『シルフィード王国物語』〜 神聖法師イヴと女王シルフィア 〜

静風

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天啓編

セントクロスの陣

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シルフィアは聖なる祠で目を閉じ、祈りを捧げた。すると、静かな神聖なる声が彼女に託された。その声は明瞭であり、はっきりとした意味を持っていた。「聖騎士団を再編することと、セントクロスの陣を築け」という命令がシルフィアに届いた。彼女は深い祈りに包まれながら、その神聖なる声に耳を傾けた。次の使命に彼女は身を委ねる覚悟を決めた。

セントクロスの陣を築くと、"聖なるバリア"という力を得ることができます。この聖なるバリアは、攻撃や魔法から守り、聖なる力で敵を退けることができます。また、聖騎士団の騎士たちは、この聖なるバリアを使って敵を包み込み、攻撃の隙をついて反撃することができます。

この聖なるバリアは「聖域の庇護 (Sanctuary of the Divine Protection)」とも呼ばれています。

聖域の庇護を受けるためには、セントクロスの陣が必要とされる。それは、前衛、左翼、右翼、そして殿(しんがり)の四つの部隊で構成される。彼らは、その円環状の形状を持つ陣地を形成することで、聖域の中央に聖なる力を集中させる。この聖なる力は、セントクロスの陣によって強化され、その陣形を維持する騎士たちの意志によって保たれる。全ての者は、この聖なるバリアの下で、神の加護に守られることを願う。

セントクロスの陣は以下の聖騎士で成立している。

前衛:エンジェリック・ヴァンガード (Angelic Vanguard)
右翼:セラフィック・ライト (Seraphic Light)
左翼:レイジング・セイント (Raging Saint)
後衛(殿):グロリアス・アーク (Glorious Ark)

聖ガーディアンであるエンジェリック・ヴァンガードは、シルフィアを逃すために王国滅亡の危機に立ち向かい、前衛に留まって戦い続けました。しかし、敵の攻撃が激しくなり、彼は自らを犠牲にしてシルフィアを逃がすことができました。彼の最後の言葉は、誇り高く、決然としたものでした。「私たち聖騎士は、神の御託宣を受け、王国を守るために戦う者たち。この誓いを果たすために、私は命を捧げます。今こそ、我が魂が神に召される時。シルフィア様、あなた様は生き残り、新たなる王国を築いてください。」そして、エンジェリック・ヴァンガードは、最後の力を振り絞り、敵を討ち取ると、その場に倒れ伏しました。

エリオットは王国滅亡時に逃げ延びたシルフィアを守り抜くため、セントクロスの陣を編成して聖騎士団を再編した。しかし、再び集結を果たすことができなかったエンジェリック・ヴァンガードの姿を思い出しつつ、彼の心は沈んでいた。

長い戦いの中で、彼らは互いに絆を深め、強い信頼関係を築いていた。エリオットは彼らが戻ってくることを信じていたが、時が過ぎても彼の姿は現れなかった。

それでも、エリオットは決して諦めず、新たな聖騎士たちと共に、再び聖なる力を守るために戦いを続けた。彼は、エンジェリック・ヴァンガードが遺した使命を胸に、未来への道を切り拓いていった。

その後、聖ガーディアン・レオンがその位置を引き継ぐことになった。しかし、それはまだ先の話であった。エリオットは、未だにエンジェリック・ヴァンガードの運命を悼み、彼らの勇気と献身を称えていた。聖騎士団の再興を決意した彼にとって、エンジェリック・ヴァンガードの存在は大きな意味を持っていた。

これは後々の話であるが、ある日、魔族の襲撃により王国は再び危機に陥っていた。聖騎士団長エリオットは、セントクロスの陣を再び使用することを決断した。しかし、彼はエンジェリック・ヴァンガードの戦死により、前衛の隊列が不完全であることを悟る。

そこでエリオットは、聖ガーディアン・レオンに前衛につくよう命じた。レオンは最初は戸惑っていたが、エリオットの熱意に心を打たれ、最前線に立つことを決意した。

セントクロスの陣が完成すると、エリオットは全軍に命じて一斉に攻撃を開始させた。魔族は激しい抵抗を見せたが、セントクロスの陣の聖なる力によって、王国軍は勝利を手にした。

エリオットは、セントクロスの陣の再使用によって魔族を打ち破ったことで、レオンに感謝の意を示した。そして、彼はエンジェリック・ヴァンガードがいなくても、聖騎士たちはセントクロスの陣で勝利することができると確信した。
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