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05.とんだ独占欲だな
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『ロイシュネリア、あなたに結婚を命じる』
ロイシュネリアを神殿の入り口まで送ったあと、自分の持ち場――実は先ほど退室してきたルクレシウスの執務室の隣だが――を目指して歩きながら、リフェウスは主君ルクレシウスの言葉を頭の中で繰り返していた。
ルクレシウスの言いたいことはわかる。
先視ができるロイシュネリアは、味方にいれば心強いが敵に回すとこの上なく厄介な存在になる。しかもロイシュネリアは仕える人間に等しくその力を差し出す。今はルクレシウスに忠誠を誓っているが、それはルクレシウスのもとにいる間だけである可能性は高い。
小さい頃から先視の力を利用され続け、そのせいで幾たびも略奪の憂き目に遭い、家族も失ってきたロイシュネリアが生き延びるために「使い勝手のいい道具」になってきたことは想像に難くない。
ロイシュネリアは、整って凛とした顔立ちに、華奢な体つき、象牙色の肌に漆黒の髪の毛、新緑のような瞳。とても美しい娘だった。その美しい姿にはおよそ似つかわしくない、左腕を覆いつくす無数の切り傷に、ルクレシウスはすぐに先視の代償に気付き、彼女を道具として利用することに耐えられなかったのだろう。
『あの娘は傷ついている。これ以上、あの娘に無理強いすべきではない』
噂になっている先視姫を確保するよう進言したのはリフェウスだ。ルクレシウスも先視の力に興味をそそられていた。けれど、ロイシュネリアを捕らえたあと、ルクレシウスは「ロイシュネリアの先視を使うべきだ」と主張したリフェウスに首を振った。
『ですが、あの娘を使えば敵の手の内を明らかにできます』
『そのために彼女の腕を切り続けるのか? あの傷を見ただろう。あれは決して浅い傷ではない。先視のためには深く切りつける必要があるのだろう。そこまでして、おまえは勝ちたいか?』
『当たり前でしょう!』
語尾も荒く告げるリフェウスに、
『……おまえが、そこまで人でなしだとは思わなかった』
静かにそう返してきたのはルクレシウスではなく親友のクレオメデスだった。
『勝つためには手段など選んではいられないはずだ』
『……だからといって、人の心を失っては、あいつらと同じになる』
ルクレシウスが低い声で返す。あいつら、というのが誰を示しているのかはわかったが、
『ぬるいことを言っていると勝機を逃がします』
徹底的にやらなければこちらの命が危なくなるのだ。リフェウスの仕事はこの国を危機から救うことだが、そのためには王子ルクレシウスの命あってこそ。
『……。あの娘の力は使わない。決定だ』
だがルクレシウスはそう決定すると、リフェウスにもうロイシュネリアの先視の話を持ち出してくることはなかった。
『もったいない。なぜあの娘を使わない? 力は本物だ』
苦労して捕まえたというのに。そう思ってクレオメデスに噛みつけば、
『あの娘がいなくてもおまえなら敵の裏をかくぐらい、朝飯前だろう?』
こともなげにそんな言葉が返ってきて殺意が湧いた。そんなわけがないだろうが。
あの娘の力を使えばこちらの力を温存したまま勝ち続けることができる。そう思ってルクレシウスの命令を無視し独断でロイシュネリアに先視をさせようとした。
『ルウォールの先視姫よ、エランジェの勝利のために未来を視ることができるか』
