37 / 51
帰還
しおりを挟む
精霊の巫女だからといって
ソフィアを、特別扱いし、続けるのは
判断として、矛盾しているのは
最初からガリバルドも、わかっていた。
兵士達には、助けられない者を
見捨てるような、指示を出している。
だが、ガリバルドには
これが、正しいのではないかという
確信はあった。
例えソフィアが、助からなくてもだ。
誓いの言葉の意味、理想のため。
難問に、ぶちあたった時の判断基準として
何が大切か、あるべく理想を
心の中で、問い続けていた。
大切なものを、失ってしまいかねないような
感情に押し留められて、
仕方がないと、誰しもが、納得はするだろう
現実的な、最終決断を、ここまでする事はなかった。
結局、大事な事は何なのか?
だから、迷っても
ここまで決意は変えなかった。
警告として、魔法の雪が
渓谷に降ったのは、たしかだ。
水の巫女が、なんらかの理由があって
出てこれず、近くにいる可能性もある。
突然、現れるのではないか?
ありもしないような事を考え
自分に言い訳を、し続けていもいた。
全権は今、自分の手にあり比較する事の
困難な命を、選ぶ選択を、王から、任され続けている。
ソフィアへの特別な配慮を
早くやめさ、助かる負傷者の手当てを
最優先させるべきという考えが
頭を何度もよぎったが、それでも、誓いは破れなかった。
掲げた理想への誓いは、破れなかった。
誓いとは、果たすべき約束だ。
「ベ、ベルナルド様が! 王太子さまが
ミストラルの魔道師達を連れて、無事、ご帰還!」
最後まで、残って、ガリバルドと話をしていた騎士が
慌てて、馬で、駆け戻ってきて、立ち止まると
先の見えない深い霧の中で
敵に、いきなり出くわし、あわてたように
騎乗したまま、ガリバルドだけでなく、
届く限りの者、全てに向かって
必死に叫ぶような、報告を行った。
「まっ、間にあいました、し、信じられません、こんなにも早く」
渓谷の空に、誇り高く掲げられた
ミストラルの軍旗が、向かい風に、はためいている。
奇跡としか思えない、信じられない
速さで到着した、待ちわびた援軍の到着に
周囲に、偶然いた騎士達も、皆、馬の足を止めていた。
「王子~~~~~~~~ こっちだ~ ちきしょう! はやくしやがれ!」
黙って、待ってることはできなかったラッセルは
出迎えるために、自分の持ち場を離れて
目印になろうと、剣を抜き
空に向かって突き出し、その場で、目立つように振り回している。
「そうだ、そこだ~ いけ~~~~ 早く、いきやがれえ~」
ベルナルドが、疾走していく馬上から、気付いたのだろう。
ミストラルの軍旗を掲げた援軍が
ラッセルを目指して、近づいていくと
空に向けていた剣が降ろされ
今度は、後ろを指し示して、ソフィアの正確な場所を示してくれる。
「とっとと、いっちまえ~!」
馬の足を止め、援軍が通り過ぎていくのを
見守っていた騎士達は
少しだけ、芽生えてきた希望に、胸を熱くし
黙って、少しだけ、自分が信ずる者への
祈りを捧げた後、思い出したように
己が、なすべきことを再開する。
少数だが、心強い援軍が
手綱を引いて、一斉に馬の足を止める。
何者かに見事に操られるかのように
シーザリア軍と、見事に入れ替わり
ソフィアの元に、駆けつけてきた
待ちわびていた、ミストラルの
わずかばかりの援軍が、到着した。
「アリア様、いきましょう」
「はい、ベルナルド様」
「巫女、後はフェステルめに、全て、お任せくだされ」
「頼みます、フェステル」
騎乗したまま、周囲に危険はないか
