「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

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3章

93話 協力

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「全く……幾ら防御に振っている神獣だとしても固すぎるでしょう……」

 ギーシュはサナの前で1人ごとのように話す。
 けれど、彼はそこから動いて来るような気配はなく、後はずっとあそこで僕を待ち構える様だった。

 サナを見ると、先ほどよりも黒い霧が濃くなり、サナの姿も半分ほど隠れてしまっている。

 急がなければならないという気持ちを抑えつつ、僕は話しかける。
 ギーシュは支配下においていると言っていたけれど、僕は協力して力を振るうことが出来るのではないかと思ったのだ。

『ねぇ、クラーケン。協力してくれない』
『……』
『ねぇ。聞こえているんでしょ? わかってるから』
『……なんだ』

 僕は思わずガッツポーズを決めそうになった。
 でも、まだ早い。
 彼の……クラーケンの協力を取りつける事が必要だと思ったからだ。

『僕に協力して欲しい。あのギーシュを倒すのを手伝って欲しいんだ』
『なぜ我がそんな事をせねばならんのだ』
『今まで話していたいけ好かないやつってあいつのことでしょ? 倒したいっていう気持ちはないの?』

 ここでハッキリとないと言われてしまうと説得が困難になるけれど、その答えはハッキリとしていた。

『…………』

 彼は、ハッキリとは口に出さないけれど、なんとなくフェンリルの事を叩きたい。
 とは思っているのかもしれない。

『黙っているっていうことはあるんだよね。手伝って欲しい』
『はぁ……確かに、あの犬ころを叩いてやりたいと思う我は存在する。が、我がそこまでする理由もない』
『僕は君と一緒にぶちのめしたいと思っている。だから、協力して欲しい。それではダメかな』
『自分勝手な理由だな?』
『理由なんて大抵が自分勝手な物だと思う。だからお願い』
『ほう。そこまでいうのであれば……そうだな。我に再び体の制御権を寄越せ。出来ぬであろう? それが出来んのなら……』
『分かった。どうしたらいい?』

 簡単な事でクラーケンが折れてくれたのは幸いだった。
 体の制御権でいいなら、躊躇わずに渡してあげられる。
 そもそも、タコの体のことであれば、彼の方が詳しいというか、うまく使えるだろう。

『貴様……本当に良いのか? 我が今まで何をしようとしていたか忘れた訳ではあるまい?』
『? 僕を助けてくれようとしていたんでしょ? レイラだって、本当は今日みたいな危険性があったから、それで殺そうとしてくれたんでしょ? 僕が傷つかない為に』
『……』
『君の過去を見た時に僕は知ったんだよ。君は……人を傷つけるのが怖いんでしょう』
『……』
『前の時だってそうだよね。あれだけ悪い事をしたローバーの時ですら、殺すことはしなかった。違う?』
『……』
『だからいいよ。僕の体を君に任せても』

 僕は知っている。
 彼はいつも僕の事を見守ってくれていた。
 危険になった時には必ず声をかけてくれていたのだ。

 我……なんて尊大そんだいな言葉遣いをしているけれど、その中身はもっと……もっと優しい存在の様に思う。

『はぁ……仕方ない。今回・・だけ……手伝ってやる。抵抗するなよ?』
『うん。分かった』

 僕は体の力を抜き、体を彼にゆだねる。
 体はクラーケンが動かし始め、祭壇の前で待つギーシュの元に向かう。

「……この短時間で支配下においてきたのですか?」
「……」
「む……貴方は何者……いや。クラーケンですか」

 どうやってかギーシュは僕の体を動かしている存在を直ぐに見抜いた様だ。
 警戒心を持ち、泳いでいく僕の姿を注視している。

『貴様、今の状態でスキルは使えるか?』
『え? 【保護色カラーコート】』

 僕はクラーケンに言われるままにスキルを使ってみると、実際に発動する事が出来た。

『あ、出来た……』
『やはりか』
『何が?』
『犬ころがいるはずなのに、奴が使ってくるスキルの量がどう考えても少ない。理由は恐らく犬ころは儀式の方に集中しているはずだ』
『っていうことは……ギーシュはあの状態でも手加減している状態。っていうこと?』
『そうなるな。本来であれば、倍のスキルが飛んできていてもおかしくはない。我が体を操り、貴様が他のスキルを放つ。といった芸当も可能になるのだ』
『それは……すごいね』