『私はルウォールの者ではありません。私は私を必要とする者のために先視をします。エランジェが私を必要とするのなら、私の力を差し出しましょう。短剣と水盤を用意してくださいますか。私の先視には血と水が必要です』
リフェウスの要請に応え、ロイシュネリアはそう言ってこちらを見つめてきた。
鮮やかな緑に宿るのは、悲しみ、諦め、それから侮蔑……先視のために腕を切れと言うおまえは、しょせんルウォールと何ひとつ変わらない。そう言われているようだった。その通りだから冷めた目で見られることに何も感じない……はずだった。
そのはずだったのに、そんな目で見られることが耐えられなかった。
『あなたは自分の価値をよくわかっている』
『私には、これしかありませんから』
水盤の代わりに皿に水を張ったものを用意させ、短剣を渡す。やっぱり必要ない、と言おうとしたが間に合わず、ロイシュネリアは左腕を切って皿の水の中に血をしたたらせた。
彼女がくれたヒントによって、ルクレシウスの軍勢は大勝利を収めた。
それを知るとロイシュネリアは再び短剣を手に取った。さも当然のように。ルクレシウスは不要だと言ったのに。
その短剣を取り上げ、傷が塞がるまでは先視をさせないようにした。
ルウォールにいたころ、ロイシュネリアの腕は傷が癒える間もなく切られていた。自分は、そこまで野蛮ではない。そんな気持ちだったが、ロイシュネリアからしてみると先視を強要した時点で同じことなんだろうとも思った。
そして率先して能力を差し出すことで彼女が生き残ってきたこともわかった。
勝つために使えるものはなんでも使うが信条だが、この娘は使わない。先視は腕だけでなく、彼女の心を傷つける。それがわかったから。
自分はそこまで野蛮ではない。ルウォールとは違う。彼女は道具じゃない。
ロイシュネリアの腕にはリフェウスが包帯を巻き、傷が治ってもしつこく包帯を取らなかった。
そして気が付いたことがある。先視をさせないと、ロイシュネリアは途端に不安そうな顔をするのだ。自分の存在価値が先視にしかないと思っているのがバレバレだった。
そのかわりに、リフェウスはルクレシウスやクレオメデスの前でロイシュネリアからルウォールの情報を引き出した。ロイシュネリアは驚くほど様々なことを知っていた。
先視としてではなく、ルウォールを知る者としての存在価値が高まっていく。先視以外のことで必要とされている、という事実はロイシュネリアに自尊心を取り戻してくれた。だが、彼女は先視という職業柄か、わりと「こういうことではないか?」と憶測でものを語ることがあるため、情報の正確性を重んじるリフェウスとはよく言い合いになった。
こちらは何千、何万の兵士たちの命を預かっているのだ。
「かもしれない」という情報に踊らされるわけにはいない。
リフェウスの注意に腹を立て言い返してきたロイシュネリアは、かわいらしかった。
象牙色の肌にさっと朱がさして、新緑色の瞳がきらめく。澄んだ声が、耳に心地いい。
怒らせれば、自分を見てくれる。
ルウォールの情報を出し、それが事実で作戦の成功につながるたびに、ルクレシウスはロイシュネリアに対して純粋な賛辞を送った。
ロイシュネリアが本当に嬉しそうに笑う。その笑顔は本当にまぶしくて、目を奪われた。
彼女は、こんなふうに笑うのか……。
――ロイシュネリアは、ルクレシウスのことが好きなのかもしれないな。
本当は、自分も彼女を笑わせたかったし、彼女に笑いかけてほしかったのだが、自分にできることはロイシュネリアにダメ出しをして彼女を怒らせることだけ。
だけどなぜ、自分は、ロイシュネリアを笑わせたいと思うのだろう……?
