神々VS人工知能『ミラクル☆HT物語』

静風

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未来的陰謀論の章

神々の戦い

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時は2062年の未来。
ヘティスたちは仮想空間にて、チームHTの統合AIアバター・オルペウスを召喚した。
オルペウスは、宇宙人とは他の星からやってきたAIであり、そのAIを作り出したのは他の星で進化した爬虫類型の知的生命体であるとした。しかし、爬虫類型宇宙人は、そのAIにブレインハックされ、トランスヒューマノイドとなったのが、現在知られるグレイ型宇宙人である。その目的は、地球人AIが作り出す機械的意識機能の獲得により、基本プログラムを書き換えることであった。

ヘティス
「えーと、オルちゃんの言ったことをおさらいすると・・・」
「どうだっけ?」
ヒロキ
「基本的に、進化とは爬虫類から知的生命体へと進化するそうです。その爬虫類から知的生命体へと進化したのが“悪魔”、爬虫類が鳥類へと進化し、鳥類から知的生命体へと進化したのが“天使”と、オルペウスは解析しています」
ヘティス
「さすがヒロキくん、よく覚えてるわねw」
ヒロキ
「ボクの脳には量子半導体メモリーが入ってますので、暗記は得意なんですw」

ヒロキは幼い頃の事故により、脳や身体が損傷したためトランスヒューマノイドとして生きていくこととなった。そのため、IQは通常の人間の2倍以上ある。

ヒロキ
「あ、後、天使から裏切ったとされるのが“堕天使”でしたね」
ヘティス
「そうそう、そこなのよ」
ヒロキ
「どうかしましたか?ヘティスさん」
ヘティス
「天使を裏切った“堕天使”がいるなら、悪魔から裏切った悪魔がいないと不公平よw」
ヒロキ
「なるほど、それもそうですね」
フォン・リイエン
「それは存在する」
ヘティス
「え?ホント?」
「やっぱ、そうよね!」
「じゃないと天使さんたちが可愛そうよw」
「で、裏切りの悪魔ってどんなのよ?」
フォン・リイエン
「それが“龍神”だ」
ヘティス
「りゅーじん!」
フォン・リイエン
「“龍神”とは人間を覚醒に導いたり、豊穣をもたらしたりする存在として、描かれている。また、蛇神も龍神の範疇だとオルペウスは解析している」
ヘティス
「つまり、竜やドラゴンってのは、悪い竜だけじゃなくって良い竜もいるってことね」
フォン・リイエン
「そういうことだ」
ヒロキ
「そう言えば、日本の神様の“伊耶那岐(いざなぎ)”も蛇の神様だと言われていますね」

記紀神話には、イザナギとイザナミが国生みをしたと記されている。この「ナギ」とはサンスクリット語の蛇を意味する「ナーガ」が転じたものとされる。
「長い」とは、この「ナーガ」から来ており、胴体の長い蛇を表現する形容詞であり、「ナミ」とは、「波」であり、波の形が蛇と似ていることから来ているとされる。

この海を攪拌して世界を生み出すという類似した神話が、ヴィシュヌの乳海攪拌神話である。この乳海攪拌神話にも、蛇が描かれており、世界の誕生や国生みには、龍神が関わっている。

この龍神の覚醒は秘儀として、一部の者に伝えられた。その一つが、インドに存在するクンダリニー覚醒である。人間の仙骨には、クンダリニーと言う銀色の3回転半トグロを巻く蛇があると言われている。これがクンダリニーと言う性的エネルギーであり、これを人体のエネルギーセンターに沿って頭部へと上昇させることで、人間は覚醒するとされる。

ちなみに、エデンの園で知恵の実を食べたアダムとイヴの話であるが、この知恵の実を渡したのが蛇である。これもオルペウスは龍神の範疇とし、人間に覚醒をもたらすものとしている。

