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7 急にいっぱい喋るな
しおりを挟む「今日も会長と一緒に登校してきたのか?」
「う、うん。いつも家の前で待ってくれてて…」
へーえ、献身的だな、と言う柊くんの言葉に思わずうつむく。
本当にそうだよ、なんで僕のために大事な朝の時間を無駄にしてしまっているんだろう?悠は生徒会長だから、きっと朝もやらなきゃいけないことあるのに……。
僕がもうちょっと朝早く起きればいいのか?
いやでも、朝苦手なんだよなぁ。
「朔太にはなんか甘いよな、会長って。幼なじみだっけ?会長がそこまで仲良いのって見たことがないけど」
僕だって見たことない、なんて言ったら自慢になりそう!!
でも、本当にそうなんだ。愛想が悪いって訳じゃなく、全てに対して受動的な感じがする。話しかけられたら話すけど、悠から誰かに話しかけてるのは見たことがない。
事務連絡は別だけどね。
「さく!」
「わっ!?」
突然背後から聞こえる柔らかな声。
悠だ。
「ちょ、ちょっと、驚かせないで欲しい…」
「ふふ、ごめんね。面白くって」
口元に手を当てて上品に笑ってみせる悠。
後光がさしてみえる……!
突然現れた悠に僕は驚いてしまったが、柊くんは僕の前にいるから、背後から近づく悠に気付いていたみたいだ。
僕が驚いた様子を見てけらけら笑ってる。
「ちょっと、柊くんも。笑うなんて酷いよ」
「はは、ごめんって。気付かない朔太おもろいし、気配消すの上手な会長もおもしれー」
「もう……」
ちょっとふくれたみせたら、ごめんって、と笑われながらほっぺを潰された。ぷしゅー。
でもふと嬉しくなった。こんな友達っぽく気軽に触れ合える友達がいるんだって思うと、なんか……!
「……ふーん」
「?悠?」
柊くんと二人笑っていると、ふと不機嫌そうな悠の声。
咄嗟に見上げると、悠は聞こえてきた声のとおり、少し不機嫌そうな表情を浮かべていた。
そんな彼を見てちょっと慌てる。
僕、なにかしちゃったかな?
もしかして、ほっとかれたって思ったのかも。
悠を放置するなんて、僕なんかがしていいわけじゃないのに、なんてことしてしまったんだろう。
「ゆ、悠、ごめんね…?許して…」
「許さなーい!罰としてお昼休みは生徒会室に来てもらいます!」
「えぇっ、そんな」
お昼休みの生徒会室は、生徒会員が多く集まる場所。お昼を食べながら色々事務連絡をするのだそうで、悠もたびたびお弁当を持って向かっている。
そんな場所になんで行かなきゃいけないんだ!?そもそも生徒会員じゃないし入っちゃいけないんじゃ!?
「なんだよ、その罰!しかも、生徒会員じゃなくても入っていいのか?」
柊くんが悠に聞くけど、悠は一切柊くんの方を見ず、僕だけ見つめた。
「さくなら入れてあげるよ。会長権限で」
ひぃー!恐れ多すぎなんだけど!
「もしかして早乙女くんと一緒にお昼食べる約束でもしてた?ごめんね、僕がさくもらっていくよ。そもそもさくは早乙女くんのものじゃないんだけどね。さくは、さっき僕を放置した罰として、お昼はずっと僕とお喋りしてもらおうかな」
「急にいっぱい喋るな…食べる約束は特にしてねぇよ……」
柊くんはちょっと困ったように笑った。
でも特に悠は気にしていないようだ。
それよりも、お昼ずっと喋るって何!?
生徒会員が沢山いる部屋で関係ないやつが雑談なんて出来ないよー!
「あぁ、他の人の目が気になる?大丈夫だよ、心配しないで。今日の集まりを無くすことも出来る。会長権限でね」
ひぃーっ!!
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