幻想神統記ロータジア(ハナツオモイ編)

静風

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神器の章

ローズとの出会い

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前回までのストーリー

********************

ヘティスは三種の神器・イージスの盾を手に入れるため、過去にタイムスリップし、その持ち主である超新星皇帝・蓮也1世に出会う。

しかし、彼は自分の名を桃也(とうや)と名乗った。彼はヘティスの知る此花蓮也の前世の姿に間違いないのだが、違う点も多々ある。そして、桃也は神器を渡してもいいが、ヘティスに対し妻になれと言って来た。彼の意外な申し出にヘティスは困惑するのである。

********************



桃也
「もう一度、言おう。余の妃(きさき)にならぬか」
ヘティス
(け、結婚ってことよね・・・!?けど、まだ私、学校卒業してないし・・・。そんなんじゃなくって、そんなこと考えたこともないわ!てゆーか、そんなことしたら、私、元の世界に帰れないじゃないの!)



桃也の周囲にいる美女の嫉妬の目が再びヘティスを襲う。エスメラルダからヒーリングのレッスンを受けたヘティスは、そうしたエネルギーにも敏感に感じ取れるようになっていた。

ヘティス
(なんか視線がすっごく刺さりまくっているんですけど・・・)
(あれ・・・、あのコだけ・・・)

一人のメイドは、穏やかな表情で常に桃也を見守っている。

ヘティス
(このコだけ、桃也のエネルギーマインドコントロールを受けていないわ)

再び桃也が話しかける。

桃也
「ヘティスよ、今日は疲れただろう。しかも、急な話である。余は急ぎはせぬ。返事はいつでもよい。とりあえず、今日は、この王宮に泊まれ」
ヘティス
「は、はい・・・」
(とりあえず今日は疲れたわ。どうするか考える時間も欲しいし)
桃也
「この王宮には桃色の部屋がいくつもある。そこは余が“桃源郷”と名付けたエリアであり、余以外の男性は立ち入り禁止となっているから安心して使え。それと、メイドを一人つけてやるから、その者に何でも命令するがよい。そうすればこの王宮内で何不自由はせぬであろう」
ヘティス
「じゃ、あのコをつけてほしいわ」
(エネルギーマインドコントロールを受けてないし、いいコそうだし)
桃也
「よかろう」

ヘティスは自分が選んだメイドに案内され、桃也によってあてがわれた部屋へと入った。部屋は桃の間と同じように、水が壁を下から上に流れ、上には池のようになっており、光魔法の照明が揺らぐように床を照らしていた。

ヘティス
(ここも、こんな風なのね・・・。これは慣れるまで落ち着かないわ・・・)

と、ヘティスは思った。そして、メイドに声をかける。

「案内、ありがとうね。アナタのお名前は?」
メイド
「はい、ローズと言います。何でもお申し付けください、ヘティス様」



ヘティス
「ちょっと“様”ってのはやめてw“ヘティス”でいいわ」
ローズ
「それはいけません・・・、陛下の正妻となられるお方ですので」
ヘティス
「ちょっと、まだ、そんなの決めてないわよw多分、そうはならないしw」
ローズ
「え、そうなんですか?」
ヘティス
「とにかく“様”はやめてw肩こりそうだからwこれは命令よ!」
ローズ
「それでは“ヘティスさん”って呼びますねw」

ローズは将来、桃也の正室となると思い込んでいたヘティスを前に少し緊張気味であったが、呼び方をかえることを命令され、少し緊張がほぐれた感じがした。

ヘティス
「で、ロズたんは、年齢はいくつなの?」
ローズ
「ロズたん・・・?私のことですか?」
ヘティス
「そうよ」
ロース
「私は20歳です」
ヘティス
「あら、私よりも3つ年上ねw」
「だとすると年上に対して“ロズたん”はマズいかな」
ローズ
「いえ、なんか気に入りました“ロズたん”w」
ヘティス
「そう?じゃ、“ロズたん”ねw」
ローズ
「はい、“ロズたん”ですw」

ローズは赤いとピンクの中間くらいの薔薇のような色の長い髪で、その髪の一部を綺麗にまとめている。見た目も美しく、肌は白いがピンクがかっており、血色がよく健康そうである。ヘティスから見ると、やや大人っぽい感じがして、そこが何となく羨ましくも思った。

ヘティス
「ところで、あの桃也って人は、何であんなに美女を侍らせているの?」
ローズ
「それは・・・」

ローズは何か言いにくそうであった。

ヘティス
「大丈夫、言って。誰にも言わないから。これも命令よwロズたんw」
ローズ
「はい、それでは・・・」
「・・・実は、元々は陛下には奥方様がいらっしゃって、奥方様と陛下は幼い頃から将来を誓い合っていた間柄だったのです」
ヘティス
「へぇ~、素敵じゃないの~。好きな人と一緒になれたのね」
ローズ
「しかし、ある時、奥方様がご病気で亡くなられてしまい。それからと言うもの、陛下は大変深く落ち込まれ、政務なども殆ど手につかなくなってしまわれて。そこで側近の方々も心配となり、次の奥方様を見つけるプロジェクトが組まれたのです」
ヘティス
「なるほどね、それがこの桃色の王宮ってわけね」
ローズ
「そうなんです。最初は陛下もあまり乗り気ではなかったのですが、ある時、何かタガが外れたかのように美しい女性を王宮に集めるようになられて」
ヘティス
「そしてあのお色気ムンムンのオーラを使い出したのね」
ローズ
「・・・けど、ヘティスさんはスゴいですね。陛下のオーラを跳ね除ける方は初めて見ました」
ヘティス
「けど、ロズたんだってそうでしょ?私、わかるのw見えちゃう人だからw」
ローズ
「私は・・・」

