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7話 警告
4.電話
しおりを挟む友達を試しはじめた。それは終わりのはじまりになる事を燐との関係で僕は学んだ。
僕の彼女を横取りした燐を僕は許した。でもサークルを引っ掻き回して逃げた彼を追いかけることはしなかった。
あんなに居心地がよかった親友との関係は誰より誰をとるとか何をとるとか、そういうくだらない試練が原因で解けて崩れてしまった。
熱士との間でまたそれが起これば繋がった縁が解けてしまう。
望んでないけど起こる時それは簡単に起こる。出会いと同じように、それがはじまる瞬間はとてもさりげないのだと思う。
「ごめん」
「……え?」
「言い過ぎだ」
ごめんと熱士は謝った。
熱士は燐ちゃんより分かりやすく用心深い気ぃ遣いだ。まだ僕と解けたくないと思ってくれてる。それに気が付いて僕こそ迷惑かけてごめんと謝った。
……——去年燐とこういう関係を続けてたらここに熱士はいなかった。あずきを抱いてるのはきっと燐だ。いや、それ以前に……。
飲みに行った後、燐と電話した時の事を思い出す。
■■■
2コール目で燐は電話口に出た。ざわつく声とくぐもったEDM、階段を上がるか下がるような音がする……どこか外にいるのだ。
「もしもし、ごめんかけ直そうか?」
「ううん、大丈夫」
聞き慣れたいつも通りの人懐こい声だ。
燐はこの間は夜中に家に上がり込んでごめんねと言った。去年までそれは当たり前の事で、開いた距離を如実に感じた。
「でも俺、また普通に京の家行きたい」
「くればいいじゃん?」
「……アレがいるじゃん」
アレは普通に考えれば熱士くんのことだ。僕は少し頭にきた。彼は傷心の燐に付き合ってくれたのだ。そう言うと凛は確かに熱士は大嫌いだけどそうじゃないと言う。
「あずきのこと?」
電話の向こうで息を呑む気配がある。
あんな子犬の何が嫌なんだ……普段ならそう揶揄ったけど今はそうも言えなかった。
僕の家に来た夜、燐とあずき二人しか知らない何かが起こった。
燐は空気読まないし自分勝手な割に、妙に感覚が過敏な所がある。僕たちの気付かない何かに触れたのかもしれない。
「あずきが何かした?」
「えっ!?」
「噛まれた?」
燐は怒られるとどんどん意固地になる。本人のせいじゃなかった事まで態度が悪いせいで背負わされてる時がある……まあ常日頃の行いのせいもあるけど。
……——そんなこんなで僕は必ずしも燐が悪いとは思ってなかった。
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