4 / 10
和解
しおりを挟む
ウイーーン、ガチャ。
ウイーーン、ガチャ。
ライブラリーで、陰毛拾イ。
ん? 本棚の前に立っているのは、この前ノ……
「あらあなた、この間はどうも」
毛を横取りしたロボットじゃないカ!
「あなたも本を読みにきたの?」
フン、返事してやーらナイ!
ところがソイツはお構いなしに、ボクに話しかけてくル。
「ほら、見てよこれ。素敵だと思わない?」
のっぺらぼうの頭部に、赤い光の曲線が映ル。笑った口ノ形……
「こんなところでサボってるのカ」
思わずボクはしゃべってしまウ。
「ちゃんと博士に許可を取ってるわよ。それより、ほら」
ソイツは大きな本を開いてこちらに差し出しタ。
「なんダ、その青いのハ」
一面に青が広がるページだっタ。
「海っていうのよ。水がたくさんあって、生き物もたくさんいて、波があって、船が浮かんでて……」
ナミ、とか、フネ、とか、よくわからないけれド。
「ホウ、なかなか興味深イ」
とても興味深イ。こんな世界があるなんテ。
「この白いツブツブは何ダ?」
「それはウミネコよ。鳥の仲間で、鳥っていうのはね──」
彼女は海のことをたくさん教えてくれタ。
「ワタシね、いつか本物の海を見るのが夢なの」
「ホウ、いい夢ダ。叶うといいナ」
ボクは心からそう言っタ。
ウイーーン、ガチャ。
ライブラリーで、陰毛拾イ。
ん? 本棚の前に立っているのは、この前ノ……
「あらあなた、この間はどうも」
毛を横取りしたロボットじゃないカ!
「あなたも本を読みにきたの?」
フン、返事してやーらナイ!
ところがソイツはお構いなしに、ボクに話しかけてくル。
「ほら、見てよこれ。素敵だと思わない?」
のっぺらぼうの頭部に、赤い光の曲線が映ル。笑った口ノ形……
「こんなところでサボってるのカ」
思わずボクはしゃべってしまウ。
「ちゃんと博士に許可を取ってるわよ。それより、ほら」
ソイツは大きな本を開いてこちらに差し出しタ。
「なんダ、その青いのハ」
一面に青が広がるページだっタ。
「海っていうのよ。水がたくさんあって、生き物もたくさんいて、波があって、船が浮かんでて……」
ナミ、とか、フネ、とか、よくわからないけれド。
「ホウ、なかなか興味深イ」
とても興味深イ。こんな世界があるなんテ。
「この白いツブツブは何ダ?」
「それはウミネコよ。鳥の仲間で、鳥っていうのはね──」
彼女は海のことをたくさん教えてくれタ。
「ワタシね、いつか本物の海を見るのが夢なの」
「ホウ、いい夢ダ。叶うといいナ」
ボクは心からそう言っタ。
0
あなたにおすすめの小説
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる