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永遠なる魂
104.虹色の道
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「オーグ様、ようやくお目覚めで?」
「ああ。ランティエのガキに叩き起こされたぜ」
オーグがそう言うと、彼の中でランティエの声が響く。
『コラ、誰がガキだ。言っとくが吾輩はお前より五百以上歳上だからな!』
(ああ? うるせえ馬鹿野郎。テメーは見た目がガキじゃねーか)
『なんだとこの図体だけのポンコツ野郎』
(なんだこらやんのか? あ? やんのかコラ)
『ああああ!? コラ、てめえコラ……』
《ふたりともいい加減にしてください!》
それはまだ尾による攻撃のショックから意識が目覚めなかったノルトだった。
(おっと……)
『いやだって』
《仲良くしてください。オーグ様、僕と代わってください》
(……いやまだだ。まだ早い。お前はもう少し寝てしっかり回復しろ。ランティエもちょっとすっこんでろ)
《…………》
『…………』
「どうかされましたか?」
マクルルが不思議そうな顔でオーグを見る。
「……いや? へっへっへ。さあ、あの丘を登るぜ」
◆◇
丘を登るとその先は広大な盆地で、まるでクレーターの様に窪んでいた。
その中心地に確かに神殿らしき朽ちた建物がる。
そこに行けばヒューリアが言っていた何かがあるのかも知れない。
だが彼らの目の前に広がる光景はロン=ドゥ以上の絶望感を彼らに与えた。
先程の黒い怪物が神殿以外の至る所にいた。
その数、ざっと数百以上!
「こいつは……さすがに無理だな。別ルートを探すか」
呆れた様にテスラが言う。
直後、シュルスが悲鳴を上げる。
「どうした」
「あ、あ、あうあう……う、後ろ……」
「あ?」
振り返ると彼らが今通って来た丘陵を、黒い怪物がヒタヒタと押し寄せているではないか。
「こりゃあ……やべー、なんてもんじゃねーな」とロゼルタ。
そのロゼルタ、テスラ、マクルル、ドーンの4人が目を合わせる。
恐らく皆の意思は同じとロゼルタが口を開く。
「オーグ様、逃げてください。ここは我々4人にお任せ下さい。ノルトだけは死なせては」
だがオーグはそれを最後まで言わせなかった。
「何言ってんだ馬鹿野郎! テメーらが死んでこのガキが1人でどうこう出来るとでも思ってんのか? テメーらが思う以上にこいつはテメーらに惚れてんだよ」
「でも!」
食い下がるロゼルタを「うるせえ!」と一喝するとオーグはニヤリと笑う。
「仕方ねえ。本気出すとするか」
細い腕をグルグルと回す。
「い、いやいや。いくらオーグ様でもこの数は」
「なんだてめえ。俺がやられるとでも……」
その時だ。
丘陵から押し寄せる黒い怪物達の動きがピタリと止まった。
窪みの方にいた怪物達は一様に神殿の方へと体を向け、同じ様にその動きを止めた。
「な、なんだ?」
「一体何が」
テスラとロゼルタが訳が分からないと言った表情で言う。
その時、声が聞こえた。
それは彼らの頭の中に直接伝わってくる様なもの。
『待っていました。ノルト、アンナ。そして……よくぞふたりをここまで連れて来てくれました、魔族とエルフの方々』
それはとても暖かい声だった。
『私はヴィクトリア。まずはこの道を進んで私のところまで来てください』
その言葉と同時に虹の様に煌めき、揺らめくトンネルの様な通路が神殿から彼らの位置まで真っ直ぐに現れた。
付近にいた黒い怪物は慌てふためいてそれを避ける様な動きを見せた。
そのトンネルから、風の様な何かが彼らの体を撫でた。
それは物理的なものではなく感覚的な何かの力の様なもの。
「こりゃあ……」
オーグが何か言いかけるが、白目を向き、意識を失い、倒れ込む。
地面にぶつかる前にマクルルが無事抱き上げた。
すぐにノルトの自我が戻る。
「大丈夫か、ノルト」とマクルル。
だが彼はそれには答えず、目覚めるなり、
「この暖かい感じ、どこかで……」
「ああ。俺達もだ」
言ったテスラの顔を見てノルトが頷く。
「皆さんと初めて出逢った、あの館」
「だな」
ロゼルタやドーン達も同じだったらしい。
「よし、行くか」
「ま、それしかねーな」
だが何も知らないアンナは怪訝げな顔付きだ。
「何か知らないけど……大丈夫なの?」
マクルルの手から降りたノルトが頷く。
「大丈夫。この人は、少なくとも敵じゃない」
「そうだな」とロゼルタも言う。
「ロゼルタもわかるの?」
「ああ。こいつはきっとあたし達を復活させてくれた奴だ」
「そして僕を虹色の館に僕を誘ったのも……きっとこの人」
サラがヒューリアの言葉を思い出す。
『サラは知っていますか? メルマトラは元々エルフの国だったという言い伝えを』
(確かに……エルフの匂いを少し感じますよ。ヒューリア様)
だが彼女はそれだけではない、何かも漠然と嗅ぎ取っていた。
「では、行きましょう。皆さん」
ゴクリと唾を飲み込み、サラが言った。
「ああ。ランティエのガキに叩き起こされたぜ」
オーグがそう言うと、彼の中でランティエの声が響く。
『コラ、誰がガキだ。言っとくが吾輩はお前より五百以上歳上だからな!』
(ああ? うるせえ馬鹿野郎。テメーは見た目がガキじゃねーか)
『なんだとこの図体だけのポンコツ野郎』
(なんだこらやんのか? あ? やんのかコラ)
『ああああ!? コラ、てめえコラ……』
《ふたりともいい加減にしてください!》
それはまだ尾による攻撃のショックから意識が目覚めなかったノルトだった。
(おっと……)
『いやだって』
《仲良くしてください。オーグ様、僕と代わってください》
(……いやまだだ。まだ早い。お前はもう少し寝てしっかり回復しろ。ランティエもちょっとすっこんでろ)
《…………》
『…………』
「どうかされましたか?」
マクルルが不思議そうな顔でオーグを見る。
「……いや? へっへっへ。さあ、あの丘を登るぜ」
◆◇
丘を登るとその先は広大な盆地で、まるでクレーターの様に窪んでいた。
その中心地に確かに神殿らしき朽ちた建物がる。
そこに行けばヒューリアが言っていた何かがあるのかも知れない。
だが彼らの目の前に広がる光景はロン=ドゥ以上の絶望感を彼らに与えた。
先程の黒い怪物が神殿以外の至る所にいた。
その数、ざっと数百以上!
