俺の前に出るな

学園生活開幕

18

数日後、事件は起きた。

朝、教室にローライズが行くとリロイしかいなかった。

「ビルはどうした」

「いつも早く来てるのに今日はまだ来てないよ。珍しいよな」

そうリロイが言った時、ライトが入って来た。

「おはようございます。あれ？ビル君がいませんね。何も連絡が来てないので休みではないはずですが…」

それを聞いてビルへ感知魔法を使い探す。
すぐに見つけたが気配が薄い。
これは意識を失っているか死ぬ間際の浅い息を吐いているかのどっちか。

「ライト、ビルを見つけた。だが、ビルの気配が薄い。すぐに行って連れて帰って来るからその後の始末は頼んだ」

そう言って凍えるような怒りを含んだオーラを出し空間魔法で消えた。

「ライト先生…ビルに…何が…」

「私にも分かりません。ですが、ローライズ様があそこまで怒ってるお姿を見るのは久々です。ビル君が戻って来るのを待ちましょう」

ローライズは音のしない静かな部屋に現れた。

そこには全身傷だらけで火傷をしたりまだ新しい青アザがあり体中、腫れ上がった姿のビルが意識を失い倒れていた。
頭から血を流しているとゆうことは不意をつかれたのだろう。
足は刃物で数カ所、深く刺され大量に血を流し逃げられないようにされていた。

すると後ろから声が聞こえた。

「ローライズ。待っていたよ」

声のした方を見るとティアと屈強な男が3人立っていた。

「ローライズのせいでそいつはゴミになったんだよ。全部、お前のせい。素直に僕を側に置いていたらそうならなかったのに。今からでも遅くないから僕を側に置いてアルカナ組に入れること。じゃないとまた被害者が出ちゃうよー？あ、反撃したって無駄。お父様に頼んで力も強くて魔力も他の奴らよりあるＳ階級の奴、3人も用意してもらったんだから。お前もＳ階級が3人も入れば歯がたたないでしょ？」

不敵に笑いながら喋り出したティア。

「これは…お前がやったのか」

静かにだが威圧的な声でローライズが言った。

ティアはローライズが流石にＳ階級が3人もいるのとビルがこんな状態なのを見て観念し恐怖したから声があまり出ないのだと思った。

だから調子に乗ってしまった。
Ｓ階級が3人いた所でローライズの力には到底、叶わない。
だからこそ世界的王者なのだと言われているのに。

ティアは頭が弱かった。
Ｓ階級が3人いればＳＳＳ階級と一緒のような力だと本気で思っていたのだから。

「そうさ！僕がやったのさ！！お前が僕の言うこと聞かないから悪いんだ！！今からでも遅くない。お前が僕の言うことを聞くって言うならッッッ！」

ローライズはティアと目を合わせた。
ローライズの目は金色だった瞳が赤くなっており瞳孔が縦長になっていた。
あり得ない凄まじい怒気を含んだ目と魔力に気を良くして喋っていたティアは一気に恐怖心が襲って来た。

カタカタと体が震えだす。

「お前達！何やってんだよ！ローライズを痛め付けろ！」

そう命令し、後ろにいたＳ階級の奴らを見た。
すると言葉を失った。

Ｓ階級の奴らは大きな体を見ていて分かる程、ガタガタと震わし土下座をしていたのだ。
額が床に付くくらい頭を下げ誰もローライズを見ていなかった。

それはローライズが空気の重力で3人を押さえつけ、頭を上げられないと言うのが本当なのだが。


「言いたい事はそれだけか？」

耳元で低く怒気を含んだ声が聞こえた。
後ろを向いていてローライズが近付いていたことに全く気付かなかった。

「あっ…あっ…」

恐怖で声が出ないのはティアの方だった。
冷や汗が流れ出しこれ以上、ローライズに関わってはいけないと頭で警報がなった。

だが、もう遅い。