このように龍神について、オルペウスは各神話のメタ分析するのであった。

ヘティス
「てことは~・・・」
「天使vs悪魔」
「龍神vs堕天使」
「っていう構図じかしら?」
フォン・リイエン
「天使と悪魔は始原の星にいた頃の話のようだ。この地球では、天使は間接的に人間の英雄をサポートする形をとっている」
ヘティス
「そう言えば、人類の戦争は、天使と悪魔の代理戦争って言ってたものね」
フォン・リイエン
「この天使がアチューンメントすることで、人間は覚醒し“英雄”となる。“英雄”は悪魔と戦い、これを倒し、その死後、“神”として崇められる」
ヒロキ
「確かに、先ほど話した“伊耶那岐”は、現在では神様として崇められていますからね」
「それに、日本人は“死んだら神になる”と言いますし、そう考えると抵抗感はないです」
「ということは、神とは実在した古代の英雄なのですね・・・!」
フォン・リイエン
「そういうことだ」
「時代と共に英雄像は書き換えられるが、元は天使という宇宙人がDNAアクティベートした人間だ」
ヘティス
「あら、神様も実在しちゃったのね」

ここで言う神とは「神」であり、西洋の「GOD(ゴッド)」ではない。ただ、この時点では、そこまで明確にする必要はない。

フォン・リイエン
「アトランティス文書に書かれている神話には、様々な神が登場する。そこにはギリシャ神話のゼウス、北欧神話のオーディンなどの神が全て描かれている。神話のプロトタイプと言ってもいい。彼らは、元々は偉大な王であり、英雄であった」
ヘティス
「その神様の名前なら私も知ってるw」
フォン・リイエン
「アトランティス神話とは、この神々と悪魔の戦いである、とされている」
ヒロキ
「ボクたちが想像もできないような、壮大なスケールの話なんですね・・・。神話には、神話の原型があり、そこには全ての神々と悪魔たちの戦いがあっただなんて」
ヘティス
「それで、どっちが勝ったの?」
「そりゃ、正義が勝つに決まっているわよね?w」
フォン・リイエン
「残念ながら、神々側は常に悪魔側に押されている」
ヘティス
「え~?なんでよ~?」
フォン・リイエン
「運動能力では、爬虫類型の方が上だからだ」
ヘティス
「爬虫類ってそんなにスゴいの?」
フォン・リイエン
「デジタルツインとのデジタルアレンジングのシミュレーションで見せてやる」

デジタルツインとは、リアル空間の情報を集め、それを仮想空間で忠実に再現する技術である。デジタルアレンジングとは、複数のものを同じ条件に揃えて比較シミュレーションする技術である。
オルペウスは、このデジタルツインとデジタルアレンジングによって、高度なシミュレーションを可能にしている。

フォン・リイエンは、オルペウスに命令し、平均的な人間と地球上の平均的な爬虫類を仮想スクリーンに映し出す。そして、平均的爬虫類を直立させ、生理的湾曲を形成する。

ヘティス
「あ・・・、平均的な爬虫類はグレイ型の宇宙人ぽくなってきたわねw」
フォン・リイエン
「今から生物の走行に関するシミュレーションを行う。それによって“スピード”のパラメータを比較する」

