最強の魔道師に成り上がって、人気者のアイドルをやってるんですけど、燃え尽きて死んじゃうぐらいやらないとダメな前のめりな性格なんです。

ちちんぷいぷい

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帰還

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精霊の巫女だからといって
ソフィアを、特別扱いし、続けるのは
判断として、矛盾しているのは
最初からガリバルドも、わかっていた。

兵士達には、助けられない者を
見捨てるような、指示を出している。

だが、ガリバルドには
これが、正しいのではないかという
確信はあった。

例えソフィアが、助からなくてもだ。

誓いの言葉の意味、理想のため。

難問に、ぶちあたった時の判断基準として
何が大切か、あるべく理想を
心の中で、問い続けていた。

大切なものを、失ってしまいかねないような
感情に押し留められて、
仕方がないと、誰しもが、納得はするだろう
現実的な、最終決断を、ここまでする事はなかった。

結局、大事な事は何なのか?

だから、迷っても
ここまで決意は変えなかった。

警告として、魔法の雪が
渓谷に降ったのは、たしかだ。

水の巫女が、なんらかの理由があって
出てこれず、近くにいる可能性もある。

突然、現れるのではないか?

ありもしないような事を考え
自分に言い訳を、し続けていもいた。

全権は今、自分の手にあり比較する事の
困難な命を、選ぶ選択を、王から、任され続けている。

ソフィアへの特別な配慮を
早くやめさ、助かる負傷者の手当てを
最優先させるべきという考えが
頭を何度もよぎったが、それでも、誓いは破れなかった。

掲げた理想への誓いは、破れなかった。

誓いとは、果たすべき約束だ。

「ベ、ベルナルド様が! 王太子さまが
ミストラルの魔道師達を連れて、無事、ご帰還!」


最後まで、残って、ガリバルドと話をしていた騎士が
慌てて、馬で、駆け戻ってきて、立ち止まると
先の見えない深い霧の中で
敵に、いきなり出くわし、あわてたように
騎乗したまま、ガリバルドだけでなく、
届く限りの者、全てに向かって
必死に叫ぶような、報告を行った。

「まっ、間にあいました、し、信じられません、こんなにも早く」

渓谷の空に、誇り高く掲げられた
ミストラルの軍旗が、向かい風に、はためいている。

奇跡としか思えない、信じられない
速さで到着した、待ちわびた援軍の到着に
周囲に、偶然いた騎士達も、皆、馬の足を止めていた。

「王子~~~~~~~~ こっちだ~ ちきしょう! はやくしやがれ!」

黙って、待ってることはできなかったラッセルは
出迎えるために、自分の持ち場を離れて
目印になろうと、剣を抜き
空に向かって突き出し、その場で、目立つように振り回している。

「そうだ、そこだ~ いけ~~~~ 早く、いきやがれえ~」

ベルナルドが、疾走していく馬上から、気付いたのだろう。

ミストラルの軍旗を掲げた援軍が
ラッセルを目指して、近づいていくと
空に向けていた剣が降ろされ
今度は、後ろを指し示して、ソフィアの正確な場所を示してくれる。

「とっとと、いっちまえ~!」

馬の足を止め、援軍が通り過ぎていくのを
見守っていた騎士達は
少しだけ、芽生えてきた希望に、胸を熱くし
黙って、少しだけ、自分が信ずる者への
祈りを捧げた後、思い出したように
己が、なすべきことを再開する。


少数だが、心強い援軍が
手綱を引いて、一斉に馬の足を止める。


何者かに見事に操られるかのように
シーザリア軍と、見事に入れ替わり
ソフィアの元に、駆けつけてきた
待ちわびていた、ミストラルの
わずかばかりの援軍が、到着した。

「アリア様、いきましょう」

「はい、ベルナルド様」

「巫女、後はフェステルめに、全て、お任せくだされ」

「頼みます、フェステル」

騎乗したまま、周囲に危険はないか
確認している
決死隊の隊長のすぐ後ろには、
既に、馬から降りているベルナルドとアリアがいた。

魔道師達の護衛を勤めて来た、先頭にいる
決死隊の隊長に向かい
到着を、待ちわびていたガリバルドが、馬で駆けつける。

「水の巫女殿! アリア殿! ここは礼など無くとも構わん
ベルナルドと供に、はっ、はやく! たっ、頼む」

「はい、公爵様」

アリアはいつもどおり、はきはきとしていて、元気だ。

青く、明るい瞳には。いつもどおりの自信が、満ち溢れている。

「ベ、ベルナルドよくぞ……」
「話は後で」

「わかっておる、は、早くいってやれ、巫女殿が、ずっと待っておる」
「はい、後を頼みます」

「ああ、全て任せていけ」
「では」

「さっ、アリアさま、あちらです」
「はい、殿下」

水の巫女、アリアが
ベルナルドを護衛につけて
ソフィアの元へ、足早に向かう。

「さっ、リオルド様、挨拶じゃ」

「わかりました、フェステル殿」

騎乗で、周囲を警戒していた
先頭にいる騎士が、颯爽と馬から降りた。

続いて、騎士の後ろにいた
魔道師隊から、一人が
魔法の力で、宙を浮くように
馬から降りて、静かに音も立てずに、両足で着地する。

馬から降りた、決死隊の隊長を
後ろに従えた魔道師は
ガリバルドの乗っている馬の横で
跪き、礼をとるために、頭を静かに下げた。

アリアに代わって、魔道師達を代表しているのは
年老いてはいるがエリサニア、四賢者の中で
唯一の女性であるフェステルだ。

フェステルは四賢者の中でも
頭一つ抜きん出た、最強の魔力を持つ魔道師で
精霊の巫女の、次に力を持ち
巫女を除けば、エリサニアでは、最強の魔道師だ。

精霊教会で、最高位の魔道師である巫女が全て
女性であるように、空にある大きな星ジュールの影響が
大きい女性の方が、男性より魔力が、自然と強くなる傾向があるようだ。

