追放、転生、完璧王子は反逆者!!!

ぱふもふ

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第二章公爵として

神々の叱責

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「まさかっ!?」

エラクレスはとても動揺した。おそらく転生してからは一番動揺しただろう。

「やあ、久しぶりね工藤龍輝君。いや、今はヴァロワ公と呼んだ方が良いかしら?」

動揺したエラクレスに女性の声が話しかけてきた。

(その声は……)

「アリナ様!」

声の主は出産の女神アリナだった。

アリナはフン!と豊かな胸を張るとニッコリと笑った。だがその笑顔に薄ら寒いものを感じた。

「姉貴だけじゃないぞ、私も居るぞ!」

今度は上から声がした。

エラクレスは慌てて上を見た。

そこに居たのは黄金の鎧兜を身にまとい、輝かしい槍『大グングニル』を持った、金髪碧眼の絶世の美女、戦神アメーナだった。

(そ、そんな…常に探知魔法を使っているのに……察知できなかった…。)

「お、お好きなように呼んでください。」

なんとか現状の把握ができたエラクレスは冷や汗をだらだらかきながらまずなんとか答えた。

「あれ?おい、姉貴!あいつはやっぱりまだ来ていないのか?」

周囲を見回していたアメーナはアリナに問いかけた。

(まだ来てない神様もいるのか?)

「ふふふっ。そうなのよ。やっぱり怠惰の神だからね…。」

アリナはとくになんでもないように答えた。

「ちっ!あいつが見たい、でも行くの面倒臭い、連れて来て~って言ったから連れて来たのに、何やってんだ!?」

アメーナはお怒りのようだった。



「う~い、間に合ったか~い?」

突然間延びした声がした。

「おっせいわ!お前のために集まったのに遅れる奴があるか?!」

アメーナは突然聞こえた声に答えた。

(ど、どこだ!?)

「ここじゃよ~。」

ハッとしてエラクレスは下を見た。

「う、うつぶせ…。」

エラクレスの足元に桃色の髪をした幼女がうつ伏せになっていた。

「うわっ!?いつの間に?!」

エラクレスは仰天して3歩退いた。

(この人も探知魔法で察知できなかった…。ってことは…神か…。)

エラクレスがうつ伏せの女神をまじまじも見つめているとアリナが近寄ってきた。

「貴方はこの娘と会うのは初めてだったわね?この娘は『怠惰の女神ベルフィーナ』よ。あっ!一応博打の女神で別名幸運の女神でもあるのよ。」

「うい~す~。」

ベルフィーナはうつ伏せのまま手を上げただけで答えた。

「こいつ……怠けてばかり居るから幸運の女神なんて呼ばれるのは殆どないがな…。」

「……………。」

(な、なるほど…。自己紹介すらも他人にさせているあたりにいかにも怠惰の女神感を感じる。)

「まあ他にも獣神、龍神、鉱神とかいろいろいるけどこれで全員集まったわね……それでは本題を始めましょう!?」

(本題?!ベルフィーナ様が会いたかっただけじゃないのか?)

ベルフィーナの登場で止まっていた冷や汗が再び洪水のように流れ出した。

「そうだな!本題に入ろう!」

アメーナも待ちかねていたようだ。そして怒鳴るような声で…

「おい!工藤!いや!今はエラクレスだったか?!」

「は、ハイイイイ!」

アメーナの剣幕に押されてエラクレスは縮み上がった。

(何年か前に鍛錬をしてもらった時とは全く違う…。もしかして…俺、やっちまったか?)

エラクレスはかなり焦った。

(マズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいマズい……今、力を没収されれば獣人達からの支持は得られない……。いや、それだけなら俺が獣王から退位して獣王位争奪戦をやらせれば良い……退位だけで済めば……いや仮に生き残れたとしよう…それでも……。)

エラクレスはより近くの脅威に絶望した。

(与えられた力が使えない以上…フェンネとラントの派閥とやり合うには獣人達の力が不可欠…。これが無いなら奴らからの理不尽な要求を拒否して報復を退けることもできない…。領地の開発は進んでいるのが唯一の救いだ…。いや待てよ…今、神様達は怒っておられる……従ってそれさえも神様達が壊す可能性は……高い極めて高い。)







(オワッタ)






エラクレスは率直に思った。

【ちなみにエラクレスはアメーナの特訓やその後も欠かさず鍛錬を重ねていたため素の状態(身体強化を使わない状態)でも獣化しているエカとメリアより強い。よって、もしかしたら狼人達の支持は得られるかもしれない。だが、グスタフとリチャードよりは弱いためあまり期待できない。】


「最近、いろいろやっているそうじゃないか?」

一転してアメーナは静かな声で言った。

(こ、これが…嵐の前の静けさというやつか…。)

エラクレスは次に来るであろう怒号に備えた。



「何やってんだよ!!お前!!」



アメーナの山でも吹き飛びそうな怒号が響いた。ちなみにベルフィーナは熟睡している。

(オワッタ……ヤリスギタカ……。)

エラクレスの顔は青を通り越して、白っぽくなっている。目も焦点が合っていない。







「地味過ぎんだよ!もっとやれることあるだろうがよ!何のために力を与えたんだと想ってやがる!何のために鍛錬してやったと思ってやがる!もっと!もっと!もっと!派手にやれよ!」




(ハイ、モウシワケ………ン?アレ?)

