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勇者
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レインは、今、少し困っている。
確かに、レイン達は、叔父であるジュネード伯爵に助けを求め、ジュネード領地までやってきた。
叔父上と和解し、雨で濡れた体を案じられ、屋敷に招かれ叔父上の好意で温かいお風呂と着替えを用意して貰えた。
雨で濡れた体を温めて、一息ついた頃、私とヨハンが叔父上に事の顛末を説明する為に改めて叔父上と話す事になったとになった。
通された応接間には叔父上と奥様、そして先程レインに剣を向けた衛士、ジュネード伯爵家の近衞団長ジャスパー氏が同席した。
長机を挟み長椅子に座る叔父上と奥様。
その向かい側にレインが座り、ヨハンが長椅子の後ろに立って控えている。
私がことの顛末を一から話した。
私が双子の弟のジルベール身代わりに男として討伐に送られたこと。討伐成功後、討伐成功の功績をジルベールのものにする為に私を毒殺。
しかし、私が解毒剤で仮死状態となり、埋葬される直前に逃避移動魔法により生家へ飛び、使用人達に見つかってしまった事。
しかし、使用人達は全員、父親により解雇を言い渡され、皆引き連れジュネード伯爵卿である叔父上に助けを求めにジュネード伯爵領地へ赴い次第。
と、言う事を叔父上に説明した。
のだが、今は、
「・・・・・本当に、本当に、私の愚兄が申し訳ありませんでした」
「あ、いえ、あの、叔父上、」
「もう、本当に申し訳ない。まさか、ここまで事が大きくなっているだなんて。本当にすみませんでした」
深く頭を下げ、レインに深く深く頭を下げ謝罪する、叔父上に困惑を否めなかった。
何だか、物凄くデジャブな感じが。
「レインお嬢様が魔王軍討伐へ向かわれた後、ルヴァンヌ侯爵卿は情報操作を行い、レインお嬢様は別荘にて療養中だと、公表しました。その後、手紙、魔写鏡、来客、全て管理され、お嬢様の事が外部に漏れないように、我々使用人達にも口止めを魔法をかけられ、お嬢様の事を外部に漏れないように徹底していました」
「・・・・・・あの兄ならやりかねない事だな」
ヨハンの説明に額に手を当て俯き、深い深いため息を吐く叔父上。
私もあの父親ならやりかねないと確信している。
「レイン」
「、はい」
「昔、私と兄との仲はあまり良く無いと話した事があったね」
「はい」
「私は元々ルヴァンヌ侯爵家の人間だった。だが、9歳年が離れた兄は、随分と弟である私を毛嫌いしていてね。両親は分け隔てなく接してくれていたが、兄は人一倍自尊心が強い人間に育ってしまった」
叔父上が、そう言いながら、ほんの少し悲しそうに小さく笑った。
「私は15歳の時に、ジュネード伯爵家との縁談が持ち上がり、私は婿養子という形で、ルヴァンヌ侯爵家を離れ、このアミリアの夫となったんだ。今では、愛する妻、子供にも恵まれ、信頼できる家臣や領民に支えられて幸せだと思っているよ」
そう言いなが隣に座っている夫人、アミリア様に微笑みかける。
柔らかな亜麻色の髪を緩く三つ編みで纏めている優しい雰囲気の女性だ。
気性が激しく、いつも宝石やドレスで着飾っていた自分の母親とは正反対の女性だった。
「レインは、ルヴァンヌ侯爵家が男児、特に長兄を重宝する理由を知っているかい?」
「昔、ルヴァンヌ家の男児が勇者となり大義を遂げ先先先代国王陛下から侯爵の爵位を承り、今に至ると聞いています」
「ああ、だが、実際は少々語彙がある。正確にはルヴァンヌ家の男児たちが勇者となり、大義を成したと言われている」
「男児たち?」
「当時ルヴァンヌ家の男児は双子の勇者だと伝えられている」
「双子・・・・・」
双子、その言葉は、レインにとって呪縛のようなものだった。
両親はずっと、男児の双子を強く望んでいた。