そのなぜを解き明かしたくてずっとロイシュネリアを見ているうちに、
ああそうか……と腑に落ちた。その理由がわかったのだ。
ロイシュネリアのあの花がほころぶような鮮やかな笑顔を、自分にも向けてほしいのだ。
ルクレシウスではなく、自分に。自分だけに。そしてできればあの笑顔を与えられる存在になりたかった。
美しく、聡明で、悲しい目をしたロイシュネリアを、慰められる存在になりたかった。
――とんだ独占欲だな。
醜悪だと思った。ロイシュネリアは今まで檻に閉じ込められた人生を送ってきた。ようやく檻から出られたのに、その彼女を独り占めしたいなんて。
彼女にとっては迷惑極まりない話だろう。
だから、この気持ちは、ロイシュネリアに悟られてはならない。
決して。
ロイシュネリアを神殿の入り口まで送ったあと、自分の持ち場――実は先ほど退室してきたルクレシウスの執務室の隣だが――を目指して歩きながら、リフェウスは主君ルクレシウスの言葉を頭の中で繰り返していた。
ルクレシウスの言いたいことはわかる。
先視ができるロイシュネリアは、味方にいれば心強いが敵に回すとこの上なく厄介な存在になる。しかもロイシュネリアは仕える人間に等しくその力を差し出す。今はルクレシウスに忠誠を誓っているが、それはルクレシウスのもとにいる間だけである可能性は高い。
小さい頃から先視の力を利用され続け、そのせいで幾たびも略奪の憂き目に遭い、家族も失ってきたロイシュネリアが生き延びるために「使い勝手のいい道具」になってきたことは想像に難くない。
ロイシュネリアは、整って凛とした顔立ちに、華奢な体つき、象牙色の肌に漆黒の髪の毛、新緑のような瞳。とても美しい娘だった。その美しい姿にはおよそ似つかわしくない、左腕を覆いつくす無数の切り傷に、ルクレシウスはすぐに先視の代償に気付き、彼女を道具として利用することに耐えられなかったのだろう。
『あの娘は傷ついている。これ以上、あの娘に無理強いすべきではない』
噂になっている先視姫を確保するよう進言したのはリフェウスだ。ルクレシウスも先視の力に興味をそそられていた。けれど、ロイシュネリアを捕らえたあと、ルクレシウスは「ロイシュネリアの先視を使うべきだ」と主張したリフェウスに首を振った。
『ですが、あの娘を使えば敵の手の内を明らかにできます』
『そのために彼女の腕を切り続けるのか? あの傷を見ただろう。あれは決して浅い傷ではない。先視のためには深く切りつける必要があるのだろう。そこまでして、おまえは勝ちたいか?』
『当たり前でしょう!』
語尾も荒く告げるリフェウスに、
『……おまえが、そこまで人でなしだとは思わなかった』
静かにそう返してきたのはルクレシウスではなく親友のクレオメデスだった。
『勝つためには手段など選んではいられないはずだ』
『……だからといって、人の心を失っては、あいつらと同じになる』
ルクレシウスが低い声で返す。あいつら、というのが誰を示しているのかはわかったが、
『ぬるいことを言っていると勝機を逃がします』
徹底的にやらなければこちらの命が危なくなるのだ。リフェウスの仕事はこの国を危機から救うことだが、そのためには王子ルクレシウスの命あってこそ。
『……。あの娘の力は使わない。決定だ』
だがルクレシウスはそう決定すると、リフェウスにもうロイシュネリアの先視の話を持ち出してくることはなかった。
『もったいない。なぜあの娘を使わない? 力は本物だ』
苦労して捕まえたというのに。そう思ってクレオメデスに噛みつけば、
『あの娘がいなくてもおまえなら敵の裏をかくぐらい、朝飯前だろう?』
こともなげにそんな言葉が返ってきて殺意が湧いた。そんなわけがないだろうが。
あの娘の力を使えばこちらの力を温存したまま勝ち続けることができる。そう思ってルクレシウスの命令を無視し独断でロイシュネリアに先視をさせようとした。
『ルウォールの先視姫よ、エランジェの勝利のために未来を視ることができるか』
『私はルウォールの者ではありません。私は私を必要とする者のために先視をします。エランジェが私を必要とするのなら、私の力を差し出しましょう。短剣と水盤を用意してくださいますか。私の先視には血と水が必要です』
リフェウスの要請に応え、ロイシュネリアはそう言ってこちらを見つめてきた。