確認している
決死隊の隊長のすぐ後ろには、
既に、馬から降りているベルナルドとアリアがいた。
魔道師達の護衛を勤めて来た、先頭にいる
決死隊の隊長に向かい
到着を、待ちわびていたガリバルドが、馬で駆けつける。
「水の巫女殿! アリア殿! ここは礼など無くとも構わん
ベルナルドと供に、はっ、はやく! たっ、頼む」
「はい、公爵様」
アリアはいつもどおり、はきはきとしていて、元気だ。
青く、明るい瞳には。いつもどおりの自信が、満ち溢れている。
「ベ、ベルナルドよくぞ……」
「話は後で」
「わかっておる、は、早くいってやれ、巫女殿が、ずっと待っておる」
「はい、後を頼みます」
「ああ、全て任せていけ」
「では」
「さっ、アリアさま、あちらです」
「はい、殿下」
水の巫女、アリアが
ベルナルドを護衛につけて
ソフィアの元へ、足早に向かう。
「さっ、リオルド様、挨拶じゃ」
「わかりました、フェステル殿」
騎乗で、周囲を警戒していた
先頭にいる騎士が、颯爽と馬から降りた。
続いて、騎士の後ろにいた
魔道師隊から、一人が
魔法の力で、宙を浮くように
馬から降りて、静かに音も立てずに、両足で着地する。
馬から降りた、決死隊の隊長を
後ろに従えた魔道師は
ガリバルドの乗っている馬の横で
跪き、礼をとるために、頭を静かに下げた。
アリアに代わって、魔道師達を代表しているのは
年老いてはいるがエリサニア、四賢者の中で
唯一の女性であるフェステルだ。
フェステルは四賢者の中でも
頭一つ抜きん出た、最強の魔力を持つ魔道師で
精霊の巫女の、次に力を持ち
巫女を除けば、エリサニアでは、最強の魔道師だ。
精霊教会で、最高位の魔道師である巫女が全て
女性であるように、空にある大きな星ジュールの影響が
大きい女性の方が、男性より魔力が、自然と強くなる傾向があるようだ。
「よ、よくぞ…… 待ちわびておりましたぞ」
「公爵様、おひさしゅうござりまする」
「決死隊、隊長の任を果たしました、リオルドです」
「おおっ、貴殿が、あのリオルド殿か、名は知っておる」
「ガリバルド公に、おかれましては、ご無事で、なにより」
「護衛ですな、命がけで、よくぞ、ここまで来られた」
リオルドは、交易路を襲う
侵略者との戦いで、敗北し、全滅の
危機に陥った、軍を逃がすために
撤退の時間を稼ぐ、殿(しんがり)を命がけで果たし
大勢の味方を救う、大きな功績を挙げたことを
デュランが評価して、ミストラルの騎士団長として、抜擢した、若き騎士だ。
抜きん出た、剣の強さだけではなく、天才的な
軍の采配振りは、エリサニアの諸国に、早くも、名を知られている。
リオルドが、決死隊の隊長となり
直接、乗り込んできた事から
デュランが、強い想いを込めて
魔道師隊を、送り込んだ事は間違いない。
リオルドと、ミストラル公国、影の君主
宮宰のデュランとは親戚の関係だ。
「フェステル殿、そなたまでとは、よく駆けつけて下された」
「当然で、ござりまする」
「しかし、まさか間に合うとは…… 失礼ながら、幻でも見ているようだ」
「ほっ、ほっ、ほっ、幻ではございませぬぞ」
「うむ、そうか、お元気でなによりだ」
「では、礼はこれにて、巫女を手伝うため、急ぎまする」
「おお、構わんと行ってくれ、気が利かず、すまぬ」
「ほっ、ほっ、ほっ」
礼を終えたフェステルは、立ち上がると
残された、魔道師隊の中で選ばれた
青星(しょうせい)の魔道師達の中から
数人を指名し、引き連れていき
先に、ソフィアの元へいった
