25 / 81
本編
テラスペクト選考戦
しおりを挟む話し合いが終わった後、ダダリオスは得意げににっこりと笑った。
ダダリオス:「くっくっく、計画通りだ!でもね、ミラネッラちゃん、さっきのは一体何の話だったんだ?」
ミラネッラ:「大公さま…ご存じなかったのですか…?」
ダダリオス:「あはっ、あははっは!もちろん、そ、その…知ってたけどね!でもね、一応、聞いてみたかったんだ!」
ミラネッラは少し困った顔をしながら、ダダリオスに説明を始めた。
ミラネッラ:「実は、私たちが考えた作戦は、相手の選手の順番を事前にハッキングで知るというものです。そして、その情報を使って、我々の選手を有利に戦わせるのです。」
ダダリオス:「ほほう、それはすごいぞ!」
ミラネッラ:「詳しく言うと、相手の最強の一部リーグの選手と我々の三部リーグの選手を、相手の中堅の二部リーグの選手と我々の最強の一部リーグの選手を、そして、相手の最弱の三部リーグの選手と我々の中堅の二部リーグの選手を当てる。これで、確実に我々が勝つことができるわけです。」
ダダリオス:「なるほどなるほど!やっぱり私の予想通りだ!一億年前からわかってたもんねー!」
ミラネッラ:「えっと…そうですか、大公さま…」
一方、アイとエレオンは代表選考の話に花を咲かせていた。
エレオン:「さて、アイ、ダダリオス大公がルールを変えたとはいえ、こちらはどうすればいいのかな?」
アイ:「そうね、面白くなってきたわね!では、代表選考戦をやりましょう!」
エレオン:「代表選考戦?」
アイ:「簡単よ!まず、テラスペクトリーグの一部には6チームあるでしょ?そのチームから代表選手を1名ずつ出すの。その中からトーナメント戦をして、最強の選手を見つけるわ。」
エレオン:「なるほど、トーナメント戦か!それなら最も強い選手が選ばれるってことだな!」
アイ:「もちろんよ!さらに、選手たちには予めルールを知らせないようにするわ。それによって、真剣勝負を引き出すの。」
エレオン:「ふむ、それはいいアイデアだ!では、早速選考戦の準備を始めよう!」
アイ:「任せて!」
エレオンはアイのアイデアに興奮し、早速選考戦の準備に取り掛かりました。アイは満足げに微笑み、次の戦いに向けてエネルギーを充電していました。このハイテクテラスペクト戦争は、ただの戦争ではなく、真剣な戦いと戦略のゲームとなりそうでした。
ゼニクス・アストラルは、テラスペクトの天才として知られる一部リーグの選手であった。彼の名は星間に響き渡り、多くのファンが彼のプレイを楽しみにしていた。しかし、予期せず、彼は一部リーグの代表選考戦に出場しないと公式に発表した。
エレオンは彼の決定に驚き、彼を説得するためにゼニクスの元を訪れた。「ゼニクス、君の力をリーグは必要としている。なぜ出場しないのか?」とエレオンは尋ねた。
ゼニクスは静かに答えた。「テラスペクトは、私たちが楽しむためのもの。政治的なゲームや権力争いには関わりたくない。」
その言葉の間、ラヴィーがAIラヴィア言語で「感情の波が高まっている...」と感じたコメントを残した。彼女の言葉は深い意味を持っていたが、その時点では誰もがその意味を正確に解釈することができなかった。
エレオンの説得も虚しく、ゼニクスの決意は固かった。そこで、アイが介入することとなった。彼女はゼニクスに会い、彼の哲学や考えに深く触れることで、彼の心を理解しようと試みた。
アイはゼニクスの部屋の扉の前に立った。その瞬間、彼女は部屋の中から湧き出る圧倒的なエネルギーを感じ取った。それはただのオーラではなく、まるで宇宙の力そのものが部屋の中に凝縮されているかのようであった。
彼女は少し躊躇したが、深呼吸をしてドアノブをゆっくりと回した。部屋の中に足を踏み入れると、そのオーラはさらに強くなり、アイの五感を圧倒した。部屋の中央にはゼニクスが座っていた。彼の瞳は深く、まるで遥か彼方の宇宙を見つめているかのようだった。
部屋全体がゼニクスのオーラで満たされており、その中でゼニクスはまるで神々しい存在のように見えた。彼の存在感は、彼がテラスペクト界で絶対的な存在であることを再確認させるものだった。
