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矛盾(アンチノミー)
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濃く、青いフード付マントを纏った
魔道師が、眠っているように
目を閉じたままの、ソフィアの傍で
付き添うように、座り込んでいる。
決死隊に護衛され、先ほど援軍として
到着したばかりのミストラルの
水の巫女アリア・マーテルだ。
アリアは大切そうに、片方の手で
ソフィアの手を取り、残っている手は、首筋にそえて
身体の温もりを、感じさせながら
瞳は、微妙な顔色の変化も、見逃さないように
相手の顔を、じっと見つめている。
取っている手には、すでに力がなく
癒そうとしている相手の、かすかな吐息も
今にも、消えてしまいそうだ。
精霊の巫女として、同じような境遇からか
背負った運命の重さに、負けそうになっていた
自分を会うたびに、励ましてくれる姿は、そこにはもうない。
ソフィアの顔色は、アリアの力で
良くはなってはいるが、いつものように
癒しの力が、死の絶望を払いのけていき
相手が目を開けるような気配が、まるで感じられない。
奇跡の癒しと呼ばれる、力さえ届かない
圧倒的で、容赦のない、残酷な運命による死の呪いが
自信に満ち溢れていた、青い瞳の前に、立ちはだかる。
水の巫女による癒しの力が、いかに強くとも
神が定めた運命の前には、無力だ。
このまま、癒しの魔法を、続けていても
閉じている目は、二度と、開く事はないとわかっている。
全力を尽くしているはずの、癒しも、届いていなかった。
「約束したんです……」
「私もです、アリアさま」
「ベルナルドさまも、約束を?」
「忘れたことはありません」
アリアは、自分の癒しの力を持ってしても
救えない運命による死を、迎えるしかなかった
人々の事を、ソフィアに重ねて思い出し
うつむいてしまうそうになる顔を
否定するように、あげたまま、癒しを続けている。
「アリア様…… ワシは…… ここで…… 死ぬのじゃな……」
「まだまだ、元気に、生きられますよ、絶対」
「ありがと……」
「……」
救いを求める小さな幼き手が、必死にアリアに
すがり、最後の力を振り絞り、力なく握り返した後
うつむいた瞳からは無力感から来る
悔しさと、哀しみの涙が、何度と無く零れ落ちてきた。
「おねえ……ちゃ…… ん こわ…… いよ……」
「大丈夫、必ず、たすかるから、ねっ」
「助け……」
「……」
強力な癒しの力によって、ソフィアの顔色が
今にも目を開けそうなほど、良くなり始めると
ラスマールとラーラントの魔道師達は
力を全て使い果たしてしまい
奇跡が目の前で起こる事に、すがるしかなかったからか
黙って、目の前で起きている事を
見つめていただけだったが
いつのまにか、皆で、示し合わせたかのように
精霊に、祈りを捧げはじめた。
「精霊よ、どうか、ソフィア様を、どうか、お救い下さい」
「お救い下さい」
「救って下さい」
ラッセルも、心配のあまり
持ち場を離れて、駆けつけて来ていた。
「へっ、大丈夫だね」
想いの困った、祈りを感じた
アリアは癒しの力に、さらに強い想いを込める。
「神様、もう少しだけ刻(とき)を……」
それは、アリアの癒しの力が届く、限界を意味していた。
「ちっと、ありゃ様子が変だぜ、ラスマール先生よ」
「ふむ、たしかに、ラッセル殿の、いうとおりですな、王子」
「アリア様、駄目なのか……」
「アリア殿の力を持ってしても、届かぬというのか……」
「公、くやしいが、これ以上は何も、できませぬ」
「あとは全て、我らの責任となりましょう」
「ここまで、よく命をつないだ、それだけでも……」
ガリバルドや、大貴族達も、持ち場を離れて
駆けつけ、様子を見守っていた。
「身体は、完全に癒されています、ですが……」
神が既に定めた運命を前にして、
救いたいと想う人々の、願いさえも聞き届けられる事はなかった。
水の巫女による奇跡の癒しで、身体は回復しても
魂はそこにはなく、すでに抜け殻なのだ。
全てを使い果たし、何も捧げるものもなくなり
最後の祈りを捧げ、奇跡が起こる事を信じ抜こうとする
こころ、やさしき者達との別れを惜しんで
最後に別れを告げるためか、息を吹き返すかのように
顔色を良くしてみせた命は、かすかに小さくしていた息を止め
