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永遠なる魂
074.淫婦の微笑
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◆◇◆◇
魔女の国メルタノの歴史の中でも最盛期と言える魔王エキドナの時代。
この時代、唯一無二の曲線美溢れる幻想的デザインの魔王城イルム=ローズにある中庭にエキドナはいた。
ベンチに座っていた彼女は魔王にしては少々間の抜けた顔をして虚空を見上げている。
「エ、キ、ド、ナ、さ、ま」
「ひゃっ」
突然耳元で艶かしく囁かれ、素っ頓狂な声を上げる。
「び、びっくりしたぁ。んもう、クリニカ! 気配を消して近づかないでって言ったでしょう!?」
少女の様に怒った顔をするエキドナを見て、クリニカは頬を赤らめ嬉しそうに笑う。
「どうしたんです? こんなところで黄昏ちゃって」
「ちょっとぼーっとしに来たの。みんなには内緒ね」
「うーん。お疲れですわねえ」とちょうど顎にあるホクロの辺りに指をつけて言う。
「そ、そんなことはないよ? で、貴女はどうしてこんなところに?」
少し考えていたクリニカだったが、不意に何か閃いたような顔付きをした。
その様子から何かを感じ取ったエキドナが眉を寄せ、マズい、と言いたげな表情に変わる。
「うふふ。我が魔王、エキドナ様がお疲れではないかと思い……先祖代々から伝わるサキュバスの秘法を用いたリフレッシュマッサージを……」
若干量のよだれを垂らしながらクリニカが満面の笑みで言う。
「う、やっぱり……それってどうせエロいやつだよね?」
「とんでもない。一体サキュバスをなんだと」
「エロい種族でしょう?」
「まあそうなんですけど、疲れはとれますわよぉ?」
「結構よ。あ、ロゼ!」
中庭を遮る王城の1階を歩くロゼルタを見つけ、助かったとばかりにエキドナが叫ぶ。
歩みを止め、ベンチで並ぶ2人に気付いたロゼルタは何かに思い当たった様に、
「ゾフィに娘が産まれたそーですよ。エキドナ様に名前を付けて欲しいって」
「次代のラミアクィーンが産まれたのね! 行く行く!」
「あ、ちょ……」
クリニカが声を掛けようとした時にはもうエキドナはロゼルタの隣に転移した後だった。
「もう! ほんとに気持ちい……疲れが取れるのにぃ!」
口をへの字にしてベンチに深くもたれかかった。
夕方になり、クリニカは特に用もなくふらっと図書館にやってきた。
魔女の国と言われるだけあり、その図書館には膨大な量の魔法関連の図書が置いてある。
館内は不気味なほど静まり返っていたが、その中で眼鏡をかけた気品のある魔女がひとり、静かに本を開いていた。
それを見つけたクリニカは不意に悪戯っぽい目付きになり舌舐めずりをしながらゆっくり彼女に近付いた。
読書に夢中の女性はクリニカに全く気付かない。ニヤけながら唐突に背後から抱き着き、声を掛けた。
「ハァルヴァラァァ」
「ひぃやぁぁぁっ! ……ク、クリニカ?」
「なぁにを熱心に読んでるのかしらあ?」
「もうもうもう! 寿命が縮むじゃない!」
ハルヴァラの怒りを無視して彼女の読む本に目をやる。
「魔法品目総覧ね。どうしたのメルタノ随一のアークウィザードが今更こんなの読んで」
クリニカが不思議そうに言うとハルヴァラは少し得意そうな顔付きになってフフフと笑う。
「これは意外とタメになるんだよ? 知らない間にアイテムが増えるから定期的に見ておくといいよ」
「ふーん。まあそれはそうと……ハルちゃんは肩が凝ってないかしらぁ?」
ニコニコとしながら、クリニカからすれば愛想良く、出来るだけ他意を感じさせずに言ったつもりだったがハルヴァラの顔は一瞬で呆れ顔となった。
「……ハァ。さては皆に逃げられて私のところに来たのね?」
「半分正解。ここにハルちゃんがいたのは偶然よぉ」