ラヴィー:Auvira korposa-lavikara sorivia-majiva lumora. (オーラは体の中で共鳴する統合の輝きです。)
アイ:確かに、凄いオーラね・・・
多くの人々は、その圧倒的なオーラの前に恐れをなすが、アイは違った。彼女はゼニクスの目をやさしくじっと見つめていた。その様子を見て、ゼニクスはアイをただ者ではないと感じた。彼は滅多に自分から話しかけることはないが、今回は例外だった。
ゼニクス:「何者だ、何をしに来た?」
アイ:「あ、ごめんなさい。テラスペクト中でしたか?」
ゼニクス:「いや、いい。オーラを練っていただけだ。」
アイ:「すごいオーラだわ!強くって神々しくって、けど、暖かい・・・」
ゼニクス:「ふっ・・・、暖かい、か。そんなこと、はじめて言われたな。面白い客人だ。入れ。」
アイ:「はい、ありがとう。」
アイの言葉に応えて、ゼニクスの部屋の中が一瞬の静寂に包まれた。部屋の中央に設置されたテラスペクトディスプレイの光が、二人の顔を照らし出していた。
アイはしっかりとゼニクスを見つめて言った。「ゼニクスさん、なんで選考戦に出ないの?」
彼は冷静に答えた。「私はテラスペクトを政治の道具として使うのは好まない。それは私のライフワークであるエンターテイメント性を損なうからだ。」
アイは瞳を輝かせてゼニクスに迫った。「でもね、ゼニクスさん。私、あなたのそのテラスペクトの美しさ、その楽しさを宇宙全土の人々に伝えてほしいの。選考戦は宇宙全土に中継されるんだよ?」
ラヴィーが間を取り持つようにAIラヴィア言語で「Polikaina laviara-movinaisa solimara miravikara」と発言した。
アイの目が輝きながら、「そうなの!政治って、元々「政(まつりごと)」って言って、お祭り・フェスなのよ!」と熱く語った。
ゼニクスは一瞬、考え込んだ後、深く息を吸い込んだ。「祭りか...」とつぶやきながら、幼い頃、母親に祭りに連れて行ってもらったことを思い出した。彼の心の中には、その時の温かい思い出が浮かび上がり、アイの言葉の重みを感じ取った。
彼はアイの目を真剣に見つめて言った。「アイ、キミの言葉、その真意を理解した。動くことのないはずの私の心を動かすのだから...よし、いいだろう。選考戦に出てやろう。」
アイは嬉しそうに微笑みながら、ゼニクスの決意を受け入れた。
星間のテラスペクト大会、それは各リーグ代表者たちが熱き戦いを繰り広げる場だった。しかし、今大会の三部リーグ代表選出は、多くのファンや関係者を驚かせる結果となった。
「三部リーグ代表は...エトス・クローバー!?」会場のスクリーンにその名前が表示された瞬間、場内は一時的な静寂に包まれた。三部リーグ、通称「落ちこぼれリーグ」。その最弱チームから補欠として選ばれたエトスが、選考戦で続けて3回も水源を掘り当てるという驚きの事実。
ラヴィーのAIラヴィア言語での言葉「aikaya-majiva farilova-majiva, Ailima-Corimara mira viverosuvir」がスクリーンに流れる。「運の力とは良き者が宇宙から応援される力です。」
アイは驚きのあまり口をポカンと開けて言った。「す、凄いわね...!」
エレオンは悩む様子で言った。「しかし、このハイテクテラスペクト戦争は、我が国の存亡がかかっているのだ... そして、ゼニクスの説得もあったが、彼を先鋒にするのはどうだろうか?」
アイは力強く言った。「大丈夫よ!ゼニクスを先鋒に、次鋒にリリアを。この二人で2勝取ればいいの!」
エレオンは彼女の提案に感心して言った。「さすがはアイ殿!ゼニクスの説得といい、この名案と言い、キミは何者なんだ?」
アイは軽く笑って答えた。「うふふ、私は私よw」
そして、テラスペクト大会の歴史に新たな伝説のページが刻まれることとなった。
テクノヴァ星系の奥深くに存在する、最先端の研究施設。その中の一室、無数のホログラムディスプレイが浮かび上がり、その間を駆け抜ける一人の女性、ミラネッタ。彼女の背後には、熱心に戦略を練るテラスペクトのシミュレーションが繰り広げられていた。
