その夢、買います

れみっしゅ

文字の大きさ
1 / 1

おやすみなさい

しおりを挟む
俺は、大学2年の高田信弘。田舎から東京に上京して大学に、通っている。平日は授業とバイト。休日は一人暮らしでゴロゴロそんな感じで平凡な毎日を送っている。もちろん彼女なんているはずもない。

ある休みの日俺はなんとなく部屋が散らかっているのに気付き仕方なく掃除することにした。ゴミを捨て物をしまい掃除機をかけて綺麗にしていった。そんな中でとあるアルバムを見つけた。実家から持ってきた覚えもないしそもそもこんなアルバムの存在自体身に覚えがなかった。不思議に思い手に取り開いてみると小学生の頃の自分が写っていた。自分であることは認識できるのにどこで何をしていたかの記憶が全くない。ほとんどの写真では楽しそうに動物園や水族館、海などで楽しそうにはしゃいでいて一見するとありふれた夏休み感が漂いそんな思い出の1ページなんて忘れていても別におかしくはないとは思った。しかし、次のページのとある一枚の写真を見た瞬間俺は驚愕することになる。

それは、自分にそっくりな男子と女子2人と一緒に写真に写る自分であった。俺は一人っ子だから双子や三子なんてありえない。父さんも母さんも互いに初婚だし2人にきょうだいはいるが双子や三子ではないから必然的にここまで似るというのは極めて考えにくいことである。ということはまさかドッペルゲンガー!?
なんてな。ハハっと苦笑いをしながらくだらないと思いアルバムを閉じようとした瞬間、その写真に写っていた三人の目が突然青く発光し始めて俺はその光に吸い込まれるように見入ってしまいだんだん意識が遠のいていき気がついた時にはどうやら眠ってしまっていたようだ。

あれからしばらくしてだんだんと意識を取り戻す感覚が分かり目が覚めた。周りを見渡すといつもの俺の部屋ではなく、実家の布団で横になっていた。なんで実家なんだ。と思ったがそれより何より先にある違和感を覚えた。それは普段より妙に身体が軽いことそして発した第一声「どうなってるんだ」が完全に子どもの声であったこと。それでなんとなく察したが念のため鏡を見てみると案の定子どもだった。
これは、夢?記憶?どちらにしても現実ではないのは定かである。奇妙な感覚である。そもそもなぜこんな状況になっているのか、それはあの写真を見たせいだ。まるで呪いの写真かのような一枚を見てしまったがためにこんなことになっているのだ。
と、ここまではよくアニメや漫画などでありそうな展開なのでなんとなく察して特に慌てることもなく冷静に推理する余裕が幾分かあった。なんせ俺は自他共に認める大のオタクなのだから。自分で言ってて凄く恥ずかしくなるけどね。

とにかく状況を整理したところでまずは居間にいるはずの両親に声をかけてみようと思った。そこで軽い身体を起こして居間へ向かおうとしたがその前に、昔の習慣で俺の部屋にある仏壇の父の方の爺ちゃんへ挨拶してから向かおうと思った。そして手を合わせていると頭の中のどこか遠くの方から爺ちゃんが俺を呼んでいるように聞こえた。少し気になったが続けて手を合わせていると今度はいきなり頬を強くぶたれる鈍い痛みの感覚と共に地面へ倒れ込んだ。「目を覚まさんかい、信弘!!」
じ、爺ちゃん!?
その姿は半透明であり明らかに幽霊なのは間違いないがどうやら物理的な攻撃はできるようだ。
っと、そんなことよりこの状況こそがわけが分からなかった。
俺が何を言おうかぐるぐる思考を巡らせていると、「いいかよく聞け信弘!二度は言わんぞ お前は早くこの夢から脱出してこの夢を現実世界の巫女さんに売却するのださもなくばお前は永遠に廃人となるぞ
それと、この世界では誰のいうことも信じてはならない、信じていいのは己自身だ。いいか?あっ、わしの言うことは絶対に信じるのじゃぞ?いいな 全てはお前のみ・ら・い...。」
爺ちゃんは話の途中で消えてしまった。短時間で興奮してそんなに色々と喋るからだよ。
とはいえ、ここまでもなんとなくよくある夢脱出のファンタジーって感じが否めなくて正直そこまで面白そうとは思えなかった。寧ろありきたり過ぎて少し退屈そうとも思った。でも、一つだけ妙なことを爺ちゃんは言っていた。それは「夢を売却する」だ。
なんだ夢の売却ってしかも現実世界でやれだと?そこばかりはいくら考えても分からないままだがとにかくこのまま燻っていいても何も始まらないからまずは予定通り両親に声を掛けに行くことに決めた。

そう、その行為こそがこれから起こる地獄の始まりだなんて今の俺に思う余地など決してなかったのである...。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

さようなら、たったひとつの

あんど もあ
ファンタジー
メアリは、10年間婚約したディーゴから婚約解消される。 大人しく身を引いたメアリだが、ディーゴは翌日から寝込んでしまい…。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

さようなら、たったふたつの

あんど もあ
ファンタジー
王子に愛されてる伯爵令嬢のアリアと、その姉のミレイユ。姉妹には秘密があった……。

婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。

黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。 その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。 王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。 だから、泣かない。縋らない。 私は自分から婚約破棄を願い出る。 選ばれなかった人生を終わらせるために。 そして、私自身の人生を始めるために。 短いお話です。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...