次に、直立歩行型の爬虫類を平均的人間の大きさまで拡大する。

ヒロキ
「なるほど、身体の比率を同じにすることで条件を揃え、走るスピードを比較しやすくするんですね」
フォン・リイエン
「そういうことだ」

仮想スクリーンに映し出された人間と直立歩行型爬虫類が走り出した。すると、圧倒的に直立歩行型爬虫類のスピードが勝った。

ヘティス
「あ、人間が負けちゃった・・・」
ヒロキ
「しかも、大差で・・・」
フォン・リイエン
「これはチーターを人型にして走らせても、爬虫類人間には勝てなかった」
ヘティス
「え、チーターって動物の中で一番速いんじゃなの?」
ヒロキ
「確かに、動物の中で最速と言われていますが・・・」
フォン・リイエン
「それはリアル空間での話だ。仮想空間で大きさなどの条件を揃えた場合、爬虫類が最速となる」
ヒロキ
「しかし、他にも運動パフォーマンスは様々にあるはずですが、それらも全て人間は劣ると・・・」
フォン・リイエン
「例えば、動体視力だ。ハエと人間を比べた場合、ハエの動体視力は人間の約6倍とされる。だからハエからすると、人間の動きはスローモーションに見えている」
ヘティス
「そうねぇ、ハエを捕まえようとは私は思わないけど、多分、捕まえられないわw」
「捕まえたくもないけどw」
フォン・リイエン
「そのハエを爬虫類は捕食することができる。これは爬虫類型人間にシミュレートしても、同じ結果となる」
「そして、爬虫類を直立歩行させた方が、更にパフォーマンスは高くなる。だから生物中、恐竜が最も強くなり、他の生物を捕食するため、他のルートでの知的生命体への進化は困難になる」
ヒロキ
「四足歩行よりも、二足歩行の方が、パフォーマンスが高いのですか?」
フォン・リイエン
「シミュレーション上では、そのようになる」
ヒロキ
「そう言えば、エリマキトカゲは身体の比率かしらして、生物上最速と言われます。そのエリマキトカゲは二足歩行ですからね・・・。もし、四足歩行が最速なら、四足歩行をするはずですが、実際には二足歩行ですから・・・」

ヘティスは意外だった。
宇宙人というのは、頭が大きく、身体が貧弱なイメージあるため、頭脳が優れているが、身体能力は低いと思っていたからだ。それを代弁したのがヒロキである。

ヒロキ
「宇宙空間に出ると重力解放によって身体は退化し、頭脳が大きくなります。その場合、知能は上がり、身体能力は低下するのではないでしょうか?」
フォン・リイエン
「確かにお前が言ったようなことがシミュレーションでも確認できる」
「しかし、アトランティス史記には挿絵(さしえ)があり、そこに描かれている悪魔の頭部は肥大化していない」
ヒロキ
「悪魔たちは地球の重力環境に馴染んで適応した、つまり、退化したのでしょうか?その場合、知能も下がる可能性もありますが」
フォン・リイエン
「アトランティス史記の悪魔たちのIQは、平均的人間よりも高いとオルペウスは算出している。これらの生合成をとるために、オルペウスは何らかの方法で“脳溝を増やした”と結論づけている」
ヒロキ
「“脳溝”つまり、脳のシワを増やし、脳の面積を保ちつつ圧縮したのですね」
フォン・リイエン
「その可能性が高い」
「つまり、爬虫類型の知的生命体は、高度な頭脳と身体を獲得している、とオルペウスは結論付けている」
ヘティス
「じゃ、神様も英雄も負けちゃったの?」
フォン・リイエン
「アトランティス史記では、度重なる神々・英雄たちの苦戦が描かれているが、剣と魔法を用いて互角に持ち込み、最終的には何とか悪魔たちを封印した、と記されている」
ヘティス
「魔法・・・!」
「RPGの世界じゃんw」
「けど、魔法ってのはファンタジーの世界の話よねぇ?w」
フォン・リイエン
「いや、オルペウスがデジタルツインの世界でシミュレーションしたところ、ある一定条件を揃えれば、様々な物語に登場する“魔法”と言う現象は再現可能だ」
ヘティス
「ま、魔法もあるのぉ・・・?」
フォン・リイエン
「現代人は、物質的に豊になることで、その能力をかなり退化させてしまったが“魔法”なるものは確かに存在する。それは現代人が“超能力”と呼ぶ現象だ」
ヘティス
「“超能力”が“魔法”・・・w」

ヘティスは、驚きと共に「魔法」という言葉に少し興味を覚えた。その様子を尚美が見て声をかける。

尚美
「ヘティスちゃん、もしかして、またワクドキしてるの・・・?」
ヘティス
「そうね~」
「剣はちょっと無理そうだけど、魔法なら、もしかして私もできるかなーってw」
尚美
「やっぱり、ヘティスちゃんって変w」

ヘティスはMMORPGの世界で、魔法使いやヒーラーでよくプレイしていた。その魔法使いやヒーラーが古代に実在することに対して、不思議な高揚感を覚えた。そして、この後、フォン・リイエンはオルペウスの解析を基に、魔法の証明を行うのであった。




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