 いかに僕の所持するスキルが強いのかと言うことを知ったからだ。
 最初のただのタコだと思っていたものとはまるっきり変わってくるように思う。

『であれば直ぐにやるぞ』
『何を?』
『我が見たところ儀式は既に終盤に差し掛かっている。急がねばあの女が降臨してしまう』
『分かった。僕は何をしたらいい?』
『見ておけ。我が戦い方というものを教えてやる』
『分かった』

 僕はクラーケンの言うままに任せる。

 クラーケンは僕の体を使い、一度水に沈み込んだと思ったら、急浮上してギーシュに突っ込んだ。

『【触手強化テンタクルフェイズ】【氷の装甲アイスアーマー】【闇の表皮ダークスキン】』

 クラーケンは体をスキルで強化しまくり、体を拡げてギーシュを掴もうとする。

「厄介ですね! 【炎と土の爪フレイムアースネイル】!」

 彼はスキルを使って僕の体を撃ち落とそうとする。
 彼の爪は僕の体の触手を止めた。
 けれど、8本の触手で全方位から彼の体を掴もうとするのを防ぐことは出来ない。

「くっ!」

 触手2本が彼の体を掴む。

 よし。
 このまま彼の体を握り潰せば……。
 そう思っていたのだけれど、クラーケンはそんな事はしなかった。

 ブン!

 音がするほどに大きく、ギーシュを掴んだ触手をギーシュごと水の中に叩き込んだ。

 そして、すぐさま自分も水の中に入り込む。

『【墨吐きブラックアウト】』
「!?」

 周囲に真っ黒な墨がこれでもかと満たされ、視界が完全に塞がれてしまう。
 しかし、クラーケンはまるで見えているかの様にギーシュに迫る。
 全身から伝わる振動で彼の位置を掴んでいるのだ。

『【触手強化テンタクルフェイズ】』

 バギバギバキ!!!

 水の中で自由に動けず、真っ黒な視界で何がどうなっているかも分からないギーシュの体中を握りつぶす。

「【土は我の下にありアースグラビティ】」

 ギーシュはスキルを使い、天井方向に進む。

 けれど、それを逃がすほどクラーケンは甘くないらしい。

『【水流防盾アクアシールド】』
「!!??」

 ギーシュの周囲……と僕たちの周囲を水の盾で囲むようにして逃がさない。
 意地でも水から出さない。
 という意思をクラーケンからは感じた。

「逃がしはせぬ。【触手強化テンタクルフェイズ】【闇の痛みダークペイン】」

 ただでさえ黒い触手を、更に黒いもやが包み込み、ギーシュの体を更に痛めつけていく。

「【大地の槍ガイアランス】!」

 ギーシュもこのままでは不味いと思ったのか、スキルを使った。
 けれど、その狙いは僕では無かった。

「ぐっぅ……」

 彼は自身のスキルで自身を貫き、そのまま水の上まで飛び出して行く。

「ほう。自分を攻撃して逃げるか。中々やるではないか」

 その行動を見て、クラーケンは感心したように呟く。

「【土は我の下にありアースグラビティ】【細胞活性セルパワー】」

 天井に逃れた彼はスキルを使って回復を始める。
 けれど、体は完全に回復したはずなのに、どこか苦しそうな表情をしていた。
 その答えはクラーケンが話してくれる。

『【闇の痛みダークペイン】のスキルは回復してもその箇所に残り続ける。気をつけろ』
『うん? わかった』

 何に気を付けるのだろうかと思う。
 そんなスキルを使うことはほとんどないと思うのだけれど……。

「やっと……やっとですか……。間に合って良かった」

 天井からギーシュの声が聞こえ、何のことかと思った後に、ハッとしてサナの方を見る。

 そこには、全身が真っ黒な何かがあるだけだった。

『クラーケン!』
『分かっている』

 急いでサナの方に向かうけれど、それ・・はゆっくりと起き上がる。

「わらわを目覚めさせる者は誰じゃ……?」

 闇の女神が遂に復活してしまった。
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