鮮やかな緑に宿るのは、悲しみ、諦め、それから侮蔑……先視のために腕を切れと言うおまえは、しょせんルウォールと何ひとつ変わらない。そう言われているようだった。その通りだから冷めた目で見られることに何も感じない……はずだった。
そのはずだったのに、そんな目で見られることが耐えられなかった。
『あなたは自分の価値をよくわかっている』
『私には、これしかありませんから』
水盤の代わりに皿に水を張ったものを用意させ、短剣を渡す。やっぱり必要ない、と言おうとしたが間に合わず、ロイシュネリアは左腕を切って皿の水の中に血をしたたらせた。
彼女がくれたヒントによって、ルクレシウスの軍勢は大勝利を収めた。
それを知るとロイシュネリアは再び短剣を手に取った。さも当然のように。ルクレシウスは不要だと言ったのに。
その短剣を取り上げ、傷が塞がるまでは先視をさせないようにした。
ルウォールにいたころ、ロイシュネリアの腕は傷が癒える間もなく切られていた。自分は、そこまで野蛮ではない。そんな気持ちだったが、ロイシュネリアからしてみると先視を強要した時点で同じことなんだろうとも思った。
そして率先して能力を差し出すことで彼女が生き残ってきたこともわかった。
勝つために使えるものはなんでも使うが信条だが、この娘は使わない。先視は腕だけでなく、彼女の心を傷つける。それがわかったから。
自分はそこまで野蛮ではない。ルウォールとは違う。彼女は道具じゃない。
ロイシュネリアの腕にはリフェウスが包帯を巻き、傷が治ってもしつこく包帯を取らなかった。
そして気が付いたことがある。先視をさせないと、ロイシュネリアは途端に不安そうな顔をするのだ。自分の存在価値が先視にしかないと思っているのがバレバレだった。
そのかわりに、リフェウスはルクレシウスやクレオメデスの前でロイシュネリアからルウォールの情報を引き出した。ロイシュネリアは驚くほど様々なことを知っていた。
先視としてではなく、ルウォールを知る者としての存在価値が高まっていく。先視以外のことで必要とされている、という事実はロイシュネリアに自尊心を取り戻してくれた。だが、彼女は先視という職業柄か、わりと「こういうことではないか?」と憶測でものを語ることがあるため、情報の正確性を重んじるリフェウスとはよく言い合いになった。
こちらは何千、何万の兵士たちの命を預かっているのだ。
「かもしれない」という情報に踊らされるわけにはいない。
リフェウスの注意に腹を立て言い返してきたロイシュネリアは、かわいらしかった。
象牙色の肌にさっと朱がさして、新緑色の瞳がきらめく。澄んだ声が、耳に心地いい。
怒らせれば、自分を見てくれる。
ルウォールの情報を出し、それが事実で作戦の成功につながるたびに、ルクレシウスはロイシュネリアに対して純粋な賛辞を送った。
ロイシュネリアが本当に嬉しそうに笑う。その笑顔は本当にまぶしくて、目を奪われた。
彼女は、こんなふうに笑うのか……。
――ロイシュネリアは、ルクレシウスのことが好きなのかもしれないな。
本当は、自分も彼女を笑わせたかったし、彼女に笑いかけてほしかったのだが、自分にできることはロイシュネリアにダメ出しをして彼女を怒らせることだけ。
だけどなぜ、自分は、ロイシュネリアを笑わせたいと思うのだろう……?
そのなぜを解き明かしたくてずっとロイシュネリアを見ているうちに、
ああそうか……と腑に落ちた。その理由がわかったのだ。
ロイシュネリアのあの花がほころぶような鮮やかな笑顔を、自分にも向けてほしいのだ。
ルクレシウスではなく、自分に。自分だけに。そしてできればあの笑顔を与えられる存在になりたかった。
美しく、聡明で、悲しい目をしたロイシュネリアを、慰められる存在になりたかった。
――とんだ独占欲だな。
醜悪だと思った。ロイシュネリアは今まで檻に閉じ込められた人生を送ってきた。ようやく檻から出られたのに、その彼女を独り占めしたいなんて。
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だから、この気持ちは、ロイシュネリアに悟られてはならない。
決して。
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