ハルヴァラはもうひとつ大きくため息をつくと、「じゃあ少しだけ付き合ったげる」と言った。
途端に目を輝かせ、鼻息を荒くするクリニカだった。
「いや待って。怖い怖い」
読書用の眼鏡を置いて椅子のまま後退る。
「大丈夫よぉ。痛くしない、痛くしないからぁ」
などと言いながらハルヴァラの肩を揉み、肩甲骨の窪みに指を入れる。
ハルヴァラが思っていたよりまともなマッサージだった。少し安心してクリニカの方へともたれ掛かる。
「聞いてよハルちゃん。エキドナ様もロゼルタも酷いのよう」
「んっ……みんな、忙しいからね」
「ハルちゃんだって忙しいじゃない。優しいわねえ。大好きよハルヴァラ」
ハルヴァラの髪から漂う甘い匂いを肺一杯に吸い込みながら肩口、鎖骨、胸筋の上を押すように揉む。
「あんっ、ん、あ、りがとう。私もクリニカのこと、好きだよ」
「じゃあ、キスしていい?」
ヒョイとハルヴァラの顔に自身の顔をくっつけながら甘える様に言う。
「それはちょっと、ダメかな」
困った様に言うハルヴァラに、何故かイケると踏んだクリニカはここぞとばかりに彼女の豊満な胸を下から持ち上げるように優しく揉み始めた。
「ん――……あーもう、ちょっ……やり過ぎ」
「好き同士なのに?」
「ん、ん、好き、同士、とか、あん……そんな、ん、意味では……」
「ね、1回だけ、ね?」
片手を胸からハルヴァラの顎へと持ち替え、自分の方へと向け、唇を近付けた。
「あ……ん、ダメぇ……だったらぁ」
「ウフ……目、閉じて? 気持ちいいよ?」
「ん……」
その時、ハルヴァラの全身に赤い霊気が渦巻き、それまで蕩けていた彼女の瞳が赤く光り輝いた。
ハッとしたクリニカが即座に彼女から離れるのと同時にハルヴァラの体が地面から浮き上がった。
「ごめ……ハルヴァラ……わざとじゃ……」
「あっっっぶなかった! はぁはぁ……サキュバス、こわっ!」
それは常時彼女の身を守っている強力な防護魔法「フリエンティアの加護」が、クリニカが無意識に放つ絶対の魅了に反応し、迎撃の反応を見せたものだった。
肩で息をしながらクリニカを睨みつける様に眉を怒らせて見下ろす。
「ふ――……ふ――……魅了でなんて、ダメよクリニカ」
「違うのよぉ、わざとじゃないのぉ!」
「まったく……」
暫く眉間に皺を寄せていたハルヴァラだったがやがて加護の発動が収まり、ゆっくりと降りてきた。
霊気の渦は消えたものの読書どころでなくなったハルヴァラはパタリと本を閉じると厳しい目でクリニカに言った。
「罰としてこの本を元あった場所に戻しておいてね!」
「あ――ん、ハルちゃん! どこにあったのこれえ!」
「知りません!」
パタン。
怒っていてもドアは静かに閉めて出て行った。
ひとりポツンと取り残されたクリニカは暫く呆然としていたが、やがてハルヴァラが座っていた椅子に座る。
「あ――んもう! わざとじゃないのにぃ!」
大体みんなが悪いわ、酷いわ、別に減るもんじゃなし……などと暫くブツブツと独り言を言っていたクリニカだったが、ふとハルヴァラが残していった目の前の本のタイトルを見て、何の気なくペラペラと捲り出した。
「ルーンオーブ、レア=ヴォーの法衣……うーん、パッとしないわねえ、ん?」
クリニカの目が見たことの無いアイテムの欄でピタリと止まる。
「レイドックの指輪……初めて聞く名前だわぁ」
何故か興味を惹かれたそのアイテムの説明欄を食い入る様に読み進める。
『かつてメルマトラに住んでいた淫乱なダークエルフ、レイドック=パーンが作ったとされる呪いの指輪。所持者の精力を増強し、それは相手にも干渉する』
「プッ。わざわざ説明に『淫乱』なんて普通書くかしら。よっぽどだったのかなぁ。ふふ、ちょっとこのダークエルフに親近感が沸くわねぇ」
『……魔素が薄い人界でもメルマトラと経路を繋ぎ魔素を呼び込み、所持者は膨大な魔素を得る。その他の効果や呪いは不明である』