やすらかな顔のまま、神に定められた運命による死を迎えてしまう。
最後の望みが叶う事を信じて、ソフィアの周りに
集まって、見守っていた者達は
これから、冷たくなっていくしかない、かけがえのない人を
失った大きな悲しみに溢れすぎ
すぐには信じることができず、受け入れることが出来ないのか
黙ったままで、静まり返っていた。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
顔色は良く、まるで生きているように綺麗で
今にも目を開けても、不思議はないが
目の前の、命はたしかに、消えてしまった。
どんなに残酷であっても
定められた運命という現実を、受け入れるしかないと
素直で従順になった者の涙が、頬を伝って、流れ落ちていくと
周囲からも、嗚咽を漏らし、涙を流して
すすり泣く悲しみが、広がって、溢れていく。
人は神の決定を、受け入れるしかない
無力な存在でしかないと、認めてしまった罪。
エミール、それこそが罪。
「うう、ソフィアさま」
「私達の力がたりないばかりに、こんな…… うう……」
「ラーマーヤ様、申し訳ありません うう」
「私が諌めておれば、こんな事には」
「ソフィアさま、なんと、おいたわしい」
「まさか、こんなにも若くて、お綺麗なまま最後を」
「あまりにも、ひど過ぎる、残酷だ」
「この悲しみを、どうすればいいのか」
「胸が張り裂けそうだ」
「アリア様の力をもってしても、ここまでとは」
「こうなるとは、わかってはいたのだが」
「手は尽くした、それでも納得はできんぞ、くそ」
だが、ベルナルドとラスマール
そして、ラッセルは、気付いていた。
「ラスマール先生、気付いてるか、水の巫女さんは、まだ……」
「ふむ、ラッセル殿、まだでしょうな」
「王子、これは、どうやら間違いないぜ」
「ああ、ラッセル、まるで諦めていないな、私も諦めんぞ」
アリアの青い瞳は、目の前で起きた死に、屈してはいなかった。
目の前で、癒しを続けていたアリアの顔は
それでも、うつむいてはいない。
傍にいたフェステルと、青星(しょうせい)の魔道師達も
まだ、ソフィアの死を、受け入れてはいない。
世の理(ことわり)を変える、ファンタジーは、まだ、終わってはいない。
ベルナルドも、ソフィアとアリアの二人の関係が
血は、たしかに繋がってはいないはずなのに
遠くに、離れ離れになっている姉妹のように
親しい関係なのは、よく知っている。
運命の死を迎えた、姉のように思っている
大切な人の命が失われても、涙も、まるで見せず
毅然としているのは、自らの憶測が正しいと考えても、不思議はない。
「ラスマール、やはりミストラルにも……」
大切な人の死を前に悲しんでいる暇さえなく
癒しを止めようとはしていない
アリアの毅然としている姿に、ラスマールとラッセルも、さらに確信を深めていく。
「ふむ、あるのやもしれませんな」
「へっ、俺は最期まで信じるぜ王子、ここまでして、助からねえなんて訳がないね」
「本当に、そんな事ができるのか、ラスマール」
「ふむ、運命を定めている神々の存在は、実は矛盾しておるのですな」
「決定的ではないという事か?」
「ふむ、神々同士の関係では、そうなりますな」
「神が定めた運命を変えるのも、神の力か、なるほど」
「決戦魔法と同じで、神々の力のぶつかりあいと、なりましょう」
「そこで、神の力を使う、古代呪文か」
「そういう事になりますな、ここは、アリア様のお力に、期待するしか」
「そうか、わかったぞ、ラスマール」
「へっ、命を神から盗むなんざ、聞いたことがねえ」
アリアはソフィアが、息を引き取った後も
ずっと癒しの手を止めようとはしないで
神が定めた運命の前に、ひれ伏してはいない。
通常の魔道師の力では、魂が去った身体を
癒し続ける事は、できない。
だが、アリアの力を持ってすれば、魂が帰るべき
残された大切な身体を、癒し続けて、護り抜くことだけはできる。
「王子、結局、運命は決まっているのか
神様が気まぐれに、変えたのが運命なのか、わかりやせんぜ」
「たしかに、そこは、ラスマールの言うとおり、矛盾しているな」
静かに、見守る事しかできないベルナルドも
何もできない、もどかしさはあるが
剣に刻まれた、運命の神への誓いを、忘れてはいない。
腰にある剣に、また手をやり、あの時の想いを込め、黙って握り締めつづけている。
「ふむ、矛盾しているのは、運命の神の存在ですな」
