追放、転生、完璧王子は反逆者!!!

ぱふもふ

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第三章反逆王子

東部決戦

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<都市ストラス>

「申し上げます!都市シェローが突如として迷宮より押し寄せた無数のゴブリンにより陥落!逃げ延びた民の群れがこちらに向かっており、助けを求めております!またシェローを落としたゴブリンは周辺の村々を略奪している模様!」

「申し上げます!アシル様ジョシュアの従兄弟が治めるメノ・ラの…メノ・ラの市街地が陥落!都市内部の城に籠もって抵抗するアシル様が救援を要請しております!こちらも1部を略奪に割いている模様です!」

「申し上げます!リトポは奮闘しており、都市への侵入を阻んでおりますが、厳重な包囲陣を敷かれ、危うい状況であります!」

「申し上げます…ネモジャも城塞のみで…」

「申し上げます…我らヴェルトはなんとか…」

ジョシュアの妻『アレット』は頭を抱えていた。今にも卒倒してしまいそうだ。

彼女は反逆者エラクレスと対峙するため留守にしているジョシュアに代わって政務を行っていた。貴族の当主が不在の場合はその妻が代わって行うのが通例だ。

ちなみにジョシュアは現在ノース辺境伯領に向けて既に領地から出発している。

何に頭を抱えているかというと、当然ゴブリンについてである。余りにも急でタイミングが悪すぎるので何一つとして詳しいことは分かっていない。

ゴブリンに襲われていない都市が救援を試みているものの、圧倒的数を誇るゴブリンの前に手も足も出なかった。

ゴブリンは総勢100万など恐ろしい噂も流れている。当然、アレットは夫が残した軍を派遣しようとしているが、どれを優先するべきか迷っているのである。

一旦、伝令を全員下がらせて1人になる。そして情報を簡単に整理する。

陥落が1都市

半壊が2都市

堅守2都市

紙に整理して書くと意外と簡単に答えは出た。

(あと心配なのは…)

コンコン

ノックだ。

「良い、そこで述べよ。」

無駄な言上を省かせて最速で報告させる。

「奥方様、ストラス周辺の迷宮探索が完了いたしました。異常はありません。」

これがアレットが求めていた最後の情報だった。

ガチャ…

ドアを開けて膝を付く騎士たちを見渡し、述べる。

「命を告げる!」

「ははっ!」

「騎士50名を残して他は皆メノ・ラに向かへ!指揮官はエティエンヌアレットの従弟とする!」

「「「ははっ!!!!」」」

充分に準備ができていたストラス軍はすぐさま出陣した。

内訳はこのようなものとなった。

直下騎士250騎

冒険者系傭兵1000人

農民や浮浪者系傭兵5000人

計6250人

尚、これは出陣であり途中で徴兵することを考えるとまだまだである。

指揮官のエティエンヌはアレットの実家のエカルム王国の名門タップファーカイ伯爵家の分家デーンバー子爵家の現当主であり、粗暴ではあるが武術に精通していると専ら評判である。なぜ彼がここにいるかというと、偶然遊びに来ていたからである。

家族のためとあれば協力もやぶさかではない。それに自分の武名をネリーキア王国にも響かせる好機と捉えていたし、そもそもこの騒動が静まらないと帰る事もできない。攻撃を受けている都市の1つネモジャにはネリーキア王国とエカルム王国を繋ぐ橋があるからだ。

「まずは近場のメノ・ラからだな。おーし、やったるぞ!」

ストラスからメノ・ラまでは身軽な旅人であれば1日で到着できる程近い。だが、今回は3日かかった。訓練されてない歩兵が殆どを占めていることと、道中見つけた避難民のなかから戦えそうな者を徴集したり、遭遇したゴブリンと戦ったりして時間がかかったからだ。

「閣下!見つけました!」

偵察のために先行していた騎士が報告に来た。もうメノ・ラは目と鼻の先だ。

「閣下のお考え通り、ここです!迷宮のすぐそばの小高い丘に大きな一団が見えました。数は8千といったところでしようか。街では未だ戦闘が続いております。」

それを聞いたエティエンヌは決断する。こちらもかずなら7000まで膨れ上がっていた。そして騎士団は集団で戦えば1騎で歩兵10人に匹敵すると呼ばれているのだ。

(勝機はある。)

「薄汚いゴブリンを皆殺しにするのだ!我に続け!」

「「「オオー!!!」」」

味方を、そして自らを鼓舞するように雄叫びを上げゴブリンが陣取る丘に突撃する。

ドドドッ!!!

ドドドッ!!!

ドドドッ!!!