アリアの元へ、足早に歩いて、去っていく。
精霊教会で、巫女の下に、使える魔道師は
賢者の尊称を持つ、筆頭の長老も含めて
黄道、すなわち太陽の軌道上にある
星座数を基準にしているので、12人とされているのは
エリサニアの、どの国でも同じだ。
「さあ、傷を見せるんだ」
「あ、痛いててててて、いてえっ、ど、どうか、頼んます、魔道師様」
「ぬん」
「くう~~~~、癒されるうううううううううう」
残されたドルイドに率いられた、多数のメイジのいる
ミストラルの魔道師隊は
近くで集まっていた、傷ついた兵士達を見つけると
早速、傍に近づいていき、癒しを始めていた。
「ガリバルド様、よろしければ、状況を、詳しく、お聞かせ下さい」
「うむ、リオルド殿、頼む」
青星(しょうせい)の魔道師の一人が
ガリバルドから詳しく、状況を確認した
決死隊の隊長のリオルドから、話を聞くと
そばで、傷ついている親衛隊の兵士を癒していた
仲間の魔道師達の元へ戻っていく。
「リオルド様から、詳しい情報を集めるためにも
一箇所で、留まらないでくれと」
「わかった、こちらは、実際に目で見てないからな」
魔道師達は、複数の小集団にわかれて
それぞれ必要な数だけの騎兵を護衛に付けてもらい
怪我をしている者が、傷ついて、集まり
手当てを、受けている兵士達を癒すために
再び馬に乗り、横腹を蹴って
次々と、違う方向に駆けていく。
「では、アリア様達を頼むぞ!」
「はっ!隊長」
「はっ!リオルド様」
「はっ!」
リオルドは、残っている騎士達の中から
特に腕のたつ数名だけを残て、ラッセル達の親衛隊に預ける。
「ラッセル殿の、ご活躍は、先ほどガリバルド様から」
「たいしたことは、ありませんぜ」
「貴方は、我がミストラルの恩人です」
「へ?」
同盟を組んでいる以上、援軍が遅れたことで
取り返しのつかないような被害が大きくなればなるほど
生き残りのための同盟関係を重要に考えている
ミストラル公国にとっては、厳しい結果となってしまう。
「配下の者を残しておきますので、好きなように使って下さい」
「へえ、そりゃもう、ありがてえ、忙しいし」
「……」
「?」
「では、後をよろしく、お頼みします」
「へえ、お任せ下せえ」
「では皆、いくぞ、はあっ!」
「ヒヒヒヒヒヒーン」
リオルドは、ラッセルに、水の巫女アリアと
フェステル達の護衛を引き継いでもらうと
休む暇も無く、引き連れた残りの騎兵と
その場から駆けて行き、ばらばらに散っていった。
戦場の後始末をするために、情報を集め、実際に自分達の目で、被害の把握をするためだ。
ソフィアを、特別扱いし、続けるのは
判断として、矛盾しているのは
最初からガリバルドも、わかっていた。
兵士達には、助けられない者を
見捨てるような、指示を出している。
だが、ガリバルドには
これが、正しいのではないかという
確信はあった。
例えソフィアが、助からなくてもだ。
誓いの言葉の意味、理想のため。
難問に、ぶちあたった時の判断基準として
何が大切か、あるべく理想を
心の中で、問い続けていた。
大切なものを、失ってしまいかねないような
感情に押し留められて、
仕方がないと、誰しもが、納得はするだろう
現実的な、最終決断を、ここまでする事はなかった。
結局、大事な事は何なのか?
だから、迷っても
ここまで決意は変えなかった。
警告として、魔法の雪が
渓谷に降ったのは、たしかだ。
水の巫女が、なんらかの理由があって
出てこれず、近くにいる可能性もある。
突然、現れるのではないか?