ベルナルドが、握り締めている手に目をやった
ラスマールは、ベルナルドの剣に刻まれている、運命の神の力を知っている。
魔道師が、眠っているように
目を閉じたままの、ソフィアの傍で
付き添うように、座り込んでいる。
決死隊に護衛され、先ほど援軍として
到着したばかりのミストラルの
水の巫女アリア・マーテルだ。
アリアは大切そうに、片方の手で
ソフィアの手を取り、残っている手は、首筋にそえて
身体の温もりを、感じさせながら
瞳は、微妙な顔色の変化も、見逃さないように
相手の顔を、じっと見つめている。
取っている手には、すでに力がなく
癒そうとしている相手の、かすかな吐息も
今にも、消えてしまいそうだ。
精霊の巫女として、同じような境遇からか
背負った運命の重さに、負けそうになっていた
自分を会うたびに、励ましてくれる姿は、そこにはもうない。
ソフィアの顔色は、アリアの力で
良くはなってはいるが、いつものように
癒しの力が、死の絶望を払いのけていき
相手が目を開けるような気配が、まるで感じられない。
奇跡の癒しと呼ばれる、力さえ届かない
圧倒的で、容赦のない、残酷な運命による死の呪いが
自信に満ち溢れていた、青い瞳の前に、立ちはだかる。
水の巫女による癒しの力が、いかに強くとも
神が定めた運命の前には、無力だ。
このまま、癒しの魔法を、続けていても
閉じている目は、二度と、開く事はないとわかっている。
全力を尽くしているはずの、癒しも、届いていなかった。
「約束したんです……」
「私もです、アリアさま」
「ベルナルドさまも、約束を?」
「忘れたことはありません」
アリアは、自分の癒しの力を持ってしても
救えない運命による死を、迎えるしかなかった
人々の事を、ソフィアに重ねて思い出し
うつむいてしまうそうになる顔を
否定するように、あげたまま、癒しを続けている。
「アリア様…… ワシは…… ここで…… 死ぬのじゃな……」
「まだまだ、元気に、生きられますよ、絶対」
「ありがと……」
「……」
救いを求める小さな幼き手が、必死にアリアに
すがり、最後の力を振り絞り、力なく握り返した後
うつむいた瞳からは無力感から来る
悔しさと、哀しみの涙が、何度と無く零れ落ちてきた。
「おねえ……ちゃ…… ん こわ…… いよ……」
「大丈夫、必ず、たすかるから、ねっ」
「助け……」
「……」
強力な癒しの力によって、ソフィアの顔色が
今にも目を開けそうなほど、良くなり始めると
ラスマールとラーラントの魔道師達は
力を全て使い果たしてしまい
奇跡が目の前で起こる事に、すがるしかなかったからか
黙って、目の前で起きている事を
見つめていただけだったが
いつのまにか、皆で、示し合わせたかのように
精霊に、祈りを捧げはじめた。
「精霊よ、どうか、ソフィア様を、どうか、お救い下さい」
「お救い下さい」
「救って下さい」
ラッセルも、心配のあまり
持ち場を離れて、駆けつけて来ていた。
「へっ、大丈夫だね」
想いの困った、祈りを感じた
アリアは癒しの力に、さらに強い想いを込める。
「神様、もう少しだけ刻(とき)を……」
それは、アリアの癒しの力が届く、限界を意味していた。
「ちっと、ありゃ様子が変だぜ、ラスマール先生よ」
「ふむ、たしかに、ラッセル殿の、いうとおりですな、王子」
「アリア様、駄目なのか……」
「アリア殿の力を持ってしても、届かぬというのか……」
「公、くやしいが、これ以上は何も、できませぬ」
「あとは全て、我らの責任となりましょう」
「ここまで、よく命をつないだ、それだけでも……」
ガリバルドや、大貴族達も、持ち場を離れて
駆けつけ、様子を見守っていた。
「身体は、完全に癒されています、ですが……」
神が既に定めた運命を前にして、
救いたいと想う人々の、願いさえも聞き届けられる事はなかった。
水の巫女による奇跡の癒しで、身体は回復しても
魂はそこにはなく、すでに抜け殻なのだ。
全てを使い果たし、何も捧げるものもなくなり
最後の祈りを捧げ、奇跡が起こる事を信じ抜こうとする
こころ、やさしき者達との別れを惜しんで
最後に別れを告げるためか、息を吹き返すかのように
顔色を良くしてみせた命は、かすかに小さくしていた息を止め
やすらかな顔のまま、神に定められた運命による死を迎えてしまう。
最後の望みが叶う事を信じて、ソフィアの周りに
集まって、見守っていた者達は