「よ、よくぞ…… 待ちわびておりましたぞ」
「公爵様、おひさしゅうござりまする」

「決死隊、隊長の任を果たしました、リオルドです」
「おおっ、貴殿が、あのリオルド殿か、名は知っておる」

「ガリバルド公に、おかれましては、ご無事で、なにより」
「護衛ですな、命がけで、よくぞ、ここまで来られた」

リオルドは、交易路を襲う
侵略者との戦いで、敗北し、全滅の
危機に陥った、軍を逃がすために
撤退の時間を稼ぐ、殿(しんがり)を命がけで果たし
大勢の味方を救う、大きな功績を挙げたことを
デュランが評価して、ミストラルの騎士団長として、抜擢した、若き騎士だ。

抜きん出た、剣の強さだけではなく、天才的な
軍の采配振りは、エリサニアの諸国に、早くも、名を知られている。

リオルドが、決死隊の隊長となり
直接、乗り込んできた事から
デュランが、強い想いを込めて
魔道師隊を、送り込んだ事は間違いない。

リオルドと、ミストラル公国、影の君主
宮宰のデュランとは親戚の関係だ。

「フェステル殿、そなたまでとは、よく駆けつけて下された」
「当然で、ござりまする」

「しかし、まさか間に合うとは…… 失礼ながら、幻でも見ているようだ」
「ほっ、ほっ、ほっ、幻ではございませぬぞ」

「うむ、そうか、お元気でなによりだ」
「では、礼はこれにて、巫女を手伝うため、急ぎまする」

「おお、構わんと行ってくれ、気が利かず、すまぬ」
「ほっ、ほっ、ほっ」

礼を終えたフェステルは、立ち上がると
残された、魔道師隊の中で選ばれた
青星(しょうせい)の魔道師達の中から
数人を指名し、引き連れていき
先に、ソフィアの元へいった
アリアの元へ、足早に歩いて、去っていく。

精霊教会で、巫女の下に、使える魔道師は
賢者の尊称を持つ、筆頭の長老も含めて
黄道、すなわち太陽の軌道上にある
星座数を基準にしているので、12人とされているのは
エリサニアの、どの国でも同じだ。

「さあ、傷を見せるんだ」
「あ、痛いててててて、いてえっ、ど、どうか、頼んます、魔道師様」

「ぬん」
「くう~~~~、癒されるうううううううううう」

残されたドルイドに率いられた、多数のメイジのいる
ミストラルの魔道師隊は
近くで集まっていた、傷ついた兵士達を見つけると
早速、傍に近づいていき、癒しを始めていた。

「ガリバルド様、よろしければ、状況を、詳しく、お聞かせ下さい」
「うむ、リオルド殿、頼む」

青星(しょうせい)の魔道師の一人が
ガリバルドから詳しく、状況を確認した
決死隊の隊長のリオルドから、話を聞くと
そばで、傷ついている親衛隊の兵士を癒していた
仲間の魔道師達の元へ戻っていく。

「リオルド様から、詳しい情報を集めるためにも
一箇所で、留まらないでくれと」
「わかった、こちらは、実際に目で見てないからな」

魔道師達は、複数の小集団にわかれて
それぞれ必要な数だけの騎兵を護衛に付けてもらい
怪我をしている者が、傷ついて、集まり
手当てを、受けている兵士達を癒すために
再び馬に乗り、横腹を蹴って
次々と、違う方向に駆けていく。

「では、アリア様達を頼むぞ!」

「はっ!隊長」
「はっ!リオルド様」
「はっ!」

リオルドは、残っている騎士達の中から
特に腕のたつ数名だけを残て、ラッセル達の親衛隊に預ける。

「ラッセル殿の、ご活躍は、先ほどガリバルド様から」
「たいしたことは、ありませんぜ」

「貴方は、我がミストラルの恩人です」
「へ?」

同盟を組んでいる以上、援軍が遅れたことで
取り返しのつかないような被害が大きくなればなるほど
生き残りのための同盟関係を重要に考えている
ミストラル公国にとっては、厳しい結果となってしまう。

「配下の者を残しておきますので、好きなように使って下さい」
「へえ、そりゃもう、ありがてえ、忙しいし」

「……」
「?」

「では、後をよろしく、お頼みします」
「へえ、お任せ下せえ」

「では皆、いくぞ、はあっ!」

「ヒヒヒヒヒヒーン」

リオルドは、ラッセルに、水の巫女アリアと
フェステル達の護衛を引き継いでもらうと
休む暇も無く、引き連れた残りの騎兵と
その場から駆けて行き、ばらばらに散っていった。

戦場の後始末をするために、情報を集め、実際に自分達の目で、被害の把握をするためだ。
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