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Side:王太子
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災害が止まらない。
あの忌々しい婚約者候補、卑しい闇属性の魔女が突如として出奔し居なくなったことに喜んでいたのも束の間、王国には未曾有の大災害が次々と起こっていた。
旱魃が起こり、今年の収穫は危機的状況であるという報告が来たかと思えば、今度はやれ土砂崩れが起きた、竜巻で作物がやられた。地震で辺境伯家の屋敷が倒壊したと多量の報告が上がってくる。
一体全体何が起こっているのか、まるでわからない。
「殿下! 殿下! 大変です。魔術師団より、睡眠による魔力の回復が起こらなくなったと報告が!」
「なんだと!? どういうことだ!」
「今までは一晩眠れば全快していた魔力が、眠っても元に戻らなくなったというのです! 食事からの魔力回復は維持されているようですが、そのような方法では全回復まで5日ほどかかるとのことで」
「なんだと! それでは土砂崩れの修繕はどうするのだ!」
「遅々として進んでいない状況です」
ただでさえ国中が混乱の只中にあるというのに、その上魔術師が使い物にならないとなれば、もはや災害を復興する術すらも失われることになる。
一体何が起きているのか。宰相があちらこちらの学者に問い合わせたところ、新たなる報告が上がってきた。
「国中の精霊が居なくなっている、だと!?」
「はい。光の精霊と話ができる加護持ちによりますと、闇の精霊の愛し子を苦しめたことで闇精霊に見放され、光の精霊以外の他の精霊たちも尊重されないことから、この国を出ていったと」
「闇精霊の愛し子……まさか!」
あの闇属性の卑しい魔女のことか?
たかが舞踏会の席で、結婚するつもりはないと宣言しただけで苦しめた扱いだと?
冗談じゃない! そのようなことで国に災害を起こされてたまるか!
「今すぐネロリアを探し出して連れ戻せ!」
「ですが、どこにいるかもわからず。それに闇精霊の愛し子を連れ戻すというのは、本人の意思で出奔したのならば難しいのでは……」
「やかましい! 国の一大事なのだぞ!」
「ですが……」
「いいからネロリアを連れ戻せ!」
あの忌々しい魔女め。どれだけ私に迷惑をかけたら気が済むのだ。
私はあまりの苛立ちに、執務室の机を叩いた。
国を挙げてネロリアを探していたところ、リュクス王国でネロリアを見かけたという報告が入ってきた。
父上は私に直々に迎えに行けと仰る。公爵家にとって扱いあぐねる存在であったネロリアを王家で引き取れば、公爵家の後ろ盾が手に入ると期待して散々私とあの魔女を結婚させようと目論んでいた父だ。
闇精霊の愛し子とやらであり、今回の災害を引き起こした原因であるネロリアを連れ戻さなければならないとなった以上、父上は以前にもまして私たちの政略結婚を推していくつもりだろう。
なぜ闇属性なんかの愛し子を尊重しなければ全ての精霊から見限られてしまうのか。あまりに理不尽な話に嫌気が差すが、国のためにそうせざるを得ないなら仕方がない。
ネロリアは、私が側室でも娶るのは嫌だと言ったから拗ねて出ていったのだろう。結婚してやると言えば戻ってくるに違いない。
闇属性の魔女など嫌でしょうがないが、ネロリアをお飾りの妻として、正式な妻は側室に置けばよいか。
さあ、国のため、ネロリアを迎えにリュクス王国へ出立しよう。
あの忌々しい婚約者候補、卑しい闇属性の魔女が突如として出奔し居なくなったことに喜んでいたのも束の間、王国には未曾有の大災害が次々と起こっていた。
旱魃が起こり、今年の収穫は危機的状況であるという報告が来たかと思えば、今度はやれ土砂崩れが起きた、竜巻で作物がやられた。地震で辺境伯家の屋敷が倒壊したと多量の報告が上がってくる。
一体全体何が起こっているのか、まるでわからない。
「殿下! 殿下! 大変です。魔術師団より、睡眠による魔力の回復が起こらなくなったと報告が!」
「なんだと!? どういうことだ!」
「今までは一晩眠れば全快していた魔力が、眠っても元に戻らなくなったというのです! 食事からの魔力回復は維持されているようですが、そのような方法では全回復まで5日ほどかかるとのことで」
「なんだと! それでは土砂崩れの修繕はどうするのだ!」
「遅々として進んでいない状況です」
ただでさえ国中が混乱の只中にあるというのに、その上魔術師が使い物にならないとなれば、もはや災害を復興する術すらも失われることになる。
一体何が起きているのか。宰相があちらこちらの学者に問い合わせたところ、新たなる報告が上がってきた。
「国中の精霊が居なくなっている、だと!?」
「はい。光の精霊と話ができる加護持ちによりますと、闇の精霊の愛し子を苦しめたことで闇精霊に見放され、光の精霊以外の他の精霊たちも尊重されないことから、この国を出ていったと」
「闇精霊の愛し子……まさか!」
あの闇属性の卑しい魔女のことか?
たかが舞踏会の席で、結婚するつもりはないと宣言しただけで苦しめた扱いだと?
冗談じゃない! そのようなことで国に災害を起こされてたまるか!
「今すぐネロリアを探し出して連れ戻せ!」
「ですが、どこにいるかもわからず。それに闇精霊の愛し子を連れ戻すというのは、本人の意思で出奔したのならば難しいのでは……」
「やかましい! 国の一大事なのだぞ!」
「ですが……」
「いいからネロリアを連れ戻せ!」
あの忌々しい魔女め。どれだけ私に迷惑をかけたら気が済むのだ。
私はあまりの苛立ちに、執務室の机を叩いた。
国を挙げてネロリアを探していたところ、リュクス王国でネロリアを見かけたという報告が入ってきた。
父上は私に直々に迎えに行けと仰る。公爵家にとって扱いあぐねる存在であったネロリアを王家で引き取れば、公爵家の後ろ盾が手に入ると期待して散々私とあの魔女を結婚させようと目論んでいた父だ。
闇精霊の愛し子とやらであり、今回の災害を引き起こした原因であるネロリアを連れ戻さなければならないとなった以上、父上は以前にもまして私たちの政略結婚を推していくつもりだろう。
なぜ闇属性なんかの愛し子を尊重しなければ全ての精霊から見限られてしまうのか。あまりに理不尽な話に嫌気が差すが、国のためにそうせざるを得ないなら仕方がない。
ネロリアは、私が側室でも娶るのは嫌だと言ったから拗ねて出ていったのだろう。結婚してやると言えば戻ってくるに違いない。
闇属性の魔女など嫌でしょうがないが、ネロリアをお飾りの妻として、正式な妻は側室に置けばよいか。
さあ、国のため、ネロリアを迎えにリュクス王国へ出立しよう。
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