23 / 43
4話 幻じゃない子犬
4.捜索
しおりを挟む「あずき~~!」
店の裏の茂みを掻き分けて二匹の姿を探す。
虫とかいて怖い。木蓮さんはお店を離れられないから僕が捕まえて帰らないといけない。
鳴き声はどこかから聞こえる……土手下に目を移すと青いすすきが倒れたり起きたりしている。
(シメられてるんだろうか……)
さっきガラスの向こうを通り過ぎたのはいつかの茶色い子犬だ。ココアとあずきはあの子犬を追いかけて行ったのだ。
ビビりながら土手を滑り降りてすすきを掻き分けると、予想通り子犬が三匹くんずほぐれつの乱闘真っ只中だった。
ココアはやっぱり恐ろしく機敏で、茶色の子犬を追い回す仕草は獰猛な狩人のそれだった。
あの愛らしいうるうるお目目が完全に座ってる。
木蓮さんはココアちゃんのこういう一面を知ってるんだろうか?
あずきも負けてなくて、止めに来たのに手を出すのが怖かった。喧嘩慣れしすぎである。僕の可愛い犬はどこにいったのだろう。
……そんな事を思っていた折、ようやく決着がついたようだ。チワワに踏まれた子犬はグッタリして世を儚む顔になった。
「……だ、大丈夫……?」
知らない子だけど心配になって来た……。
助けてあげるべきか迷った。だけどココアがふいに足を退けて子犬の顔を舐めた。
起き上がった茶色は大人しくココアの横に座った。舎弟誕生したようである。
終いに自分の意思で店に戻るココアとあずきとその後ろに大人しく着いていく茶色い子犬と僕がいた。
僕は多分彼女のたちの舎弟の一人だ……。
「ありがとね、小宮くん……茶色い子も捕まえたの!?」
捕まえたというか、ココアさんに先導されて帰還した僕たちを見て木蓮さんは驚いていた。
気が付けば時間はもう正午に近づいている。
会計をお願いしたらお礼だからと断られてしまった。おまけにお土産にと挽いた豆とコーヒーフィルターまで持たせてもらった。
それから慌ただしくて話もできなかったからとSNSのIDを交換した。
茶色い子の面倒は木蓮さんがどうにかする……というかあの子を見かけた時から元々そのつもりで気にしていたらしい。
木蓮さんが探してたから、ココアは茶色い子犬を追いかけてたんだろうか? あとであずきに聞いてみよう。
そんなこんなでカフェココアでの長くて短い水曜午前の珍道中は幕を下ろした。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
花鳥見聞録
木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる