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しおりを挟むビュッと熱いものが中に放たれたのを感じてホッと息を吐けば、まだだと言うように再度足を掴み上げられた。
「俺が居ないうちに随分と勝手なお願いをしていたようだな。そんなに俺から離れたかった?」
ずぷずぷと音を立ててまた自分の中に入ってくるそれに唇を噛み締めて首を横に振る。
「ちがっ、そんなんじゃ…っ」
「じゃあなに?相談事があるならまず俺に言えって、一番初めにお前に教えたことだけど」
痛いほどに反り返った性器をゆるく扱かれて上擦った声を漏らす。
「ごめん、なさいっ…」
「…まぁ海央学園に合格するのに今から積み重ねをするに越したことはないが」
「──海央学園?」
不意に聞こえた有名な進学校の名前に眉を寄せた真琴に、晴人はこともなく告げた。
「お前の行く学校だ。俺が居るからな」
あぁほら、恐れていたことを言われてしまった。この人にとって自分が追いかけるのは当たり前なのだ。
行きたいところに行かせてもくれない。そもそもの選択肢を僕に与える気がないのだ。
「そう、なんだ…」
「塾ならどこでも良いんだろう?俺が良いところを見繕っておく、ここら辺には無いからな」
「お兄ちゃんも、本当に、行くの?」
「…あぁ、それがどうした?嬉しいだろう?」
どこに行くにも一緒じゃないと嫌だと泣き喚いた、つい数年前の話なのに随分と遠く昔の記憶のように思う。
この人が僕の優しい兄でいてくれる限り、僕も今まで通りこの人に付いて離れない弟にならないといけないのかもしれない。
そんな簡単なことにも気付けず、あんな風に変わってしまって。
(…違う、変わったのは僕だ)
何をされても許せるはずだった。何を言われてもきっと全て受け止めただろう。
ただこの行為がいつまで経っても心に馴染まないのは、勝手に裏切られた気になっているからだ。
未だにこの人は彼女をいることを隠し続け、けれど僕が離れることは許さない。
それが酷く裏切りに見える、その理由が、分からずにいるから、こんなにも苦しいんだ。
「俺が修学旅行に行っている間、変わったことは?」
「…特に何も」
微睡む視界に目を閉じてそう返せば、僕の身体を優しく濡れたタオルで拭きながら兄は言った。
「もうすぐ真琴の誕生日だろう?何か欲しいものがあったら言ってくれ、先に用意しておくから」
義父と同じことを言うのだなと眠りに落ちかけている頭で思いながら口を開く。
「特に何も。お兄ちゃんの誕生日も近いでしょ。僕はもらった分だけ返せるものなんて何も無いし、祝ってもらえるだけで十分だよ」
もういいかと限界が来て浅く息を吐き薄暗い暗闇の中へと意識が引き込まれていく。
「──お前の心をくれたら、それだけで何も要らないのに」
遠くで声が聞こえた気がしたけれど、よく聞き取れなかった。
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