エラクレスはふと言葉の違和感を感じた。

(エ?モットヤレテイッテル?)

エラクレスはだんだん顔色を良くした。

更にアメーナの叱責を続く。


「お前のやったことは全部!!!。」






「地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味地味ィーーーッ!!!。」

「ZZZZZZZ……」

この間もベルフィーナは熟睡中。



(え?地味?もっといろいろやって良いって……こと?)

エラクレスの胸にかすかな希望が湧いてきた。


「アメーナ、今度は私が喋るわ。」

「はあはあ…少しスッキリしたわ。よろしく。」


今度はアリナが喋るようだった。

「エラクレス、聞いての通りよ。あんたは力を与えられたにも関わらず、大したことをせず、日々をのうのうと生きていることに私達はイライラしているのよ!」

「はいっ!すみません!」

「やたら元気な返事だな!おい。」

(一瞬で巨大な城壁や城、聖堂をつくったり、植物の品種改良、大海龍の討伐、魔物を従えたり虐殺したり……やりすぎだと言われるくらいやっていると思うけど…これ地味?神基準おかしいだろ。)

エラクレスは神の恐ろしさを今更ながら思い知った。

「このままだと力を授けた意味がないから、ただの人間基準の大魔法使いまで弱体化することになるわ…。」

(ちょ、それは……困る……。時すでに遅しというやつ…か…。せめて…せめて…挽回する機会を…ください…。)

エラクレスにとってそれは死刑宣告のように聞こえた。良くなりかけた顔色が再び悪くなっていく。

だが、次の言葉でエラクレスは復活する。


「でも貴方がやりすぎて咎められるのを恐れていることは知っているわ。なんと言ったって神だからね。だから、しばらくチャンスを授けるわ。」

(ち、チャンス!?)

「これぞ神の慈悲!挽回してみなさい!!」

「ZZZZ…。」

やっぱりベルフィーナは熟睡中。

(ああ!マジカ!まだ、チャンスは残されているのか?!やっぱり神だな!ありがたやありがたや。)

「ありがとうございます!必ずや挽回してご覧に入れます!」

「ふふふっ。楽しみにしていますわね。」

「言ったくせにつまらんことになったら許さんからな!」

「はい!ありが…「ほらとっとと行け」す。」

シュン!

<ネリーキア聖堂>

「ああ…。」

(戻って来たんだな……あの空間から……。ち、力は?!)

エラクレスはすぐに力の確認をした。

(魔力が集まって来る……いいぞ…この感じ…今!)

合成魔法『雷光』

エラクレスは同時に空間把握魔法を使ってとある屋敷に狙いを定めた。

(悪く思うなよ…派手にやらなければ俺は終わりだ。)

エラクレスはそう思いながら雷光を発動した。

ピカッ!

丁度夕日が人々の営みを照らす時間に真昼の様な光が全てを包み込んだ。次の瞬間……



ドッゴーーーン!!!



凄まじい轟音が王都に響き渡った。更にその影響なのか、地面も揺れ動く。


「キャー!」

「な、なんだ?」

「い、今、光った?」

「揺れるぞ!」

「め、女神像が!」

「た、倒れる!倒れるぞ!」

「誰ぞ!支えんか!」

「シャンデリアが落ちる!」

「エラクレス様!」

「い、家が…」

「神よ!我らを救い給え!」

聖堂に居た人々は慌てふためいていた。

『ソール・ソルディフィー』

エラクレスは揺れる地盤を土魔法で抑えると、聖堂のシャンデリアを風魔法で持ち上げて、錬金術で修理した。

更に怪我人を治療し、倒れる女神像を支えた。

(この間、一秒もない。久しぶりに本気出したな。怒られたのに聖堂壊したり礼拝に来た人達を死なせたりしたら今度こそ終わりそうだから助けた。)

「ん?揺れが…」

「止まった?」

「痛く……ない!?」

助かった人々は呆然としていた。

バタン!

