同性愛男性専用デリヘルRAKUSA

希京

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病院

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誰もいない車内で、目が覚めた南は起き上がってキョロキョロしていた。

ロウを抱いて戻ってくる直也の姿を見つけた時、異常を察知した南がスライドドアを開けて座席を倒した。

「南くんを送ったら病院行くから」
座席にロウを降ろして直也は運転席側に移動する。

「僕は後でいいから先に病院行って!」

意識のないロウの体にすがりつくような姿勢で南が小さく叫ぶ。

「南くん家はすぐそこだから近い方から送る。その間に病院に連絡入れるよ。受け入れ体制が出来上がってる時に行ったほうが効率的だろ?」

今にも泣きそうな南を安心させるようにあえて明るく言ってエンジンをかけた。

いつものコンビニに南を降ろして、知り合いの病院に向かう。
大病院の夜間救急よりそのほうが処置が早いし、赤字経営の個人病院はワケありの患者を歓迎する所もある。

消灯して暗い病院で唯一電気がついている裏の入り口に医師が立っていた。

目の前に車を停めて、ロウを抱きかかえて降りる。

「こんな時間だから検査するっていっても簡易キッドしかないぞ!?」

来る前に簡単に事情を説明しておいた。

「それでいい。多分眠剤だけだと思うけど念の為だ」
看護師は近づけず、医師と直也だけで用意した個室に向かい、素早く採血する。

「腕はいいのに経営手腕はなあ…」
直也は何気なく呟く。

「嫌味言うなら追い出すぞ」

「褒めてんだよ。あとは水増し請求でもして赤字の足しにしてくれ」

ロウの財布から保険証を取り出して医師に渡す。

「お前もさあ、こんな若い子を危険にさらす商売どうなんだよ」

「…」
直也は何も言わずロウをみつめている。

「楽な仕事なんかないぞ」

「これが楽に見えるなら眼科行け」

直也の言い方に諦めたのか医師が部屋を出る。

櫻井もしょっちゅう怪我したり違法行為で倒れた子を病院に連れていっていた。

会えばいつも「忙しい」「疲れる」とぼやいていたが自分がその立場になってその苦労がわかった。

愚痴もこぼしたくなる。

枕元の椅子に座り、その間もスマホ画面に写る新と客のセックスを見る。

相手は同じく会社員で50代の男。
年の割に元気で、新は後ろから激しく突かれて喘ぎ声を響かせていた。

これが終わる頃には迎えに行かなければいけない。

自分も目が覚めたら病院のベッドの上というのがよくあった。

普段は特徴のないどこにでもいる若い会社員の新だが、抱かれている時はどんな男も堕ちるだろうなと思うほど色気をまとって妖しく鳴く。

もうひとりくらい、自分をサポートしてくれる人が欲しい。
櫻井の所で働いていた時、最後のほうは直也が送迎を兼ねていたくらいで、仕事を辞めさせてくれなかったのは人手不足にあえぐ経営者としては仕方なかったのかもしれない。

優しく扱うのも、親身になってくれたのも自分を上手に利用して金儲けする最悪な男と思っていたが、今自分は全く同じことをしている。

キャストの誰かが自分のしていることに優しさを感じてしまっている子がいるかもしれない。

もう少し距離を置いてビジネスライクに扱わないと誰かを苦しめる。
かつて自分がそうだったように。

だから色恋管理はしなかった。

辞めるといって喧嘩しても「好きだよ」という殺し文句とセックスで繋ぎ止められていた。直也はそこまでは出来ない。

『商品』に手を出していない所が唯一の差。

スマホをはさんだ向こう側に、ベッドに深く沈んでいるロウが眠っている。

その画面が通話に切り替わり、同時にプライベートのスマホの通知音が鳴った。

廊下に出て確認すると、知らない番号が表示されている。

仕事優先で仕事用のスマホに出ると、新からだった。

『延長いいですか?』
「いいけど、新さん体平気?」
あのおじさん、どれだけ元気なんだと妙に感心する。

『大丈夫ですよ、井上さんは朝までが希望だそうですけど』
「了解です。定期的に連絡ください」

プライベート用のスマホはまだ鳴っていた。


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