休めるのかと思ったら、急に速くなった。

「貴様には関係ない! 死ね! 【残すは瓦礫のみロード・デストロイ】」

 彼はもうどうでもいいかと言うように、彼が放てる最強の技を放つ。

 でも、彼は……忘れている。
 僕が近くにいるのに、そんな技を使える隙がないことを。

「【水流切断アクアセーバー】」

 僕は……彼が振り上げる前に、スキルを発動して両手を切り飛ばした。
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