「こいつは……さすがに無理だな。別ルートを探すか」
呆れた様にテスラが言う。
直後、シュルスが悲鳴を上げる。
「どうした」
「あ、あ、あうあう……う、後ろ……」
「あ?」
振り返ると彼らが今通って来た丘陵を、黒い怪物がヒタヒタと押し寄せているではないか。
「こりゃあ……やべー、なんてもんじゃねーな」とロゼルタ。
そのロゼルタ、テスラ、マクルル、ドーンの4人が目を合わせる。
恐らく皆の意思は同じとロゼルタが口を開く。
「オーグ様、逃げてください。ここは我々4人にお任せ下さい。ノルトだけは死なせては」
だがオーグはそれを最後まで言わせなかった。
「何言ってんだ馬鹿野郎! テメーらが死んでこのガキが1人でどうこう出来るとでも思ってんのか? テメーらが思う以上にこいつはテメーらに惚れてんだよ」
「でも!」
食い下がるロゼルタを「うるせえ!」と一喝するとオーグはニヤリと笑う。
「仕方ねえ。本気出すとするか」
細い腕をグルグルと回す。
「い、いやいや。いくらオーグ様でもこの数は」
「なんだてめえ。俺がやられるとでも……」
その時だ。
丘陵から押し寄せる黒い怪物達の動きがピタリと止まった。
窪みの方にいた怪物達は一様に神殿の方へと体を向け、同じ様にその動きを止めた。
「な、なんだ?」
「一体何が」
テスラとロゼルタが訳が分からないと言った表情で言う。
その時、声が聞こえた。
それは彼らの頭の中に直接伝わってくる様なもの。
『待っていました。ノルト、アンナ。そして……よくぞふたりをここまで連れて来てくれました、魔族とエルフの方々』
それはとても暖かい声だった。
『私はヴィクトリア。まずはこの道を進んで私のところまで来てください』
その言葉と同時に虹の様に煌めき、揺らめくトンネルの様な通路が神殿から彼らの位置まで真っ直ぐに現れた。
付近にいた黒い怪物は慌てふためいてそれを避ける様な動きを見せた。
そのトンネルから、風の様な何かが彼らの体を撫でた。
それは物理的なものではなく感覚的な何かの力の様なもの。
「こりゃあ……」
オーグが何か言いかけるが、白目を向き、意識を失い、倒れ込む。
地面にぶつかる前にマクルルが無事抱き上げた。
すぐにノルトの自我が戻る。
「大丈夫か、ノルト」とマクルル。
だが彼はそれには答えず、目覚めるなり、
「この暖かい感じ、どこかで……」
「ああ。俺達もだ」
言ったテスラの顔を見てノルトが頷く。
「皆さんと初めて出逢った、あの館」
「だな」
ロゼルタやドーン達も同じだったらしい。
「よし、行くか」
「ま、それしかねーな」
だが何も知らないアンナは怪訝げな顔付きだ。
「何か知らないけど……大丈夫なの?」
マクルルの手から降りたノルトが頷く。
「大丈夫。この人は、少なくとも敵じゃない」
「そうだな」とロゼルタも言う。
「ロゼルタもわかるの?」
「ああ。こいつはきっとあたし達を復活させてくれた奴だ」
「そして僕を虹色の館に僕を誘ったのも……きっとこの人」
サラがヒューリアの言葉を思い出す。
『サラは知っていますか? メルマトラは元々エルフの国だったという言い伝えを』
(確かに……エルフの匂いを少し感じますよ。ヒューリア様)
だが彼女はそれだけではない、何かも漠然と嗅ぎ取っていた。
「では、行きましょう。皆さん」
ゴクリと唾を飲み込み、サラが言った。
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