同性愛男性専用デリヘルRAKUSA

希京

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トラブル

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当然といえばそうだが、週末は忙しい。
自営業者は平日でも時間が作れるが、サラリーマンはやはり週末に集中する。

副業でラクサに籍を置いている向井新も、普段は会社に勤めていて、週末にバイトで来る。
夜になると電話が途切れない。

「体力勝負だね」

運転席で直也は客と待ち合わせて飲みに行く予定の新とLINE通話で話す。

『若いからイケます』
少し冗談まじりの返事が来た。

後部座席には昼に2人の新規客を相手した南が座席を倒して眠っている。

会員制にしているので紹介してもらって身元を確認するが、面倒な輩は必ずセキュリティをすり抜けて現れる。
身を守るために監視カメラを持たせているが、もう少し防犯の仕方を考えたほうがいいなと思いながら、スマホ画面に映るロウを見ていた。

嫌な予感というのは当たるものだ。

はじめは普通のテンションだった客が怒りだして監視カメラを掴んで床に叩きつけた。

ザリ、とした不快な音とともに画面が消える。

なるべく客に見えない位置にカメラを置くように指示していたが、何故かロウは自分の近くに置く癖があった。

考えている猶予はない。
運転席を出てドアを全部ロックしてホテルの部屋に急いで向かった。

ロウのスマホに何度も電話しながら部屋のドア前に到着して乱暴にノックする。
最悪叩き壊すつもりで拳に力を込めた時、内側から静かにドアが開いた。

「…しくじった」
幽鬼のようなロウがズボンだけ履いて現れる。

「何もされてない?」
押しのけるように中に入り、ベッドに倒れている若い客を見た。

「俺は大丈夫だけど、相手がのびてる」

客のひとりに紹介された、富豪の家の息子だった。

「金はいくらでも払うからって言われて首絞めてきたから蹴り上げた」

倒錯行為は禁止、最初に説明したが未熟な脳は理解できなかったらしい。

全裸の情けない姿をスマホで撮影してから直也は声をかける。
「おい起きろ」

自分を見下ろしている黒スーツ姿の直也が死神にでも見えたのか若い青年は怯えていた。

「ご家族、とくにお父様にこの写真送られたくなかったら退会してください」

青年は無言で何度も頷き、脱ぎ散らかした自分の服をかき集める。

昔、こんなシチュエーションがあった。
客に覚醒剤を使われて頭が多幸感でおかしくなっていた時、フラッシュが光った。
あの時は時間オーバーで、延長の連絡がないことを不審に思った櫻井が入ってきてその場で客を退会させた。

それ以来監視カメラを各自に持たせるようになった。

そんな昔のことを思い出す。

洗面台で鏡を見つめるロウに近づく。

「跡はついてないよ、大丈夫」

直也がかすかに震えるロウの首筋に指を這わす。

ふたりの横を客がそそくさと通って部屋を出ていった。

「怖かったね」
頭を引き寄せてなでていると、ロウは声を出さずに涙を流す。
大人っぽいがまだ16歳の少年だということを忘れていた。

ベッドの上に投げられていたロウのTシャツを取りに行って戻ってきた時には、いつもの無表情なロウに戻っていた。

「カメラ」

「機械は壊れても買えばいい。ロウが無事ならそれでいい」

「直也さ…‥」

瞬間、ロウが床に崩れ落ちた。

「…!」
ロウを抱き上げてベッドに引き返して、サイドボードの上を見た。

ふたつ無くなっている錠剤。

あのガキ…っ!

ロウをベッドの上に寝かせて、薬の製品名を見る。

ロヒプノール。アメリカでは違法ドラッグ扱いのかなり強力な睡眠薬。

病院だな、そう思って意識のないロウをもう一度抱きかかえた。
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