断罪なんて嘘でしょ!?

あい

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隼人の誕生日(2)

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なんとか時間前に会場入りした私たちは空いているスペースを見つけ開始時間まで待った。

例年通り開始時間になると会場は薄暗くなり、ステージがライトアップされる。ステージに目を向けるも、違和感を感じた。そう隼人の母親こと絵里ちゃんがいないのである。隼人の祖父母、父親、隼人のみであった。絵里ちゃんから今日のパーティーのお誘いを受けたため、体調でも悪いのかと心配する。挨拶の際にお話があるのだろう。見守ることにする。


 いよいよ主役の隼人の挨拶である。隼人の話しでは、やはり絵里ちゃんは体調不良らしく、本日の会は欠席とのこと。出席出来ない事を本人も残念がっていました。またお会いした際にはおしゃべり好きな母親に話しかけてあげて下さいとのことであった。

 隼人の挨拶が終わり、乾杯で開始されると思っていたが、隼人の父親が、マイクをとった。普段は隼人のお爺様が乾杯の挨拶をするのに珍しいなと思い、耳を傾けた。

「本日は我が息子隼人の誕生日会にお集まりくださりありがとうございます。ここでお知らせがあります。実はまだ息子にも話していないのですが、私の妻絵里の話です。ここ数ヶ月体調が優れない日が続きまして医者に診察してもらったところ妊娠が発覚しました。安定期には入ったものの悪阻がひどく今回のパーティーは出席となりました。来年には新しい家族合わせて6人で皆様にお会いできると思います。これからもよろしくお願いいたします。」

 急な発表でとても驚いたが、静寂ののち、会場中とても沸いたのであった。本当に隼人に教えてなかったらしく、驚いている。

「俺には教えておいてよ。」

と、多分父親のマイクがまだ入ったままなのだろう。隼人の声が小さく聞こえた。親子はマイクが入っていることに気づいておらず、話し続けている。

「最近ではお腹も出てきたし、気づいているかもと思ったんだが。」

「そうだぞ隼人。最近絵里さんは体調がすぐれんかったし、服もダボっとしたものを着ていたではないか。ワシでも気づいたというのに。観察力が足らん。」

「(いろいろ考えた後、思い至るところがあったのだろう)ただ太って、体調悪いのかと思ってた・・・」

と。父親と祖父に誕生日なのに説教されている隼人。なかなか見ない光景だったので笑ってしまった。
あまり取り乱さないと思っていた隼人であったが、こうして家族に鍛えられているから多少のことでは驚かなくなったのかもしれない。しかし、実の息子にもサプライズとは流石である。そして隼人が今年16歳ということは、年が16歳も離れているということである。一回り以上離れているとは・・・。隼人が気づかないのも無理はないだろう。

会場中驚きでパーティーが始まってなかったのだが、「来てくれている人達を待たせてしまっているから始めましょう」と隼人の祖母が声をかけ、パーティーは開始されたのだった。

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