「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

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3章

81話 勧誘

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「それでは、2人の事をよろしくお願いします」
「ええ、分かっています。クトー君。貴方も休んで下さい」

 僕はレイラと学園長を保健室に運び、後の事はピュリー先生に任せる。

「ありがとうございます。流石に疲れたので、僕も部屋で休みたいと思います」
「……本当にありがとうございました。クトー君。貴方が居なければ……今頃我々は……」

 先生はそう言って目を抑えている。

 教師の仕事は生徒に教える事。
 こんな戦闘ばかりで精神的にもきついものがあるのかもしれない。

「先生。大丈夫ですよ。僕がいますから、何かあったら、僕が握り潰します」

 先生を元気付ける様に話す。

「クトー君……。ありがとうございます。私に出来ることがあったらなんでも言ってください。それでは、お気をつけて」
「はい。失礼します」

 僕は優しく微笑んでくれる先生に返し、部屋を出ようとしたら先生に止められた。

「あ、クトー君」
「はい?」
「もしも教職員になりたい。そう思うのであれば、言ってください。他の教職員や、学園長を殴ってでも頷かせるので」
「……は、はい。ありがとうございます」

 そこまで言ってくれるのは嬉しいけれど、そこまでしたらピュリー先生の立場が……。

「なんて……ね。それと、大丈夫だとは思いますが、お気をつけて」
「? はい」

 先生にしては珍しい冗談を言って来るものだ。

 僕は意味深な事を話す先生に別れを告げて、自室に戻る。
 流石に疲れた……。

 Sランクのヴォルカニックウルフと、〈選ばれし者ギフターズ〉のトップであるロード・バルバロイを倒したのだ。
 もう一回やってくれ、と言われても僕は断るだろう。

 というか、そんな強い相手がほいほいと現れて欲しくない。

 そんな事を思いながら歩いていると、上級生の先輩とすれ違う。

 僕が彼女を避けようとすると、彼女は僕の顔を見るなり両手を掴んできた。

「貴方クトー君よね!?」
「え? え?」
「クトー君でしょ!? そうよね!?」
「え、あ、はい。そうですけど……貴方は……」
「私はニミッツ侯爵家の長女のロザリー。よければ家に仕えないかしら?」

 僕より少し背が低い彼女は、可愛らしい笑顔を近付けてくる。

「あ、あの。いきなりどうして……?」
「そんなの決まっているでしょう? 学園防衛戦の英雄よ? 誘わない理由がないとは思わない?」
「いや、でも家族の人とかとも相談しないといけないんじゃ……」
「大丈夫! 貴方の力を見せれば簡単に納得するから! ああ、条件はどうしようかしら? 月に金貨100枚は出すわよ。仕事も大変な事は振らないし。好待遇は約束するわよ?」
「い、いえ、そんな直ぐには……というか、僕はまだ学生なので」
「別に学生をやりながら家に仕えればいいじゃない。それでも全然いいわよ? 卒業したら来てくれるんなら。それとも……私も欲しいのかしら?」
「せ、先輩!?」

 彼女は近かった顔を少し離し、僕の体に巻きつくようにして体をくっつけてくる。
 ここまでされると僕もどうしていいのか分からなくなり、焦りが出た。

「どう……? 私、これでもそれなりに男子に好まれると思っているんだけど?」
「ちょ、ちょっと先輩!? そういうのは……」
「いいじゃない。一度体験してみたらきっと思いも変わるかもしれないし。私も、貴方に初めてを捧げるのならいいわ」
「な、なんの話ですか!?」

 そうやって騒いでいると、結構な人が騒ぎを聞きつけて集まってくる。

 集まってきた中に、かなり体格のいい無骨な先輩がロザリー先輩を引きがしてくれた。

「ロザリー。後輩が困っているだろう」
「パットン……。いいでしょ? 勧誘をするくらい」
「それであれば俺もしたいな」
「え」

 助けてくれたと思ったら話がまた……。

「俺はパットン。グターク公爵家の長男だ。君を我が家で雇いたい。どうだろうか? 給金はそうだな……金貨150は最低出そう。更に、功績をあげてくれればボーナスも奮発する。どうだ?」
「い、いえ、僕はまだ学生なので……」
「何も問題はない。それに、我が領地に来てくれれば、楽しいぞ?」
「楽しい……ですか?」
「ああ、この国で王都と並ぶくらいの歓楽街を持っている。我が家の特別な許可証を出せば毎日遊び放題だ。どうだ?」
「……」