総覧に書かれてあるのはそこまでだった。パタリと本を閉じ、頬杖をつく。
「興味、あるわねえ。何より製作者が淫乱なんて明記されているのが最高だわ。このアイテム、今はどこにあるのかしら」
それはただの興味本位のことだった。
思い立ったクリニカは他に詳細が記述されている文献があるはず、と図書館の本を片っ端から探し出した。
◆◇◆◇
「……ニカ様、クリニカ、さまぁ」
蚊の鳴く様な細い声で不意に現実に引き戻された。
声の主は彼女の股間に挟まれて真っ赤な顔で泣きじゃくっている彼女の部下、サニュールだった。
「あらサニュール。そんなところでどうしたのぉ」
「どうしたのって……も、もう許して……くらはい……」
ふと今の状況を思い出した。
リドに言われてメルマトラに送るはずだったキメラをサニュールが殺してしまった為、3日間、達してはならない罰を与えていたのだったと。
「サニュールちゃんの舌技が上手過ぎて少しトリップしてたみたい」
「そ、それは、光栄、ですぅ」
「今日で何日目だったっけ? 始めたところだったかしらぁ?」
「ひぃぃぃ、そんなぁ! 今日で、最後ですぅ。もう3日目でございます。気が狂いそうですぅ! もうイカせて、くださぁい!」
「そうかぁ。もう3日目なのね。名残惜しいわあ」
ベッドの上で四肢を拘束されて仰向けになっているサニュールの上から降りる。
2人とも一糸纏わない姿だった。
クリニカはテーブルの上に置いていたストールだけを首にかけ、部屋の壁の方へと歩く。
そこには後ろ手に縛られた男女2人が床に座っていた。
クリニカの歩みを睨む様な目付きで追っている。
ひとりは肩がはだけている黒いワンピースの令嬢風の少女。
もうひとりはマッカにも引けを取らぬ程の巨躯に黒いガウンとズボンの、まるで暗殺者のような男。
それはファトランテに入り、ランティエが遺していったアイテムを回収しようと魔王城に潜入したドーンとマクルルだった。
クリニカはふたりの目の前で立ち止まると、
「ウフフ。一体貴方達は、だあれ?」
心の底から楽しそうに微笑んだ。
魔女の国メルタノの歴史の中でも最盛期と言える魔王エキドナの時代。
この時代、唯一無二の曲線美溢れる幻想的デザインの魔王城イルム=ローズにある中庭にエキドナはいた。
ベンチに座っていた彼女は魔王にしては少々間の抜けた顔をして虚空を見上げている。
「エ、キ、ド、ナ、さ、ま」
「ひゃっ」
突然耳元で艶かしく囁かれ、素っ頓狂な声を上げる。
「び、びっくりしたぁ。んもう、クリニカ! 気配を消して近づかないでって言ったでしょう!?」
少女の様に怒った顔をするエキドナを見て、クリニカは頬を赤らめ嬉しそうに笑う。
「どうしたんです? こんなところで黄昏ちゃって」
「ちょっとぼーっとしに来たの。みんなには内緒ね」
「うーん。お疲れですわねえ」とちょうど顎にあるホクロの辺りに指をつけて言う。
「そ、そんなことはないよ? で、貴女はどうしてこんなところに?」
少し考えていたクリニカだったが、不意に何か閃いたような顔付きをした。
その様子から何かを感じ取ったエキドナが眉を寄せ、マズい、と言いたげな表情に変わる。
「うふふ。我が魔王、エキドナ様がお疲れではないかと思い……先祖代々から伝わるサキュバスの秘法を用いたリフレッシュマッサージを……」
若干量のよだれを垂らしながらクリニカが満面の笑みで言う。
「う、やっぱり……それってどうせエロいやつだよね?」
「とんでもない。一体サキュバスをなんだと」
「エロい種族でしょう?」
「まあそうなんですけど、疲れはとれますわよぉ?」
「結構よ。あ、ロゼ!」
中庭を遮る王城の1階を歩くロゼルタを見つけ、助かったとばかりにエキドナが叫ぶ。
歩みを止め、ベンチで並ぶ2人に気付いたロゼルタは何かに思い当たった様に、
「ゾフィに娘が産まれたそーですよ。エキドナ様に名前を付けて欲しいって」