だが、私達姉弟を産んで直ぐに母親は子を身篭れない身体になってしまった。
どうやら、私達を身篭るのに随分と無茶をしたらしいと、昔使用人達が噂話をしていたのを聞いた事があった。
「兄は武道と魔術に優れ、予知夢見る事が出来た。そして、弟は治癒と守護魔法に長け、生き物の魂の色を見分ける事ができる眼を持っていたと言う」
「ですが、両親から聞いた話では、ルヴァンヌ家初代当主が武道、魔術に優れ、先の未来を見出し、生き物の
魂の色を見る事ができた、と聞かされました」
「150年以上も前の出来事だからね。それに、その後、弟はルヴァンヌ家を出たと伝承に残されている。年月が経ち、いつしか、双子の功績が初代当主である兄の歴史へとすり替わったと私は思っているよ」
「・・・・・・双子の功績が兄の歴史へすり替わり・・・・・・」
なんとなく、今の私の状況に似ている。
レインはそう考えてしまった。
その時、
カチャ。
「ッ、」
突然、微かに応接間の扉が開く音がレインの耳に聞こえ、反射的に扉の方へ身構える。
が、扉の隙間から四つの水色の目がこちらを覗いていた。
「え?」
扉が開くと、そこには亜麻色の髪に水色の瞳を持った同じ顔の少年が立っていた。
服装に多少の違いはあるが、顔だけ見ると瓜二つ。
「双子?」
「私達の息子だよ。こら、お前達」
叔父上が双子を止めようと声をかける前に、双子は子猫のようにスルリと部屋に入り、トトトッと何故か長椅子に座る私の方へ歩み寄って来た。
「え!?」
円らな水色の瞳がじっと私の顔を見つめる。
「え、えっと・・・・」
「コラ、ヒューズ、バーナード!!」
奥様が慌てて、子供達を止めようと立ち上がる。
「やっぱり、同じだ」
「え?」
「父様と同じ、魂の色」
「魂の色・・・・・」
双子の言葉にレインは困惑の目を叔父上へ視線を向けると、
「・・・・・・・・・・・・」
叔父上と奥様が複雑そうな表情をしている。
「息子達は予知夢と魂の色を見る事が出来る」
やがて、重い口を開き叔父上はそう呟いた。
確かに、レイン達は、叔父であるジュネード伯爵に助けを求め、ジュネード領地までやってきた。
叔父上と和解し、雨で濡れた体を案じられ、屋敷に招かれ叔父上の好意で温かいお風呂と着替えを用意して貰えた。
雨で濡れた体を温めて、一息ついた頃、私とヨハンが叔父上に事の顛末を説明する為に改めて叔父上と話す事になったとになった。
通された応接間には叔父上と奥様、そして先程レインに剣を向けた衛士、ジュネード伯爵家の近衞団長ジャスパー氏が同席した。
長机を挟み長椅子に座る叔父上と奥様。
その向かい側にレインが座り、ヨハンが長椅子の後ろに立って控えている。
私がことの顛末を一から話した。
私が双子の弟のジルベール身代わりに男として討伐に送られたこと。討伐成功後、討伐成功の功績をジルベールのものにする為に私を毒殺。
しかし、私が解毒剤で仮死状態となり、埋葬される直前に逃避移動魔法により生家へ飛び、使用人達に見つかってしまった事。
しかし、使用人達は全員、父親により解雇を言い渡され、皆引き連れジュネード伯爵卿である叔父上に助けを求めにジュネード伯爵領地へ赴い次第。
と、言う事を叔父上に説明した。
のだが、今は、
「・・・・・本当に、本当に、私の愚兄が申し訳ありませんでした」
「あ、いえ、あの、叔父上、」
「もう、本当に申し訳ない。まさか、ここまで事が大きくなっているだなんて。本当にすみませんでした」
深く頭を下げ、レインに深く深く頭を下げ謝罪する、叔父上に困惑を否めなかった。
何だか、物凄くデジャブな感じが。
「レインお嬢様が魔王軍討伐へ向かわれた後、ルヴァンヌ侯爵卿は情報操作を行い、レインお嬢様は別荘にて療養中だと、公表しました。その後、手紙、魔写鏡、来客、全て管理され、お嬢様の事が外部に漏れないように、我々使用人達にも口止めを魔法をかけられ、お嬢様の事を外部に漏れないように徹底していました」