「おお…神よ…。」

突然祈りの場の隣室から飛び出て来た立派な服装した司祭らしき人物がそう言って女神像の前に跪いた。

呆然としていた他の人達も慌ててそれに習い


「「「おお…神よ!!!」」」

…と言った。

(よし、反応に飽きたし『雷光』の落下地点でも見に行くか。)

エラクレスはそう思って女神像から離れようとした。ちなみにフィリクは流石の反応力で『雷光』の余波で揺れるのと同時にエラクレスの上に飛びついて主君を守ろうとしたが、エラクレスが高速機動したため聖堂の床に頭から突っ込み気絶していた。

「待ち給え!」

立派な服装した司祭らしき人物がエラクレスに声をかけた。

「何か?」

(この服装…なんだっけ?)

「君が像を支えてくれたんだね。ありがとう!。」

「礼などとは…恐縮です。神の恵みを受ける者(事実)として当然の責務を果たしたまでです。」

聖職者は地位にもよるが、貴族より厄介なためエラクレスは丁寧に接した。

「ほほう!なんと敬虔なことか!見たところ貴族のようだが名をお教え願う。」

(こっちが教えてほしいな。)

「ヴァロワ公エラクレスです、聖下。」

(『聖下』とは身分の高い聖職者への敬称だ。何者かは知らんがこいつはかなり身分の高い奴だ。)

「な!噂の獣人との繋がりを持つ公爵殿でしたか。これは失礼を私はこのネリーキア王国を管轄地域としている大主教ガブリエル・ガルシアと申します。」

(この国の聖職者のトップじゃねーか。敬称付けといて正解だったは。)

「こちらこそ失礼をいたしました。どうか平に「聖下…怪我人がどんどん聖堂に運びこまれています…どうかお力添えをいただきたく…。」ご容赦を。」

一人の修道士が頬をゲッソリ痩せこけた様子で飛び込んで言った。

(そういや、聖職者には回復魔法が使える人が多いとか聞いたな。彼は怪我人の手当で魔力を使い果たしてしまったのだろう。)

「むむ!こうしては居られん!一人でも多く信者達を助けねば!わかったすぐに行く!ヴァロワ公、ここで失礼します。」

そう言ってガブリエルは修道士の方に向かった。

(なんか…宗教とかの上層部って腐敗しているイメージだが、彼はそういうのなさそうだな。さて、ちょっと善行を積んでから落下地点を見に行くか。)

「エラクレス様!お怪我はございませんか!?」

丁度フィリクも意識を取り戻したらしい。

「ハハハ!お前は俺の実力を知っているだろう?」

エラクレスは笑いながら答えた。

「つまり大丈夫ということですね!その…どうしても心配してしまいます。」

フィリクはとても安心した顔で言った。

「帰るぞ。」

「はっ!」

祈りの場から一歩廊下に出たらそこは怪我人でごった返していた。

(命に関わる重症者だけ助けよう。)

エラクレスは廊下を歩きながら回復魔法(傷)を発動させた。

「くっ……俺はもう駄目だ…みんな…元気で……」

「あんた!」

「父ちゃん!」

「治った!?」

「「え?!」」

まず一人。

「僕……中々…照れくさくて……言えなかった……けど……君が……………好きだよ………。」

「嫌ー!ライアン!死なないで!私も好きよ!」

「ありがとう……でも……この傷じゃ……って、あれ!傷が……ない!」

二人目。

「ご老人……無念です……私の力不足のため……。」

「司祭様…わしゃあ長く生きた……もう同年代の友人も一人残らずあの世じゃて……十分生きた………そこまで残念がることはありませんぞ。だだ心残りは………ひ孫の顔を……見れなかっ……」

「ご老人!傷が!」

「あれ?生きてる!儂!生きてる!」

途中まで聴いて助けるか迷ったが心残りがあるようなので助けた。その後も王都で死にかかっている人達を魔法で人知れず助けたが、いよいよ面倒になったので…。

「ありったけのカネでありったけの傷薬とポーション(魔力回復)を買って来い!一人でも多くの…「聖下!」おお、ヴァロワ公爵!忙しいので手短に…」

必死で聖職者を叱咤激励して自身も治療に勤しむガブリエルに話しかけた。

「これを…少しでも民を救えたらと思い。」

エラクレスは自身で調合した傷薬がたくさん入った魔法の袋を渡した。

「我が領地の特産品です。何分寒いので薬草は大量に…」

「おお!神よ!感謝します。公爵にも感謝いたします!」

「お役に立てれば幸いです。それでは城も気になりますので失礼します。」

「ありがとうございます。神の御加護を。」

思いがけないほど長居してしまったが、やっとの思いで聖堂を後にした。

(さあさあさあさあさあ!ど~なっているかな~?)

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