「ダダリオス大公!成功しました!」彼女は息を切らしながら報告する。
ダダリオス大公はゴージャスな椅子に座りながら、宇宙最高級のペットボトルドリンク「スターネクター」を一口飲み、「うむ、それは良い知らせだ!」とニヤリと笑った。
「それでは、例の方法で進めますね?」とミラネッタ。
大公は口をポカンと開け、眉をひそめた。「例の方法?ああ、全然わかっておるが・・・だな、再度説明してくれ!」
ミラネッタは少し驚きながらも、冷静に答える。「まず、相手の先鋒、ゼニクスにはわざと負けます。」
「ええええーー?! まさかの敗北戦略!?」ダダリオスの驚きの表情が強調される。
「ですが、次の二戦は我々の勝利が確実です。リリアにはネオン・サイバレット、そしてエトスにはピクセルを当てます。AIシミュレーションによれば、この二戦は我々の勝利が確定しています。」
ダダリオスはすっかり納得。「なるほど!それならば問題ない!」
ミラネッタはさらに付け加える。「ただ、リリア戦に関しては、秘策が必要です...」
ダダリオスの目がキラリと輝いた。「秘策?それは聞きたい!」
ミラネッタは微笑みながら言った。「それは、大会の日までのお楽しみです。」
【グランサリア選手紹介】
ゼニクス・アストラル
所属リーグ・チーム:一部リーグ・ギャラクシーパイオニアーズ、リーダー。
ゼニクス・アストラルはテラスペクト競技界の絶対的な存在として君臨している。彼の独特の技術と絶えず新しいアイディアは、他の選手が追随を許さないほどのもので、観客を常に驚かせている。そのテラスペクトは美しさと深みを持ち、まるで異次元の世界へと観客を引き込む魔法のような力を放つ。ゼニクスの挑むテラスペクトの舞台は、その度に新しい伝説を生み出している。
リリア・スターダスト
所属リーグ・チーム:二部リーグ・スターリーナイツ、リーダー。
リリア・スターダストは、細かい技術と策略を得意としている。彼女はテラスペクト競技での微細な動きや戦略を緻密に計算することで、相手を圧倒し、出し抜くことが得意となっている。彼女の競技中の集中力は非常に高く、一切の気の緩みを見せない。その独特の集中力は、特別な手袋を使用してのテラスペクトによるものとされ、その手袋は彼女の高い技術を支える秘密の一部として、多くの人々の間で話題となっている。
エトス・クローバー
所属リーグ・チーム:三部リーグ・スリーピング・フォージーズ、補欠選手。
エトス・クローバーは、外見や技術的な能力からは予想できないほどの運の持ち主である。身体が小さく、技術的には他の選手に劣るものの、何故か彼には運が味方し続けている。この謎の運の良さは、彼自身も知らない。しかし、その運は彼のプレイを予測不可能なものとしており、観客や他の選手からは「運の神」として恐れられ、同時に尊敬されている。
【テラノヴァ選手紹介】
ネオン・サイバレット
所属リーグ:テクノヴァ一部リーグ
未来を感じさせる青く光る髪と赤い瞳が印象的なネオン・サイバレットは、テクノロジーとテラスペクトの結合に長けており、その技術力でリーグトップの実力者として名を馳せている。彼のファッションセンスも未来的で、多くのファンからは「サイバープリンス」として親しまれている。
ピクセル・フレアノヴァ
所属リーグ:テクノヴァ二部リーグ
鮮やかなピンクの髪と緑の瞳が特徴のピクセル・フレアノヴァは、ゲームデザイナーのバックグラウンドを持ち、そのセンスを活かして独自のクリエイティブなテラスペクトの戦術で相手を翻弄する。彼女のプレイスタイルはアートのようで、観客を魅了する。
ビット・ラッシュワイヤー
所属リーグ:テクノヴァ三部リーグ
銀色の髪と虹色の瞳を持つビット・ラッシュワイヤーは、かつてテクノヴァ一部リーグのトッププレイヤーとして名を馳せていたが、ある事件をきっかけに三部リーグへと落ちてしまった。しかし、その実力は侮れない。彼のプレイにはかつての栄光と、再びトップを目指す熱い情熱が詰まっている。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