「次代のラミアクィーンが産まれたのね! 行く行く!」
「あ、ちょ……」
クリニカが声を掛けようとした時にはもうエキドナはロゼルタの隣に転移した後だった。
「もう! ほんとに気持ちい……疲れが取れるのにぃ!」
口をへの字にしてベンチに深くもたれかかった。
夕方になり、クリニカは特に用もなくふらっと図書館にやってきた。
魔女の国と言われるだけあり、その図書館には膨大な量の魔法関連の図書が置いてある。
館内は不気味なほど静まり返っていたが、その中で眼鏡をかけた気品のある魔女がひとり、静かに本を開いていた。
それを見つけたクリニカは不意に悪戯っぽい目付きになり舌舐めずりをしながらゆっくり彼女に近付いた。
読書に夢中の女性はクリニカに全く気付かない。ニヤけながら唐突に背後から抱き着き、声を掛けた。
「ハァルヴァラァァ」
「ひぃやぁぁぁっ! ……ク、クリニカ?」
「なぁにを熱心に読んでるのかしらあ?」
「もうもうもう! 寿命が縮むじゃない!」
ハルヴァラの怒りを無視して彼女の読む本に目をやる。
「魔法品目総覧ね。どうしたのメルタノ随一のアークウィザードが今更こんなの読んで」
クリニカが不思議そうに言うとハルヴァラは少し得意そうな顔付きになってフフフと笑う。
「これは意外とタメになるんだよ? 知らない間にアイテムが増えるから定期的に見ておくといいよ」
「ふーん。まあそれはそうと……ハルちゃんは肩が凝ってないかしらぁ?」
ニコニコとしながら、クリニカからすれば愛想良く、出来るだけ他意を感じさせずに言ったつもりだったがハルヴァラの顔は一瞬で呆れ顔となった。
「……ハァ。さては皆に逃げられて私のところに来たのね?」
「半分正解。ここにハルちゃんがいたのは偶然よぉ」
ハルヴァラはもうひとつ大きくため息をつくと、「じゃあ少しだけ付き合ったげる」と言った。
途端に目を輝かせ、鼻息を荒くするクリニカだった。
「いや待って。怖い怖い」
読書用の眼鏡を置いて椅子のまま後退る。
「大丈夫よぉ。痛くしない、痛くしないからぁ」
などと言いながらハルヴァラの肩を揉み、肩甲骨の窪みに指を入れる。
ハルヴァラが思っていたよりまともなマッサージだった。少し安心してクリニカの方へともたれ掛かる。
「聞いてよハルちゃん。エキドナ様もロゼルタも酷いのよう」
「んっ……みんな、忙しいからね」
「ハルちゃんだって忙しいじゃない。優しいわねえ。大好きよハルヴァラ」
ハルヴァラの髪から漂う甘い匂いを肺一杯に吸い込みながら肩口、鎖骨、胸筋の上を押すように揉む。
「あんっ、ん、あ、りがとう。私もクリニカのこと、好きだよ」
「じゃあ、キスしていい?」
ヒョイとハルヴァラの顔に自身の顔をくっつけながら甘える様に言う。
「それはちょっと、ダメかな」
困った様に言うハルヴァラに、何故かイケると踏んだクリニカはここぞとばかりに彼女の豊満な胸を下から持ち上げるように優しく揉み始めた。
「ん――……あーもう、ちょっ……やり過ぎ」
「好き同士なのに?」
「ん、ん、好き、同士、とか、あん……そんな、ん、意味では……」
「ね、1回だけ、ね?」
片手を胸からハルヴァラの顎へと持ち替え、自分の方へと向け、唇を近付けた。
「あ……ん、ダメぇ……だったらぁ」
「ウフ……目、閉じて? 気持ちいいよ?」
「ん……」
その時、ハルヴァラの全身に赤い霊気が渦巻き、それまで蕩けていた彼女の瞳が赤く光り輝いた。
ハッとしたクリニカが即座に彼女から離れるのと同時にハルヴァラの体が地面から浮き上がった。
「ごめ……ハルヴァラ……わざとじゃ……」
「あっっっぶなかった! はぁはぁ……サキュバス、こわっ!」
それは常時彼女の身を守っている強力な防護魔法「フリエンティアの加護」が、クリニカが無意識に放つ絶対の魅了に反応し、迎撃の反応を見せたものだった。
肩で息をしながらクリニカを睨みつける様に眉を怒らせて見下ろす。