ありもしないような事を考え
自分に言い訳を、し続けていもいた。
全権は今、自分の手にあり比較する事の
困難な命を、選ぶ選択を、王から、任され続けている。
ソフィアへの特別な配慮を
早くやめさ、助かる負傷者の手当てを
最優先させるべきという考えが
頭を何度もよぎったが、それでも、誓いは破れなかった。
掲げた理想への誓いは、破れなかった。
誓いとは、果たすべき約束だ。
「ベ、ベルナルド様が! 王太子さまが
ミストラルの魔道師達を連れて、無事、ご帰還!」
最後まで、残って、ガリバルドと話をしていた騎士が
慌てて、馬で、駆け戻ってきて、立ち止まると
先の見えない深い霧の中で
敵に、いきなり出くわし、あわてたように
騎乗したまま、ガリバルドだけでなく、
届く限りの者、全てに向かって
必死に叫ぶような、報告を行った。
「まっ、間にあいました、し、信じられません、こんなにも早く」
渓谷の空に、誇り高く掲げられた
ミストラルの軍旗が、向かい風に、はためいている。
奇跡としか思えない、信じられない
速さで到着した、待ちわびた援軍の到着に
周囲に、偶然いた騎士達も、皆、馬の足を止めていた。
「王子~~~~~~~~ こっちだ~ ちきしょう! はやくしやがれ!」
黙って、待ってることはできなかったラッセルは
出迎えるために、自分の持ち場を離れて
目印になろうと、剣を抜き
空に向かって突き出し、その場で、目立つように振り回している。
「そうだ、そこだ~ いけ~~~~ 早く、いきやがれえ~」
ベルナルドが、疾走していく馬上から、気付いたのだろう。
ミストラルの軍旗を掲げた援軍が
ラッセルを目指して、近づいていくと
空に向けていた剣が降ろされ
今度は、後ろを指し示して、ソフィアの正確な場所を示してくれる。
「とっとと、いっちまえ~!」
馬の足を止め、援軍が通り過ぎていくのを
見守っていた騎士達は
少しだけ、芽生えてきた希望に、胸を熱くし
黙って、少しだけ、自分が信ずる者への
祈りを捧げた後、思い出したように
己が、なすべきことを再開する。
少数だが、心強い援軍が
手綱を引いて、一斉に馬の足を止める。
何者かに見事に操られるかのように
シーザリア軍と、見事に入れ替わり
ソフィアの元に、駆けつけてきた
待ちわびていた、ミストラルの
わずかばかりの援軍が、到着した。
「アリア様、いきましょう」
「はい、ベルナルド様」
「巫女、後はフェステルめに、全て、お任せくだされ」
「頼みます、フェステル」
騎乗したまま、周囲に危険はないか
確認している
決死隊の隊長のすぐ後ろには、
既に、馬から降りているベルナルドとアリアがいた。
魔道師達の護衛を勤めて来た、先頭にいる
決死隊の隊長に向かい
到着を、待ちわびていたガリバルドが、馬で駆けつける。
「水の巫女殿! アリア殿! ここは礼など無くとも構わん
ベルナルドと供に、はっ、はやく! たっ、頼む」
「はい、公爵様」
アリアはいつもどおり、はきはきとしていて、元気だ。
青く、明るい瞳には。いつもどおりの自信が、満ち溢れている。
「ベ、ベルナルドよくぞ……」
「話は後で」
「わかっておる、は、早くいってやれ、巫女殿が、ずっと待っておる」
「はい、後を頼みます」
「ああ、全て任せていけ」
「では」
「さっ、アリアさま、あちらです」
「はい、殿下」
水の巫女、アリアが
ベルナルドを護衛につけて
ソフィアの元へ、足早に向かう。
「さっ、リオルド様、挨拶じゃ」
「わかりました、フェステル殿」
騎乗で、周囲を警戒していた
先頭にいる騎士が、颯爽と馬から降りた。
続いて、騎士の後ろにいた
魔道師隊から、一人が
魔法の力で、宙を浮くように
馬から降りて、静かに音も立てずに、両足で着地する。
馬から降りた、決死隊の隊長を
後ろに従えた魔道師は
ガリバルドの乗っている馬の横で
跪き、礼をとるために、頭を静かに下げた。
アリアに代わって、魔道師達を代表しているのは
年老いてはいるがエリサニア、四賢者の中で
唯一の女性であるフェステルだ。
フェステルは四賢者の中でも
頭一つ抜きん出た、最強の魔力を持つ魔道師で
精霊の巫女の、次に力を持ち
巫女を除けば、エリサニアでは、最強の魔道師だ。
精霊教会で、最高位の魔道師である巫女が全て
女性であるように、空にある大きな星ジュールの影響が
大きい女性の方が、男性より魔力が、自然と強くなる傾向があるようだ。
