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第3話 ジル・ドレ
傷
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僕のおじいさんの時代から戦争は続いているそうだ
ジャンヌ・ダルクという、神の声を聞いて軍隊を鼓舞した乙女の出現でフランスは勝利したが、戦いが終わり用済みになった彼女は『それは神の声ではなく悪魔の声だ』ということで処刑された。
領主さまはその人の側近だった。
ともに命の危険を感じながら戦った少女を救えなかったことが、領主さまの心を深く傷つけ壊してしまったのだろう。そう思うと何も言えなかった。
今夜は行儀見習いとして地元の少年たちが数人城に来ていた。
気に入った子がいたらアメリーに目配せする。そして地獄の狂宴が始まる。全員は殺さず、ひとり残す。一緒に来ていた少年たちは先に帰されたり、部屋をあてがって隔離して、絶対に秘密が城の外に漏れないように徹底していた。
夕食でワインを飲ませて、ほかの子は眠らせて気に入った子を地下室に運ぶ。酔ってぐったりしている幼い体を領主さまが貪った。
「んん…、え?…りょう…しゅさま?」
「静かに」
「やあ!やだああっ、痛い!!」
こどもに武人の大人をはねのける事はできない。大きく両足を持ち挙げられて小さな穴を無理やりこじ開けると、耳を塞ぎたくなるような悲鳴が上がる。
静かな夜は、特に大きく聞こえる気がした。
「うるさいな、もっと飲め!」
「…うぐっ!…う…」
抵抗できなくなるまで酒を飲ませて動かなくなった所で、行為を再開する。
「ぅ…ん…あ…ぁぁ…、やめてくだ……ん…」
石の床に少年の体が泳ぐように揺れる。激しい行為に背中が血まみれになると、血の臭いに興奮して行為がエスカレートした。
「いや…ぁ…もうやだぁ……」
「俺に逆らったらお前の家ごと潰すぞ」
「……」
逃げ場のない地獄に少年は絶望する。
痛い痛い苦しい、助けて神様。
言葉に出来ない気持ちを押し殺して、必死に耐える。
「はっ…は…あ………」
酔いが回って脳がおかしくなる。下からの出血も多くなってきて血の臭いがさらに充満した。
「ああ、なぜあなたが…祖国のために戦ったのに殺されなければならないのか。あの時俺がお側にいれば…。神なんていない。神なんて…!!」
「あああ!!」
短刀が蝋燭の明かりに照らされて、少年の胸に振り下ろされた。
「神なんか、いない」
死んだ少年をまだ犯しながら、ひとり言が続いた。
さすがに頭がおかしくなりそうだ。
我慢の限界を感じた僕は、蝋燭を片手に廊下に出て、地下への秘密階段へ向かった。
「…アメリー?」
ドアの前に、黒い扇をもてあそびながらアメリーが立っている。
「そこを通してください」
「領主さまのためよ。あの方の心の傷が癒えるまで必要悪なの」
「こんな事で治るわけないでしょう!」
「そうかしら」
はらりと扇を広げて、アメリーが続ける。
「領主さまの心はまだ戦場にいるのよ。あなたも捕虜を虐待したり誰かを犯したりしてストレス発散したんじゃない?あなたがしていなくても、そんな光景を見たことはあるはずよ」
「……」
「私は領主さまのために全ての悪を背負うわ。あなたはどう?」
「僕は…」
そこまでの覚悟があるだろうか。
アメリーが小さくため息をついた。
「ごめんなさい、言いすぎたわ。耳をふさいで寝てなさい」
「アメリーは?」
「私はこの後始末しなきゃいけないから」
そう言って扇を畳んでドアを指した。
ジャンヌ・ダルクという、神の声を聞いて軍隊を鼓舞した乙女の出現でフランスは勝利したが、戦いが終わり用済みになった彼女は『それは神の声ではなく悪魔の声だ』ということで処刑された。
領主さまはその人の側近だった。
ともに命の危険を感じながら戦った少女を救えなかったことが、領主さまの心を深く傷つけ壊してしまったのだろう。そう思うと何も言えなかった。
今夜は行儀見習いとして地元の少年たちが数人城に来ていた。
気に入った子がいたらアメリーに目配せする。そして地獄の狂宴が始まる。全員は殺さず、ひとり残す。一緒に来ていた少年たちは先に帰されたり、部屋をあてがって隔離して、絶対に秘密が城の外に漏れないように徹底していた。
夕食でワインを飲ませて、ほかの子は眠らせて気に入った子を地下室に運ぶ。酔ってぐったりしている幼い体を領主さまが貪った。
「んん…、え?…りょう…しゅさま?」
「静かに」
「やあ!やだああっ、痛い!!」
こどもに武人の大人をはねのける事はできない。大きく両足を持ち挙げられて小さな穴を無理やりこじ開けると、耳を塞ぎたくなるような悲鳴が上がる。
静かな夜は、特に大きく聞こえる気がした。
「うるさいな、もっと飲め!」
「…うぐっ!…う…」
抵抗できなくなるまで酒を飲ませて動かなくなった所で、行為を再開する。
「ぅ…ん…あ…ぁぁ…、やめてくだ……ん…」
石の床に少年の体が泳ぐように揺れる。激しい行為に背中が血まみれになると、血の臭いに興奮して行為がエスカレートした。
「いや…ぁ…もうやだぁ……」
「俺に逆らったらお前の家ごと潰すぞ」
「……」
逃げ場のない地獄に少年は絶望する。
痛い痛い苦しい、助けて神様。
言葉に出来ない気持ちを押し殺して、必死に耐える。
「はっ…は…あ………」
酔いが回って脳がおかしくなる。下からの出血も多くなってきて血の臭いがさらに充満した。
「ああ、なぜあなたが…祖国のために戦ったのに殺されなければならないのか。あの時俺がお側にいれば…。神なんていない。神なんて…!!」
「あああ!!」
短刀が蝋燭の明かりに照らされて、少年の胸に振り下ろされた。
「神なんか、いない」
死んだ少年をまだ犯しながら、ひとり言が続いた。
さすがに頭がおかしくなりそうだ。
我慢の限界を感じた僕は、蝋燭を片手に廊下に出て、地下への秘密階段へ向かった。
「…アメリー?」
ドアの前に、黒い扇をもてあそびながらアメリーが立っている。
「そこを通してください」
「領主さまのためよ。あの方の心の傷が癒えるまで必要悪なの」
「こんな事で治るわけないでしょう!」
「そうかしら」
はらりと扇を広げて、アメリーが続ける。
「領主さまの心はまだ戦場にいるのよ。あなたも捕虜を虐待したり誰かを犯したりしてストレス発散したんじゃない?あなたがしていなくても、そんな光景を見たことはあるはずよ」
「……」
「私は領主さまのために全ての悪を背負うわ。あなたはどう?」
「僕は…」
そこまでの覚悟があるだろうか。
アメリーが小さくため息をついた。
「ごめんなさい、言いすぎたわ。耳をふさいで寝てなさい」
「アメリーは?」
「私はこの後始末しなきゃいけないから」
そう言って扇を畳んでドアを指した。
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