力強い蹄の音が辺り辺りに幾度も響き渡り、ゴブリンが気付くことになる。

「グゥングゥンギャン!」

「「「カン!!!」」」

最前列のゴブリンがしゃがんで槍を斜め上に構え、その後ろのゴブリンも中腰になって槍を構える。

後方ではゴブリンメイジが呪文を唱え火の壁、水の壁、土の壁を生やす。

「なんと!ゴブリンが騎士への対処を心得ておるとはな…だが!」

だが問題ない。

ゴブリンメイジが放った魔法を武器で振るい落としたり盾で防いだりしながら肉迫する。

魔法で作られた壁は…

「「「ぬぅぅぅぅぅうん!!!」」」

メイスやハルバードを持つ騎士が殴り壊し、振り払って突破する。

陣を敷いているのは身体的に劣るゴブリン。

エティエンヌと騎士はハルバードを横に振るう。

すると槍の穂先がハルバードに引っかかって狙いがそれてしまう。

「騎士を侮った罰を受けるがいい!」

無防備なゴブリンを次々にランスで突き刺し、ハルバードで叩き斬る。

騎士の突撃を止めるべく立ち塞がるゴブリンを薙ぎ払い丘を駆け登る。

「ダーハッハッハッ!これだけの数だ!ジェネラルは当然。キングも居るだろう!出て来い!」

気持ちの高ぶりが抑えきれないという様子で挑発する。

しかし、ゴブリンに変化は見られない。

「ならば皆殺しにしてやらぁ!」

馬の横腹に拍車をかけて突撃を続行する。

だが、エティエンヌは気づかなかった…後続の傭兵部隊は既にしていることに…。

「うわ!ななな、なんだこれは!」

「ひぃ~!たたた、たす、たすけて…」

「ににに、逃げろ~」


降り注ぐ魔法と矢の雨を前に傭兵たちの足は完全に止まっていた。いや、止まればまだ良い方で逃げ出す者が殆どだ。ゴブリン軍の後方にいるゴブリンメイジ達は騎士と接近戦をしている仲間に当たってしまい、同士討ちとなる可能性があるため陣に突入した騎士には遠距離攻撃はできない。そこで彼らの標的になったのは徒歩で近づく傭兵であった。

ゴブリンなどは平民であればいくらでも目にする機会があるため問題ではないが、これだけ魔法が飛び交う戦場は初めてだ。

そもそも今回集められた傭兵は農民、浮浪者などのド素人とまだまだ駆け出しの冒険者である。兵士と同じように高練度の冒険者が戦争により留守にしているからだ。

まあ、普通のゴブリン程度なら練度が低くとも対応は十分可能ではあるので、今回に至ってはしょうがないと言えるのかも知れない。

1人の逃亡が10の逃亡を呼び、10の逃亡が100の逃亡を呼び、100の逃亡が1000の逃亡を引き起こす。

最早戦いと呼べるのものではない。

そして影響はエティエンヌにも現れた。

ガキン!!

「ぬおおお!」

「グガガガ!」

エティエンヌ率いる騎士は丘の中腹まで登ったものの、そこで停滞していた。

原因は疲労、そして…

「じぇ…ジェネラルめ…」

「い…今更出て来やがって…」

ゴブリン系の上位種が出てきたのである。ゴブリンジェネラルの特異な点は、並の冒険者では刃が立たない武勇と連携を重んじるところである。

しかもここにいるジェネラルは不自然なくらい武器防具が充足しており、それも苦戦の要因となっていた。

傭兵部隊の敗走により騎士が開けた穴も完全に塞がりエティエンヌは完全に包囲されていた。

「お…おのれぇぇえ!」

ガン!

焦りと怒りから雄叫びを上げたエティエンヌはハルバードを掲げて近くのジェネラルに攻撃するも、ジェネラルのメイスに防がれ、鍔迫りになってしまう。普段の彼であればジェネラル程度は簡単にねじ伏せてしまうというのに疲労困憊で互角になっていた。

「こんなもの!」

「ウギャー!やややめ…」

「やめろぉお!」

「たすけ、たすけ…たす…」

彼が苦戦している間にも1人、また1人とゴブリンに組み伏せられ、群れの中に引きずり込まれる騎士が増える。

「ぐ…生きたまま喰らうつもりか…」

恐怖でゾワッとする。相手は人を喰らう魔物だから死んだふりで乗り切るということもできないのだ。

その後も何とか耐えるものの、多勢に無勢。

遂にゴブリンに組み伏せられてしまった。なお、エラクレスの命令ではネリーキア貴族はなるべく捕らえて生かしておくように言われていたが、エティエンヌはネリーキア貴族ではなかったためゴブリンたちの食料になった。

そして、敗走した傭兵たちも道中で略奪に勤しむゴブリンの群れと遭遇し多くの損害を出す事になった。

これによりストラス辺境伯領に残っていたまともな軍は1つも無くなった。

そしてこの報告を受けたアレットは今度こそ卒倒した。

一方で同じように報告を受けたゴブキンの顔も晴れなかった。完璧な奇襲だったにも関わらず落とせたのはたった1都市だけだからである。

ギーギャギャっギヤグールどうしても私が居ないと動きが悪い

人知れずゴブリン語で独り言を言うのであった。

ちなみに彼はリトポの壁内に攻め込むことが出来ていないのは高位魔法使いがいたからであって、もしそれが無ければ簡単に落とせてたと考えてる。

使える軍が全滅したことにより、ストラス辺境伯領は戦争の終結まで徹底的な略奪に苦しむことになった。

現在進行系で略奪を終えた部隊が大勢の捕虜にした女を数珠繋ぎにして帰還した。捕虜…しかもゴブリンの捕虜になった女たちの末路は悲惨である。

全員自殺防止のために猿轡を噛まされ、抵抗の意思を挫くために全裸に剥かれた姿で後ろ手に手枷で縛られ首輪もつけられている。しかも首輪と首輪、手枷と手枷は連結しており、逃げられそうもない。
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