ヘティスは、このローズという女性の純粋な気持ちが、彼女の正常な意識を保たせていると感じた。

ヘティス
「それと、ロズたんは、あの桃也さんのことが好きなんでしょ?」
ローズ
「そ、そんな。皇帝陛下に向かってそのようなことは不敬罪に当たります・・・」
ヘティス
「いいの、いいの。アナタのそのハートのエネルギーが常に彼に向かっているからわかっちゃうのよw」
(なんかエスメラルダ先生みたいになってきたわ、私w)
ローズ
「それに私なんか・・・」
ヘティス
「“私なんか”って言っちゃダメ。自分を卑下しちゃダメよ」
ローズ
「けど、私は商家の生まれなので、メイドとして王宮に仕えるまでが精一杯なのです。あのソファに座っていた女性たちが王族・貴族の位の方々で、あの中から次の奥方様が選ばれる予定なのです」
ヘティス
「ロズたんは選ばれないの?」
ローズ
「はい、私は階級が下なので選べれることはありません」
ヘティス
「恋に階級の差なんて一切関係ないわ!あの人のこと、好きなんでしょ?だったらそれでいいの!そして、アナタのオモイをハナツのよ!」
ローズ
「階級は関係ない・・・、オモイをハナツ・・・」
「そんなこと言う方、はじめてみました」
「やはり、ヘティスさんは陛下の奥方様になられる方です!」
ヘティス
「え・・・、なんでそうなるのよw」
「けど、アナタには素晴らしいハートがあるわ。あの人を思う純粋な気持ちは誰よりも強いはずよ」
ローズ
「陛下がお幸せになってくれれば、私はそれで・・・」

ヘティスは、これまでの自分の経緯を話した。そして、ヘティスとローズはお互いのことを少し知る仲となった。ヘティスは食事と風呂を済ませ、後は寝るのみとなった。

ヘティス
(私は蓮也のことが・・・、けど、その蓮也の前世の人が私と結婚したいって言ってくれてて。けど、私はロズたんのことを何となく応援してるし・・・。蓮也の前世は蓮也なのに、なぜ私はそんな風に考えるの?感じるの?人の気持ちって複雑だわ・・・)



輪廻という概念が含まれると、好きと言う感情は複雑になるようである。
ヘティスは、そのようなことをぼんやりと考えていると、窓を叩く音がする。窓を見ると、最初に出会った李統風がいる。



ヘティス
(モローさんの前世の人だ・・・。モローさんもそうだけど、何でこの人はいつも窓から入ってくるの・・・wそういえば、ここ男性禁制だっけw)
統風
「驚かせて申し訳ないです。実は・・・」

統風は皇帝の間でヘティスが謁見する様子を見ており、全く物怖じしないことと、既に正妻の件を情報収集していたことから、何かを伝えに来たようである。
それは、先ほどのローズが言っていたように、桃也の正妻が亡くなることで桃也が変わってしまい、政務も疎かになり、それは国の存亡に関わるということであった。そこでヘティスに対し、桃也を元の名君と呼ばれた頃のように、彼を何とか戻して欲しいということと、できればヘティスに正妻になって欲しい、ということを伝えに来たのである。

ヘティス
「正妻になるってのはちょっと難しいけど、あの人を元の桃也さんに戻すことは何とかやってみるわ!」
統風
「よろしくお願いします!」

と言って、統風は窓から去って行った。

ヘティスはスマートグラスを取り出し、アトランティス遺跡から発掘されたロータジアに関するデータで“此花桃也”の項目を探し出した。そこには、桃也が奴隷出身であり、そこから国を興したことと、その妻も奴隷の身分で幼なじみであったことが書かれていた。そして、彼はある時を境に“蓮也”と名乗るようになったらしい。
彼は、生まれた時から桃色の髪の毛をしていたことから桃也と名付けられた。そして、そうした髪の毛の色から差別も受けて来た、とされている。

ヘティス
(なるほどね、やはりあの桃也は蓮也1世だったのね。そしてあの此花蓮也の前世でありと。けど、蓮也って強そうに見えて実はそうでもないのかも・・・。まあ、そりゃ、ずっと好きだった人が亡くなったら悲しいけどさ)

「妻が死んだ事と国政とは関係ない」

(とか、あの蓮也ならサイコパシーチックなこと言いそうな気がするけど、国政ができない程のショックを受けるなんて、意外も意外よねぇ。まあ、色々と苦労して掴み取った幸せが崩れた時って、人はその無力感に苛(さいな)まれるってのはわかる気がするけど・・・)
(そうだ、転生後の蓮也も国を亡くしているから、もしかしたらエウリディーチェという人も亡くしているかもしれないけど、そこまでメンタルは崩れていないように見えるわ・・・。何でだろう・・・。彼女は生きているのか、行方不明なのか、実は傷ついているのを見せないだけなのか・・・)

ヘティスは、以前、エイリディーチェの事を調べようと思ったが、なぜかそれをやめた。もし、蓮也の恋人だったら、ということを知りたくない思いもあったし、何か姑息に調べているような感じがして、そんな自分になるのが嫌だったからなど、様々な感情が絡み合っていたのが理由のようである。そして、この日は疲れたので、ヘティスは休息についた。

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