 ちょっと驚いてしまって言葉が止まってしまう。
 まさかこんな無骨そうな人から歓楽街へのお誘いが来るとは思わなかった。

「ほう。良さが分かった様だな? では今すぐに俺の部屋に来て契約書を……」
「い、いえ! 流石にそれは出来ません!」

 今はとりあえず不味い。
 というか、そんな事が理由で行くなんて言うことがサナにバレたら大変だ。

 これからどうしようかと思っていると、騒ぎを聞きつけたのか近衛騎士団長が助けてくれた。

「お前達、何をやっている」
「お、オリヴィア近衛騎士団長……」
「サッサと部屋に戻れ、クトーは今日の激戦で疲れている。英雄に勧誘もいいが、休みを与えることも必要だろう?」
「それは……そうだが……」
「分かっていますわ。今日はちょっとお話したかっただけです」
「では、これで満足だろう。今日は解散しろ」

 騎士団長の声で他の生徒達は渋々と帰って行く。

「ありがとうございます。助かりました」
「気にするな。これくらいはお安い御用だ。後、わたしの後をついて来い。1人だとまた声をかけられるだろう」
「そこまでしていただいていいんですか?」
「ああ」
「ありがとうございます」

 僕は疲れからかぼんやりした頭で彼女の後をついて行く。

 そして、僕の部屋ではないような豪華な部屋に到着する。

「こっちだ」
「はぁ……」

 何でこの高位貴族用の部屋に来たのだろうか。
 まぁいい。
 僕が部屋の中に入ると、彼女はずいっと僕の目を覗き込む。

「クトー。貴様、近衛騎士に興味はないか?」
「へ? い、いえ。今はそう言うのは考えていませんが」

 というよりもタコのスキルを持った者が騎士というのは何だかイメージと違うような気がする。

「では今考えろ。どうだ? 最高の武具に最高の栄誉。やりがいもある。入りたいと言ってくれればわたしが推薦しよう」
「え? あ、ありがとうございます?」

 なんだか断れない雰囲気だけれど、濁しておこう。
 っていうか即答することではない気が……。

「そうか。受け入れてくれるか。では今からでもここを発って王都に……」
「待ちなさいオリヴィア!」
「フェリス? フェリス!?」

 僕はぼんやりとしたまま声のした方を見ると、そこにはフェリスがいた。
 ただし、バスローブ一枚で立っており、髪などには水滴がついている。

 余りの衝撃に完全に目が覚めてしまった。

 彼女はそのままの姿で僕の方に来た。

「クトー様はわたくしの専属騎士になるのです。ですから近衛騎士にはなりません」
「ですが、姫様の騎士は女性しかなれないはずですが」
「クトー様であればきっと父も許してくださる事でしょう。クトー様もそれがいいですよね?」
「え? いや……僕はまだ決めて無くって……」

 僕がそう言うと、フェリスはまゆを落とし、悲しそうに見上げてくる。
 その視線はずるいと思う。

「そんな……わたくしの騎士は嫌ですか?」
「そういう訳じゃないけど……」
「では、わたくしの旦那様になるという事で手をうちましょう」
「どうなったらそうなるの?」
「さて、夫婦がやることと言えば子作りですよね。丁度いいベッドがあるんです。ささ、どうぞこちらへ。オリヴィア。誰も部屋に入れてはなりませんよ」
「姫様。流石にそれは強引過ぎます」

 良かった。
 騎士団長は多少まともらしい。
 というか2人の会話がスムーズに進み過ぎて会話に入れない。

「わたしもクトーと戦いたい。近衛騎士にさせて、毎日模擬戦祭りにしたいのです」

 撤回だ。
 この人もこの人で全くまともではない。

「では共有という事でいかがでしょうか? 昼はオリヴィア。夜はわたくしと言うことで」
「それならばいいでしょう」
「良くないんだけど? 僕の意見が入ってないと思うんだ」

 彼女達のペースに乗せられてもうどこまでも行ってしまいそうな予感だった。
 一度強引にでも断ち切って置かないといけない。

「ですが……」
「だがな……」
「あの……今日はもう……帰してください」

 それから僕は説得してくる2人を振り切って、何とか自分の部屋に戻った。
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