「・・・・・・あの兄ならやりかねない事だな」
ヨハンの説明に額に手を当て俯き、深い深いため息を吐く叔父上。
私もあの父親ならやりかねないと確信している。
「レイン」
「、はい」
「昔、私と兄との仲はあまり良く無いと話した事があったね」
「はい」
「私は元々ルヴァンヌ侯爵家の人間だった。だが、9歳年が離れた兄は、随分と弟である私を毛嫌いしていてね。両親は分け隔てなく接してくれていたが、兄は人一倍自尊心が強い人間に育ってしまった」
叔父上が、そう言いながら、ほんの少し悲しそうに小さく笑った。
「私は15歳の時に、ジュネード伯爵家との縁談が持ち上がり、私は婿養子という形で、ルヴァンヌ侯爵家を離れ、このアミリアの夫となったんだ。今では、愛する妻、子供にも恵まれ、信頼できる家臣や領民に支えられて幸せだと思っているよ」
そう言いなが隣に座っている夫人、アミリア様に微笑みかける。
柔らかな亜麻色の髪を緩く三つ編みで纏めている優しい雰囲気の女性だ。
気性が激しく、いつも宝石やドレスで着飾っていた自分の母親とは正反対の女性だった。
「レインは、ルヴァンヌ侯爵家が男児、特に長兄を重宝する理由を知っているかい?」
「昔、ルヴァンヌ家の男児が勇者となり大義を遂げ先先先代国王陛下から侯爵の爵位を承り、今に至ると聞いています」
「ああ、だが、実際は少々語彙がある。正確にはルヴァンヌ家の男児たちが勇者となり、大義を成したと言われている」
「男児たち?」
「当時ルヴァンヌ家の男児は双子の勇者だと伝えられている」
「双子・・・・・」
双子、その言葉は、レインにとって呪縛のようなものだった。
両親はずっと、男児の双子を強く望んでいた。
だが、私達姉弟を産んで直ぐに母親は子を身篭れない身体になってしまった。
どうやら、私達を身篭るのに随分と無茶をしたらしいと、昔使用人達が噂話をしていたのを聞いた事があった。
「兄は武道と魔術に優れ、予知夢見る事が出来た。そして、弟は治癒と守護魔法に長け、生き物の魂の色を見分ける事ができる眼を持っていたと言う」
「ですが、両親から聞いた話では、ルヴァンヌ家初代当主が武道、魔術に優れ、先の未来を見出し、生き物の
魂の色を見る事ができた、と聞かされました」
「150年以上も前の出来事だからね。それに、その後、弟はルヴァンヌ家を出たと伝承に残されている。年月が経ち、いつしか、双子の功績が初代当主である兄の歴史へとすり替わったと私は思っているよ」
「・・・・・・双子の功績が兄の歴史へすり替わり・・・・・・」
なんとなく、今の私の状況に似ている。
レインはそう考えてしまった。
その時、
カチャ。
「ッ、」
突然、微かに応接間の扉が開く音がレインの耳に聞こえ、反射的に扉の方へ身構える。
が、扉の隙間から四つの水色の目がこちらを覗いていた。
「え?」
扉が開くと、そこには亜麻色の髪に水色の瞳を持った同じ顔の少年が立っていた。
服装に多少の違いはあるが、顔だけ見ると瓜二つ。
「双子?」
「私達の息子だよ。こら、お前達」
叔父上が双子を止めようと声をかける前に、双子は子猫のようにスルリと部屋に入り、トトトッと何故か長椅子に座る私の方へ歩み寄って来た。
「え!?」
円らな水色の瞳がじっと私の顔を見つめる。
「え、えっと・・・・」
「コラ、ヒューズ、バーナード!!」
奥様が慌てて、子供達を止めようと立ち上がる。
「やっぱり、同じだ」
「え?」
「父様と同じ、魂の色」
「魂の色・・・・・」
双子の言葉にレインは困惑の目を叔父上へ視線を向けると、
「・・・・・・・・・・・・」
叔父上と奥様が複雑そうな表情をしている。
「息子達は予知夢と魂の色を見る事が出来る」
やがて、重い口を開き叔父上はそう呟いた。
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