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夢の続き

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 毎日の夕飯を作る雫・・・、やはり俺はま
だ、この瞬間が緊張で膝に置く両手は握りな
がら汗ばんでいた、ドキドキが止まらない、
彼女が下を向きながら淡々と刻む包丁の音、
時よりこちらを向き笑みをくれる、この光景
が俺に訪れるとは夢にも思ってもいなかった。

『聖夜さん?、もう少しで出来ますからね♪』

『あっうん!!』

 単語でしか返せない俺、本当は、こう言い
たい!、あっ!!、良い匂いがして来た、早
く食べたいな!!、雫の料理は世界一だよと。

『さっ出来ました、本日は野菜炒めです♪、
召し上がれ!!』

『いっ頂きます』

 いつもながら美味しい、口が止まらない、
普段何も食べていない位に箸が進む。

『ウフフフッ!!、そんなに慌てなくても逃
げないですよ料理は?ウフフフッ!!』

『アハハハッだよね、美味しいからつい!!』

 こんな感じで毎日が幸せだ!!、この幸せ
が永遠に続いてくれれば俺は他に何もいらな
い、そう思った。
 雫の手料理を食べ終わり、コーヒーを頂き
ながらのわずかな会話をする、そして俺は帰
宅した。

『さてと風呂入って寝るか!!』

 最近体の調子が良く寝床に横になると、い
つの間にか寝ていた、その夜俺はまた、あの
夢を観ていた。

『ハーッ、ハーッ、ハーッ!!』

 うなされる様に体かも汗ばむ感じ、そして
また、あの女性!!、何かを伝えようと必死
に訴えている、俺は夢の中で彼女を捕まえよ
うとしている気がした、俺の手から彼女の手
が離れた時!!

 ガバーッ!!

『ハーハーハーッ、ハーハーハーッ』

 目が覚めてしまった、前回よりも夢の内容
が進んだ気がしたが、これと言って確信はな
かった。

 そして次の日、健ちゃんが遊びに来た、健
ちゃんは左腕をギブスで覆い包帯で首に掛け
腕を吊っていた。

『いや~っ参った参った、俺とした事が階段
から落ちちまってこの様だよヤレヤレ!!』

『大丈夫なの健ちゃん?、随分痛そうだけど
・・・』

『全治2ヶ月ってところかな?』

『かな~って!?、医者に診て貰ったんでしょ
?』

『あっ!?、おお~っ!!、早く治らねーか
な!!、不便でしょうがない、それより聖夜
?、この辺にタチ悪い奴らいるから気をつけ
ろよ?、噂に過ぎないけど、変な奴らに出く
わしたら俺に連絡しろ!!、この健様が助け
てやるから~、いいな、分かったら返事!!』

『あ、うん!!・・・、その体で?』

『ああ??、お前よりマシだろ!!』

 こいつらは俺が守ってやる!!
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