「ふ――……ふ――……魅了でなんて、ダメよクリニカ」
「違うのよぉ、わざとじゃないのぉ!」
「まったく……」
暫く眉間に皺を寄せていたハルヴァラだったがやがて加護の発動が収まり、ゆっくりと降りてきた。
霊気の渦は消えたものの読書どころでなくなったハルヴァラはパタリと本を閉じると厳しい目でクリニカに言った。
「罰としてこの本を元あった場所に戻しておいてね!」
「あ――ん、ハルちゃん! どこにあったのこれえ!」
「知りません!」
パタン。
怒っていてもドアは静かに閉めて出て行った。
ひとりポツンと取り残されたクリニカは暫く呆然としていたが、やがてハルヴァラが座っていた椅子に座る。
「あ――んもう! わざとじゃないのにぃ!」
大体みんなが悪いわ、酷いわ、別に減るもんじゃなし……などと暫くブツブツと独り言を言っていたクリニカだったが、ふとハルヴァラが残していった目の前の本のタイトルを見て、何の気なくペラペラと捲り出した。
「ルーンオーブ、レア=ヴォーの法衣……うーん、パッとしないわねえ、ん?」
クリニカの目が見たことの無いアイテムの欄でピタリと止まる。
「レイドックの指輪……初めて聞く名前だわぁ」
何故か興味を惹かれたそのアイテムの説明欄を食い入る様に読み進める。
『かつてメルマトラに住んでいた淫乱なダークエルフ、レイドック=パーンが作ったとされる呪いの指輪。所持者の精力を増強し、それは相手にも干渉する』
「プッ。わざわざ説明に『淫乱』なんて普通書くかしら。よっぽどだったのかなぁ。ふふ、ちょっとこのダークエルフに親近感が沸くわねぇ」
『……魔素が薄い人界でもメルマトラと経路を繋ぎ魔素を呼び込み、所持者は膨大な魔素を得る。その他の効果や呪いは不明である』
総覧に書かれてあるのはそこまでだった。パタリと本を閉じ、頬杖をつく。
「興味、あるわねえ。何より製作者が淫乱なんて明記されているのが最高だわ。このアイテム、今はどこにあるのかしら」
それはただの興味本位のことだった。
思い立ったクリニカは他に詳細が記述されている文献があるはず、と図書館の本を片っ端から探し出した。
◆◇◆◇
「……ニカ様、クリニカ、さまぁ」
蚊の鳴く様な細い声で不意に現実に引き戻された。
声の主は彼女の股間に挟まれて真っ赤な顔で泣きじゃくっている彼女の部下、サニュールだった。
「あらサニュール。そんなところでどうしたのぉ」
「どうしたのって……も、もう許して……くらはい……」
ふと今の状況を思い出した。
リドに言われてメルマトラに送るはずだったキメラをサニュールが殺してしまった為、3日間、達してはならない罰を与えていたのだったと。
「サニュールちゃんの舌技が上手過ぎて少しトリップしてたみたい」
「そ、それは、光栄、ですぅ」
「今日で何日目だったっけ? 始めたところだったかしらぁ?」
「ひぃぃぃ、そんなぁ! 今日で、最後ですぅ。もう3日目でございます。気が狂いそうですぅ! もうイカせて、くださぁい!」
「そうかぁ。もう3日目なのね。名残惜しいわあ」
ベッドの上で四肢を拘束されて仰向けになっているサニュールの上から降りる。
2人とも一糸纏わない姿だった。
クリニカはテーブルの上に置いていたストールだけを首にかけ、部屋の壁の方へと歩く。
そこには後ろ手に縛られた男女2人が床に座っていた。
クリニカの歩みを睨む様な目付きで追っている。
ひとりは肩がはだけている黒いワンピースの令嬢風の少女。
もうひとりはマッカにも引けを取らぬ程の巨躯に黒いガウンとズボンの、まるで暗殺者のような男。
それはファトランテに入り、ランティエが遺していったアイテムを回収しようと魔王城に潜入したドーンとマクルルだった。
クリニカはふたりの目の前で立ち止まると、
「ウフフ。一体貴方達は、だあれ?」
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