これから、冷たくなっていくしかない、かけがえのない人を
失った大きな悲しみに溢れすぎ
すぐには信じることができず、受け入れることが出来ないのか
黙ったままで、静まり返っていた。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
顔色は良く、まるで生きているように綺麗で
今にも目を開けても、不思議はないが
目の前の、命はたしかに、消えてしまった。
どんなに残酷であっても
定められた運命という現実を、受け入れるしかないと
素直で従順になった者の涙が、頬を伝って、流れ落ちていくと
周囲からも、嗚咽を漏らし、涙を流して
すすり泣く悲しみが、広がって、溢れていく。
人は神の決定を、受け入れるしかない
無力な存在でしかないと、認めてしまった罪。
エミール、それこそが罪。
「うう、ソフィアさま」
「私達の力がたりないばかりに、こんな…… うう……」
「ラーマーヤ様、申し訳ありません うう」
「私が諌めておれば、こんな事には」
「ソフィアさま、なんと、おいたわしい」
「まさか、こんなにも若くて、お綺麗なまま最後を」
「あまりにも、ひど過ぎる、残酷だ」
「この悲しみを、どうすればいいのか」
「胸が張り裂けそうだ」
「アリア様の力をもってしても、ここまでとは」
「こうなるとは、わかってはいたのだが」
「手は尽くした、それでも納得はできんぞ、くそ」
だが、ベルナルドとラスマール
そして、ラッセルは、気付いていた。
「ラスマール先生、気付いてるか、水の巫女さんは、まだ……」
「ふむ、ラッセル殿、まだでしょうな」
「王子、これは、どうやら間違いないぜ」
「ああ、ラッセル、まるで諦めていないな、私も諦めんぞ」
アリアの青い瞳は、目の前で起きた死に、屈してはいなかった。
目の前で、癒しを続けていたアリアの顔は
それでも、うつむいてはいない。
傍にいたフェステルと、青星(しょうせい)の魔道師達も
まだ、ソフィアの死を、受け入れてはいない。
世の理(ことわり)を変える、ファンタジーは、まだ、終わってはいない。
ベルナルドも、ソフィアとアリアの二人の関係が
血は、たしかに繋がってはいないはずなのに
遠くに、離れ離れになっている姉妹のように
親しい関係なのは、よく知っている。
運命の死を迎えた、姉のように思っている
大切な人の命が失われても、涙も、まるで見せず
毅然としているのは、自らの憶測が正しいと考えても、不思議はない。
「ラスマール、やはりミストラルにも……」
大切な人の死を前に悲しんでいる暇さえなく
癒しを止めようとはしていない
アリアの毅然としている姿に、ラスマールとラッセルも、さらに確信を深めていく。
「ふむ、あるのやもしれませんな」
「へっ、俺は最期まで信じるぜ王子、ここまでして、助からねえなんて訳がないね」
「本当に、そんな事ができるのか、ラスマール」
「ふむ、運命を定めている神々の存在は、実は矛盾しておるのですな」
「決定的ではないという事か?」
「ふむ、神々同士の関係では、そうなりますな」
「神が定めた運命を変えるのも、神の力か、なるほど」
「決戦魔法と同じで、神々の力のぶつかりあいと、なりましょう」
「そこで、神の力を使う、古代呪文か」
「そういう事になりますな、ここは、アリア様のお力に、期待するしか」
「そうか、わかったぞ、ラスマール」
「へっ、命を神から盗むなんざ、聞いたことがねえ」
アリアはソフィアが、息を引き取った後も
ずっと癒しの手を止めようとはしないで
神が定めた運命の前に、ひれ伏してはいない。
通常の魔道師の力では、魂が去った身体を
癒し続ける事は、できない。
だが、アリアの力を持ってすれば、魂が帰るべき
残された大切な身体を、癒し続けて、護り抜くことだけはできる。
「王子、結局、運命は決まっているのか
神様が気まぐれに、変えたのが運命なのか、わかりやせんぜ」
「たしかに、そこは、ラスマールの言うとおり、矛盾しているな」
静かに、見守る事しかできないベルナルドも
何もできない、もどかしさはあるが
剣に刻まれた、運命の神への誓いを、忘れてはいない。
腰にある剣に、また手をやり、あの時の想いを込め、黙って握り締めつづけている。
「ふむ、矛盾しているのは、運命の神の存在ですな」
ベルナルドが、握り締めている手に目をやった
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