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番外
(前)ピンクのリボンとアクリル板のむこう
しおりを挟む「あずき家に呼んどいて」
新聞とってきてくらいの気軽さであつしくんは僕に言った。
「意外にカーキとかも似合うのな」
「そうですかねっ」
あずきはキラキラした目であつしくんを見上げた。
今日のあずきは袖がふくらんだ生成のリボンブラウスにデニムのショーパンをはいてる。恵奈さんの店のものだ。
2人の周りには赤やピンクやゴールド、シルバー……たくさんのリボンやビジューが散らばってる。
色とりどりのバレッタやカチューシャだった。
あつしくんの知人が作ったヘアアクセのサンプル品をごっそり買い取ってきたらしい。
「どれ好き?」
「えーとですねっこの黄色のキラキラの……」
「まぁどうせ全部やるけど」
「ええっ!?」
あつしくんは無表情でニコニコしてる。
メルヘンなアクセサリーに囲まれた2人はディ○ニー映画みたいだ。
……——うっかり見惚れてた。ハッとしてお茶をとりに行った。
「あつしくんはこれですねっ」
「ん……?」
あずきはあつしの髪にピンクのエナメルでできたリボンバレッタをくっつけた。
手鏡を彼に向け似合いますねっと元気よく言った。
「ありがと」
「どういましましてっ! 京さんもきっと褒めますねっ」
「……あずき、京の事好き?」
あずきは大きく頷いた。あつしはしばらく黙ってから笑ってそっかと答えた。
(えっ!?)
午後茶を持ってきたらあつしくんの頭にピンクのリボンがついていた。
……でも、怒るでもなくあずきの話し相手をしてやってる。
「あっ京さん見てくださいっ! あつしくんにもつけましたっ」
ピンクのリボンのあつしと目が合う。可愛いじゃんと言うと無表情でだろうと言われた。
ピンクのリボン頭のまま、あずきにハート型や黒いリボンのバレッタをつけて遊んでる。
あつしは色んな面を持ってる。
戯れる2人はどこまでも絵になるウツクシさで童話の中にいるみたいだった。
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