「よ、よくぞ…… 待ちわびておりましたぞ」
「公爵様、おひさしゅうござりまする」
「決死隊、隊長の任を果たしました、リオルドです」
「おおっ、貴殿が、あのリオルド殿か、名は知っておる」
「ガリバルド公に、おかれましては、ご無事で、なにより」
「護衛ですな、命がけで、よくぞ、ここまで来られた」
リオルドは、交易路を襲う
侵略者との戦いで、敗北し、全滅の
危機に陥った、軍を逃がすために
撤退の時間を稼ぐ、殿(しんがり)を命がけで果たし
大勢の味方を救う、大きな功績を挙げたことを
デュランが評価して、ミストラルの騎士団長として、抜擢した、若き騎士だ。
抜きん出た、剣の強さだけではなく、天才的な
軍の采配振りは、エリサニアの諸国に、早くも、名を知られている。
リオルドが、決死隊の隊長となり
直接、乗り込んできた事から
デュランが、強い想いを込めて
魔道師隊を、送り込んだ事は間違いない。
リオルドと、ミストラル公国、影の君主
宮宰のデュランとは親戚の関係だ。
「フェステル殿、そなたまでとは、よく駆けつけて下された」
「当然で、ござりまする」
「しかし、まさか間に合うとは…… 失礼ながら、幻でも見ているようだ」
「ほっ、ほっ、ほっ、幻ではございませぬぞ」
「うむ、そうか、お元気でなによりだ」
「では、礼はこれにて、巫女を手伝うため、急ぎまする」
「おお、構わんと行ってくれ、気が利かず、すまぬ」
「ほっ、ほっ、ほっ」
礼を終えたフェステルは、立ち上がると
残された、魔道師隊の中で選ばれた
青星(しょうせい)の魔道師達の中から
数人を指名し、引き連れていき
先に、ソフィアの元へいった
アリアの元へ、足早に歩いて、去っていく。
精霊教会で、巫女の下に、使える魔道師は
賢者の尊称を持つ、筆頭の長老も含めて
黄道、すなわち太陽の軌道上にある
星座数を基準にしているので、12人とされているのは
エリサニアの、どの国でも同じだ。
「さあ、傷を見せるんだ」
「あ、痛いててててて、いてえっ、ど、どうか、頼んます、魔道師様」
「ぬん」
「くう~~~~、癒されるうううううううううう」
残されたドルイドに率いられた、多数のメイジのいる
ミストラルの魔道師隊は
近くで集まっていた、傷ついた兵士達を見つけると
早速、傍に近づいていき、癒しを始めていた。
「ガリバルド様、よろしければ、状況を、詳しく、お聞かせ下さい」
「うむ、リオルド殿、頼む」
青星(しょうせい)の魔道師の一人が
ガリバルドから詳しく、状況を確認した
決死隊の隊長のリオルドから、話を聞くと
そばで、傷ついている親衛隊の兵士を癒していた
仲間の魔道師達の元へ戻っていく。
「リオルド様から、詳しい情報を集めるためにも
一箇所で、留まらないでくれと」
「わかった、こちらは、実際に目で見てないからな」
魔道師達は、複数の小集団にわかれて
それぞれ必要な数だけの騎兵を護衛に付けてもらい
怪我をしている者が、傷ついて、集まり
手当てを、受けている兵士達を癒すために
再び馬に乗り、横腹を蹴って
次々と、違う方向に駆けていく。
「では、アリア様達を頼むぞ!」
「はっ!隊長」
「はっ!リオルド様」
「はっ!」
リオルドは、残っている騎士達の中から
特に腕のたつ数名だけを残て、ラッセル達の親衛隊に預ける。
「ラッセル殿の、ご活躍は、先ほどガリバルド様から」
「たいしたことは、ありませんぜ」
「貴方は、我がミストラルの恩人です」
「へ?」
同盟を組んでいる以上、援軍が遅れたことで
取り返しのつかないような被害が大きくなればなるほど
生き残りのための同盟関係を重要に考えている
ミストラル公国にとっては、厳しい結果となってしまう。
「配下の者を残しておきますので、好きなように使って下さい」
「へえ、そりゃもう、ありがてえ、忙しいし」
「……」
「?」
「では、後をよろしく、お頼みします」
「へえ、お任せ下せえ」
「では皆、いくぞ、はあっ!」
「ヒヒヒヒヒヒーン」
リオルドは、ラッセルに、水の巫女アリアと
フェステル達の護衛を引き継いでもらうと
休む暇も無く、引き連れた残りの騎兵と
その場から駆けて行き、ばらばらに散っていった。
戦場の後始末をするために、情報を集め、実際に自分達の目で、被害の把握をするためだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる